ソフトバンク・グループ関連報道 (started 2014/01/06)
  1. Sprint Said to Look Beyond T-Mobile for Other Deal Options
    Sprint は,T-Mobile の先の取り引きの選択肢を見るとのウワサ
    Bloomberg,2017/04/27 @18:41 JST
    By Stephanie Baker Scott Moritz, & Claire Boston
      負債の重荷がすぐにも Sprint のタイミングを制限する。
      経営陣は 電波の価値を増強するためのアイデアを弄ぶとのウワサ。
    Wall Street is betting Sprint Corp. and T-Mobile US Inc. will soon revive talks on a blockbuster merger, but a recent surge in demand for wireless assets has Sprint exploring other ways to unleash value.
     Sprint’s parent SoftBank Group Corp. believes the company’s vast trove of wireless spectrum, which can be used for faster 5G services, has been undervalued, a view bolstered by AT&T Inc.’s lofty $1.6 billion purchase of Straight Path Communications Inc., according to people familiar with the matter. Executives have been bandying about ways to better reflect the value of Sprint’s airwave licenses, even entertaining the notion of spinning off some spectrum into a separate, publicly traded company, the people said. A deal with T-Mobile or another party would have to properly compensate Sprint for its airwaves, they said.
     < 以下 長く続くが,どうにも論旨が不明で読み取れないので 翻訳を諦めることにしました。
     必要な人は上のリンクから原文をお読み下さい。ブルームバーグから日本語訳出たら,それで勉強させてもらいます。 なるほど そう訳すのか (笑) >
     でも "toy with" だから "単なる模索" ではなくて,ハッキリ言えば "模索するというようなばかげたことをする=弄ぶ”;つまり 著者の気持ちがここに入っている。それをブルームバーグ翻訳は "模索" で片づけた。
     以下,Bloomberg がカットした残り部分から 面白そうなところを摘まみ喰い翻訳。(全部は長いので大変)
     もしも 親会社の金で Sprint のベイルアウト [~債務を引き受けること] を模索すれば,SoftBank の CEO であり支配株主でもある大富豪 Masayoshi Son は,自らの投資家の怒りを買うリスクを冒すことになろう。
      For all those reasons, a deal is still likely for Sprint. What has changed is that Sprint and SoftBank now see themselves with a wider set of options than T-Mobile alone, and a stronger hand to play in negotiations.
     Merger talks in the wireless industry have been on hold for almost a year because of a government spectrum auction that required participants to avoid negotiating deals with each other. That gag order gets lifted April 27. In addition to making contact with T-Mobile, Sprint also believes it could get overtures from cable companies, such as Comcast Corp., Charter Communications Inc. and Altice NV, that have entered or expressed an interest in the U.S. wireless market, the people said.
     Sprint CEO Marcelo Claure and his team have made extraordinary efforts to stabilize the business by slashing costs and pawning assets. Sprint has improved its liquidity to more than $11 billion thanks to a series of debt transactions that have cut the company’s reliance on the high-yield market. It’s earned ratings upgrades from Moody’s Investors Service and S&P Global Ratings, though S&P noted that “significant” maturities are approaching in the coming years. Moody’s estimates the company’s cash pile should last about 18 months.
     同社は 2020 年までに満期を迎える債務を $110 億 以上抱えている。今年 満期を迎える債券は $13 億,2018 年には $30 億である。さらに 今年だけでも利払いが $20 億ある。
     "スプリントのチクタク時計は,債務の償還である。" … と MoffettNathanson アナリスト Craig Moffett が言う。"もしも 借り換えをしようとしているときに 債券市場に混乱が起きれば,良くて コストが急上昇し,最悪の場合には 資金調達にありつけない。いずれにせよ,Masa には,すぐにも取り引きを結ぶよう もの凄い圧力が掛かっている。"
     Sprint の債務の一部は,電波を担保として利用している。したがって,2.5 GHz 電波を別会社にスピンオフすることは,厄介な問題を引き起こす;おそらく債務再編 [debt restructuring, これは貸し手にとって 恐ろしい。殆どデフォルト] を必要とするだろう。そのため,Sprint 経営陣は スピンオフに反対しており,賛成が得られていない … と1人が言う。
     とは言え,このような戦略が議論されたという事実は,Son が Sprint の将来を押しあげる道を開こうとしていることの証である。
     Son made a case for combining Sprint and T-Mobile in 2014 to better compete with wireless giants AT&T and Verizon. The idea was rebuffed by Obama administration regulators keen on keeping the mobile market at four players. Disillusioned, Son briefly considered selling Sprint, but instead hired Claure, a person so aware of the odds against him, he vowed to lead “the greatest turnaround in history.”
     Claure は会社を安定化させたとは言え,このまま独立企業でいることは Sprint にとって魅力的な選択肢ではない。かつてほどの出血はしないようになったものの,同社の財務は限られている。Sprint は,アメリカで最も多く 2.5 GHz 電波を持つ。しかし,金が無ければ その電波をネットワークで使うことができない。ライバルより優れたネットワークを作り,動画を高速でダウンロードし,生の TV 放送を配信することができない。
     “The only logical endgame for SoftBank is to merge Sprint with T-Mobile,” said Bill Zox, chief investment officer for fixed income at Diamond Hill Investment Group Inc.
     Shares of SoftBank rose 1 percent to 8,174 yen in Tokyo on Monday.
     Sprint is in position for a potentially more deal-friendly period under the Donald Trump administration. But the company is already the largest borrower in the high-yield market, so SoftBank, which owns more than 80 percent of Sprint, would have to foot the bill for an outright acquisition of T-Mobile. Any other type of merger would require the cooperation of T-Mobile’s owner, Deutsche Telekom AG.
     "Sprint は,SoftBank が巨額の小切手を切らなければ T-Mobile を買収できない。なぜなら Sprint は,支配を握る 株式通貨を持たないし,合併後の会社も T-Mobile の支配権益を買うだけの力はないからだ。" … と ムーディーズのアナリスト Mark Stodden が言う。
     Son は何十もの取り引きをこれまでに率いて日本第2の富豪になったのであるが,Sprint に関してはまことに異例の立場にいる;なぜなら 取り引きの相手は ほとんどが自分より大きく,彼は 運転席にいないからだ。
     Subscriber growth in the U.S. wireless market has plateaued over the past three years and competition for new customers has intensified now that all four carriers have adopted unlimited data prices and claim faster networks. Under CEO John Legere, T-Mobile has upended industry practices like two-year contracts and expensive international calling. T-Mobile added more than 4 million customers last year, tops among its rivals.
     ドイツテレコムにとって T-Mobile は,アメリカの最も急成長する無線キャリアであるだけでなく,最大の利益を貢献してくれる。Sprint をここに加えて アメリカ事業にリスクを冒すためには,単に市場を再編成する機会を得るという以上の動機が必要である。
     SoftBank とドイツ・テレコムは 条件について合意することもあり得る。だが,両社は規制当局に,この合併により消費者が利益を得ることを売り込む必要がある。それには,トランプ政権の要の信条である雇用を壊さないという約束が必要であろう。
     Even if SoftBank and Deutsche Telekom can agree on terms, the companies will need to sell regulators on the potential consumer benefits of the combination. It may require a pledge not to destroy jobs, a key tenet of the Trump administration. Regulators could be swayed by the argument that combining two minor players could form a stronger, more effective rival to the dominant companies, said David Balto, former head of policy at the Federal Trade Commission.
     “People who have been advising Trump on antitrust issues want to give life to the efficiency argument, that by creating stronger firms, they’ll be more able to effectively compete and lower costs and ultimately consumers will benefit,” Balto said.

  2. Snapdeal sale to Flipkart: Kalaari Capital comes on board
    Snapdel の Flipkart への売却:Kalaari Capital が乗船する。
    Economic Times,2017/04/24, @06:35 am IST
    By Biswarup Gooptu (ニューデリー)
    オンライン・マーケットプレイス Snapdeal の初期投資家 Kalaari Capital は,ニューデリーに拠点を置く企業を Flipkart に売却する提案に同意を与えた … と この交渉を知る2名が言う。もし成功すれば,この交渉は,アメリカのアマゾンと中国のアリババが覇権を求める $160 億インド・オンライン小売り業界の輪郭を作り直すものとなる。
     Snapdeal の筆頭株主である日本の SoftBank は,初期投資家 Kalaari Capital と Nexus Venture Partners に四面楚歌の会社の売却を 推定価格 $10 億で 迫っていたが,売却価格がピーク時の評価 $65 億より大幅に低いために,抵抗に遭っていた … と ここ何週間も続いている協議を知る情報筋は言う。
     "粘り強い協議の後で,Kalaari Capital だけは乗船した。 ・・・ 今後は SoftBank と協力するという合意が取れた。" … と上の1人が言う。Nexus と SoftBank の協議は続いている。
    カートを積み替える
    Snapdeal 株主の合意により,この売却を実施するためには,SoftBank は最低2名の Jasper Intech 大株主の同意を必要とする。Snapdeal の2名の創業者 Kunal Bahl と Rohit Bansal がこの売却に同意したか否かは不明である。
     これとは別に,インド最大のオンライン小売り業者 Flipkart は,Snapdeal が所有するディジタル決済プラットフォーム FreeCharge にビッドするかもしれない … と別の情報筋が言う。その入札価格は $0.40 ~ $0.75 億の範囲であるという。この展開を知る複数の人は Economics Times に,SoftBank が提案した Flipkart への投資は,バンガロールの企業 (Flipkart) が FreeCharge をバイアウトすることを条件としていない … と言う。
     Snapdeal を Flipkart に売却する提案は,SoftBank が インド最大のオンライン小売業に参入する道を開く。2段階合意の一環として,合併後,東京を拠点とする投資家は Flipkart に大幅な投資 $10~15 億を行なうことにより 注目すべき株主となる。
     決済プラットフォームに対する新手の参入者
     FreeCharge に対する Flipkart の関心は,アリババが Paytm を従えた後,決済プラットフォームに名乗りを上げた2番手である。MobiKwik も競り合っていると見られる。その他にも FreeCharge を以前 狙っていた2社がダークホースであり,アメリカに拠点を置く PayPal,それに Naspers をバックに持つ PayU もある ・・・ と この [FreeCharge の買収?] 取り引きに係わる1人が言う。
     "とにかく 何かの取り引きが完了するには数ヵ月かかるでしょう。" … と1人が言う。
     先週 Economoc Times がお伝えしたように,SoftBank は Paytm のオーナー One97 Communications を $70 億超に評価して,かなりの額の投資を検討中である。SoftBank は これまで 約20 億をインドのスタートアップ企業 (配車アプリの Ola,ホテルの室予約の Oyo,地元超密着型商業企業 Grofers を含む) に投資してきたが,ポートフォリオの贅肉を 少し削ろうとしている。
     Kalaari, SoftBank, Flipkart, Snapdeal は,いずれも コメントを求める E-メールに応答しなかった。
     SoftBank と組むという Kalaari の決心は,従来 このベンチャー資本が頑なに拒んでいたことを考えれば,Flipkart と協定を結ぶのにかなりの前進であると思われる。
    これまで 売却を拒んでいた4人のうちの1人が折れたというニュースです。
     むちゃくちゃだと思うけど …
     これで (1) Tencent + Flipkart + eBay + Microsoft + Jasper Infotech (Snapdeal + FreeCharge) + SoftBank が
    (2) Amazon, (3) Alibaba + One97 (Paytm + Paytm Ecommerce) と戦おうというのですからね。こんなバラバラ部隊に 投資を決めているのは,孫さんがおそらく全権委任している「SoftBank Group Corp の社員 Lydia Bly Jett 」という なんだか 日本では丸で知られていない女性です。
     アリババの宿敵 テンセントと SoftBank が組む。いつから 孫さん そう決めたのか? たぶん,馬雲さんとは 険悪な仲なんでしょうね? 決算説明会では「仲がいいんですよ」とか 胡麻化しているけれど。
     しかもこの売却が成功すれば,SoftBank は 推定 $10 億程度の損が確定した上に,$10~15 億の資本注入をする。Flipkart は "Snapdeal は不要だから,SoftBank の金だけをよこせ" … という腹積もりとか (前報)。
     SoftBank は,Economic Times にも揶揄されている (と思いませんか?) … というのは上品な言い方で,インドでは舐められっぱなし。テンセント,アリババにも舐められっぱなし。
     まぁ,社長さんが 何をしても 一切 腹を立てないのが,ソフトバンク株主の奥ゆかしい美点です。
    カートを積み替える
     Kalaari は,Snapdeal への投資の $1 億を既に回収済みである。
     Nexus は,Snapdeal への投資から まだ リターンを得ていない。
    ──────
    FreeCharge が焦点に
     Flipkart は,FreeCharge 買収に名乗りを上げた。
     Paytm は 既にオファーした。
     MobiKwik も名乗りを上げる見込み。
     そのほか,ダークホースの2社,PayPal と PayU
    ──────
    SoftBank の買収提案は,Flipkart による FreeCharge 買収を前提としない。
     ディジタル決済プラットフォームは $0.40~0.75 億で売却される模様。
        [たくさん 手が挙がっている]

  3. 日本の携帯電話契約数 (グラフを追加,2017/04/24)
    一般社団法人 電気通信事業者協会 (TCA),2017/03/02
    どうにも気になるので (気になりませんか? 気にならない人多いみたいだけど(笑)),過去のデータまで遡ってグラフをこしらえました。その結果が ↓ である。
     グラフが示す増減数から明らかなように,2013/12~2014/09 までは3社が見事に歩調をそろえていた。
     ところが 2014/12 からは SoftBank が脱落。2015/06 は,2015年4月の合併による特殊事情で増加。
     その後,2015/09 から純減に突入して現在に至る。
     したがって,2014/12 および 2015/09 に何かが起きたと考えられる。
     2015/09 は,安倍首相が高市早苗総務相に携帯料金引き下げの検討を指示した時期と一致する。
     2014/12 は,古いことなので分からない。何があったのか?
      ソフトバンク株式会社第1回無担保社債 (劣後特約付) 2.5%, 7年,4000 億円発行 … がある。
    ──────
    いずれにせよ,こういう状況に1年以上も手を打たず (打てず?),外国連続買収 (それもインサイダー騒ぎや高値掴み) でお茶を濁そうなんて企業の行く末は ・・・ 神のみぞ知る。
     下のグラフ (↓) は,契約数そのものの変化である。一時は KDDI に追いつくか … と言われていたが,今では 1,000 万近くも引き離された (正確には,2016/12 時点で 854 万件)。
     合併により一時 接近したが,悲しいことに,それも喰い尽くしてしまった!
     もちろん社長さんが知らないはずはないこの事実!
     株主はなぜか 目を避けるこの事実!
     メディアは (外国メディアを含めて) なぜか 決算説明会で1年以上 指摘しないこの事実!

  4. Intelsat to extend debt exchange on OneWeb deal for weeks: sources
    Intelsat が,OneWeb 合併に関連する債券交換の期限を数週間延期する:情報筋
    Reuters,2017/04/20 @07:02 pm ET
    By Liana B. Baker & Jessica DiNapoli (サンフランシスコ, ニューヨーク)
    Intelsat SA は,OneWeb との合併を有効に保とうと,投資家が債券を交換する期限を数週間延期することを計画中である … と この件に詳しい複数の人が言う。
    新しい期限は,先週の木曜日から 少なくとも5月半ばに延期される … と彼らは言い,この件が未発表であることを理由に匿名を求めた。Bloomberg News は,この期限が少なくとも 先週木曜日から数日延長されると伝えていた。
     Intelsat の広報担当者はコメントを拒んだ。OneWeb とは 直ちに連絡を取れなかった。
     日本の SoftBank Group Corp に支援を受けた OneWeb と 負債まみれの衛星運営企業 Intelsat は,2月末に合併に合意した。ただし その取り引きには,インテルサットの債券所有者の合意が得られることが条件となっている。債券交換は,もしも成功すれば,Intelsat の債務 $150 億を $36 億ほど減らすのに役立つ。
     Intelsat の一部の債券は,同社が債券交換で申し出ている価格を上回って取り引きされており,Intelsat の債券所有者が もっと良いオファーを望んで頑張っていることを示す。しかし,SoftBank は 債券所有者を満足させるに十分な金を払うつもりは無い … とこの件に詳しい1人が言う。
     金曜日に,Intelsat と 一部の債券所有者が集まって協議を行なう … と別の情報源1人が言う。
     Intelsat は,一連の債券交換を3月24日に始めた。OneWeb との取り引きを成功裡に完了するためには,各シリーズの債券の額面合計の 少なくとも 85% の所有者が 債券交換に参加することが必要である。
     OneWeb は,小型衛星を数千個 製造・打ち上げることにより,世界中にインターネット・アクセスを提供しようと計画する数少ないスタートアップ企業の1つである。
     Elon Musk の SpaceX は,2015 年1月に 衛星経由のインターネット計画を公表した。こちらは,最終的には 4,000 個の衛星を運用する。
    期限が5月半ばに延期されるらしい。
     債券交換に (ヘアカットに) 応じた人は,少ないためだろう。
     Bloomberg は,ソフトバンクに妥協するよう示唆していたが,譲らないらしい。
    その後,2017/04/21 付で Intelsat から広報が出ました。法律文書的な硬い書き方なので,全部を翻訳するのは面倒。要点を掻い摘むと
       期限を 4月20日(木) 24:00 ET → 5月10日(水) 24:00 に遅らせた。
       その他の条件は変更なし。
       4月20日(木) 24:00 に Intelsat は「情報&交換機関] から 各トランシェごとにどれだけの債券所有者から交換の申し出があったかを報告している。
     件数が多いので面倒。たとえば,元本の 0.31% とか,0.06%, 0.34% とか (笑)。つまり 85% には程遠い。債券所有者が全然 応じていないらしい (笑)
     債券の利率は ジャンク債だけあって 7.75% とか 8.125% とか。
     ちなみにスプリントもジャンク債だけど,ちょっと マシで 6.7% である。1% の差は大きい。
     この調子では 20 日延期しても無理だろうね。何か成算があるのかな?
    ──────
    [2017/04/21] 株価が −7.18% の大暴落!
     仮に,ソフトバンクが これだけ値下がりすれば 1日で −\580 !
     金曜日の交渉が かなりの不調だったのか。あるいは,上の会社広報にビックリして投げたのか。
     ここで譲ると「以後も舐められる」と ソフトバンクは見た。ビタ1セントも出さないつもり。
     それは正解だと思うが ・・・ (思わない人もいるだろうね(笑)) 儲け口が減っちゃうと。
     「アメリカで5年で $500 億の連続買収」を 大統領に約束しちゃった。こちらへの影響は?
     もちろん,約束したのは「買収」ではなくて「投資」だから,ソフトバンクがアメリカの土地を買って工場を建てて,アメリカ人 50,000 人をソフトバンク社員として採用して,自前の $500 億で自動車事業「ソフトバンク自動車工業株式会社」でも始めれば,大統領さんは 超ご満足なんだろうけどね! そういう技術はまるで無しだから,この会社の辞書には「投資=金を注ぎ込むこと」と定義されており,どこかの馬の骨の金融機関さんからご紹介頂いたインテルサットみたいなところにぶっ込まざるを得ない。
     大統領に約束して得意がって見せたのが,そもそもの間違いだった。スタンドプレイには,政権からの睨みも きつくなってきたようだし。こちらの方もどうなりますか。
     ── あの 「どこかの馬の骨」って書いたけど 誤解しないでくださいね (笑)。正確には,ソフトバンクの投資意欲を利用してボロ儲けをしよう … と考えている投資銀行など … っていう意味です。もちろん,Goldman Sachs もソフトバンクのお得意さんです。つまり,互いにお得意さん同士!?

  5. SoftBank seeks change of tack after Snapdeal woes
    Snapdeal での悲哀を受けて,SoftBank は方針変更を探し求める。
    Financial Times,2017/04/20
    By Simon Mundy, Kiran Stacey, & Kana Inagaki (ニューデリー,東京)
    Snapdeal の叩き売りは,日本のグループが インドのオンライン・マーケットプレイスに酸っぱい投資をしたことの反映である。
    中国アリババでの賭けに大成功したことに味をしめた SoftBank 議長 Masayoshi Son は,2014 年11月,中国同様に急拡大する E-コマースで熱気あふれる市場で,2度目の棚ぼたを目指した。
     "私は,Snapdeal がインドのアリババになると思う。" … と Mr. Son は,インドのオンライン・マーケットプレイスに $6.27 億の投資を行なった後に語った。
     だが,それから3年も経たずして 日本のグループは,苦しむ Snapdeal をライバルの Flipkart に叩き売ろうと工作中である。しかも SoftBank は,合併後の法人に $10 億以上を注ぎ込む計画である ── 加えて,ほゞ同額を ディジタル決済+ E-コマースのグループ Paytm に投資する協議を行なっている。
     更なる投資への渇望は,SoftBank のインド電子商取引 ── 昨年成長が大幅に減速した後にも拘わらず世界のセクターとして長期的には最大の成果が得られる市場の1つと見られる ── に対する変わらぬ食欲を意味する。
     とは言え 同社のインド戦略のリセットは,同社の酸っぱくなった [=赤字になった] Snapdeal 投資 (テックセクターにおいて世界で最も重要な投資家の1つである日本の通信営業会社にとって世界に向けて行なった最大の賭けの1つ) の劇的な反映である。
    インドのオンライン小売り支出
    (10 億ドル単位, 2016 年以降は予想)
     SoftBank が投資する前,Snapdeal は既に3年間 オンライン・マーケットプレイスを2名の創業家 Kunal Bahl,Rohit Bansal の下で営業しており,Flipkart に次ぐ2位の売り上げをあげていた。同社は SoftBank の前に既に5回の資金調達を eBay, BlackRock, Temasek などの投資家から行なっていたが,SoftBank の投資は 遥かに大きく,Snapdeal の戦略, 文化を大きくシフトさせた … と何人もの経営幹部が語る。
     "SoftBank は,創業家らにたった1つの目標を与えた: [売り上げを?] 伸ばせ,伸ばせ,クレージーなまでに延ばせ。" … と1人が言う。
     Snapdeal への投資は,2014 年に元グーグル幹部 Nikesh Arora が SoftBank 総裁 [President, 日本語の肩書は 副社長] として到着の後 その活動が最大となった。
     新任の Snapdeal 取締役に納まった Mr. Arora は,Snapdeal に対する SoftBank の ビジョンの伝達役を拝命した。この計画の一部は,(2013 年に インド事業に $20 億の融資を約束してインドに参入していた) アマゾンが 中国で行なったのと同様に インドでも主導権を握る野望を放棄させることであった … と Mr. Arora との会合に参加したある幹部が語る。
     しかし,アマゾン,Flipkart とシェア争いの挙句,価格戦争に敗れた Snapdeal は,2015 年8月に更なる資金調達 $5 億を SoftBank, アリババ, 富士康から仰いだ。
     "子供で満員の部屋に たくさんのオモチャをばら撒くようなものでした。" … と 或る元 Snapdeal 幹部は この資金調達ラッシュを語る。
     フォレスター・リサーチの Satish Meena によれば,インドの電子商取引の売り上げは 2014, 2015 両年 2倍以上増えた。ところがこれは "人工的な伸び" である … と彼は言う。なぜなら電子商取引企業らは,これらの急増した資本を 法外な割り引きの助成金として使ったからである。
    インドの非上場企業への資金提供
    四半期ごと (106ドル単位)
     成長に対する熱狂的な追求は,Snapdeal の純損失に反映された;2015 年3月に終わった会計年の赤字 −$2.06 億は,1年後に −$5.13 億に急増した。Snapdeal が手持ちの現金を喰い尽くすため,Mr. Aroraは ── コメントの要請に応じないが ── 2015 年遅くに方針変更を命じる羽目になった。
     "Arora は こういいました:世界の資本は枯渇しているところだ。私は,お前たちに 顧客獲得費用の削減を始めるよう示唆する。" … と或る元幹部は 当時を思い出して語る。 [注:投入された資本を割り引きなど助成金に使っていたからか?]
     けれども,Snapdeal は 節約を受け入れたものの,アマゾンは 猛烈な投資をやめなかった ── マーケットの伸びは鈍化していた;フォレスターの調べでは,2015 年の +103% から昨年は +27%に落ちていたのである。 さらに,Flipkart も拡大をやめない;こちらは アメリカの基金 Tiger Global Management が後ろ盾である。アマゾンの獲得は Snapdeal [の流出?] から来ていた。
     昨年半ば,Mr. Arora は Snapdel への投資に関して eBay と協議を開始したが,結局は実を結ばなかった。或る Snapdeal 幹部は,SoftBank がこの協議を勝手に遅らせた;それは Snapdeal を売ろうと決めているからだ … と主張する。しかし,SoftBank の考え方を知る1人はそれに反対する。
     "我々は 何トンもの時間とエネルギーを費やして eBay を味方につけようとしましたが,最終的に返ってきたのは,沢山の条件がついた弱いオファーでした。" … とその人が語る。
     そして 更にもう1回 戦略の転換が 2016 年の第3四半期に起こった;Mr. Arora が6月に突如として SoftBank を退社した。それ以後,Mr. Son は Snapdeal 投資の統括に,これまでより直接的な役割を担うようになった。
     "Masa が直接に係わるようになり,そして どれだけの勢いを Snapdeal が失ったかを知ると,前にも増して 投資を更に増やす必要があるということになりました。" … と SoftBank に近い同じ人が語る。
     Snapdeal は マーケティング費用を増強し,ブランド再生に励んだが,Finantical Times が見た 投資家向けプレゼンテーション資料によれば,その結果は,月間赤字が8月の 12億ルピーから 10 月の 29億ルピーに急増した。
     このような 現金燃焼は,Snapdeal 社内の一部の人たちからは 怒りをもって見られた。
     "彼らは,会社を危機的な状況に陥れている人が 合併を工作していることに 絶望していました。" … とある幹部は語る。
     その合併は,この頃 実現しそうになった。SoftBank は,Flipkart と交渉を開始した。同時に Paytm に関心の有無を打診した (Paytm は,アリババから新たな投資を得て,電子商取引に猛烈な拡大を図っている)。しかし,市場のリーダー Flipkart との合併は,"アマゾンに恐れず立ち向かう唯一の手段" でしょう … とその人は言う。
     SoftBank が交渉中と言われる Flipkart への投資は,先週発表された 世界のテック・グループ Tencent+eBay+Microsoft の 14 億投資の後塵を拝するものである。
     ある Flipkart 投資家は言う:SoftBank は,取り得るコースの中で最も賢明なコースを追求しており,この合併は,金を無駄に使うシェア戦争を冷ますのではないか。"競合する企業の数が1つ減ることには意味がある。" … とその投資家は言う。"このセクターは,長期的に見て,3企業以上を支持しない。"
     それでも SoftBank は,もっと良い条件を求めて引き下がらない 他の Snapdeal 投資家たちの支持を確保する必要がある … と内部の協議を直接に知る複数の人が言う。代替え策としては,Snapdeal を Paytm に売却することも排除すべきではない … と Snapdeal に近い1人が言う。
     しかし,SoftBank がインド戦略を立て直そうとする中で,何人かの Snapdeal 幹部が退社していく;もしも Mr. Son が当初の計画を維持していれば どうなっただろうか … と いぶかりながら。
     "もしも投資家 (複数) がもっとたくさんのお金を注ぎ込んでいれば,話は完全に違ったものになっていたでしょう。" … と1人が言う。"誰が最初に金を使い果たすか … とか 誰が誰を買収するか … とか は,神様だけが知る。"
    ひとことだけ書くとすれば,Masa が Financial Times におちょくられている (笑)
     ということは … メディアから見て 引退の時機を既に逸したか?

  6. Fridson: One Deal Accounts for Sky-High Distressed Debt Returns
    Marty Fridson:ディストレスト債の天井知らずのリターンを たった1つの買収取り引きが説明する。
    Barron's,2017/04/18 @04:18 pm ET
    By Amey Stone
    第1四半期のジャンク債分野のリターンを見渡せば,ディストレスト状態のジャンク債のパフォーマンスが際立って高いことが目に付く。これらの債券は 既にデフォルトしたものではなく,12% 以上の利回りで取り引きされており,普通に考えれば 投資家が間違いなくデフォルトすると考えていることを示唆する。
     デフォルトしないがディストレスト状態の債券は,第1四半期に +6.61% 上がった。これに対し ディストレスト状態でない高利回りのインデックスは +0.99% 上がった … と Lehmann Livian Fridson Advisors の最高投資責任者 Marty Fridson が 火曜日に発表した "LCD [=Leveraged Commentary & Data ?] ニュース" でレポートしている。
     iShares iBoxx $ 高利回り社債 ETF (HYG) と SPDR ブルームバーグ・バークレイズ高利回り債 ETF (JNK) の第1四半期のリターンは,配当を含めて 2.3% であった。
     "牛さん市場では,ディストレスト・セクターが リスクの低い非ディストレスト・セクターより高い利益を得ると期待するのは自然である。" … と Marty Fridson は書いている。"しかしながら,第1四半期にディストレストが 非ディストレストを上回る倍率は,歴史的標準から見て異常に大きい。"
     高利回り債市場が上昇中の時には,この倍率は 通常 約2倍程度であり,下降中の時でも せいぜい4倍である。
     それゆえ,第1四半期が こんなに度外れだった [6.61÷0.99=6.68倍?] のはなぜか? これは すべて,SoftBank から $17 億の資本注入を得て 別の衛星企業と2月に合併した Intelsat による。
     Marty Fridson は次のように説明する:
    たった1つの発行体 Intelsat の債券が,BAML [=バンカメ+メリル] ディストレスト指数の時価総額の 13% もの大きさをこの時期に占めた。その1ヵ月の間に,Intelsat は別の通信衛星企業 OneWeb と合併すると発表した。この合意によれば,合併後の会社は 通信+インターネットの巨人 SoftBank に普通株式 および 優先株式を新たに発行することにより $17 億の投資を受け取る。その上, Intelsat は その債務を劇的に減少させることを狙う債券交換プログラムを立ち上げた。
    この買収は,一部の Intelsat 債で +60% もの利益をスパークした。"Intelsat 発行のすべての債券の重み付き平均利益は 24.72% である。" … と Fridson はレポートする。"Intelsat の債券を除けば,ディストレスト債は かなり上がっては いるが +3.90% であるから [Intelsat のような] 成層圏への飛び上がりではない。"
     この結果,第1四半期のディストレスト債のパフォーマンスに "統計的異常 (statistical aberration)" が生じた … と Fridson は書いている。
     さらに重要なのは,彼の観察によれば,時として ディストレスト債の投資家が 高いリスクに対して報われるとは限らないことである。彼の結論は以下の通り:
    まだデフォルトしていない ディストレスト債券は,現代ポートフォリオ理論 [Harry Markowitz (1952)] の見解によれば,一般に余りにも不利な投資である [つまり,普通なら買わない?] 。2017 年1月に Intelsat の債券を買うことは,大変な得になったことは疑いない。これに対し,オプション調整されたスプレッド 1,000 bps 以上の債券のバスケットを買うことは,高利回り非ディストレスト債のバスケットよりも ボラティリティが4倍大きく 年利 50 bps だけ少ない利益を稼ぐ公式である [? 普通なら, 結局は儲からないってこと?]
    2月28日に発表されたのに,ソフトバンクの買収情報が今年1月の時点から既に洩れていて,一部の投資家が莫大な利益を得た (つまり債券のインサイダー取引?) … と言いたいのでしょう。
     ご存じと思うが,Barron's は Wall Street Journal,MarketWatch などと同じ穴のムジナであり Dow Jones 社に属する。3社の間で情報は ツーカーである。御大は後ろに控えてアドバルーン?
     この後,どうなりますか …
     債券を持っている金融機関は組織を組んで 団体交渉しているらしい。この記事はその援護射撃?
      [つまり (笑),株価が下がってきたのは,ソフトバンク対金融機関の団体交渉がうまくいかず,ソフトバンクが目下のところは優勢。これをひっくり返そうと金融機関側がこの記事を利用して脅しを掛ける … と勘ぐる。]
     そういうときに,ソフトバンクからは誰が責任者として行くんでしょうか? ここがいつも曖昧。
      ・・・ と書いたんだけど, 日本郵政の記事を読んでいたら, 『日本企業の買収というのは 日本人の担当者がおらず,紹介してくれた外国の金融機関にお任せ』と書いてあった。
     そ~だろ~なぁと合点が行った。つ ま り
     ソフトバンクの買収というのは,外国の金融機関にお任せで見繕っていただいて,社長さんが最後に登場して もっともらしい声明を並べる。
     ということです (たとえば,インテルサットが発表した なが~い 債券交換プログラム [こんなものまで見る物好きは当サイトだけでしょうが,本気の投資家さんなら全部見なさい!] を見たら,社長さんだって「良きに計らえ!(笑)」で決めちゃったでしょう。いい加減なもんです。国内の買収なら,誰かがきちんと目を通すはず。別にソフトバンクだけじゃない。ただし,JT は例外らしい。自分でデューディリをきちんとやる。幹部の面接をやり,誰を残すか残さないまで きちんと決める。
     したがって,ソフトバンクの場合,おかしなのを掴まされる危険は非常に大きい (ぶっちゃけて言えば,舐められる。だから べらぼーなプレミアムを常につけ,大金持ちと呼ばれる) のであり,「ウチの社長さんの力は素晴らしい! アメリカの企業を次々に買収なさる。これで ソフトバンクの株価はいくらになるんだろう。嬉しい。うれしい」なんて人は,頭をよ~く 冷やして真実を見定める必要があります。
     ARM だって同じでしょ。ほんとの交渉力なしでどこかに丸投げして2週間で決めちゃったから,べらぼーなプレムアムを払い,僅か 1,500 億円の純資産に 3.3 兆円もの のれん を抱えている。前代未聞の「のれん倍率」である。今後,この のれんは 会社に大きな負担として圧し掛かる。全額償却できるのと,社長さんの寿命が尽きるのとどちらが先か?
     まぁ ソフトバンクとしても とんでもない [と 傍から見られる] プレミアムをつけて連続買収を行なってきたし,社長さんは「現金2兆円」を公言するので,「大金持ちの連続買収家」という epithet (添え名, 代名詞) が定着しちゃったから,希望を抱かせたのは 無理もない。
     それに,株式投資家ならアッサリ「損切り」するかもしれないが,債券投資家の中には 生保, 損保, 年金などが高利回りのジャンク債に手を出しているだろう。そういうところは,資金の性格上 簡単には手を引けない。さしあたりは,責任者の馘が掛かる。そういう金融機関を相手に,ソフトバンクに口利きをしてくれた投資銀行か何かが代理で交渉するのだろうが …
     あと2ヵ月,どうなるか?

  7. After Flipkart, SoftBank eyes a stake in Paytm
    ソフトバンクは,Flipkart の次に Paytm の経営権に狙いを定める
    Economic Times, 2017/04/19 @06:19 am ET
    By Madhav Chanchani (バンガロール)
    SoftBank Corp は,Paytm のオーナー One97 Communications に かなりの投資を検討中である。 ノイダに拠点を置く企業を $70 億超に評価する取り引きを検討している … と この協議を知る3人が言う。
     もしも まとまれば,他にもオンライン小売り Flipkart の権益を手に入れる交渉を行なっている日本のコングロマリットは,インドの大手ディジタル・コマース事業2社のかなりの権益を取得することになろう。
     One97 は,インド最大手のディジタル決済プロバイダ Paytm のオーナーであり,$80 億の高い評価を求めている … と上記の人たちは言う。ソフトバンクが提案する投資額は $14~$19 億の間という。SoftBank は,ノイダに拠点を置く企業の 20% の権益を要求している。
     "この取り引きは,成立するとしても 何ヵ月も先になる。" … と ことの成り行きを直接に知る1人が言い,この取り引きは最終的なものではない … と続けた。
     SoftBank と Paytm はコメントを拒んだ。
    買い物騒ぎ
    この取り引きがまとまれば, SoftBank は
    One97 の第3位大株主として出現する。
    アリババと螞蟻金融は 40%, SAIF Part-
    ners が 30%, Sharma が 20% を持つ。
    今年 One97 は Paytm のオンライン小売
    事業を分割し, $10 億弱の評価により
    アリババから $1.75 億を調達した。
    SoftBank の Masayoshi Son とアリババ
    の馬雲は密接な関係にある。SoftBank は
    アリババの初期投資家であり,今でも
    28% を持つ。 その評価額は $750 億である。
     これとは別に,Masayoshi Son が率いる会社は,ポートフォリオの中の会社 ── オンライン・マーケットプレイス Snapdeal の業界リーダー Flipkart への売却を交渉中であり,インドの $160 億オンライン小売り業界の再編を目指している。
     Economic Times は今月,SoftBank が Flipkart の権益を取得し,Snapdeal と合併させるべく 交渉中であることをお伝えした。
     SoftBank の優先事項は,まず Flipkart と取り引きを結ぶことである … と情報筋は言う。Paytm との交渉で,SoftBank は (Snapdeal のディジタル決済部門) FreeCharge の売却も探っており,こちらは上とは別の売却交渉が進んでいる … と詳細を知る2人が Economic Times に伝えてきた。
     この三角交渉は,これまでインドのテック・スタートアップ企業に $20 億近くを投資した SoftBank Corp のインド持ち株を再編することを狙ったものである。
     このグループは,中国 E-コマース大手アリババへの最大の投資家としてよく知られており,インドのオンライン・コマースのリーダー Flipkart と Paytm の権益を手に入れることにより,アリババの成功をインド市場で再現しようと狙っている。
     専門家の見解によれば,$1,000 億基金 SoftBank Vision Fund を (とりわけ サウジアラビアのソブリン基金の支援を受けて) 2016 年に立ち上げた SoftBank は,我が国トップのスタートアップ企業の権益を 積極的に求めざるを得ないだろうと言う。
     "もしも SoftBank が本当に インドに長期で賭けるつもりがあって,それなりのカネを出せば,インド市場でトップになれるに違いない。" … と上記の1人が言う。
     SoftBank が約9億を投資した Jasper Infotech は,Snapdeal と FreeCharge の両方を所有・運営している。昨年からの Son の計画は,Snapdeal を Flipkart に売却し,FreeCharge を Paytm に売却し,代りに売却先の両者の株式を受け取ることであった … と複数の情報筋は言う。
     例えば,Snapdeal を Paytm E-commerce と合併する可能性は 複数の情報筋によれば検討されてきたが,SoftBank にとって,Vijay Shekhar Sharma が設立した値打ちのある決済事業 Paytm の権益は得られない。
     One97 は,オンライン・マーケットプレイス事業を別企業に分割して Paytm E-commerce とした。ここへ中国の E-コマース大手アリババが $1.75 億を最近投資した。
     ノイダに拠点を置く企業は Paytm 決済銀行の 49% も所有し,ここが決済銀行と電子ウォレットのライセンスを所有する。Sharma は,株式所有の規制により 持ち株を 51% に押さえられている。
     One97 の評価の上がり方は,他の多くの消費者インターネット・ユニコーンと同様,下向きの評価圧力を受けている。Flipkart は先週 $116 億に評価され,ピーク時の $152 億から下がった。同様に [ソフトバンクも出資している] Ola タクシーは $50 億から $30 億に 40% も評価がカットされた [注:既報によれば, 昨年はじめ $60 億に評価された Snapdeal をソフトバンクが $9.5 億の評価で Flipkart に売却交渉中である]
     Paytm の評価は,アリババと支付宝が 2015 年に投資した後,$23 億に近くなり,台湾の半導体企業 MediaTek が 2016 年8月に $0.60 億を投資した後,$48 億に増えた。
     ごく最近の評価の上昇見込みは,2016 年11月のデノミ以来,ディジタル取り引きをインド政府が奨励している結果である。インドのディジタル器具による決済額は,Boston Consulting Group によれば,2020 年までに $5,000 億に達すると見込まれる。とくに消費者の商店での支払いが成長を押し上げる。
     Paytm は,決済事業で 市場にかなりのシェアを確立し,毎日 800 万件の取り引きを誇る。そのプラットフォームは,Uber の予約から Swiggy の食品配達,映画・旅行チケットの予約を含む。QR コードを使ったオフラインの決済にも 積極的に進出している。
     Paytm の1日の取り引きは,300 万件の競争相手 Mobikwik の倍以上である。
     将来,Paytm は WhatsApp や (Flipkart 傘下の) PhonePe のような相手からの競争に直面するだろう。PhnePe は 中国インターネット・コングロマリット騰訊控股と (騰訊控股の Flipkart への投資を受けて) 協業している。そのほか,既存の銀行以外にも Reliance Jio および Truecaller なども決済に参入した。
     決済分野での競合がますます高まる中で,業界の専門家らは オフラインの強みと深い財布が勝者を決めると言う。
     "今後の数年で差をつける要因は,オフラインの決済である。しかし,オフライン・チャネルの買収はコスト高であり,勝者と敗者を分けるのは資金である。" … と PwC India でフィンテクのパートナーでありリーダーでもある Vivek Belgavi が言う。
    『SoftBank in talks to invest $1bn in India’s Paytm』 (Financial Times, 2017/04/19) には, "ソフトバンクが Snapdeal を信じられなくなった" ため,インド戦略の見直しをして,Paytm に出資することにした … と書かれている。
     信じられないところに投資したソフトバンクがドアホ!
     もう 何も言うことは無い。

  8. Intel says this is why it's cancelling its big annual developer conference
    インテルは,毎年開いている開発者会議を こういう理由で 取りやめることにしたのだと言う。
      Silicon Valley Business Journal,2017/04/17 @02:32 pm PT
      By Jennifer Elias
    多くのテック企業が 大掛かりなイベントから 話題を絞った小型の懇談会 (confab) へと方針を転換する中で,インテルは 毎年続けきた大きな会議 IDF (インテル開発者フォーラム) を突如 中止した。
    サンタクララに拠点を置くチップ企業は 月曜日,これまで毎年開いてきた3日のイベントを "引退する" と発表した。今年は,サンフランシスコの [複合展示施設] モスコーニ・センターで8月15~17日に開催の予定であった。 IDF と呼ばれるこの会議は ほゞ20年間開催され,ここ数年は何千人もの人を集めていた。
    2016 年サンフランシスコで開かれたインテル開発者フォーラムで基調講演しながら
    BMW グループのリーダー Elmar Frickenstein を壇上に迎えようとする
    インテル CEO Brian Krzanich。インテルは ほゞ20年続いたこの会議を取りやめた。
     "インテルは,PC 企業から 遥かに多様化した企業へと転換中である ── 当社は AI, 5G, 自動運転の世界にいる。" … と インテルの広報担当者 Agnes Kwan が Silicon Valley Business Journal に月曜日に語った。"当社の視野は大きく拡大した。当社事業が進化するに連れて,当社は新しい聴き手に腕を伸ばす。そのために従来とは異なるやり方を採用する。"
     Kwan は,大型の年次会議の代りに,インテルは いくつもの小型イベントを開くつもりであることを認めた。同社は,"技術と製造の日" とか "AI の日" のようなイベントを 今年サンフランシスコで既に開いた。このほかにも,さまざまのイベントで "存在感を強める" ことを計画している … と Kwan は言い,同社が今年 ロサンゼルスの「ロス 自動車ショー」とテキサス州オースティンの [音楽祭・映画祭を交えた大規模イベント] 「South By Southwest」に参加した … と補足した。
     "当社は これまで,当社のイベント戦略の評価を続けており,最近それを更新した。" … と Kwan は言う。
     今回の発表は,インテルが 数多くの技術計画の中でどの方向に集中すべきかを決める中で行なわれた。インテル以外の大規模な技術会議も,話題を絞った 小型のイベントにシフトを始めている。
     Gold Associates の主任アナリスト Jack Gold は,大型の会議が インテルに焦点を失わせた … と言う。 "IDF は,チップを他のシステムに専用で使う会議から AI について話し合う会議へと ここ数年成長した。" … と彼は言う。"1つの話題に 3,000 人が集まり,別の何かに 1,000 人が来る。PC 用の開発をしている人が AI や 無人運転車の話を聞きたいだろうか? 要するに幅が広くなった。"
     メガ会議を切るのは,インテルだけではない … と Gold は言い,インテルより大きなテック企業も 特定の話題に限定した小型のイベントに縮小するだろう … と予言した。
     グーグルも,年に1回の開発者会議 "Google IO" を縮小し,無料で沢山の swag [simple wild ass guess?] を配るのをやめた。昨年は 検索の巨人にとって,サンフランシスコのモスコーニ・センターから場所を変えて,地元マウンテンビューのショアライン・アンフィシアターで年次会議を初めて開く という画期的な年だった。今年 同社は Google Next と呼ばれるクラウド・コンピューティング製品のイベントを別建てで行なう。
     開発者会議は,新製品発表の触媒となり,同時に展示のためのマーケティング・ツールとしても利用されてきた。昨年の IDF で インテルの Krzanich CEO は,同社の自動運転車提携を自慢し,本物の車を舞台に乗せた。
     昨年 6,000 人を超える参加者を集めた会議は,関連業界の従業員のためのネットワーク,技術のデモ および 何百ものベンダーで溢れた巨大なショールームが特色であった。
     Kwan は,今回の中止が経費削減とは無関係であると言う。しかし Gold はそれも1つの理由だろうと言う。 "私の計算では,インテルがあれをやるのに数千万ドルかかる。インテルは マーケティング機能を削減しており,この 業界の他の企業と同様に マージンが圧迫されている。"
     現在のところ インテルのウェブサイトの IDF 2017 のページには,参加者に対して ご質問があればインテル広報までどうぞ … と書かれている。さらに,"Intel.com では数多くの資源が得られる" … とも書かれている。
    会議の開催ニュースではなく,"取りやめることがニュースになる" というのは,凄い (笑)
    時代の流れを感じさせるニュースだから。
     このほかにも,さまざまのイベントで "存在感を強める" ことを計画している … と Kwan は語る。
     インテルのニュースのときに いつも気になるのは,"ARM" という名前が関連して出てくるか … ということ。
     インテルは,これだけ宣伝がうまい。ARM は 明らかに宣伝で負けている。
     とくにソフトバンクに買収されちゃった後は 存在感が希薄である (決算を発表しなくなったからやむを得ない。Wall Street Journal も ARM の記事を書かなくなった。BBC さえも 記事を書かなくなった。つまり 本国の英国でも注目されないようになった)。
     日本では,日本経済新聞の ご努力や マイナーなメディアの記事により 世界でも相当な名前であるかのように "誤解" されているが,英語のニュースを読む限りでは,日本の「必死の持ち上げ報道」こそが異常である。それほどまでに ARM の知名度は低く見える (もちろん,プロの間ではそうではなかろう)。
     ARM 自身が,ソフトバンクや日経に頼らずに,自分が時代を切り拓く … という意欲を持って,自分から積極的に発信すべきである。市場開拓の努力を自分からしない企業は いずれは衰え,このままではソフトバンクのお荷物になる。
      ・・・ と書いたが … 。
    別件ですが,日経さん,
     【コラム・解説】「資本の論理」だけですまない,東芝の事業売却 3/7
     まだ これをソフトバンクの関連記事として消さない。如何なる底意があるのか?
     こんなに長いのは 単純ミスとは考えにくい。
    これも別件ですが,
     トランプ米大統領は18日,中西部ウィスコンシン州で演説し「米国製品を買い,米国人を雇う約束を守るために力強い措置をとる」と述べた。
     社長さんは 一体何をお願いしてきたんでしょうね。たとえば スプリント。スプリントの経営幹部はすべて外国人。Claure さんも外国人だけど,その Claure さんが外国からリクルートした人で経営陣をガッチリ固めている。こういう人たちは対象になるの? ならないの?
     いずれにしても,ハッキリと反対の意向を表明すべき。従業員にも外国から来た人はいっぱいいて,不安に思っているはず。一度 ご自分で カンザス・シティーに飛んで (あそこには立派なご自宅もあるんだし) 状況をご自分で把握なさってはどうですか? スプリントが外国人の従業員に どのくらい頼っているか,実情を把握しておくことは必要でしょう。

  9. Cloudera's IPO price targets set well below private worth estimates
    Cloudera の IPO 目標株価が,従来の評価を大幅に下回る。
      Silicon Valley Business Journal,2017/04/17 @08:02 am PT
      By Cromwell Schubarth
    Cloudera は月曜日,IPO の目標株価を設定したが,これは3年前にインテルが投資したときの評価の半分にも満たない評価に相当する。
    シリコンバレーのパロアルトに拠点を置く ビッグデータ解析ソフトウェア企業 Cloudera [~雲の時代?] は,$12~$14 の範囲で 1730 万株を売却する計画を発表した。これにより,最大 $2.42 億を調達することになる。
    クラウディーラ CEO Tom Reilly (©Spencer A. Brown)
     この範囲の上限 $14 では,1500 名の従業員を抱える Cloudera の時価総額が 約 $17.9 億になる。サンタクララのチップ巨人インテルが 2014 年に Cloudera に $7.4 億を投資したとき,Cloudera の評価は $41 億であった [17.9/41=43.6%]
     月曜日に設定された株価範囲は,先月従業員に付与された株式報酬 (ファイリングによれば 1株 $17.85) さえも下回る。
     IPO に対して設定される当初の価格は,投資してくれると見込まれる人たちに対する "ロードショー" を開始するためのものであり,ウォール街でのデビュー株価より低く設定される。そうは言っても これは 最近の IPO の中でも最も 控えめな価格設定である。
     インテルの投資は,ビッグデータ解析がテック業界でホットなバズワード [怪しげな専門用語?] だった頃に行なわれた。けれども このセクターで最初に上場された銘柄 ── Hortonworks ── はうまくなかった。サンタクララのこの企業の時価総額 $6.45 億は,今では 2014 年に上場されたときの半分にも満たない。
     Cloudera は 月曜日のファイリングで,IPO で売り出されるうちの 最大 10% の株をインテルが買い上げると言った。これにより,チップの巨人は希薄化を免れる。
     CB Insights は最近,Cloudera が Hortonworks と同じ 株価/売り上げ倍率を達成すると仮定すれば,その評価は たったの $8.66 億に過ぎないと指摘した。
     Cloudera は NYSE のコード "CLDR" で上場を計画している。
    Wall Street Journal も取り上げているから,関心を呼ぶ "事件" なのでしょう。
     ソフトバンクとは どのくらい関係があるか? クイズでしょうか?
     今では,ソフトバンクのカバーする範囲は広いからね (笑)
     クラウド・システムを使うビッグデータ解析ってそんなにダメなのか? これは 実に意外です。
     最近では,アリババの阿里雲の伸びを囃す記事が相次いで出ている。中国は例外なの?
     考えようによっては,クラウドもビッグデータ解析も,通信と同じ土管です。単なる施設利用。
     利用単価はどんどん下がる。上手に利用するお客さんが儲かる。
     その中間で どうやって 単なる土管にならずに ガボッと儲けるか … IoT も似たようなもの。
     アップルとかグーグルのような よく目の回る企業が巨利を貪り,多くはそのお手伝いをさせられる。
    別件ですが,インテルサットが更に下げている。もうお陀仏でしょう。(笑)
     2月28日の FT.com の記事に 直ちに反応した当サイトは「潰れ」を予想したんだが,ホントに当たりそうになってきました。
    $4.10, −$0.08 (−1.91%) 2017/04/17, At Close 4:02 pm.
    $3.86, −$0.24 (−5.85%) 2017/04/18, At Close 4:00 pm
    $3.84, −$0.02 (−0.52%) 2017/04/19, At Close 4:01 pm
    $3.90, +$0.06 (+1.56%) 2017/04/20, At Close 4:01 pm
    $3.62, −$0.28 (−7.18%) 2017/04/21, At Close 4:01 pm 発表を受けた孫切り!
    $3.71, +$0.09 (+2.49%) 2017/04/24, At Close 4:02 pm 少し戻した。
    $3.81, +$0.10 (+2.70%) 2017/04/25, At Close 4:02 pm また少し戻した。
    $3.73, +$0.08 (−2.10%) 2017/04/26, At Close 4:02 pm 引けで急落。今夜決算,何かあった?
     下のチャートを見ると,何かあったような感じです。
     ニュース (とくに債券市場のニュース) が無いので,現在の事情は不明である。
     下の WSJ (2017/03/02) では債券所有者[金融機関]が 組織化された … とあるから「決起集会」でもあったのか? 「ソフトバンク 金よこせ!」
     ソフトバンクとしてはいろいろ難しい。(まずもって 自分だけでは決められない;数字をいじるとなると,OneWeb, Intelsat の合意をとりつける必要がある [英語でこの微妙な三者交渉をできる人が東京本社にいるの?];債券のヘアカット率で譲歩すると,株式の方も価格を変える必要が生じる;どちらも 既に売った人は損になる;次回以降の別の買収でソフトバンクが足元を見られる)。
     証券会社が,債券市場をにらんで 株の取り引きでサヤ取りを狙うのは当然のこと。
     5月末にぶっ壊れる (正確に言うと (笑) ・・・ 2月28日の合意から 90日以内に債券所有者が (金額 85% だったかな?) ヘアカットに応じる ・・・ となっているから,最終日は5月29日(月休) = Memorial Day である)。
     その後の影響をどう考えるか。ソフトバンクとして何らかの反省・総括をするでしょう。
     反省全く無しで 連続買収は無茶過ぎる。少なくともそれまで「動き」は期待できない。
     でも インテルサットも FIG も忘れちゃって, 「IR!IR!」という合唱は強いかな (笑)
     このまま順当に行けば,5月に出る "取りやめました" という IR が最初かな?
     そこまで 当たれば 怖い。
     ちょっと気になったのは「90日以内」。確かにソフトバンクの発表 (2017/02/28) には そう書いてあるのだが,普通は「90 営業日以内」でしょうね。英文でも "within 90 days of the date of the agreement" と書かれていて "business days" とは なっていない。90 営業日として数えると 6月13日(火) が期限である。2ヵ月先のこと。
     … でも それは インテルサットだけの話。FIG のインサイダー疑惑を SEC が調査中です。
     どうなんでしょうか … SEC によるインサイダー疑惑の調査 (6~12ヵ月) が終わってからでないと, よほどのカネコマル企業でなければ,怖くて ソフトバンクからのカネを受け入れないように思うけど。 … となると 連続買収事業が再開するのは (したがって なんらかの "IR" が出るのは) かなり先 (秋~来春?) のような気がします。
    ──────
      『SEC は,ソフトバンク-フォートレスのインサイダー取引を調査のため 口座を凍結する』(Financial Times,2017/03/02) 。
     この FT.com 記事には,
     "非常に高度な地位にある関係者 ── 取締役,役員,弁護士,銀行家 ── によるインサイダー取引であることを強く示唆する。"
     と書かれているからね。(笑) 誰だかは分からないけれど。

  10. SoftBank's Lydia Jett joins Snapdeal board
    ソフトバンク社員 Lydia Jett が Snapdeal の取締役会に加わる。
    Economic Times,2017/04/04 @04:16 pm IST
    By Biswarup Gooptu (Economic Times 編集部,ニューデリー)
    SoftBank Group Corp の社員 Lydia Bly Jett は,オンライン・マーケットプレイス Snapdeal および ディジタル決済プラットフォーム FreeCharge を所有・運営する Jasper Infotech の取締役会に参画し,追加の取締役となった。
    定員7名の Jasper Infotech 取締役会に,
    SoftBank は2名を握る。他には Snapdeal
    の初期投資家 Kalaari Capital と Nexus
    Venture Partners がある。
     Jett は,SoftBank Capital のマネージング・ディレクタに Kabir Misra が先月任命された後,東京に拠点を置く投資家の Jasper 取締役会への最新の代表となった。Jasper Infotech の 33% を握る SoftBank は,[デリーの衛星都市] グルガーオンに拠点を置く企業の最大の株主である。
     企業リサーチ & モニター・プラットフォーム Tofler から出た文書によれば,Jett の任命は,3月30日 取締役会により承認された。
     Misra, Jett 両名の任命は,SoftBank の COO Johathan Bullock が今年2月に Jasper の取締役を辞任したことを受けたものである。
     SoftBank は,定数7名の Jasper Infotech 取締役会に 2議席を持つ。そのほかに Snapdeal の初期投資家 Kalaari Capital と Nexus Venture Partners が各1名,共同創業者 Kunal Bahl と Rohid Bansal がおり,Bharti Enterprises の副議長 Akhil Gupta は 社外取締役である。
     今回の発表は,日本の メディア+インターネット+通信投資家が 複数の関係者との (Snapdeal 売却 または ライバルらとの合併) 交渉を率いる中で行なわれた。
     Jasper に約 $9 億をこれまで投資した SoftBank は,インド最大の E-コマース企業 Flipkart と交渉中であると今まで伝えられている;本件を知る複数の人によれば,この交渉は,バンガロールに拠点を置く企業の 20% の権益を SoftBank が約 $15 億で取得しようというものであり,同時に Tiger Global の Flipkart 持ち株 $10 億相当を引き取る [つまり,合計 $25 億を Flipkart に注ぎ込む。これまでの Snapdeal への $9 億を加えると,全体として $34 億だよ!]
     職業ネットワーク・サイト [LinkedIn?] での彼女のプロフィールによれば,Jett は,スタンフォード大学の 経営学大学院と ロンドン大学のロンドン・スクール・オブ・エコノミクス (LSE) を卒業し 2015 年9月に SoftBank に入社した。現在は Tokopedia,Fecth Robotics, InMobi, Quixey の取締役である。
    もうお分かりですね。
     要するに ソフトバンクがやっている「投資」なるものは, 「ソフトバンク社員」とは名ばかりのような人に 金を丸投げしている ってことです。
     Bloomberg によれば,Johathan Bullock は Managing Director of SoftBank Group Corp なんだと。
     "Managing Director" は,日本では "専務" に当たるらしいけど,SBG の専務にそういう外国人がいるんでしょうか? Bloomberg だから間違いないでしょうが,秘密の「特命係」か? (笑)
     Kabir Misra は,6つの異なる業界にわたって5つの異なる組織で5つの取締役会の取締役 なんだと。
     こんなにいくつも取締役を兼務して,ソフトバンクの利益になるように 一所懸命にやってくれてるの?
     Lydia Bly Jett が後任として ソフトバンクの代表を務めることになったが,他に インドネシアの Tokopedia など4社兼務とか。これで売却交渉ができるのか?
     実際,最近は Flipkart に Tencent, Microsoft まで入って,交渉は不調です。
     まぁ,これだけでも 相当に異常であることは分かります。
     本来なら,東京本社に 世界に通用するバリバリの日本人社員を 最低 100 人くらいはそろえ,Snapdeal で複雑な交渉をするなら,その人が全責任を持って 八面六臂の大活躍をして,Snapdeal を Flipkart に売却する交渉をまとめるところです。でも,自称 ソフトバンク社員の Lydia Bly Jett とかいう人に 孫さん お任せらしい。
     ARM, OneWeb, Intelsat, Fortress, WeWork ・・・ すべて 孫さん秘蔵の 極めて有能な社員が大活躍して, 交渉をまとめるのが,本来あるべき姿です。
     悲しいことに ソフトバンクの東京本社にそういう人材が1人でもいるの?
      10 年くらい前から1人でも養成したの?
     こんな丸投げ体制で,ソフトバンクが金儲けができると思いますか?
     常識的には,その正反対でしょ (笑)。誰でも分かる!
     現に1年前には Boies 書簡が来た。「利益相反」だと言われた。利益相反ってカッコ良さそうな言葉だけど,要するに こちらのカネを猫ババされた (たとえば リベート?)。それでも 社長さんは 1,000 % 信頼して庇った筈なのに, 許せないからクビを切った。今年は FIG でインサイダー取引があった。これも猫ババのようなもの。インテルサットにも情報漏れがあって,NYSE で珍しい売買停止。あんなに株価が垂直立ちしては,当然 インサイダー取引の疑いは濃厚である。
     ソフトバンクが いいカモにされている。10 兆円なんてニンジンを目の前にぶら下げて,何が起こるか 想像もできない "おぼっちゃま社長" のカネは,喰い荒らされるだけ。
     インドでは,合計 $17 億の投資を集めた Snapdeal を "ソフトバンク" が $9.5 億の大特売で (Quartz India 報道) Flipkart に売却しようとして,他の投資家に反対されて,にっちもさっちも。他の投資家は 赤字とは言え Snapdeal を「売却」するんだから,めいめい $1 億とかを受け取らないと承知しない。カナダのオンタリオ州教員年金基金は $2 億を投資したんだけど,資金の性格上必死だから1歩たりとも絶対に譲らないだろう。ソフトバンクとはわけが違うからね。Quartz India は,(どうしても売りたいなら) 全部の損をソフトバンクが引っかぶるだろう … と書いている。でも,売っても売らなくても評価損は同じだよね (笑)
     [そういう場合,ソフトバンクの損失は いくらになるのかな?(笑)。えーっと,ソフトバンクの投資額は $9 億らしい。ソフトバンク以外の投資家が $8 億。だけど,$8 億に上乗せして利益を出さないと承知しない。4人が $1 億を要求すると $12 億になる。手取りが $9.5 億なので,$2.5 億不足する。このほかに ソフトバンクの投資 $9 億が戻ってこない。よって,合計 損失が $11.5 億 … かな? $9 億を投資したところ,これだけの損失を招いた。概算ですが 大きくは違わないでしょう。大金持ちのソフトバンクなら,またコッソリ例の手で (決算報告に目立たないように書いておけば) 問題無いっか?
     不思議なことに,この償却については,決算発表会で メディアから質問が出たことが1度も無い。どういう手品をソフトバンクが使っているんだか知りたいね!(笑) 外国メディアまで丸め込む手品だよ! 素晴らしい!とし言いようがありません。
     でもでも,この売却が成功すれば,Flipkart に $24 億もの追い銭を "ソフトバンク" が払う (上の記事) ってんだから,どこまで 人の好いおぼっちゃまなのか!]
     実は この "ソフトバンク" なるものが,東京の「ソフトバンク・グループ」と同じものなのかどうかさえ この頃 疑わしくなってきた。単に名前を詐欺されているような気さえする! しませんか? (笑) ほんとにワケが分からない。
     インド投資は とにかく 筋が悪い。インド人が絡む買収も 胡散臭いから全部やめるべき。とくにロンドンに設立した 「ソフトバンク ビジョン ファンド」は危険だよ (ロンドンを選んだ 1つの理由は,"インド人さん" として,ドバイに近いこともあっただろう。つまり,「真の本店」がロンドンではなく,アラブの金融センターと呼ばれるドバイに置かれている可能性がある)。そもそもなぜ,監視の目が行き届く東京に設立しないのか?
     まぁ こんな名前でアラブから金が入って来ると期待する株主さんも ハナからアホである。せめて サウジから巨額の資金を導入したいのであれば,自分の名前はグッと抑えて「サウジアラビア ビジョンファンド」と命名するのが常識でしょう。"サウジアラビアのビジョン" のためにサウジは投資するのであって,サウジアラビアが「ソフトバンクのビジョン」に投資するなんて 本末転倒。あり得ない話です。誇り高いアラブの王様が「ソフトバンク ビジョンファンド」なんて名前の基金に金を振り込むでしょうかね? 屈辱的ですよ。アラブの王様の間で笑いものか。
     いっそのこと 社長さんがニューデリーを隠密に訪問して 丁寧に頭を下げて,インド $100 億の投資は 中止しました … とお詫びをしてくればいい。日経に こういうことは 報道しないでくれ! と頼むことは「日頃の縁」で容易でしょ。
     サウジの 81 歳の王様だって,丁寧にお詫びをしに わざわざ 杖を突いて迎賓館から社長さんの待つホテルに出向いて来られた。サウジ国営通信は, 「王様の一日」みたいに 克明に王様の行動を毎日毎日 連発報道しているが (ほんと凄い活動ぶりですよ この老王は!),恥ずかしいことだから この件だけは絶対に報道しなかった ── どこまで知られているのかね,この事実は!

  11. Snapdeal to dole out up to 15% pay hike amid sell-off buzz
    Snapdeal が セルオフ騒ぎの中で 最大 15% の昇給
    Economic Times,2017/04/12 @06:14 pm IST
    By Press Trust of India (ニューデリー)
    E-コマース大手 Snapdeal は身売り先をスカウトする中で,従業員を確保しようと,平均 12~15% の昇給を行なう。
     複数の情報源によれば,この賃金改定は4月1日付で発効し,若年層と中年層の給料は 平均 12~15% 上がる。
     上級経営陣については 9~12% にとどまるが,例外的な好成績者については 20~25% の昇給となるという。
     金詰まりの同社は さらに,約 150 人の従業員に 1% の株式を付与するという。
     今年 同社の創業家らは 経営の誤りを認め,自らの給料の "100% カット" を行なうと言った。
     こんなに好条件の昇給は,Snapdeal 最大の投資家 SoftBank が同社の売却に向けた交渉を行ない,最終決定が 数週間後になされそうだという時期に行なわれる。
     同社の最大の競争相手は Flipkart であり,Flipkart は最近 $14 億の資金調達を受け入れた。
     SoftBank は,Snapdeal 取締役会に役員を派遣している Kalaari Capital および Nexus Ventures Partners とも 売却価格についてコンセンサスに達しようと交渉を行なっている … と複数の情報源は言う。
     7名から構成される Snapdeal 取締役会は,投資家 (SoftBank, Kalaari Capital, Nexus Venture Partners) ならびに 共同創業者 (Kunal Bahl,Rohit Bansal) が送る代表を含む。
     同社は その E-コマース事業に約 3,000 人を抱える。モバイル財布 (FreeCharge) と 物流 (Vulcan) の営業も行なっている。
     複数の情報源は,Snapdeal の現在 および 元従業員 合わせて 約 3,000 名が 従業員ストック・オプションの形で 同社株式の 5~6 % を所有する … と言う。
     アリババが支援する Paytm も Snapdeal の買い手候補として名乗りを上げている … というウワサがかなり流れている。アリババも Snapdeal の株主の1人である。
     これまで Snapdeal も SoftBank も,売却の憶測に対して 全くコメントしていない。
     Snapdeal の創業者 Kunal Bahl と Rohit Bansal は,従業員宛の最近の書簡で,同社の投資家らが "協議を推進している" と漏らした。
     もしも Snapdeal が Flipkart に売却されれば,インドの E-コマース空間における最大の買収を記録することになり,激しい競争を繰り広げているこのセクターの光景を一変するだろう。
     複数の情報源によれば,売却価格のハードルの1つは,SoftBank が示した価格に Kalaari Capital と Nexus Venture Partners が同意しないことである。
     Snapdeal は 2016年2月に行なわれた前回の資金調達の際には $65 億に評価された。それ以来,同社の評価は縮み,今後 行なわれる取り引きも ここから割り引いた価格で行なわれる [注:それが たったの $10 億とか]
     金詰まりの Snapdeal は 過去数ヵ月間に 従業員を大幅に削減し,中核以外の事業を閉鎖せざるを得なかった。今年これまでに 約 600 名を解雇した。
     投資家が 収益改善と経費の合理化に目を配るようになる中で,過去数ヵ月にわたって,インドの E-コマース企業は 資金が干上がっている。
     アマゾンのような 懐の深い世界のライバルからの強烈な競争の下では,Flipkart と Snapdeal のような企業は,今後 更なる灼熱に直面することもあろう。

  12. M&A 巧者を探せ 東芝を教訓に進む選別
    日本経済新聞 電子版,2017/04/11 @23:02
    富田美緒 (証券部)
    M&A (合併・買収) 戦略の巧拙によって企業を選別する動きが株式市場で広がっている。国内需要が縮小する中,海外に打って出る M&A などをむやみに好感する風潮もあった。だが,東芝が大型買収による巨額損失で深刻な経営難に追い込まれたのを目の当たりにして,投資家たちは「M&A」を真剣に分析する必要性を噛み締めている。
     日経平均株価が3日ぶりに反落した3月11日の株式市場。なかなか発表されない東芝の 2016年10~12月期決算も重荷となった。そんな地合いの中,逆行高を演じた銘柄群があったのは見逃せない。
     一時 +4%強上昇して約2年ぶりの高値を付けたコシダカ・ホールディングスや小林製薬 (+0.9%),日本たばこ産業 (JT, +0.5%) などだ。業務用冷蔵庫のホシザキも一時 +2%上昇し,2ヵ月半ぶりの高値を付ける場面があった。
     これらの企業には「M&A 巧者として投資家から評価を集めている」という共通項がある。主力がカラオケのコシダカHDは,2007年の上場以降,経営難などから割安に売りに出ている企業を中心に買収し,フィットネスや温浴施設など多角化を進めてきた。三井物産から譲渡を受けたボウリング事業は2年で撤退するなど「見切り」も素早い。
     ホシザキは,インドや中国で過去5年間に5社に出資するなど海外 M&A への積極性で知られる存在だ。買収候補となる企業の収益性や規模など5つの側面について厳格な条件を設け, 「すべてをクリアしないと,買収は実施しない」(同社) という。この結果, 「小粒ながら良質な企業の買収をうまく積み重ねられている」(国内運用会社のファンドマネジャ) との評価につながっている。
     「日本企業の M&A の傾向を知りたい」… JPモルガン証券の阪上亮太氏は今年に入り,投資家からこんな問い合わせを何件も受けた。業界再編や海外事業の強化を狙って M&A に活路を求める日本企業は増え続けている。そんな局面で,東芝の大型買収による巨額損失が表面化した。「買収価格についての規律や買収後の経営戦略を欠いた M&A には,リスクしかない」(スパークス・アセット・マネジメントの春尾卓哉氏) との認識を投資家たちは強め,個別企業ごとの M&A 戦略の巧拙の見極めを急いでいる。
     大型案件の増加で M&A が経営を揺るがすリスクは高まっている。調査会社 ディーロジックによると,日本企業が買い手の M&A の1件あたりの平均金額は,2016年に 6,036万ドル (約67億円) と3年前比で +4割増となった。シチズンなど大型 M&A の実施後,株価がさえないままの企業もある。株高局面での「高値づかみ」の懸念も拭えない。
     M&A は,日本企業が生き残るために避けて通れないツールだ。うまく使いこなせば「3年先, 5年先の成長を期待できる企業の裾野が広がる」(東京海上アセット・マネジメントの久保健一氏)。東芝の苦い教訓をどう生かしていくか。日本企業と投資家がともに向き合うべき大きな課題だ。
    この記事は何を言いたいのか?
    このリストに載っていない会社は M&A が下手だということか?
    海外 M&A で日本だけでなく世界的に有名なのは,現在 ダントツ ソフトバンクである。
     これは,日経だけではない。外国のメディアが 「大金持ちの連続買収」を大きく取り上げている。
     とすれば分かりやすいね。孫さんの投資がヘタッピ … これ以外に読みようがありません。
     他にどういう読み方があるかな?
     なお,この記事の表題に「東芝」とあるが,URL には コード番号 6502 がついていない。
     (ここも注意しましょうね(笑)) 9984 もついていない。(笑)

  13. Will SoftBank land its satellite internet moonshot?
    ソフトバンクは,衛星インターネット計画を着陸できるか?
      Kansas City Business Journal,2017/04/11, 08:02 am CDT
      By Elise Reuter
    Sprint のオーナー SoftBank Group は,Intelsat SA と OneWeb の合併を推進して両社のネットワークを結合することにより,衛星計画を追求している。
    オーバーランド・パークに拠点を置く Sprint の 80% を握る SoftBank は,700 個を超える 机ほどの大きさの衛星を低軌道に打ち上げるべく,英国のスタートアップ企業 OneWeb に昨年12月 $10 億を投資した。この計画は,高速インターネット・アクセスを地球全体に広げるために低地球軌道 (LEO) の衛星コンステレーションを生成するものである。
    SoftBank Group の議長兼 CEO Masayoshi Son が,低地球軌道衛星は 地球全体を
    カバーするインターネットを生む役割を果たすと想像する。SoftBank は,
    オーバーランド・パークに拠点を置く Sprint Corp のオーナーである。
    Junko Kimura-Matsumoto | Bloomberg)
     このシステムは,LEO 衛星より 320,000 km 以上遠い静止衛星のレイテンシー [時間遅れ] 問題を部分的に是正する。 しかし,地球表面に余りにも近いため,地球全体を覆うには 遥かに多くの衛星を打ち上げる必要がある。OneWeb のフロリダ州衛星製造センターでは,1個 約 $600,000 で製造しようとしている。
     "通信革命がまさに ここで起ころうとしていると私は思う。" … と SoftBank CEO Masayoshi Son は 同社の最新の投資家向け会議の英語訳で述べた。"宇宙から,接続できるんですよ。"
     Son の望みは,OneWeb を ワシントン D.C. の大手衛星サービス・プロバイダ Intelsat と結んで,何十億ドルもの債務を抱えた OneWeb のネットワークを利用する手法を確立することである。もしもこの取り引きがうまく行けば,$130 億に評価される予定の合併後の会社に,SoftBank は追加で $17 億を投資することになっている … と Tech Crunch は伝える。
     SoftBank はまた,合併後の会社の 39.9% の投票権を持つ。Washington Business Journal は,OneWeb が 新しい法人の完全子会社として運営される … と書いている。
     しかし,Bruder Capital LLC のマネージャ Jim Glanzer は,Intelsat が $150 億もの債務を抱え,過去に衛星電話会社 グローバルスター と イリジウムで 2回の破産を申請したことを踏まえて,疑義を表明する。
     "基本的な問題は,あの市場では 容量が過大なので (overcapacity),この2つの異なる会社を合併させれば,さらに供給過剰 (oversupply) になるのです。" … と彼は言う。
     この取り引きは,債券所有者の "もっと金を出せ" という要求のために遅れることもある。OneWeb の買収は 経験深いリーダーを招くのではあるが,軌道にまだ1つも衛星が打ち上げられていない状況では,"すべては画餅である。" … と Glanzer は言う。
     "とにかく 簡単な話ではありません。長い,延々と続く (drawn-out) 話でしょう。" … と彼は続けた。
     おまけに OneWeb には,宇宙で強力な競争相手がいる。昨年 11 月 テスラの CEO Elon Musk が,4,425 個の衛星を低軌道に打ち上げて 高速インターネットで世界全体をカバーする … と発表した。
     SoftBank は "衛星コンステレーション" 計画について ヒントをほとんど漏らしていないが,Son は,人口密度の高い都会以外でのカバレッジのギャップを埋めるのに役立つと言う。衛星ネットワーク無しに,通信業者が 最後の 1~2 % の顧客をカバーしようと思えば,衛星と同じくらいの資本を必要とする … と彼は言う。
     "コスト効率比は,大して良くない" … と彼は言う。"もしも衛星から接続すれば,最後の 1% まで接続できる。"
     Son は IoT の可能性も視野に入れている ── OneWeb のアンテナは,車をもつなぐ;農村地域を含めて。
     "どこをドライブしようが,いつでもつながる。" … と彼は続けた。
     OneWeb の技術を使って地球をカバーする費用を Son は $9 億と見積もる。さらに そのサービスは 光ファイバー級の 200 Mbps であると言った。
     "理論的には,これは偉大なアイデアである。とにかく,誰でも どこでも いつでも 宇宙の衛星を利用して通信できるのですから。" … と Glanzer は言う。"しかし,技術的問題は沢山ある:どの程度速く通信できるのか? 宇宙に 何千キロも離れた衛星と自動運転車で通信したいとあなたは本気で思いますか? 低高度軌道システムなら部分的には解決になりますが,全部は無理です。"
    Sprint の地元も心配しているよ! $9 億ぽっち? ほんと? 大サバ読んでるでしょ!
     大して儲からない,延々と時間のかかる事業に手を出しているんじゃないか … って。
     Sprint を助けるのはお忘れか? って。
     でも 財布を握っている親分に口は出せないから,辛いよね。
     カンザスに心配かけるようじゃ 大親分とは言えないよ (笑)

  14. Flipkart raises $1.4 billion from Tencent, eBay and Microsoft, acquires eBay India
    Flipkart は,$14 億を騰訊控股 (Tencent), eBay, マイクロソフトから調達して eBay India を買収する。
    Economic Times,2017/04/11 @09:28 am IST
    By Madhav Chancani & Mugdha Cariyar (Economics Times 編集部) (Begaluru)
    Flipkart は,同社最大の資金調達ラウンドを行ない,ライバル eBay のインド営業部門を買収すると発表した。これは,インド最大手のオンライン小売りが アマゾンに反撃する世界のテック巨人の "mahagathbandhan [=大連合] " たらんとする一連の動きの1コマである。
    Flipkart acquires eBay India.
     中国の騰訊控股 (Tencent) は,Rs 9,000-crore ($14 億) の取り引きを$7 億の投資で主導し,eBay が $5 億を拠出し,インド事業の代りに Flipkart の株 $2 億相当を受け取る。Flipkart と最近契約したばかりのマイクロソフトは,Microsoft Azure を E-小売り企業の独占的公共クラウド・プラットフォームとして提供し,$2 億を投入する。
     当紙 Economic Times は, 1月30日に初めて,Flipkart が eBay から資本を調達する協議中であることをすっぱ抜いた。その後 3月16日,eBay が中国営業部門を Flipkart に売却中であると ET は伝えた。同社 [Flipkart?] は $116 億という評価に引っかかり (従来の高値は $152 億だった),これが Snapdeal との合併への道を開いた。
     "これは,我々の技術の腕前,我々の革新に向かう向上心 ならびに 従来の市場を破壊する我々の能力を裏書きする意味で,Flipkart にとっても インドにとっても 素晴らしい記念碑となる取り引きである。" … と Flipkart の2人の創業者 Sachin Bansal と Binny Bansal が月曜日 この取り引きを発表する共同声明で言った。
     Flipkart は,これまで 多くの企業を買収し続けてきた。ライバルの Myntra (2014), Jabong (2016) を買収, そして今度はアマゾンを出し抜くために eBay を買収する。もしも広く憶測されているように Flipkart が Snapdeal を攫えば,競争相手と共に 日本の SoftBank という懐の深い投資家をも併せて買収したことになっただろう。
     投資家は,(中国のアリババが 決済アフィリエイト支付宝と共に オンライン・マーケットプレイス Paytm E-コマースの過半数株式を取得して浮上している) インドのオンライン小売り業界を組み替える可能性を持つ この取り引きの意義を素早く認識した。
     "インドのスタートアップ生態系が裏書きされることを見るのは,実に喜ばしい。" … と Snapdeal の初期投資家 Kalaari Capital の専務 Vani Kola が言った。Kalaari の基金は,もしも ニューデリーに拠点を置くオンライン・マーケットプレイス [=Snapdeal] を Flipkart に織り込む取り引きが成立していれば最大の利益を得るはずであった。
    ほ~ら,やっぱり!(笑)
    インドさん,Kalaari さんは タヌキじゃん ── あっ 口が滑った ── ロウカイだよね!
    Snapdeal がどうなろうと,投資分の4倍という $1億をチャッカリ回収済みだからね。「Flipkart さん,おめでとう」って言えるんだよ。
     つまり,ソフトバンクは,老獪な人たちの国で いいようにカモにされているんだ。
     今回の取り引きは,Flipkart の評価をへこませるが,勝利であるとも言える。なぜなら ミューチュアルファンドの株主らは,Flipkart 株の評価を 2016 年11月には $56 億としていたからである。
     Morgan Stanley, T. Rowe Price のようなミューチュアルファンドが所有する Flipkart の株式は 5% 未満であり,経営について情報権 (information rights) を持たない。その上,彼らの経営は世界のトレンドの一部と見なされる ── 配車アプリの Uber とか 宿泊予約の Airbnb の株価が大きく下がったときと同様に。
     "評価の下げは些細なことであり,むしろ長期的な可能性の自信を表すと思う。" … と Kola は言う。
     投資家との協議
     2013 年にインド市場に参入し,今ではインド第2位のオンライン小売業者と見なされるようになったアマゾンによる資本と営業の両面での深い経験に ひどくやられた Flipkart は,復活を目指すべく懸命に戦略的投資家を 招集した。
     2016 年に行なわれたアメリカ最大の小売り業者 ウォールマートとの交渉は 実を結ばなかったが,2016 年の Diwali [=ヒンドゥー教の新年のお祭り] で,年に1度のオンライン小売り競争で $5 億を超える売り上げを達成して ライバルのアマゾンを負かし,Flipkart は漸く自信と勢いを得た。
     現在の CEO Kalyan Krishnamurthy と 2016 年6月に加わった 最大の投資家 Tiger Global の代理人が仕切る反転攻勢は,Flipkart を更に大胆な賭けへと向かわせた。
     ファッション・ポータル Jabong を昨年買収すると,Flipkart は 今年1月に eBay と協議を開始した。その後 騰訊控股が資金調達に加わり,マイクロソフトが続いた。
    Flipkart でこんな風に話が進んでいたんなら,Snapdeal と合併させることなんて不可能!
     孫さん,いったい 何やってるの? 意味の無い交渉をだらだらと。
     1月にその情報を入手できなかったらしい。だから交渉を続けてきた。
     情報戦に後れを取るようだったら,まともな買収はできないだろう。
     "次の段階の成長に我々が必要な金は,並みの投資家が出してくれる額を たぶん 越えるだろう。" … と ベンチャー資金 Accel のパートナー Subrata Mitra が言う。ここは,機関投資家として 最初に Flipkart に資本を提供し,いまでも 創業 10 年のこの会社の取締役をしている。"このような企業はどれも決済に直接 または 間接に進出しており,当社は PhonePe を展開している。" … と彼は言う。… PhonePe は,2016 年初めに Flipkart に買収されたディジタル決済部門である。
     アマゾンと競り合う
     Flipkart は 今や 合計 $46 億を調達した。これは アマゾンがインドにコミットした資本 $50 億に近い。今回の取り引きは,Flipkart の Krishnamurthy の立場を堅固なものにする。なぜなら 今年1月に CEO を引き継いだ後に交渉によって新しい資本を獲得したからである。
     彼は,eBay India の営業も統括する。Flipkart はファッション・ポータル Myntra と Jabong も持っており,現在の年間売り上げは $40 億を僅かに超える。
     今回の取り引きは また,Snapdeal の最大の投資家である SoftBank と $10 億での全株買収について, Flipkart が 強く交渉することを助ける。SoftBank は,Flipkart に 15 億を投資することも協議している。そのような取り引きが実現すれば,Flipkart に $10 億以上を投資した Tiger Global Managemant が待ち望んでいた 一部脱出を可能にする。
    ホントに舐められている (笑)。情けないね。
     基本的に,逃げたがっているところへ 入り込もうってんだから。
     悲惨過ぎて言葉も無い。(笑)
     Flipkart を待ち受ける難問は,eBay を成功裡に統合することである。これについては,eBay と "共同して越境取引 および Snapdeal 買収の機会を追求する" と合意に謳われている。
     今回の取り引きは,世界の最大手のテック企業がインドで鉢合わせする舞台を提供した。Jeff Bezos のアマゾンは eBay,マイクロソフトとアメリカで競合し,騰訊控股はアリババと中国で競争する。SoftBank は アリババの投資家でもある。
     以上の動きは,オンライン小売りの全体的成長が先細りになったときに起こった。調査会社 Red-Seer の調べによれば,オンライン小売り業界は,昨年 1~3 月の $147 億から今年は僅か +5% 増加した。"私は,Flipkart が GMV の3倍に評価されているのに驚きました。" … と あるベンチャー資本投資家が言った。
    インドのオンライン小売りの売り上げが,前年比 たったの +5% とは。それじゃぁ Snapdeal に投資を続けるのは意味無いでしょう。
     アリババも 同じ傾向か? 年間アクティブ利用者数が 2016年9月から2016年12月で,僅か +0.91% (ほとんど報道されていないが,決算書類から分かる)。これを4倍すると +3.64 % だから インドの数字とほゞ同じである。アリババは 出店料,広告料などの名目で荒稼ぎするから,売り上げは伸びているが,所詮 客商売は客数と GMV が決め手である。アリババは,通年決算については GMV を発表すると言っていたように思うから,今回の決算発表が待たれる。
     ただし,この業界に影響があることは疑いない。この $14 億の資金調達は,アマゾンの覇権をとめるだろう。" … と Aarin Capital の Mohandas Pai 議長が言う。"けれども,この取り引きは Snapdeal の将来について更に疑問を増す。Snapdeal は資金調達できるだろうか? ShopClues, Paytm Mall のような他の業者にも圧力が加わる。全体として 市場の競争は激しくなり,消費者は喜ぶだろう。"
    誰しもこれを読めば,腹が立つというより笑うだろう (笑)
    ソフトバンクだか社長さんだか知らないが,インドでは ほんとにカモにされている。
     こんなことで 10 兆円も持っていることがバレちゃったらひどいことになる。
     身ぐるみ剥がそうって,世界中の人が待ち受けてるんじゃないか?
     孫社長は 一般に投資が上手だとの評判である。この記事とはだいぶん違う。
     そういう評判を立てる人は,過去と現在を区別できていない。
     過去にやったことがどんなに素晴らしくても,最近連続して失敗していれば,そこもきちんと指摘すべきである。
    ──────
     これで インドの E-コマースは
     (1) アマゾン,
     (2) Flipkart +騰訊控股 + eBay + Microsoft + Tiger,
     (3) アリババ + PayTm
    の3極体制になる。
     Snapdeal + SoftBank + Tiger は,この中のどれかに入れてもらうわけだ。これまでは (2) にこだわっていたが (3) に入れてもらうのはどうなのか? 沽券に係わるか?
    「戦い終えて」 ・・・ という感じで,Flipkart の CEO Binny Bansal のインタビュー記事が載っている。
     Snapdeal も SoftBank も眼中に無い感じのインタビューである。
      Target for our core is to get to free cash-flow positive: Flipkart CEO Binny Bansal
    我々の中核事業の目標は,フリーキャッシュフローをプラスにすることだ:Flipkart CEO Binny Bansal
    Economic Times,2017/04/12 @12:52 am IST

  15. SoftBank pushes for merger of India’s Snapdeal and Flipkart
    ソフトバンクが,インドの Snapdeal と Flipkart の合併をせきたてる
    Financial Times,2017/04/10
    By Kiran Stacey, Arash Massoudi & Kana Inagaki (ニューデリー,ロンドン,東京)
    両 E-コマース・グループの提携は,インドでアマゾンの増大する脅威に反撃しようとするものである。
    日本の SoftBank は,インドに $50 億を投じて インドを支配するインターネット小売業者になると宣言したアマゾンを攻略せんと,インド国内の2大 E-コマース・グループ Snapdeal と Flipkart の合併の画策を企てている。
     Snapdeal の親会社 Jasper Infotech の 35% の権益を所有する SoftBank は,Snapdeal を約 $10 億でライバルの Flipkart に売却しようと,Flipkart の投資家と交渉を進めている … と この協議を知る2人が言う。
     インドの E-コマース市場は急成長を予想されているものの,Snapdeal, Flipkart, Amazon India は,規模を拡大しようとするあまり,マーケティングと物流に手厚い投資を行なうため,赤字の記録破りを続けてきた。
     決算のファイリングが入手可能な最新の (2016 年3月までの)1年に,この3社は合計 Rs938 億 ($14 億) の赤字を計上した。
     これにより,インドの E-コマース・セクターは,その評価を圧迫された。2016 年はじめに Snapdeal は $65 億の評価で資金調達を行ない,Flipkart は 2015 年8月に $150 億の評価を得た。
     SoftBank の大富豪創業家 Masayoshi Son は,アリババへの注目される実り多い投資をインドで再現しようと望んでいるが,そのインド投資は必ずしも成功していない。今年2月,SoftBank は,Snapdeal と 配車アプリ Ola への投資の評価損失 393 億円 ($3.53 億) を開示した。
     "SoftBank は両社を合併しようと躍起であるが,一部の少数株主は,交渉中の評価額に不満を感じている。" … と この交渉に近い筋の1人が言う。
     この協議は,E-コマースからゲーム,チップ設計から衛星まで,テック業界のあらゆるコーナーで SoftBank の活発な役割が増すことをハイライトする。インドだけでも,SoftBank は 向こう 10 年に最大 $100 億をテック企業に注ぎ込むとコミットした。
     日本の会社は,(Flipkart の筆頭投資家である) アメリカの投資グループ Tiger Global Management を含む複数の関係者と協議を行なってきた … と この交渉を知る複数の人が言う。
     この協議の足を引っ張る1つの問題は,Snapdeal 創業者2人と初期投資家をどうやって説得するかである。Nexus Venture Partners (10%) と Kalaari Capital (8%) が率いる Jasper Infotech の少数株主らは,さらに多い額を要求している … と彼らは言う。
     Snapdeal の創業家 Kunal Bahl と Rohit Bansal は,2人合わせて 6.5% の持ち株を売れば かなりの金になるが,日曜日にスタッフに E-メールを送り,"我々の投資家は,詳細を示さずに交渉を進めている" … と言った。 彼らは更に,自分たちの最優先事項は 会社のスタッフを守ることであると言った。
     Snapdeal, Flipkart, SoftBank は,コメントを拒んだ。

  16. Snapdeal founders assure employees of job security
    Snapdeal の2人の創業者が,従業員の雇用の保証を請け合う。
    Times of India,2017/04/10 @08:04 am IST
    By Digbijay Mishra (バンガロール)
      "我々は,できることなら何でもやる;投資家と交渉して雇用が壊れないことを保証する。" … と Knal Bahl が Snapdeal のスタッフに送った E-メールは言う。
      Smapdeal の将来を取り巻く不確かさの中で,これは,過去2ヵ月の間に創業者2人が従業員に送った3度目の書簡である。
    Rohit Bansal, Co-founder and COO, and
    Kunal Bahl, CEO, Snapdeal.com.
    Times of India)
     Snapdeal の創業者 Kunal Bahl と Rohit Bansal は,八方ふさがりのオンライン小売り企業は 投資家がさまざまの選択肢を議論している最中であるにも拘わらず, 雇用の保証が2人にとって最優先課題であると従業員に告げた。
     日本の大手投資家 SoftBank が指示する売却を Snapdeal が 大きなライバル Flipkart と交渉中であるとのウワサがこの数週間にわたって浮上した後,当紙 ToI は,Bahl が Snapdeal のスタッフに 日曜日に送った E-メール書簡のコピーを入手した。
     "数多くのメディア報道と憶測が,最近 Snapdeal を取り巻いている。当社の投資家は,前進に関する議論を推し進めているが,私が この E-メールを送るのは,チーム全体の福祉こそが 私と Rohit の最優先事項であると伝えるためである。当社はできることを何でもやる。そして その上に,当社の投資家と協力して,雇用に破綻が無いことを確保し,当社の進む道が明らかになるにつれて,当社チームにとって職業的 ならびに 財政的結果がプラスになることを保証する。…" と E-メールは言う。
     Smapdeal の将来を取り巻く不確かさの中で,これは,過去2ヵ月の間に創立者2人が従業員に送った3度目の書簡である。
     3月28日に ToI が報道したように,SoftBank は現在 Snapdeal の売却交渉を行なっている;日本のグループは 合併後の企業に,1次と2次を合わせて,最大 $15 億を投資するらしい。もしも取り引きが順調に進めば,最終的に SoftBank は,Flipkart-Snapdeal 合併後の約 15% を握ることになる。
     金喰い虫の E-コマース市場で Snapdeal が生き残りの戦いに賭ける中で,その過去数ヵ月の苦難は,一連のニュース報道で伝えられている。当社も4月6日に,Snapdeal と Freecharge の親会社 Jasper Infotech の 30% 以上を握る SoftBank が,2年前に 現金+株式の取り引きで $4 億で買った e-wallet 企業を $2 億の安値で売ろうとしていることをお伝えした。
     e-小売りの Smapdeal は大量解雇に訴えたが,2017 会計年の職員評価プロセスは進めてきた。従業員らは,最終的な評価通知が来週 届くものと予想している … と言った。
     "会社として 収益性について信じがたいほどの前進が成し遂げられたことに鑑み,昇給は全体として昨年より高くなる。" … と 創業者らからの E-メールは言う。
     一部の従業員は ToI に,年次評価報告の最終通知は遅れている … と言う。"あの E-メールは,昨年より良い昇給が得られると言うが,非常にビックリものだ" … とある従業員は匿名で語った。
    読者コメント3件
     Jeff Bezos インド 5時間前
     SnapDeal は SnapDEAD である。もはや,Snapdeal を誰も使わない。Snapdeal は恥である。しかし,これは資本主義の自由市場の本質である。彼らは,FLiPkart と Amazon の お粗末な真似っこだった;そして 今では FK も苦しんでいる。真似するだけでは,シェアを維持するのがやっとである。 snapDead と FlopKart は,納税者の金で 政府に救済を求めるべきである。(笑)
     Ravi 10 時間前
     雇用の保証? 何たる冗談 !!! 大量解雇という間違った判断をしたとき,あなた方は何をしていたのか?従業員は,もしも また解雇されれば どうすればよいのか?
     ekdesi USA 6時間前
     CEO の解雇があり得るという時に,どうして CEO が従業員に対して雇用の保証を約束できるのか? 解雇は,今日のビジネスの重要な部分である。雇用できる時には,解雇できる。

  17. Snapdeal sale to Flipkart closer, but not a done deal yet: the real story
    Snapdeal の Flipkart への売却が近い;だが この取り引きは まだ 終わっていない:裏話
      Tech in Asia,2017/04/07 @11:31 am
      By Sumit Chakraberty
    Snapdeal を 大手のインド E-コマース・ライバル Flipkart に売却する交渉が 現在進んでいるが,同時に メディアには いい加減な報道が飛んでおり,憶測が山のようにある。目に見える光景の背後に何が起こっているかについて,いくつもの説が混乱を引き起こしている。Tech in Asia は, この交渉について1次情報を握る情報源に接触して,現時点において何が本当であり何が本当でないかを調べた。以下は,我々が知り得たことの内容である。
     売却の現状
    Snapdeal co-founder and CEO Kunal Bahl. (©Snapdeal)
     4月3日(火) に開かれた Snapdeal の最新の取締役会は,以前の取締役会より議論が少なく,Snapdeal と Flipkart との合併に向けて一定の方向を取った。この取り引きは,もしも交渉が進展を続ければ,向こう 4~6 週間内に完了する。ただし,株主は その条件についてまだ賛成していない。"茶碗を口にもっていくまでの間の僅かな時間にも,失敗はいくらでもある。" … と情報源は言う。ただし,投資家らは 現実的な考えを持ち始めている。
     交渉への参加者
     日本の巨人 SoftBank は Snapdeal に最大の権益を有する ── 約 $9 億を投資して,33% を握る。初期投資家 Kalaari Capital と Nexus Ventures Partners は,それぞれ 8%, 10% を持ち,取締役である。同様に 2人の創立者 Kunal Barl と Rohit Bansal は 約 6.5% を持つ。SoftBank は取締役会に2座席を持つ。
     騒動の骨格
     騒動の主たる骨格は,Flipkart が Snapdeal を全株取得する際の評価にある。Snapdeal の株主が受け取る現金は 0 で,Flipkart の株式を受け取ることになっている。
     Snapdeal の評価は,昨年初めの ピークの時に $60 を超えており,その時 $2 億をカナダの年金基金から調達した。その後 アナリストと投資家は この評価を引き下げた。なぜなら それ以後,Snapdeal の市場での地位が弱くなったからである。昨年,資金調達に苦しむ中で,いくつもの部門を閉鎖し,何百人もの人員を整理し,現金燃焼を喰いとめた。今や Snapdeal にとって最も良いシナリオは,$10 億の評価で売却することである ── ところが初期投資家と創立者らは,この取り引きを さらに甘くせよと交渉している。
     Kalaari と Nexus への支払い
     この取り引きの条件には,Kalaari と Nexus にいくら払うかも含まれるが,それぞれに $1億などはあり得ないとメディアの報道は伝える。Kalaari は,Snapdeal が 2014 年遅くに巨額の資金調達をした際に,持ち株の一部を売却して $1 億を得た。ただし,それは インドの E-コマースが揺籃期にあった 2011 年に Snapdeal に賭けたのを取りやめると言うよりは,ヘッジのようなものである。Nexus は 2011 年に Snapdeal に投資を始めた。その額は Kalaari より多い。
     Kalaari も Nexus も,どちらも板挟みの状況にある:もしも さらに良いリターンにこだわれば,資金欠乏状態の Snapdeal が 数ヵ月後にゆるやかな死を迎えることになりかねない。Kalaari にとって,これは 買収により Flipkart 株を取得するのが2度目になる ── 初回は,Flipkart が ファッション・ポータル Myntra をバイアウトしたときである。Myntra は Kalaari の初期の賭けの1つであった。
     SoftBank の Flipkart への参入
    Masayoshi Son at SoftBank World 2016. (©SoftBank)
     2014 年,SoftBank が 10 億ドルほどを Snapdeal と Ola に投資したとき,同社の議長兼 CEO Masayoshi Son は,向こう 10 年にインドに $100 億を投資すると公約した。昨年暮れにインドへ旅行した際には,既に約束した $100 を超えるつもりだとコミットした。
     したがって,SoftBank は インドの生態系で大きな役割を果たすことを認めた。Snapdeal の売却は,Flipkart への足場を掴むことになり,報道によれば Flipkart は $10 億の新規資金を確保でき,さらにそれ以上を調達すると言われている [注:これを SoftBank が出すわけ]
     他方,アリババが Paytm の E-コマース部門の支配を握っており,中国の天猫のような Paytm Mall を立ち上げるための新規資金を供給している。
     アマゾンは インドで既に地盤を確立した。
     その結果,Snapdeal はインドで第4位となる。SoftBank は Snapdeal より強い Flipkart と組んで損失を減らそうとするだろう。
     Where does it leave the Snapdeal founders?
     Snapdeal 創立者 Kuanl Bahl と Rohid Babsal は,売却報道がどんどん進行していくのに腹を立て,報道そのものを頑固に否定しているが,裏では Kalaari と Nexus より 与しやすそうである。
     全株売却により,多くの人が想像するように ひどく損を蒙るわけではない。
     Kunal と Rohit は,どちらも 2015 年末に 最高値のあたりで オンタリオ州教員年金基金に かなりの株を売却して,クールに $0.123 億を手にした。その金を手にした2人は,エンジェル投資家として,数多くのスタートアップ企業に 以後 投資した。この2人の創業家は,年間給与 $0.07 億を得ていた。その大部分は 2014~2015 年のストック・オプションである。
    Snapdeal co-founder Rohit Bansal. (©Snapdeal)
     Kunal と Rohit は,最近 数百人の従業員をレイオフするとの書簡で,自分の給料を 100% カットすると発表して,非常に強い印象を与えた。しかし,会社の赤字が累積する前に,株式の売却により個人資産が形成されている。給料のカットは,この文脈で見れば,些細なものである。
     IPO の夢
     Kunal と Rohit は,"会社を 細身の,明確な焦点を持つ,起業家らしいものに再編成" したい … と職員宛の書簡に書いた。さらに最近の別の書簡は,黒字化の道筋と 2019 年の IPO に触れている。だが,この会社の現金燃焼と 資金調達不可能な状況を見れば,そういう夢が実現するチャンスはほとんどなかろう。SoftBank は 売却にこそ関心があれ,黒字化とか IPO に期待して Snapdeal に資金を与えることは無いだろう。他には 投資家も見えない。
     今後
     比較的オープンなインド市場へのアマゾンの $50 億のコミットメントは,インド市場のダイナミクスを変革した。Flipkart と Snapdeal は,割り引きにより シェアを奪い合う競争を行なっていたが,アマゾンにより突如とした足を掬われた。
     アマゾンは,価格で強いだけではない。品ぞろえが豊富であり,Amazon Prime Video のような世界クラスのサービスが営業を支える。最大の敗者は Snapdeal だった。そのシェアは急落した。Flipkart は何とか踏ん張った。騰訊控股,eBay, マイクロソフトが新しい資金を注入したことにより,自信を取り戻した。
      [Snapdeal が脱落し] インド市場に残るのは3社となった ── 現金豊富な アリババが支援する E-コマース Paytm,再生した Flipcart,それにアマゾンである。Flipkart は Snapdeal を買収すれば,シェアを挙げられる。
     もしも SoftBank が Flipkart の権益を取得すれば,SoftBank は 2つのパイに指を掛けることになる。なぜなら 既にアリババに投資しているからである。表面上は,アマゾンに対抗して力を合わせた 東西戦争と見ることもできるが,そんなに単純な話ではない。
     ヘッジファンド投資家である SoftBank とは違って,アリババは E-コマース Paytm の日常の営業に目を見張っており,アマゾンと Flipkart の両方に対して 猛烈な戦いを挑んでいる。したがって,もしもこの取り引きが成立すれば,三つ巴 (1) Alibaba-Paytm, (2) Amazon, (3) Flipkart-Snapdeal の戦いの舞台が用意される。我々は,楽しい時代に生きている。
     Tech in Asia は,Snapdeal とその投資家にコメントを求めた。Nexus はコメントを拒否した。それ以外からは 返事を待っているところである。
    この記事には2件の読者コメントがあり,複雑な状況が これでようやく分かりやすくなって ありがたい … と書かれています。
    やっぱりね。日本もカナダも いいようにボラれている。インドの方がソフトバンクより上手 (うわて) のようだ。
      Snapdeal は,このまま行くと ご臨終が間近いらしい。
     2人の創立者 Kunal Bahl と Rohid Babsal は,ちゃっかり 持ち株の一部を売却して エンジェル投資。これから損失があっても,その用意はできているらしい。これがインド流なのでしょう。
      1年前に $60 億を超えていた評価が 今では $10 億。ということは,ソフトバンクがこれまでに注ぎ込んだ金は ほぼ 0 になった! どうしてこんなに下がるのか? 決算説明会でその理由を説明できるのか? Snapdeal は 上場されている企業ではないから,「評価」なんてどうにでもなるんでしょうが。
      Flipkart との合併に なぜこだわるの?合併後に $10 億超。それで済むはずが無い。泥沼のように投資を続けることになる。アマゾンは $50 億を約束したんだから,$40 億は最低でも必要なんじゃないの? (でもその大部分は,割り引き合戦に消える)
      三つ巴の競争っていうけれど,(1) Alibaba, (2) Amazon は商売が専門です。ノーハウをたくさん持って インドに進出している。(3) SoftBank だけが 商売のノーハウなし。ヤフーがあるかもしれないけれど,Alibaba, Amazon に太刀打ちできるようなレベルではない。
     そもそも ヤフーのノーハウを使って この「ザマ」だとしたら,ヤフーの実力は 外国には全く通用しないオソマツなもの … ということになる。
      もともと この投資が間違っていた。早く撤退すべき。
     入社後 間もない Nikesh の提案に乗って,Nikesh を Snapdeal の取締役に [故郷に錦?] させてやりたかったのだろうが,任命責任は大きい。

  18. What Flipkart stands to gain if it merges with Snapdeal
    Flipkart は,もしも Snapdeal と合併すれば,どんな利益を得るか
      Quartz India,2017/04/07
      By Ananya Bhattacharya
    インド最大手の E-コマース2社は,合併を もくろんでいる。
    Snapdeal 売り出し。あなたのしたことの始末をしてもらうために 人手が必要ですか?
    Reuters | Adnan Abidi)
     インド第3位の E-小売り業者 Snapdeal は,難局を潜りつつある:トップ級の幹部は大量に流出し,資金繰りは厳しい。報道によれば,Snapdeal の手持ちの金は 10~12ヵ月しか持ちこたえられない。同社の評価は,2016 年2月の最終資金調達の際には $65 億だったのが たったの $15 億に落ち込んだ。今年初めには 従業員を 600 名以上解雇した。2人の創業者 Kunal Bahl と Rohit Bansal は 100% の賃金カットを受けた。
     Snapdeal は これまで身売りのあらゆるウワサを否定し続けてきたが,報道は Snapdeal が救世主を探していることを示唆する。おそらく Paytm が逃げたので,Flipkart が救済に来るらしい。Bengalulu に拠点を置く市場調査会社 Redseer Consulting は,もしも この合併取り引きが成立すれば,Flipkart にどんな利益が舞い込むかを計算した。
     (1) ブランドが ともに伸びる
     苦戦しているのは Snapdeal だけではない。インドでは,E-小売りセクター全体が行き詰まりに近づいている。RedSeer による調査は,この業界の規模が 2017 会計年の第4四半期 (1月~3月) に $147 億に達したことを示す ── これは,前年比で たったの +5% に過ぎない (RedSeer は為替レートを $1 = Rs 60 としている)。Flipkard は,Snapdeal を利用して,黒字を維持することができるだろう。
     "この取り引きにより Flipkart は,供給チェーン網を拡大し,Snapdeal の大小さまざまの (特にインド北部の) 倉庫に 素早くアクセスできるようになる。" … と RedSeer はプレス発表で述べた。Flipkart と Snapdeal が似たような顧客を対象にしているのは 問題ではあるが,Snapdeal の顧客には懐がある ── 特に北部の地盤では ── ので,Flipkart は その 1億人の利用者をさらに増やせる。
     ニューデリーに拠点を置く Snapdeal は,世界のブランドとの一連の独占的提携を自慢する。今月には,Puma, Nautica, Polo Association, Steve Madden など 120 のブランドを増やしたばかりである。これらのブランドは,"Flipkart にとって,ファッション分野のポートフォリオを多様化するという点で 助けになるに違いない。"
     (2) 戦闘態勢の必要
     シアトルに拠点を置く 大物 アマゾンは,インド市場に殴り込みをかけており,国内の E-小売業者らは大きな逆風に直面してきた。
     アマゾンが 約束しているインドへの投資 $50 億は,Flipkart がこれまでに調達した合計額 (約 $32 億),Snapdeal がこれまでに調達した合計額 (約 $18 億) より多い。国内ブランドが優位に立つとすれば,両者が力を合わせる以外に方法は無い。"Flipkart による今回の動きは,インドで供給チェーン網を猛烈に拡大しているアマゾンに対して 供給チェーンが覇権を握るための大きな助けになろう。" … と RedSeer は言う。
     もしも Flipkart が Snapdeal を その翼の下に受け入れると決めれば,看板投資家 (marquee investor) である日本の通信大手 SoftBank も それに引っ張られて (come in tow) 一緒に入って来るし,Flipkart に "追加の資金火力を与えて,長期にわたって アマゾンとの厳しい戦いを支えてくれる。"
     (3) 足並みを揃える
     これまでのところ,両方のスタートアップ企業について 話は驚くほどよく似ており ── したがって 同じように 問題は多い。
     Flipkart-Snapdeal 合併は, E-コマースのパワーハウスを作り上げることになろうが,両者を一緒にすることは,それ自身にいくつもの難題がある。Flipkart は 8,000 を超える従業員を持つ。Snapdeal の従業員は 1,500 を超える程度である。"この合併からシナジーと価値を生み出すことは,Flipkart にとって 厳しい難題であろう。" … と RedSeer Consulting の CEO 兼共同創立者 Anil Kumar が言い,その理由として,物理的な距離の遠さ (Bengalulu と New Delhi),異なる戦略,異なる企業文化を挙げた。
     "けれども,もしも合併後の統合が 成功裡に実施されれば,同じようなことが オンライン・タクシー業界でも Ola-TFS (TaxiForSure) について期待できる。"
    インドのグーグル地図
    ニューデリーは,インドのほゞ真北にあり,
    バンガロールは,かなり南にある。
    両者の距離は ざっと 1,500 km。
    たしかに 遠い。
    ますます 危険だよ (笑)
    ソフトバンクが出資している Ola にまで さらに金を注ぎ込まされる。
     ホントに インドさんは老獪だ!
     老獪とは?
     これは よく間違って理解されている。辞書には "悪賢い" なんてよく書いてあるがあれは 間違い!
     アインシュタインの有名な言葉に「神は老獪である」というのがある。神様 悪賢いの?
     それは おかしいよね。そうじゃない。単に (イギリスの植民地として) ふか~い経験を積んだってことです。でも こっちがバカだと 相手が悪賢く見える。お分かりですか? そういう意味でインドの人は「訓練」が行き届いている。これを理解せずにインドに飛び込んだり,インド人をソフトバンク社員だとしてありがたがると どういうことになるか? お分かりですね?
     まだ分かっていないのかな? 社長さん。老獪の意味が。
    ──────
     1年前に $65 億だったのが 今では $15 億に評価が下がった。… この手品のタネは? ソフトバンクの投資 $9 億は 15/65 の $2 億に減ったから,わずか1年で $7 億の損失が発生した。
     まともな営業で こんな事件が起こり得るのか?
     インドネシアの Trikomsel と同じだね。投資からわずか半年で ほぼ全額をソフトバンク決算で減損償却した。手品を使わなければ,こんなことは起こりようがない。
     やっぱり ソフトバンクの「投資」は,投資ではなくて ── 何と言ったらいいのか,こんなことをやりまくっている企業は世界に ここだけだから 名前が無い ── 「ぼったくられ屋」かな? 株主の貴重なおカネを世界の老獪な国々に貢ぎまわっている。もちろん アメリカだって老獪。トランプさんも老獪ですよ。実業家としての経験を社長さんが たか~く 買ったんだから。
     投資が 2/9 に減るわけだから 10 兆円の基金でこれをやれば,損失は 8兆円弱! 恐ろしいと言うか 素晴らしいと言うべきか (笑)。とにかく「看板投資家」への世界の期待は大きい!

  19. SoftBank needs consent of two major Jasper Infotech shareholders for Snapdeal-Flipkart merger
    ソフトバンクが Snapdeal-Flipkart 合併を実現するには,Jasper Infotech の2人の大株主の同意を必要とする。
    Economic Times,2017/04/06 @01:51 pm IST
    By Niswarup Gooptu (ニューデリー,Economic Times 編集局)
    SoftBank が Snapdeal をライバルの Flipkart に売却を押し切るためには, [Snapdeal の株主である] Jasper Infotec の少なくとも2人の大株主の同意を必要とする … と この展開に詳しい複数の人が言う。
    もしも この合併が投資家らの支持を得れば,
    4~8週間で完了し,
    SoftBank が Flipkart に投資する道が整う。
    株主の間の合意によれば,Snapdeal を Flipkart と合併させる決議のためには,大株主 (SoftBank Group, 初期投資家 Kalaari Capital および Nexus Venture Partners, 創立者 Kunal Bahl と Rohit Bansal ── 以上は 取締役会 7 名のうちの6名を握る) の 3/4 の賛成を必要とする。
     SoftBank の [Snapdeal の持ち株会社] Jasper への持ち分は 約 33% であり,Kalaari と Nexus はそれぞれ 約 8%, 10% を持つ。両創立者は,合わせて 6.5% を持つ。昨年のピーク時には $65 億に評価されていたが,今では苦境にある [上の Quartz 記事によれば,現在 $15 億]
     SoftBank の計画を知る複数の人によれば,東京に拠点を置く投資家は,Bahl と Bansal に この合併を合意させる自信があるが,それでも Kalaari と Nexus の同意を得るのはこれからである。しかしながら,当紙 Economic Times は,この情報を独立に確認できなかった。Jasper, Kalaari, Nexus に送った E-メールは,本記事出稿時に返事が無い。
     もし この合併が投資家らの支持を得れば,4~8 週間後に完了し,我が国最大手の E-コマース企業 Flipkart に SoftBank が参入する道が整う。
     2段階合意の一環として,合併後に,この戦略投資家 [=SoftBank ] は,最大 $15 億の投資を行なうことにより インド最大の E-コマース企業の注目すべき株主となる。
    [$ は いくらでも入って来る。
    素晴らしい!]
     SoftBank は 新しい資本を合併後の会社に注入し,さらに (現在 Flipkart の筆頭株主である) ニューヨークに拠点を置く投資家 Tiger Global の株式も買い受ける。
     この資金注入は,Flipkart が 中国インターネット・コングロマリット 騰訊控股 (Tencent),アメリカの拠点を置くオンライン・マーケットプレイス eBay および Microsoft から調達を見込んでいる $10 億とは別口である。
     Snapdeal と Flipkart との交換比率は,まだ最終決定していない。Kalaari と Nexus が売却する価格もまだ決まっていない。銀行家としてこの取り引きの監視に任命された クレディ-スイスが,取締役会と投資家にプレゼンテーションを行ない,この合併の利点を説明している。
     "この取り引きで,SoftBank,アリババ,富士康がすべて損をするだろう。しかし,この合併は最善の選択肢である。なぜなら これは Snapdeal と その 3,000 人の従業員を救うからである。Kalaari Capital と Nexus がこれ以上頑張って,自分の投資にさらに大きなリターンを求めることにどんな意味があるだろうか?" … と この取り引きに近い或る人が言った。
     かつては インド第2の大手 E-コマース企業であった Snapdeal は,アマゾンの急激な成長にやられ,そのシェアを大きく落とした。その結果 毎月の現金燃焼を減らすべく,従業員数百名のレイオフに追い込まれた。
     SoftBank は,これまで 資金を打ち切るとか,財務に関する約束をたがえたことはない … と日本の投資家の計画を知る1人が言った。SoftBank は $25 億の評価のときと $15 億の評価の時にそれぞれ投資を申し出たが他の投資家らに拒否された … とその人が言う。
    これまでの報道と話が同じなのか 変わったのか … が分からない。
     ここでは Snapdeal と Flipkart を合併させたうえで,SoftBank が面倒見よう … ということらしい。
     そういうことは もう 辞めて,素直に撤退せよ。そんなことをすれば,損失が膨らむだけだろう。
     インド最大の E-コマース企業の注目すべき株主 に なんかなってはいけない!
    左側に割り込みのパネルは なんじゃこら! ソフトバンクが いいようにボラれておる。
      ソフトバンクは,Snapdeal の親会社 Jasper に $9 億を払い込んだ。
      Kalaari が払い込んだのは,たったの $0.275 億。
      Nexus は $0.4 ~ 0.5 億。こちらは 少し多い。
      ここが凄い! Kalaari は 何と既に2度目の Snapdeal 株売却により $1億の利益を回収した … んだとさ。
     Snapdeal は もちろん赤字。減損償却に追い込まれている (ソフトバンクの決算で減損償却したんだよ)。
     不思議だね~ (笑)。赤字で瀕死の会社からどうやって儲けられるのか。その手品のタネを是非ぜひ知りたいね (笑)。インドでは,ほんとに不思議なことが起こる。
     ソフトバンクは,明らかに金を巻き上げられている。インドの方が1枚も2枚も,いや座布団 10 枚も上手だよ! これじゃぁ 「投資」ではない。世界中に株主の貴重な金を巻き上げられに行っているようなもんだ。
     こんなことをするんだったら,社長さん 個人で損失分を全額負担せよ! 株主集団訴訟があって当然です。
     5月10日にも,インドの「イ」の字も言わずに逃げるだろう!
    インドからの報道には食傷気味 (笑)
     社長さんがデューディリをきちんとせずに 「投資ごっこ」に励んだ結果である ── いや 正確に言うと,インドに投資の経験が全く無い (FT.com) Nikesh Arora の言いなりになった結果 ── いや,もっと正確に言うと 水面下で動いている Nikesh 配下の Alok Sama などの言いなりになったらしい (Boies 書簡) 結果が,この「ザマ」である。日本の財界・政界に知られたら 恥ずかしいよね。
     こんな写真まで使われちゃってさ!
     ちょっとは 反省してるんでしょうか。5月10日に期待は大きいよ!
    ──────
     総合的に判断すると,孫正義氏が社長でいるために 会社としてのソフトバンクにマイナスになることが だんだん増えてきました。社長の判断というよりは,企業としての生き残りという観点から,退任する方が ソフトバンクの利益に適うようになってきました。(メディアは全く騒がないが) 代表権を持つ副社長2人を決めたから (3月1日取締役会決定, 4月1日づけ発令), この2人の共同トップ制に路線を変更するのはいつか?
    ──────
     ちなみに 代表権を持つ取締役は 会社を代表するので,対外的にものすごい権限を持つ。
     分かりやすく言えば,会社のハンコを預ける … と言ってもよい。
     たとえば Nikesh Arora は 代表権を持つ副社長であった。したがって,たとえば Nikesh がインドで何か契約してくれば,それは孫社長がいかに反対しても 有効であり,取締役会がいかに反対しても 契約は有効であり,契約相手に孫社長が反対することはできない。
     したがって,どの取締役に代表権を与えるかは,会社の死命を握る決定事項である。Nikesh の退任の原因が何であったかは未だに不明であるが,1つの推測としては上のようなことが可能である。インドへの投資の契約は,おそらくすべて Nikesh のサインにより契約したであろう。Nikesh は,Snapdeal の取締役を務めていた (現在も?)。

  20. Star Wars at SoftBank
    ソフトバンクで,スター・ウォーズ
      Bloomberg,2017/04/06 @10:10 am ET
      By Leila Abboud
    SoftBank 創立者 Masayoshi Son は,インテルサット SA のディストレスト債券所有者と 全く予測不可能ではないスタンドオフ状態 (not entirely unpredictable standoff) に自分がいることを見出した。債券所有者らは,衛星事業への Son のビッグ・バン参入に金を もっと払って欲しい。
    Star Wars at SoftBank
    SoftBank は,基本的には $214 億の現金と強いキャッシュフローを持つ日本の通信会社に過ぎないが,2月のインテルサットへの提案を甘くする余力は 確かにあるので,折り合いはまだついていないだろう。それでも,山のように多いジャンク債投資家との交渉が,Son の債券市場切りをテストすることは確かである。これは,新しい巨大基金への彼の野心を実現するために 間違いなく必須のスキルである。
     SoftBank Vision Fund として知られるこの基金は,テック企業に配る $1,000 億の資金を持つ予定であり,AI やロボットを搭載した世界への Son の夢にピッタリである。だが これは,巨額の金である;スタートアップ企業へのベンチャー投資にしては,度が過ぎる。したがって この部隊 (outfit) は,実際には巨大な PEF のようなものになるだろう。間違いなく その買収火力を押し上げるために 高いレバレッジに頼らざるを得ない。そのため Son は インテルサットの債権者との交渉で,言いなりにはなりたくないだろう。
     もちろん Son は "かっぺ" ではない。SoftBank は これまでに大きな取り引きをいくつもしてきた。その中には Sprint の $200 億買収があるし,最近では 有利子負債を $1,000 億 を超えるまでに広げた ARM Holdings の買収もある。しかし,今回の新しい基金は,大リーグの中でも最大であろう。したがって,売り手との力関係や貸し手との知名度争いがモノを言う。
     Son が Vision Fund を生み出した主たる理由は,現在の重い債務の下で,SoftBank 単独では絶対に不可能ながら ── サウジアラビアと特にアップルなどからの支援を受けて ── 何十億ドルもの金を 素早く配ることであった。
    借金満載
    連続買収家 SoftBank は,世界の通信仲間より負債の負担が高い。
    同社は 有利子負債-EBITDA 比を 3.5 倍に抑えることを目標とする。
     したがって,インテルサットの "すったもんだ" は, 2回のレバレッジ・バイアウトの後でも なお $150 億の債務に苦しんでいる アメリカ衛星企業を Son が手に入れるということを遥かに超える問題なのだ。これは,債券市場と Son との間の微妙なダンスでもある。投資家の一部には,疑いなく,Vision Fund の介入をちょっとでも好かない者がいるに違いない。だから これは重要な 踏み出しの1歩なのである。Son のインテルサットへのオファーは,2つの部分からなる:(1) SoftBank は,衛星スタートアップ企業 OneWeb の権益をインテルサットに拠出する。(2) 次いで 合併後の企業に $17 億を注入する。この $17 億は,インテルサットの債務を解消するために使われ,最終的に SoftBank は新会社の 39.9% を取得する。インテルサットに残る負債のレバレッジは,EBITDA の 8.8 倍 → 6.6 倍に下がる。
    インテルサットは, ディストレスト状態
    インテルサットは,デフォルトを逃げるために,これまで何度も
    債券所有者と交渉せねばならなかった。(10 億ドル単位)
     SoftBank のオファーは,インテルサットの債券所有者の 85% が買い戻しに応じる必要がある … とのやゝ高い閾を設定した。Bloomberg News からのスクープによれば,この取り引きのぶち壊し (scupper) をサポートする不参加者 (holdouts) は十分なようだ [つまり 15% 以上が拒否?] 。債券交換オファーは 7回のトランシェにわたり,満期も異なる。平均して,債券所有者は $1 につき $0.74 を受け取れることになっており,ヘアカットの総額は $36 億にも達する。
     7つの債券は すべて 交換オファーより高い価格で取り引きされており,当初の条件が甘くなることに 債券所有者が賭けていることを反映する … と Bloomberg Intelligence のアナリスト Stephen Flynn が言う。1例を挙げれば,Intelsat Luxembourg の 2021 年,2023 年満期の債券は,$1 当たり $0.61 で取り引きされており,交換オファー価格 $0.46を上回る。
     だが,債券所有者は 余りに欲を出すべきではない。SoftBank の助けなしには,インテルサットの見込みは不確かである。衛星業界は,アップスタート企業との競合 ならびに 容量過剰のため,動乱の激動時代にある。しかも,インテルサットは2年以内に多額の債務償還を迎える。
     もしも 債権者がプレイボールしなければ,余りないとは思うが,Son が目移りすることもあり得る。このピンチの状況で,Son はおそらく 彼の宇宙ベンチャーで 妥協点を見出すだろう。
     2回のレバレッジ・バイアウトの後でも なお $150 億の債務に苦しんでいる アメリカ衛星企業
     なぜこんなインテルサットに出資したのか? ここが一番の不思議である。
     しかも これが成功しても まだ巨額の債務が残る (150−36=114) から,この返済はどうなるのか?
     これも SoftBank が頼りなのか? $17 億で済むのか?
     取り得る対応は2通り。
     (1) ヘアカット 74% を甘くする。これが Leila さんのお勧めです。
     でもこれをやると アメリカの企業が "つけあがる" んじゃないの? ことあるごとに条件変更を後から求められる。インテルサット自身も "つけあがる" … よね?(笑) 手厚い資本投資を必要とする企業だから,$17 億程度で済むはずがない。いったん 投資すると,それが却ってこちらの弱みになる。
     (2) 5月末の期限に あっさり撤退する。経済的にはこれが良い。何もインテルサットみたいのをしょい込んで SoftBank 全体の利益を減らすことは無い。でもそうすると インテルサットが経営破たんするとか。でも,$17 億を出さないで破綻するなら,出しても同じような気がするけれど (笑)
     しかし,ソフトバンクのせいで 倒産した … と言われるのは困ります。
     ソフトバンクにしたら 非常に小さな案件なのに,ほんとに小さな案件なのに,直接には株価に影響しないでしょうが,どちらにしても連続買収路線にヒビが入る … というところが野次馬の大きな関心を呼ぶ(笑)。 蟻のひと穴 … みたいな感じ。つまり,今後の連続買収への影響は?!
    ──────
    【コラム・解説】「資本の論理」だけで済まない,東芝の事業売却 3/7 << まだ消えませんね。

  21. May and LSE chief woo Saudi ministers for $2tn Aramco listing
    メイ首相と LSE のトップが,複数のサウジ閣僚に $2 兆アラムコ上場を口説く。
    The Guardian,2017/04/05 @10:44 BST
    By Jessica Elgot (リャド)
    英国首相とロンドン証券取引所 (LSE) のボスは,国家石油企業の記録破りの上場を勝ち取ろうと必死である。
    Teresa May とサウジ財務相 Mohammed al-Jadaan, サウジ証券取引所にて。
    Reuters)
    Theresa May と LSE の CEO Xavier Rolet は,サウジの国家石油企業アラムコの来たる (記録破りが確実と見られる) 上場をロンドンに招くべく,サウジ閣僚らにリヤドで魅力攻勢を仕掛け始めた。
     Rolet は May とは別々にサウジの首都に渡り,首相に随行してアラムコ CEO Khalid Al-Falih (この人は王国のエネルギー相でもある) との会談に臨んだ。
     この会談は 4月4日(火) 首相がリャドに着陸後に行なった最初のものであるが,LSE がこの上場を確保する国際的な運動で,企業価値 $2 兆の5% に相当すると見られる上場を LSE に招くことに No. 10 [=ダウニング街 10番地] が賭けている政治的重要性を物語る。
     No. 10 の関係者らは,首相が "金融サービスの点でロンドンと連合王国に見られる熟練度のようなもの ならびに それを支える生態系 (会計, 法務など) ── 更には 連合王国に存在する投資の機会の深さを詳細に説明した" … と語った。
     首相の訪問に随行するダウニング街の情報筋によれば,ロンドンが上場のホスト役を務めることは 火曜日のいくつもの (several) 会合で特に話題となった。
     "首相は,ロンドンで得られる機会と利点を詳細に説明した。彼女は 我々が持つ証明済みの経験と豊富な投資機会を詳細に説明した。" … とある情報筋は語る。
     この2日間のサウジアラビア訪問を人権福祉団体は,連合王国の正式の EU 離脱通知の余波を受けて,( [国際交易担当国務相] Liam Fox も同時にフィリピンの問題含みの Rodrigo Duerte 大統領を訪問中であり) 人権記録の点で問題だらけの国へ 連合王国の熟練を売り込もうとする印であると批判した。
     4月5日(水),May と Rolet は,サウジのソブリン基金 (SWF) である PIF のディレクタ Yasir al-Rumayyan に面会し,連合王国内部への (科学,教育,インフラに重点を置く) 投資を議論した。しかし 具体的なプロジェクトの合意は無かった。
     通商交渉は これまで歴史的には武器販売が中心であったが,情報筋は 首相が今回の旅行で通商代表団を率いてきたわけではない;英国の多国籍軍事製造企業 BAE Systems からは1人も来ていない … と強調した。グリーンピースによる HMRC (歳入税関庁) の数字の分析によれば,2015 年の連合王国の武器輸出 ほゞ £9 億の 83% は,サウジアラビア向けであった。
     ダウニング街は4月3日(月),サウジが 大いに自慢する (サウジ経済を多様化して 石油への過度の依存を減らす) "Vision 30" 戦略計画のサポートを推進するリャドとの計画の作成を終えたと発表した。Vision 30 は,Mohammed bin Salman 副皇太子が先頭に立って推進しているものであり,副皇太子は May 首相と4月4日(火) に面会した。
    魅力攻勢:(charm offensive)
     魅力攻勢とは,特に政治や外交の場面で目標を達成するために,意図的にお世辞や自身の魅力を利用して 売り込むことを言う。
    この続報は「サウジアラビア」へ
    いわゆる「トップ・セールス」 です。イギリスも必死。ロンドンに来れば,まさに「国の宝」となる。
     何しろ 2兆ドル (副皇太子が かなりサバを読んでいるらしい。ほんとは せいぜい その 1/3 とか)。
     これでだめなら 英国皇太子夫妻が切り札か? 人気あるからね。
     JPX の清田瞭 CEO は,副皇太子にアポを取れずにリャドに出かけて行って 漸くのことで会ってもらえたとか …
     こういうニュースには,さぞ緊張するでしょう。
     トランプさんは 余裕で行かない? 行きたくない? いけない?
     当然のことながら,習近平国家主席と李克強国務院総理が一緒に行くのかな?
     とにかく,世界の耳目を集める大ニュースの1つになってきた。
     Snapdeal なんて バカバカしく見えてくるね (笑)
    全体をどう解釈するのかな?
     これまでの両国の関係は,武器輸出が圧倒的だった。これでは,サウジから出る金は「投資」にはならない。「消費」に使われるだけである。これを連合王国への「投資」に変える … と読むのかな。
     とすれば,これまでの流れを大きく変えることになる。
     具体的なプロジェクトの話が無いというのは,流れを大きく変えるのが目的だから当然である。
     ここで「連合王国」って何? とか イギリスだけのことじゃん … と思う人がいるでしょう。
     連合王国 (通称 イギリス) とは,イングランド, スコットランド, ウェールズ, 北アイルランドから構成される立憲君主制国家であり, 英連邦王国の一国である。
     では 連邦王国 (Commonwealth of Nations) とは?
     旧大英帝国のことです。カナダ,インド,オーストラリア,ニュージーランドを含む 16ヵ国から成り,英国王を今でも元首とする。
     で,何が問題かというと,これらの国々は 今でもエリザベス女王への敬愛の気持ちが非常に強い。これらの国が集まる会議も行なわれている。しかし 連合王国とサウジとの間に何らかの経済協力が生まれれば,それは 連邦王国に発展しやすい。たとえば,アメリカにトランプ大統領がいるから サウジは今は投資をとめている。しかし,隣国のカナダは移民にしても全く異なる政策を取っている。つまり,連合王国との協力関係は,カナダ,オーストラリア,インドなどへ発展しやすい … と言うことです。EU から離脱する英国にとって,この支えは心強い。サウジがこれらの国へ展開できるとなれば,世界に大きな影響を与えるでしょう。
     ソフトバンクがどうこうとは 次元が違います。違い過ぎる(笑)
    ──────
     イギリスは,EU 離脱交渉で 弱みを見せられない。サウジをバックにつければ 経済的な力になる … というのが メイ首相の読みだろう。
     アラムコをロンドンで上場して,シティの地盤沈下を防ぐ。サウジが手にした IPO 代金は ポンドのままで英国に投資できるよう 国を挙げてプロジェクト作成をお手伝いいたします。そのため3人の閣僚を派遣する。まさに 両国にとって包括的な提案です。うまいよね。まぁ 歴史的に見ても イギリスという国は「立ち回り」が上手なことで知られている。古くは,日英同盟の破棄,パレスチナ問題での2枚舌。
     対して日本はどうか? 安倍首相がサウジを訪問したんでしたっけ? 計画はあったけれど,まだですよね。だから清田さんが今年の1月に行ってきた。
     イギリスと日本の対応ぶりを サウジは比べるでしょう。
     日本で アラムコを仮に上場した場合,巨額の日本円の運用はどうするの? これに日本側は全然答えていないのじゃないか?(サウジへの投資計画はあるらしい。) 日本にはこういうプロジェクトがあります。いろいろご用意できます。安倍政権にとっては 日本で運用してもらえば,非正規雇用の人だって救える。ありがたいお金です。でもそういう計画を立てて アラムコを誘致しているんだろか? 一方でそれとは独立に ソフトバンクが日本に ── ではなくて アメリカに投資してあげますよ。でも これって,国として一貫性がありませんね。イギリスの方は,国が保証するような感じで投資を受け入れる。これなら心強い。日本はバラバラです。サウジから見たら 優劣は明らかでしょう。
    ──────
     こんな風に考えると 孫さんが ソフトバンクのために「トップ・セールス」で世界の首脳と会談する時代では なくなったような感じがする。孫さんは「自分の会社の事業を進めるためには,外国の首脳と会談する必要がある」と言いましたが,でもそれは全ての企業に同じこと。「抜け駆け」をして自分だけうまい汁を吸える時代ではない。どこの国も,国を挙げてトップ・セールスをする時代です。
     日本の中で浮いた存在になれば,却ってマイナスでしょう。携帯電話料金の引き下げで,ソフトバンクが狙い撃ちされているような感じです。でもそれは,ほんの始まりかな? 2015 年9月11日,安倍首相が「携帯電話料金を引き下げよ!」と言い出して (首相が直接要請するのは極めて異例!誰もが首を傾げる 取ってつけたような (?) 理由で) 始まったことが,こんな程度で済むはずがありません。いまだに 関係者は なぜ?(笑) と首をかしげている。分からないフリをせざるを得ないのかな (笑)。首相が言い出したんですよ。こんなチマチマしたことが「本丸」のはずが無い!
     ソフトバンクが 最近の「抜け駆け」で何か 1つでも得をしたことがあるでしょうか?
     WeWork, OneWeb, Intelsat は「稼ぎ頭」か? 株主が期待する稼ぎ頭と言うよりは,屑に近い。
     「牛も鶏も羊もつながる (孫さん)」と大喜びで買収した ARM は,マシとは言えるが,決算報告書をお読みでしょうか?
     資産総額僅かに 1,551.58 億円,のれん 32,139.29 億円
     (のれんは,今後の事業展開や当社と被取得企業とのシナジーにより期待される将来の超過収益力を反映したものです) つまり,実体の無い "期待価値" に過ぎない。
     日本会計基準ならば,のれんは 20 年で償却を義務付けられている。優良企業ならば もっと短期間で償却する。仮に 20 年でこれを償却するならば,毎年 1,600 億円の利益を挙げる必要がある。
     では,ARM の実力は? 去年の7月の発表が最後であるが,1年の利益は £4億に満たない状態で伸び悩んでいる (Wall Street Journal[2016/07/27])。このままだと 60 年くらいかかる。つまり,日本会計基準のままだったら,(他セグメントによる穴埋めなしには) この買収は不可能だったのである。それくらい ARM の収益力は低いのを 3.3 兆円などとべらぼうな高値で買い取ったことが分かる。
     では,韓国 $45 億ドルへのトップ外交の成果は? [2016/09 朴槿恵大統領を表敬訪問]。
     インド $100 億の成果は? Snapdeal は? Housing.com は? Ola は?
     インドはお好きなようで,向こうからも喜ばれているようですが,あんなに喜ばれると ちょっとね (笑)。インド人は 歴史的に,狡猾な ── ではなくて 老獪なイギリス人の対応に慣れています。
     アメリカは 12 月始めにトランプ・タワーまで出かけて行ってニュースになりましたが「ビジネスマンなので信頼できると思って来ました」という TV での発言は,今でもその通りでしょうか? T-mo との提携は相手の意向の確認も取らずに [T-Mo に失礼だよね] ,1月に幹部がワシントンに押し掛けて行って話したらしい。FCC の Pai さんは「特殊アクセス」で規制緩和を行ない,これが Sprint に不利に働く。まだ1つも成果は無いみたいです。
     そもそも外国の1企業のためにアメリカ大統領が 何か特別なことをしてくれるの? そんなことをしたら,世界中の企業のトップが押しかけてくるでしょう。だから,リップ・サービスはいくらでもするけれど,何か特別のことをしたら却って怪しまれる。
     ただ,具体的な問題で困っているところは例外で,ワシントン詣でをしています。たとえば既に合併契約をして FTC で審査中に大統領選挙があって,予定していた合併をトランプさんにひっくり返されたら困るとか。でも ソフトバンクの場合には,そういう種類のこと (トランプさんに ひっくり返されそうなこと) は,何もありません。
     結局 SoftBank と Sprint がトランプ大統領に擦り寄っても,独裁国家ではないアメリカで 特別サービスしてもらえることは何もなく,アメリカでの事業がやりやすくなる [日本 ソフトバンクよいしょ新聞による報道] っていうことは無く,むしろマイナス要素の方がだんだんと目立ってくる感じです。
     ところで,アメリカも アラムコの有力な上場先ですが,トップ・セールスをするでしょうか (笑) ちょっと想像しにくい。
    今日 [2017/04/08] 気が付いて ギョッとした。
     しませんか? (笑)
     安倍首相が「携帯電話料金が高すぎる」と高市早苗総務相に指示したのは, 2015/09/11 なんですよ。
     不思議なことに (笑) そのあたりから,ソフトバンクだけがこれまでず~~っと契約の純減が続いている。
     逃げ出す方が多い!
     これって 偶然でしょうか?
     それとも … ソフトバンク・バッシング?
     2015/6 月の増は,特殊要因による。
     これぐらいのこと,社長は気づいているはずなのに 手を打たない? 打っているけど 効き目がない?
    ARM の売り上げと利益 (英ポンド)
     Wall Street Journal 2016/07/27
     このように見事なヨコヨコ。
     これが「金の卵」を産む「稼ぎ頭」。
     少なくともこのグラフを見せて,正直に説明すべき。
     このままでは 償却に 60 年掛かることを。
     短縮できるなら 何年計画か?

  22. SoftBank preps Snapdeal for sale to Flipkart or Paytm
    SoftBank が Snapdeal を Flipkart または Paytm へ売却の用意。
    Mint,2017/04/05 @04:25 pm IST
    By Mihir Dalal & Shrutika Verma
    Snapdeal の3大投資家 ── SoftBank Group, Kalaari Capital, Nexus Venture Partners ── が ひび割れを解消する最初のステップを取った。これにより Snapdeal を ライバルの Flipkart または Paytim に売りに出す道が開けた … と協議の内容に詳しい複数の人が言う。
    At a board meeting of Jasper Infotech Pvt. Ltd, the company behind Snapdeal,
    on Tuesday, SoftBank showed interest in buying a part of the stake owned
    by Kalaari and Nexus. (©Pradeep Gaur | Mint)
     Jasper Infotech Pvt の取締役会で,Snapdeal を支援する SoftBank は 火曜日,Kalaari と Nexus の持ち株の一部を買うことに関心を表明した … と この会合で起こったことをよく知る3人が匿名を条件に述べた。
     Kalaari と Nexus はそれぞれの持ち株に対して $1 億を求めている … と2人が言う。Snapdeal の2人の創立者 Kunal Bahl と Rohit Bansal は,SoftBank に $1 億の支払いと運営チームの派遣を求めた … と2人が補足した。
     SoftBank は 価格を交渉中である … と彼らは言う。
     Snapdeal と SoftBank は,コメントを拒んだ。Kalaari と Nexus は Mint の問い合わせに応答しなかった。
     3人のうちの1人が,すべての利害関係者は 合意に達することを望んでいる;なぜなら Snapdeal では "現金が流出しているからだ" … と言う。"ただし,すべての関係者にとって財務の観点から意味がある取り引きの場合に限り,妥協は達せられるだろう。" … とこの人が続けた。
     他方,Kalaari Capital のマネージング・ディレクタ Vani Kola は,Snapdeal の取締役を辞任した … と上の挙げた3人が言う。Kola の辞任は,Kalaari が SoftBank との取り引きを望んでいる証拠である … と3人は言う。
     Kola は Snapdeal の取締役を辞任したものの,Kalaari は依然として 売却のような重要な問題には拒否権を握っている … と3人が言う。
     Snapdeal は,Kalaari と Nexus にとって最大の投資先であり,まずい取り引きを結べば,インド育ちのベンチャー資本会社にとって打撃になりかねない。
     SoftBank は,Snapdeal を全株大特価でもよいから Flikpart に売り,その後で 買い手にさらに現金を投資したがっている [?] … と上の3人が言う。Snapdeal が 約 10 億に評価されているので,これは最高の取り引きであろう … と3人は言う。
     "アリババは Snapdeal に 10 億ドルでも払うつもりは無い。" … と最初の人が言う。しかし,アリババとの取り引きが完全に消えたわけではない … とこの人は言う。
     Snapdeal は,2016 年2月に行なわれた前回の資金調達で $65 億に評価された。しかし,現在の評価は その数分の1だろうと,彼らは言う。 [注:と言うことは,ソフトバンクに巨額の減損償却発生!]
     当局に提出された文書によれば,SoftBank は Snapdeal の 33% を握り,Nexus は ざっと 10%,Kalaari は 8% 弱である。共同創業者である CEO Kunal Bahl と COO Rohit Bansal は,既に一部を売ったので,2人合わせた持ち分は 6.5% より少ない。
     それでも,Snapdeal の初期機関投資家である Kalaari と Nexus は,強い発言権を持っている。
     取締役会のバトルは,Snapdeal の危機を増幅し,救命の可能性を遅らせている。
     今年1月以来,Snapdeal は数百の人員整理を行ない,割り引きとマーケティングの支出を減らし,月間売り上げの大幅な減少を見た。
    話がまた変わった (笑)。もぅぐちゃぐちゃ。社長さん,なんでもいいから早く逃げろ!
     内部対立が起こっているようなところに,ろくなことは無い。
     前にも書いたけど,こういう記事に出てくる "SoftBank" の「実体」は?
     実名が全く出てこない。まさかに 孫さんがインドであれこれ交渉しているはずがない。
     話が一貫していないことを見ても,SoftBank の東京本社と連絡を取っているようにも見えない。
     時間が経てば経つほど,Snapdeal の赤字は膨らむでしょうね。こんな風では。
     見切り千両!

  23. Snapdeal looking to raise $100 million from SoftBank, other investors
    Snapdeal が ソフトバンクなどの投資家から $1 億の調達を期待する
    Reuters,2017/04/04 @10:19 am ET
    By Sankalp Phartiyal (ムンバイ)
    インドのオンライン小売り Snapdeal が,日本の SoftBank を含む現在の投資家 ならびに 新規投資家から $1 億を僅かに超える額を期待している … と同社の CFO が言った。
    Snapdeal は,インドの激烈なオンライン小売り市場の中にあって 第2位の座を 昨年 アマゾンに奪われたが,2年がかりで黒字を目指しているところ,現金の欠乏に陥っている。
     情報筋が先月,同社は 中国の基金 および 現在の投資家 アリババ集団との協議が不調に終わった後,同社の財務を下支えするために投資を求めている … とロイターに伝えたことを受けて,CFO Anup Vikal は,今年は現金が十分にある … と言った。
     "我々が独立してやっていけるために必要なのは,$1 億強である。" … と Vikal は月曜日午後のインタビューで述べた。
     最大の支援者である SoftBank を含む既存の投資家の一部は,この資金調達への参加を望んでいる … と Vikal は言う。
     この件について,SoftBank はコメントを拒んだ。
     インドの若芽のオンライン小売りセクターは,インド生まれの Flipkart が首位を保っている。
     業界筋によると,Snapdeal が 昨年第2位の座を奪われ,赤字でいることは,1年前にカナダの「オンタリオ州教員年金基金」が率いた資金調達の際の評価額 $65 億から遥かに低い評価で調達を余儀なくされることを意味するという。
     Snapdeal は,2016 年に 2回の別々の資金調達により $2 億強を集めた。
     同社の物流部門 Vulcan Express および E-コマース・ソリューション・プロバイダ Unicommerce は,6月四半期には トントンになり 同社の黒字化計画に刺激を与える … と Vikal は言う。
     Snapdeal は 労賃を引き下げるため自動システムを利用して経費削減を行なった。さらにベンダーとの契約を再交渉し,ニューデリー郊外の本社の余分のオフィス空間を処分する計画である … と Vikal は言う。
     今年2月,Snapdeal は 600 名の従業員をレイオフし,2人の創業者 Kunal Bahl と Rohit Bansal は,給料の受け取りをやめた。
     これらの措置と 配送コストの急減は,赤字の大幅な減少に役立った … と Vikal は言う。
     ただし,Snapdeal が買収の目標にされる可能性については,Vikal はコメントを拒んだ。或る情報源によれば,Snapdeal をインドのライバル Paytm と合併させようと,アリババが初期段階の交渉中である。
     Snapdeal が売却したいと伝えられている ディジタル決済部門 FreeCharge について,Vikal は いかなる同社への関心も高く評価する;この事業のパートナーになりたいと外国からの関心も示されている … と述べた。
    これも,ロイターではあるものの,やはりインド発の記事です。
     冷静に読めば,Snapdeal, SoftBank 側には取材しておらず,Flipkart の CFO の発言だけから構成されている。
    やはり 要領を得ない。下の記事と合っているのか いないのか?
     ぶっちゃけて言えば,こんなインドに (Nikesh Arora を Snapdeal の取締役に据えて [2014/10/28, Reuters]) 投資したことがそもそもの間違い。
     なぜなら,こんな風では 投資後の経営状況をソフトバンクが正しく把握できないと思われる。
     最悪の見方 (?) は,インド内部でのいろいろな結託により,カナダや日本の外国資本が金を巻き上げられている可能性もある。つまり,インドの方が 外国資本より1枚上手とか?
     そもそも 上の記事にも下の記事にも「SoftBank」が何回も出てくるが,ソフトバンク本社の社員が派遣されてインドに常駐して,こういう作業を行なっているのでしょうか?
     そんな話は,誰も聞いたことが無い。… とすれば 最も可能性が高いのは,この投資を主導した Nikesh Arora (が 実はまだクビになっておらず,その) 配下の Alok Sama などが適当によろしくやっていると考えられる。そういうのに任せちゃった「投資ごっこ」が赤字というのは当然で,どういう仕掛けで赤字になっているのかも気になるね (笑)
     今となっては懐かしい写真 (↓)。2年半前のことでした。最近の決算発表で,"インド" は お見限り。
    ──────
      『スナップディール設立者が,今回の融資取り引きでアリババの脚本を視野に』 (Reuters, インド Munbai 発, 2014/10/28)
    ──────
    ここでインド投資をやめればいいんだけど,そうは行かない (笑)
     モディ首相に $100 億ドルを投資すると約束,しかも昨年 12 月には,それを増額するとインドで発言 (Reuters, 2016/12/02)。
    ほかにも韓国の朴槿恵大統領ににこやかに会見して $45 億を約束した (2016/09/30, WSJ) のが半年前のこと。
     結局,以上の インド+韓国投資から 推定 5,000 億円程度の損失が発生するんじゃないか?
     首脳と包括的な約束をしちゃうのは やはり問題である。先方の政治経済情勢が変わってもやめるわけに行かない。
     やはり,プロジェクトを決めて プロジェクト単位で投資するのが本来でしょう。
    [2017/04/05] 別件ですが,日経もまだ混乱 (?) してるね (笑)
     例の 【コラム・解説】「資本の論理」だけですまない,東芝の事業売却 (3月7日)
     これが もう1ヵ月近いのに,ソフトバンク・ニュースのところからまだ消えないよ!
     これって本来は東芝の記事なんだよネ。ソフトバンクの「外国投資」がアブナイ っていう警告なんだろか? 単なる間違いか? これ1つだけ ポツンと出ているから目立つ。
     たぶん,ソフトバンクの広報は当然気がついているはずで,やきもき。早く訂正してくれって催促しているはずでしょ。広報の重要な仕事です。なのに消えない。
     この記事の当サイト流の読み方は,別に書きました。
     要するに「国の宝」級の重要な企業を外国企業に買収させるようなバカな国は,存在しないということです。それを「金の卵」を産むとか「稼ぎ頭」などと言うのは ・・・ 。

  24. SoftBank opts out of Snapdeal funding deal
    ソフトバンクが,Snapdeal への融資取り引きから手を引く
    Economic Times,2017/04/03 @03:38 pm IST (インド標準時)
    By Biswarup Gooptu (ニューデリー)
    事の成り行きを知る複数の人によれば,日本の投資家 SoftBank は,Snapdeal のオーナー Jasper Infotech に与えていた $1.50~2.00 億の debt financing (社債発行による資金調達) を突如として打ち切った。その結果 オンライン・マーケットプレイス Snapdeal への新旧両投資家を巻き込む取締役会の争いをエスカレートさせた。
    Snapeal の定員7名の取締役会に線が引かれ,方や Snapdeal の最大投資家 SoftBank と,Snapdeal の初期投資家 Kalaari Capital と Nexus Venture Partners が対峙した。
     "Kalaari Capital と Nexus Venture Partners は,どちらも この展開に激怒し,SoftBank に Snapdeal をどうするつもりかと詰問した。" … と上の1人が言う。
     "条件規定書 (term sheet) には Snapdeal の社債発行による期間3年の融資が取り決められていたが,これが説明も無しに 数日内に撤回された。これは,SoftBank が Snapdeal を売却する決意を固めた証拠である。" … と2番目の人が言った。
     取締役会に2名を持つ SoftBank を別にして,Kalaari と Nexus は各1名,Jasper の代わりとして 2名の共同創立者 Kunal Bahl と Rohit Bansal,それに Bharti Enterprises の副議長 Akhil Gupta が社外取締役である。
     一連のことの起こりは,わずか3週間前のことである。SoftBank はこの展開にコメントを拒んだ。Jasper Infotech, Nexus Ventures Partners, Kalaari Capital は,いずれも Economic Times からの E-メールに応答しなかった。
     上に引用した人たちによれば,Snapdeal の売却/合併に関するすべての議論を SoftBank はリードし,他の利害関係者の容喙を許さなかった。"SoftBank は,今日まで独りですべての協議を行なってきた。他の取締役会メンバーは,これまで蚊帳の外に置かれてきた。" … と上の中の1人が言う。
     Snapdeal に約 $9 億を注ぎ込んだ Jasper の最大投資家と 初期投資家との間の増大する軋轢は,3月31日に Mint が初めて伝えた。
     これが初めてではない
     Jasper の取締役会メンバー,特に SoftBank, Kalaari Capital, Nexus Venture Partners が剣を交えるのは,これが初めてではない。
     昨年12月,SoftBank は Snapdeal に 売却 または 合併を条件として毎月 $0.50 億を注入した [?] 。Kalaari と Nexus Venture Partners は,この条件に異議を唱え,東京に本社を持つ投資家に 資金調達を保証せよと迫った。
     SoftBank のオファーは,取り下げられた。SoftBank の Jasper への権益は 約 33% であり,Kalaari Capital と Nexus Venture Partners は それぞれ約 8%, 10% を所有する。2人の創業者 [Kunal Bahl, Rohit Bansal] は合わせて約 6.5% を持つ。Snapdeal は昨年初めの最盛期には $65 億に評価されていた。
     Jasper に約 $0.275 億を投資する Kalaari は,2014 年遅くに その持ち分の一部を SoftBank に売却した際,約 $1 億の結構なリターンを得た。
     Nexus Venture Partners は,Snapdeal にこれまで $0.40~$0.50 億を投資したが,まだ売却したことがない。Snapdeal の売却は,もし成功すれば,インドのスタートアップ生態系のみならず インドの消費者インターネット・セクターにも 予期せざる莫大な結果を生む。Flipkart と並んで Snapdeal は,インドのエコシステムの形成に不可欠の役割を演じてきたし,売り上げが減少するにもかかわらず,インド第3位の E-コマース企業と見なされている。
     SoftBank は,Snapdeal を売ろうと Flipkart に手を伸ばした。この件をよく知る2人によれば,この取り引きの輪郭は,SoftBank が我が国最大手の E-コマース企業の権益の 20% を約 $15 億で引き取り,その過程で Tiger Global の Flipkart 持ち株 $10 億相当を SoftBank がバイアウトするというものである。
     この取り引きの一環として,SoftBank の経営権が議論されてきた … と1人が言う。
     Flipkart は Snapdeal 買収に関する E-メールの問い合わせに答えなかった。
    インドのニュースは,大体がこんな風で,要領を得ないことが多い。
     だが,うまく行っていないことだけは分かる。

  25. Raiders relocate to Las Vegas
    レイダーズが,ラスベガスに移転する。
      グリーンベイ・パッカーズのウェブサイト,2017/04/01
      By Mark Murphy
    このコラム "Murphy Takes Five" では,毎月最初の土曜日に,グリーンベイ・パッカーズの 総裁兼 CEO Mark Murphy が パッカーズ・ファンの興味を呼びそうな話題について寄稿し,ファンから5つの質問を受けつけます。ファンの皆さんは ご自分の名前とホームタウンを添えて,MurphyTakes5@packers.com まで E-メールをお寄せ下さい。
     フェニックスで開かれていた NFL の年次オーナー会議から たった今 帰ってきたところだ。今回の会議での一番の話題は,何と言っても レイダーズがオークランドからラスベガスに移転するという申請だった。 [ロサンゼルス] ラムズと [サンディエゴ] チャージャーズが移転してから 15ヵ月と経たないので,オーナーたちは (リーグ本部のスタッフも) 状況の分析にとても慎重だった。リーグの委員会のうちの2つ (スタジアム委員会と財政委員会) が共同でオークランド市場とラスベガス市場を調査した。もちろん オークランド,ラスベガス両市のスタジアムについての提案も調査した。その結果,オーナーらは レイダーズのラスベガスへの移転を支持した。
     プロスポーツ・チームの移転は,いつも 非常に難しいプロセスである。とくにチームのファンは 極端に感情的になる。3つのチームに共通のテーマは,[移転前が?] 不適当な 時代遅れのスタジアムだった。セントルイスの [ラムズの] スタジアムは,スタジアムというより見本市会場のようだったし,新しいドーム・スタジアムより遥かに遅れていた。チャージャーズとレイダーズのスタジアムは,どちらも 1960 年代に建設され,主として野球用に設計されたものだった。スタジアムが不適切では,これらのチームがフィールド内でもフィールド外でも競争力を維持することは難しい。オークランド市が新しいスタジアムを建設するという提案を,2つの委員会は 余りにも多くの不確実性とリスクを含み,したがって実行不可能だと判断した。最後に行なわれた投票の結果は 31-1 で,レイダーズがラスベガスに移転することを認めた。
     もちろん,ラスベガスへの移転にはリスクがあるが,プラスの点も多い。提案されたスタジアムは非常に印象的である。全費用は $16.7 億で,座席は 63,000,しかも スーパーボウルの際には 73,000 に拡大できる。ネバダ州議会は,このスタジアムの建設に 公共予算から $7.50 億の支出を認めた上に,20 年間 維持費として $2 億を認めた。このスタジアムは,空港から 800 m のところにあるので,ファンが市外からスタジアムに来るのはたやすい。スタジアムはドームであり,カバーは透明である。天然芝は,スライドにより出し入れができる。ラスベガスは急成長する市場であり (2034 年にはオークランドを超えると予想されている),多様な人口基盤を持ち,リーグの国際性にも適う。さらに ラスベガスは,よく知られているように 観光の大きな目的地である。これまでの 15ヵ月は3チームにとっても NFL にとっても難問続きであったが,いまでは 全員が将来に目を向けて それぞれの新しい市場で根を張るよう頑張るだろうと私は考えている。
     それでは,質問をどうぞ ・・・ 。
     (質問#1) ワイオミング州 Medford の John:
     レイダーズがラスベガスへの移転が決まったのに,まだ この先2年もオークランドでプレイすると聞いて驚きました。ラスベガスのスタジアムで一時的にプレイする方が良いと思いますが。
     そこは 大切な点だ,John。我々オーナーは,この問題を今週長い時間をかけて話し合った。ラスベガスの新しいスタジアムは,2020 年のシーズンまで完成しない。問題は,NFL-級の適切な一時スタジアムがラスベガスには無い … ということだ。大学リーグ UNLV のチームは,Sam Boyd スタジアムでプレイしている。NFL の関係者が Sam Boyd に行ってみたが,NFL の標準には達していないと感じた。おまけに,新しいスタジアムが完成すれば 同じく UNLV も移ってくる。だから Sam Boyd に金を掛けるのは意味が無い。レイダーズは,オークランドのスタジアムで2年の リース契約が残っている。向こう 2~3 年の間は レームダックだろうから, これは理想的な状況ではない。シーズン・チケットの販売は今年はとても好調 (+25 %) なのだが,それはラスベガスへの移転が認可される前の話だった。NFL とレイダーズは,この状況を3年間ほど注意深くモニターする必要があるだろう。
       < 以下省略 >
    ソフトバンクとの関係で言えば,FIG のオーナーが $6 億を出資した約束が 消えたのでよかった … ということですが,アメフットのチームが移転するときに どういうことが問題なのかが 分かって,面白かった。
     スポーツ関係者らしく キビキビした書き方である。
     ファンに分かりやすく親切に説明するのも,結局は NFL のためである。
     日本でも "Masa Takes Five" というのを毎月第1土曜日にやってはいかが?(笑)
     やりましょう! そうしましょう! ソフトバンクの株も野球も どちらの人気も上がるよ!
    別件ですが (笑)
     トランプ米大統領と友好関係を築くことで米国事業の追い風となるとの観測 (日経 2017/04/03 @14:09) ← あれまっ! この記事 見えなくなってる! どうしたんだろ?
     探しても,@14:09 にこの記事は見つかりません。グーグル検索しても見つからないよ。
      恥ずかしくなって取り消したんでしょう。
     これが 前々から意味不明。どういう「追い風」が吹くのか?
     実際 これっぱかしも吹いちゃいない。むしろ,逆風なら吹き始めたかな? Ajit Pai さんは,当サイトの見るところ,堅実な実務家で,それなりに筋を通す人らしい。
     単に会見したからって,お金を投資するって約束したからって,1民間企業のために 大統領が良きに計らってくれるなんて,あり得るんだろか? まるで巨額の賄賂を渡したかのようだ。
     世界には,ほんとの金持ちが もっと沢山いるだろう。それらが全部 大統領を訪問すれば,全部 良きに計らってくれるんだろか?
     1月19日の (日本時間では真夜中の) トランプ大統領初の公式記者会見を聴きに行った時の感想を別に書きましたが,今でもこれは変わりません。
    ──────
     おかしいと思うかもしれない人がいるでしょうから (笑),追記します。
     NHK のあの午後9時頃のトランプ特別番組ね! あれ,完全に偏向している (笑)。なぜだか分からないが いまだに (いまさら?) トランプさんにおもねって,奥歯にモノの挟まった言い方をする人ばかり。おかしくて笑っちゃった。
     最後のところで「でも こういうトランプさんに 投票した人がいることは事実ですよね。その意味を考えなくては」これに相槌を打つ人はいても,反論は皆無。
     たしかに投票した人がいるから当選したんだけど,それは 11月の話で,それ以後の大統領の振る舞いを見て,同じ人が4月に同じ考えでいるかどうかは 別だと思うんだけど,そういう指摘は無かった。
     NHK の TV は,地上波と BS で全然違います。地上波は,あちこちにおもねる (おかしなことを報道してアメリカからツイッター攻撃されるのがこわいんだろか?)。BS は,外国で起こったことを外国が報道するのをそのまま伝える。たとえば,ドイツのできごとをイギリスが報道しているのを そのまま NHK BS が流します。そのため,客観性が非常に高い (だから,たとえば,いまだにトランプ大統領を支持する人の生の声も聞ける)。もちろん,何が正しいかは 分からないが,少なくとも客観性が高いということは重要です。NHK は会長が変わったけど,地上波の「おもねる体質」は ほとんど変わっていない印象です。一方,BS の方は (たぶん その代償として) ラジオも,かなり正常だ … という印象です。
     おそらく,日本の政界財界 実業人は 重要な情報源として,地上波よりも BS を信頼しているのでないでしょうか?
     総務省の調べによると,平成28年11月末現在の NHK の衛星放送受信契約世帯数は,約 2,048万件となっている。

  26. Tiger Global sinks teeth into Flipkart, Snapdeal merger
    Tiger Global が,Flipkart と Snapdeal の合併にかぶりつく
    Business Standard,2017/03/29 @08:26 IST (インド標準時)
    By Alnoor Peermohamed (Bengaluru)
    SoftBank は,合併後の会社の 15 % に最大 $15 億を投資する計画である。
     アメリカに拠点を置くヘッジファンド Tiger Global は,日本の投資家 SoftBank に Flipkart の権益の一部を売却する協議を行なっている。ただし,インドで苦戦している電子商取引大手 Snapdeal と合併させることが交換条件である。
     Tiger Global は Flipkart への最大の投資家であり,その持ち株の 1/3 を SoftBank に $10 億で引き渡したい。Tiger Global は これにより Flipkart に投資した金の大部分を回収し,さらに 20% の権益を確保したい … と情報筋は言う。
     Tiger Global は 昨年,カギを握る人物 Kalyan Krishnamurthy を Flipkart に送り込んで以来,経費の合理化を強め,年末のお祭りシーズンには アマゾンとの厳しい戦いに備えを固めさせた。今年1月に Krishnamurthy を CEO に昇格させたのは,更なる投資を呼び寄せるための 世界の投資家に対する合図であった。
     インドで牛さんの SoftBank は,Flipkart-Snapdeal 合併後の会社の 15% の権益に $15 億を投資する可能性を探っている。Flipkart は,最近 騰訊控股 (Tencent)+マイクロソフトから同様の評価で $10 億を調達した。SoftBank は,Snapdeal への投資を償却する (write off) 予定である。
     規制当局へのファイリングによれば,2016 年12月までの9ヵ月で,SoftBank は Snapdeal と Ola で合計 $4.75 億を償却した。日本の企業は Snapdeal にこれまで $8 億近くを投資した。
     SoftBank の Flipkart への投資は,サウジアラビアと提携して設立した $1,000 億の Vision Fund を通じて供給されるのかもしれない。
     アメリカの P2P マーケットプレイス eBay も,これまでに投資を約束した $5 億で,同社のインド営業部門を Flipkart と合併させることにより,インドを出たがっている。
     Flipkart は インドでアマゾンに対抗して成長し得る唯一の企業であり,SoftBank と eBay は自分の部門をこれに合併させようとしている。
    Flipkart の最近の資金集め
    [よくまぁ集まるもんだ。]
    インドの電子商取引の再編は,アリババの市場参入に先行している。中国の巨人は最近 Paytm 電子商取引に $2 億を投資して,インドでの足場を固め,アマゾンと Flipkart に攻勢を掛けようとしている。
     アナリストらは,SoftBank, Tiger Global, 騰訊, および eBay の間の連合を,Flipkart がアマゾンとアリババに攻勢を掛ける火力を獲得する1つの手段と見る。
     "インドから見れば,Flipkart は 比肩し得る唯一の企業であろう。Flipkart は 電子企業として長らくやってきたし,インドのオンライン小売りの規模を見れば, Flipkart は大手である。" … と Third Eyesight の CEO Devangshu Dutta が言う
     だが,アマゾンとアリババから見れば,インドは世界で残された最大の市場であり,両社の当地への投資は前代未聞の巨額になるものと見られる。
    3月22日ごろのインドからのニュースは, 「ソフトバンクが Snapdeal を Flipkart に売却する」 … と伝えており,Snapdeal は その報道を強硬に否定していた。
     上のニュースでは, 「Tiger が Flipkart の一部を SoftBank に売った後 Flipkart と Snapdeal を合併させる」 … となっている。Snapdeal との合併は,合理化による経費削減を狙うのだろう (しかし,投資分を回収する … というのだから抜け目ない)。これなら,Snapdeal の言うことが正しいように思えてくる。つまり, SoftBank はインドから足を洗わせてもらえない。
    上の表を見てもよくわからんが, インドで起こっているのは「ババ抜き」らしい。
     要するに ソフトバンクのインド投資は,ほぼ完全に失敗した。
     それなのにまだ「牛さん」と見られている。
     eBay は撤退したがっている。
     これまで 書いてきたことに間違いは無い。おかしなことはやめて「熊さん」になり,インドから完全撤退せよ! 今なら,寛大な株主さんは宥してくれるだろう。それに
     規制当局へのファイリングによれば,2016 年12月までの9ヵ月で,SoftBank は Snapdeal と Ola で合計 $4.75 億を償却した。日本の企業は Snapdeal にこれまで $8 億近くを投資した。
     こういう実績では,投資銀行業務をやる資格が無い。仮に 10 兆円の「投資ごっご」資金を手にすれば,数兆円規模の損失を招き,東芝とまでは行かないにしても,株価は暴落するに違いない。

  27. Intel Corporation Outs 14-Nanometer++ Technology
    インテルが 14-nm++ 技術を公表する
      Motley Fool,2017/03/30 @10:00 am ET
      By Ashraf Eassa
    チップメーカー インテルは,今年これから出荷する新しいプロセッサに使われる製造技術の詳細の一部を公表した。
    インテルは昨年,14-nm+ と呼ぶ技術に基づく製品の出荷を開始した。これは,2014 年に製造に入った 同社の初期の 14-nm 技術の性能改良版である。インテルは 12% 改良したと言う。
     この技術は 現在,インテルの第7世代コア・プロセッサ・ファミリー (ノートブックとデスクトップ・コンピュータ用のインテルの現在の PC プロセッサ製品ライン) の製造に使われており,同社の データ・センター用プロセッサ Skylake Xeon のビルドにも使われる予定である。
     今年 これから,インテルは 14-nm 技術のさらに洗練されたバージョンである 14-nm++ を使った製品の製造を開始する計画である。
     この技術についてインテルがどんなことを考えているか,そしてこの技術を使って将来どんな製品をインテルが考えられるかを詳しく見てみよう。
     更なる性能の大きな向上
     インテルは 14-nm++ が 当初の 14-nm 技術に比べて +26% 性能が向上したと言う。これは 14-nm+ 比べて +12.5% である。そして消費電力は最大 52% 下がったと言う。
     さらにインテルは,同社の 14-nm++ 技術が ライバルのサムスン および TSMC (台湾半導体製造) の 14-nm, 16-nm 技術に比べてトランジスタ性能が少なくとも +20% 高いと言う。
     インテルが 14-nm から 14-nm+ へ移行したときに見たのと同様に,このような性能向上は 製品レベルでの性能向上に直結する。たとえば,インテルのノートブック用 Core i7-6640U は基本周波数が 2.4 GHz として登場したが,最大ターボ周波数は 3.4 GHz であった。
     このチップの 14-nm+ 版 Core i7-7660 は,基本周波数 2.5 GHz で動作するが,最大ターボ周波数は 4GHz であり,14-nm+ への移行により,ほぼ 18% 周波数がジャンプしている。
      Even in the high-performance desktop market, Intel's 14-nanometer+ technology delivered nice gains. The Core i7-6700K gaming chip came rated at a base speed of 4GHz, and it could run a single core at up to 4.2GHz. The successor to this chip, built on 14-nanometer+, ran at a base speed of 4.2GHz, single-core turbo of 4.5GHz, and all-core turbo of 4.4GHz.
     こういう状況であるから,インテルの 14-nm++ 技術は,今年これからロールアウトされる製品の性能を確実に改善するだろう。これについては,将来のコラムで触れたい。
     密度の犠牲
      [2017年3月28日にサンフランシスコで インテルの最新製造技術を紹介したイベント] Intel Technology and Manufacturing Day で,インテルは かなりの時間を割いて同社の技術が競合する技術よりも優位であると説明した。インテルは,14-nm++ 技術が 14-nm, 16-nm 技術より少なくとも +20% 高速であると主張したし,14-nm 技術が 競合する企業の 14-nm,16-nm 技術より 約 30% 高密度であると主張した。
     しかし,私はこの2つの主張が同時に成り立つとは思えない。
     たとえば,14-nm+ から 14-nm++ への移行に際して,インテルは トランジスタ・ゲートのピッチを 70 nm から 84 nm に緩めたと言う。これは 確かに性能を改善する。しかし,チップ・レベルのトランジスタ密度を犠牲にすることは間違いない。
     これは,特に消費者が コンピュータ内部のチップの製造に使われる技術の高密度化よりも 高い性能に関心を持つ現状では,良いトレード・オフである。ただし インテルは 14-nm++ が密度と性能の両方の利点を同時に持つかのようにマーケティングしていることについては,安心を覚えない。
     愚者の結論
     インテルは,これまでつねに新しく良い製品を毎年市場に送るとコミットしてきた。14-nm++ 技術を用意してその技術に基づき製品を提供するインテルの作業は,同社がこの約束を守ることを可能にした。
     私が ここでインテルに望むのは,このような 毎年続く製品改善を持続して実行してほしいということである。 この約束を今後何年も続けければ,同社の事業部門全体にわたって,しっかりとした形となって実を結ぶに違いない。
    こういう微細化は,いったいどこまで続くのか?
    前回のソフトバンクの決算発表でも ARM の設計がかなり小さなチップを作ることを 社長さんは自慢していた。
     小さいほど良いとは言え,余りに小さくすれば,製造が難しく,コストが掛かる。どんどん波長の短い紫外線を使う必要が生じる。目に見えない光であるから,現在でも それなりに危険である。
     しかも,いずれは動作が不安定になる。10 nm といえば シリコン原子の大きさにして 数十個であろう。何かの弾みで断線ということはあるだろう。地球には放射線が常に注いでいる。どれかの原子がそれでやられたら? 微細化すれば,原理的にはこの危険が増す。
     仮に地球上で 1,000 万台の自動車が動いており,その中のどれかのチップが 放射線の影響でおかしな動作をして事故が発生する確率はいくらとか … ARM は インテルはそういう安全率の計算をやっているんだろうか?(笑)。いずれは,チップ自身が AI を内蔵して,自分がおかしな動作をしていないかチェックするようになるんだろか?(笑)。いずれにせよ,微細化を追求すれば そういう問題もまじめに考える必要が生じるだろう。

  28. Didi Ponders SoftBank-Led $6B Investment As China's Ride Share Giant Suffers Volume Declines
    滴滴出行は売り上げの減少に苦しむ中で,ソフトバンク主導の $60 億投資にあれこれ考える。
    China Money Network (中国金融投資網),2017/03/28 @22:37 HKT
    By Nina Xiang
    「中国の Uber」と呼ばれる滴滴出行は,SoftBank Group が支援する $60 億投資を取るかどうかを検討中である。この資金調達は,実現すれば インタネット企業にとってこれまでにない最大の非公開資金調達となるが,中国のライドシェア巨人は,中国全土にわたり規制が実施されたために,売り上げの減少に苦しんでいる。
    SoftBank は,自分自身が投資するのかもしれない。 あるいは まだ成立していない $1,000 億 Vision Fund から金が来るのかもしれない。後者は ロンドンに拠点を置く巨大な投資法人であり,サウジアラビアのソブリン基金と SoftBank からの $250 億を種銭とする … とインサイダー情報を引用するメディアは伝える。
     今回の投資は,滴滴出行の現在の支援者らを希薄化する。その数は 100 を超え,アップル,中国のソブリン基金 中国投資 (CIC),騰訊控股 (Tencent),アリババ集団が含まれる。騰訊控股とアップルは,自らの権益の希薄化を避けるために 比例配分で投資に加わろうかと考えている … と報道されている。今回の投資に参加しない人たちは,その権益が希薄化されることになる。
     1つ重大な問題は,SoftBank が率いる投資で使われる 滴滴出行の評価額である。昨年9月,北京に拠点を置く滴滴出行に富士康が $1.199 億を投資したとき,滴滴出行は $340 億に評価された。多くの投資家は,この巨額の評価を滴滴出行がどうやって維持できるのか懸念を抱いている。というのは,中国の規制当局が厳格な規制を始めたために,同社のプラットフォームの利用者も, [白タク] 運転手も, [白タク運転手が私有する] 車両も, すべて減少しているからである。
     北京や上海のような大都市では,新しい規制が [白タク] 運転手に対して 滴滴出行の私有車を運転する資格として,地元に住んでいることを要求する;これにより,滴滴出行が使える運転手の数は大幅に減少する。他方,乗客の方は,かつては現金代りにクーポンが使えたプラットフォームから逃げ出した。一部の乗客は,摩拜単車 (Mobike), 共享単車 (Ofo) のような自転車共有サービスが 短距離交通には良いと言う。このため 滴滴出行のサービスに対する需要は ますます下がる。ちなみに 滴滴出行は Ofo を支援している。
    やはり,ソフトバンクの「投資」は デューディリをやっていない。
     もちろん,"数ヵ月を要することも珍しくない" と言われるデューディリをきちんとやっていたら,こんなに立て続けに出資ができるわけがない。いま 中国でスマートフォンと組み合わせて自転車共有サービスが流行していることくらい 日本の BS テレビで分かる。
     こんな企業が 願景基金を始めるのは危険である。このニュースを見ただけでも,出資者は出資をやめるだろう。
     ソフトバンクは,外国での「投資ごっこ」を一切やめるのが最善である。だって,その資格が無いんだから。やれば 損失が出る。損失分を大金持ちの社長さんが全額個人負担するなら話は別だが,これまで そんなことはしていない。むしろ反対である。投資したことを発表すらしていない投資で損が出たからというので,会社に損失を押し付けている (発表していないんだから 個人負担すべきである)。しかも,その説明を決算発表で一切しない。
     「今後は 外国への投資ごっこを一切いたしません」と 社長さんが声明で発表すれば,株主は安心して 株価は爆上げか?(笑) 株価を上げる気はないの? 社長さん!
     そもそも,ソフトバンクの東京本社で,中国語ができる人は何人いるの?
     あの広い中国に出かけて行って 市場調査ができる人が何人いるの? 中国は広いから,たくさん必要でしょ。
     滴滴出行と自動運転で協力っていうけど,そういう技術を中国語で話せる技術者は 何人いるの?
     あの役立たずの "こしょうくん" で フランスのアルデバランと提携したとき,責任者についたのは フランス語も英語もできない人だったんでしょ (Bloomberg)。

  29. SoftBank Considers $6 Billion Investment in China Ride-Hailing Firm Didi
    ソフトバンクが 中国配車企業 滴滴出行への $60 億投資を検討する。
    Wall Street Journal,2017/03/28 @12:09 pm ET
    By Kane Wu & Mamumi Negishi
    この金は,滴滴出行が 自動運転車技術へ拡大するのを助ける
     SoftBank Group Corp が,約 60 億を投資して 配車企業に自動運転技術を拡大するのを助けようと,中国の滴滴出行科技に接近した … と この件を知る2人が言う。
     この投資の大部分は SoftBank が計画する $1,000 億 Vision Fund から,中国で拡大する配車市場に新しい価値をアンロックすることを望んで,来るらしい。もともとは1月に立ち上げを予定していたテック基金が遅れているのは,SoftBank が サウジアラビアの公共投資基金,アブダビのムバダラ開発,アップル,クアルコム,オラクル のような投資家からの異なる要求を検討 (weigh) するためである … と この基金に近い別の1人が言う
     滴滴出行は,昨年ライバル Uber の中国営業部門を合併することにより,中国の配車のチャンピオンになった。SoftBank は,騰訊控股, アリババ集団, 百度と同様に,配車アプリの権益を探し求めてきた。日本のグループは 昨年,シンガポールに拠点を置く Grab の $7.50 億 資金調達を率いた。Grab には滴滴出行も投資している。SoftBank は 2015 年に快的打車 の $6 億資金調達を率いた。快的打車は,その直後に 滴滴打車と合併して 滴滴出行となった。
      Through the Vision Fund, SoftBank Chief Executive Masayoshi Son hopes to target multimillion-dollar investments in areas such as autonomous driving and artificial intelligence. Tech giants are racing to corner key technologies as gadgets become increasingly connected, exchanging information without human input.
     Since announcing the fund, SoftBank has invested in shared-office-space firm WeWork Cos. and satellite operator Intelsat SA, with plans to have the Vision Fund take stakes in the companies as well. It plans to sell a stake in its U.K. semiconductor designer ARM Holdings PLC to the fund as well, people familiar with the matter have said.
     滴滴出行は Uber China を合併した際に $360 億に評価された。この取り引きの一環として,Uber も滴滴出行の大株主になった。滴滴出行は,中国の3大テック企業すべて (アリババ,騰訊控股,百度) を株主としている。
     SoftBank の投資は,中国で規制のハードルに直面している滴滴出行に支援を与える。中国のいくつもの都市が 昨年末に どんな車が使えるか,どんな人が運転できるかについて制限を行なう規制を始めた。これが滴滴出行の事業を大きく阻む可能性がある。
     他方,中国の反トラスト当局は 滴滴出行が Uber を買収する取り引きの審査を開始した。この審査がいつ完了するかは不明である。
     SoftBank が 滴滴出行に投資するかもしれないというニュースは,以前に Bloomberg が伝えた。
    こちらを読んでも,SoftBank の調査が不十分な印象を強く受ける。当局の規制をどこまで把握しているのか。
     軟銀願景基金が 発足しない理由については,
     もともとは1月に立ち上げを予定していたテック基金が遅れているのは,SoftBank が サウジアラビアの公共投資基金,アブダビのムバダラ開発,アップル,クアルコム,オラクル のような投資家からの異なる要求を検討するためである … と この基金に近い別の1人が言う。
     いったい,2ヵ月ものあいだ いかなる「要求」を「検討」しているのか?
     おまけに,ここに出てくる投資家のリストは,昨年から全く変わっていない「古顔」であり,新顔は1つもない。毎度毎度 古顔さんが登場する。
     これは,いったいどういうことか?

  30. To match a shifting strategy, Intel names a chief strategy officer
    戦略のシフトに合わせて,インテルが最高戦略責任者を指名する。
      Portland Business Journal,2017/03/29 @01:35 pm PT
      By Malia Spencer
    チップの大手 インテルは,PC だけではなしに ユビキタス・コンピューティング [コンピュータが到る所に存在し,いつでもどこでも使えること] に向けて戦略のシフトを続ける中で,この長期ゲームを推進する専任の役員職を設けた。
    インテルは 上席副総裁 Aicha Evans を最高戦略責任者に昇格させた。彼女は Bob Swan CFO に直属し,カリフォルニア州サンタバーバラの本社を拠点とする。
    Aicha Evans は インテルの新任の最高戦略責任者である。
    (インテル提供)
     Evans は 以前 インテルのオレゴン州ヒルズボロのキャンパスで働いていた。
     "Aicha は,この業界の洞察に優れた人物であり,当社の上級経営チーム および 取締役会が 次にインテルが何に集中すべきかの判断を助けるだろう。" … と Brian Krzanich CEO は用意した声明で述べた。"彼女の新しい役割は,インテルの事業 ── 中でも重要なのは 5G とその他の通信技術 ── 全体にわたる強い戦略的リーダーシップを反映するものである。彼女の計り知れない重要な専門的知見は,当社の長期戦略と製品ポートフォリオに寄与するであろう。"
     一番最近では,Evans は インテルの通信+機器グループを受け持っており,インテルの無線通信計画を率いていた。彼女は 2006 年に ソフトウェア統合+テストのマネージャとして インテルに参画した。 This work has been important as the company tries to inject itself into the mobile market, a trend it missed as rivals dominated the smartphone market. The company pushed a post-PC narrative to Wall Street and the broader industry as it powers the data centers and other network elements needed to connect more devices, including those powering cars and factories.
     In order for these new products and services to be useful, vast amounts of data must be crunched and analyzed.
     Intel wants to power the data centers behind these, as well as get in front of the next generation of wireless, known as 5G, which will be needed.
     Last year, there were rumors Evans was leaving the company amid what looked like an executive shake-up. Since becoming CEO, Krzanich has brought several new executives from outside the organization to fill new and existing roles while unveiling his vision for a post-PC Intel.
     インテルは,Evans のこれまでのポストを埋める新しいマネージャを募集中である。

  31. Chinese tech company Tencent acquires 5 percent Tesla stake
    中国のテック企業 騰訊控股が,テスラの 5% の権益を取得する。
    Associated Press,2017/03/29
    中国のテック大手 騰訊控股が,電気自動車メーカー テスラの 5% の権益を取得した。
    アメリカ証券取引委員会に提出された書類によれば,騰訊控股 (Tencent) は $18 億を投じて 今月初めにテスラが発行した 820 万株を取得した。テスラは 今年後半に発売予定の 初の大衆車 モデル3に必要な金を調達するためにこの株式発行を行なった。
     深圳に拠点を置く騰訊控股は,アジア最大のテック企業の1つであり,2016 年の売り上げは $219 億である。同社は,ソーシャル・ネットワークとオンライン決済プラットフォーム ならびに ゲームを運営する。
     騰訊控股は,中国電気自動車スタートアップ Future Mobility Corp の支援者でもある。
     CEO Elon Musk は,依然としてテスラのトップ株主であり 21 % の株式を握る。
     午後の取り引きでテスラ株は +3.4% 上がって $279.38 をつけた。
    何だか腑に落ちない。
     騰訊控股は (アリババと並んで) 滴滴出行の大株主である。
     その騰訊控股が 滴滴出行を見捨てて,アメリカで テスラに $18億 を投資する。
     そこへ (まだ ウワサであるが) ソフトバンクが 60 億を追加投資する。
    ──────
      『iPhone のカギを握る委託製造業者 鴻海が 中国の滴滴出行に 1.2 億ドルを投資する』 (Nikkei Asian Review,2016/09/09)

  32. China ride sharing giant Didi mulls $6 bln SoftBank-backed investment: Bloomberg
    中国ライドシェア大手の滴滴出行が,SoftBank が支援する投資 $60 億を検討中:Bloomberg 報道
    Reuters,2017/03/27 @11:44 pm ET
    By Adam Jourdan & Shida Yoshiyasu (上海,東京)
    中国ライドシェア大手企業 滴滴出行 (Didi Chuxing) が,Uber のような世界的ライバル攻略を目指して,日本の SoftBank Group が率いる $60 投資を検討中である … と Bloomberg が火曜日 この件を知る情報源を引用して報道した。
    世界的なテック巨人 アップル および 騰訊控股により支援されている滴滴出行は,中核たる配車事業から新たな成長のドライバーを見つけようと多様化を見据える中で,本国において [白タクの] 運転者に関する規制当局との難題に直面している。
     ライドシェア・プラットフォーム 滴滴出行は,2年の激戦の後で,昨年 Uber の中国部門を買い取り (Uber 1株につき 1/5 株を与えることにより),その結果 約 $350 億に評価される合併後の企業が誕生した。
     コメント要請に対して,滴滴出行から即答は無かった。
     SoftBank のスポークスマンは,コメントを拒んだ。
    ロイターの記者さん2名が 上海と東京で確認できなかったの?

  33. Didi Said to Be Weighing $6 Billion SoftBank-Backed Funding
    滴滴出行が,ソフトバンクをバックとする資金手当て $60 億を検討中とのウワサ。
    Bloomberg,2017/03/28 @11:57 JST
    By Lulu Yilun Chen
      騰訊控股,アップルは 希薄化を避けるために出資の意向。
      中国のライドシェアのリーダーは,研究・開発の資本が必要。
    中国のライドシェア大手 滴滴出行 (Didi Chuxing) が,SoftBank Corp が支援する $60 億の投資を受けるかどうか検討中である;この投資は アップルのような既存の支援者の持ち分を希薄化する … と この件に詳しい複数の人が言う。
     この取り引きがうまく進めば,中国のテック・スタートアップ企業にとって1回の投資としては新記録となる, ただし,北京に拠点を置く (中国から Uber を撃退した) 企業は,今度は 100 以上の投資家の権益のバランスを考慮する必要がある;その中には アリババ集団も中国のソブリン基金も含まれる … と彼らは言う。ただし,この件が未公表なので匿名を条件として言った。中国ソーシャル・メディアの大手 騰訊控股とアップルは,自分の権益が希薄化されるのを避けるために,比例配分で投資に参加できないものかと考えている。この金が 日本の会社から直接に来るのか あるいは まだ発足していない $1,000 億の SoftBank Vision Func から来るのかどちらなのかは不明である。
     昨年 $100 億の現金 および 同等物を蓄えた 滴滴出行は,無人運転技術を開発する中で Uber および アルファベットとの関係を固めたうえで,さらに追加の資金を取り込むかどうかを決断する必要がある。同社は,規制当局により私有車の台数と営業を行なう運転手の数に厳しい制限を受けている。このため 上場計画に遅れが生じる可能性がある。
     滴滴出行のスポークスウーマン Sun Liang,騰訊控股のスポークスウーマン Canny Lo,アップルのスポークスウーマン Carolyn Wu は,資金調達に関するコメント要請に応答しなかった。SoftBank のスポークスマン Matthew Nicholson は,コメントを拒んだ。
     大富豪の SoftBank 議長 Masayoshi Son は,サウジアラビア および アブダビのムバダラ開発からの金を得て,彼自身の会社が支援する Vision Fund を閉じようと努力しているところである。アップル,クアルコム, オラクル議長 Larry Ellison はそれぞれ $10 億をこの基金に投資する … とこの件に詳しい人がこれまでに言った。この基金の使命は,人工知能や IoT のような次世代技術を支援することである。
     SoftBank は 既に滴滴出行の支援者であるが,Son は中国の交通が技術により大変革されるとの賭けに 今や倍賭けしているのだろう ── ちょうど電子商取引大手アリババと国内消費への移行にギャンブルを張ったのと同じである。
     "配車事業は,市場の大きさが制限されてはいますが,交通業界全体とその可能性を見れば,滴滴出行は 非常に良い立ち位置にいます。" … と北京に拠点を置く Trustdata のインターネット・コンサルタント Zhou Xin が言う。"Son は何年も昔に,中国の消費が上向く可能性にアリババで賭けを張りました。滴滴出行への投資も,同じ哲学によるものでしょう。"
     柳青 CEO が率いる滴滴出行は,Uber の中国営業部門を買収後,中国ライドシェアのリーダーになった。
     滴滴出行は タクシーの乗車料金を運転手から徴収しないので,売り上げの大部分は私有車への乗車の手数料による ── このため このセクターは 運転手と車に対する厳しい資格審査により妨害されてきた [?]
     滴滴出行は この3月に天津で営業免許を取得し,中国で合法的な営業ができるようになった。しかし,北京や上海を含むような都市での事業は,規制が厳しいために停滞している;たとえば,私有車の運転手が営業を行なうためには ,その地域の住民でなければならない。
     同社は また,自動運転技術の研究を拡大するための資本を必要としている。この分野は,テック業界の大手企業 (Uber,アルファベットを含む) が資源を投入中である。滴滴出行は,400 程の中国都市にわたる3億人利用者のデータを強みとして使いたい。誕生後4年になる企業は,今月カリフォルニア州マウンテンビューに 人工知能研究所をオープンした。Didi Labs という名前のこの研究所は,既にこの分野の専門家を数十人招聘した。その中には,元 Uber の自動車セキュリティの専門家 Charlie Miller も含まれる。この人は 2015 年に スプリントの回線につながったジープ・チェロキーを遠隔操作によりハッキングして,動けなくしたことで知られる。
     SoftBank の前には,中国ライドシェアは,何回ものラウンドにより数十億ドル調達し,約 $340 億に評価されているとのウワサである。アップル,騰訊控股に加えて,滴滴出行のその他の支援者には,中国国際金融公司と ロシアの DST Global が含まれる。
    この「研究・開発」の費用と言う口実で 滴滴出行は 何度も何度も何度も 金を集めてきた。上にもそう書いてある。
     何と 100 社以上からだよ。
     ソフトバンクは常々 30% 以上を出資して筆頭出資者になり,役員を派遣すると言っている。100 社以上が出資しているんだよ。30% 以上ってホントなの? それに 現金 $100 億持ってるところへ $60 億の出資って 必要あるのか?
     そもそも こういう会社は,基本的に白タク会社であり,車なし,車庫なし,運転手なし。資産軽量形で参入が極めて容易な業界;何のために $60 億もの金が必要なのか? これまでの報道では,業界の激しい競争のため運転手と乗客への補助金に多額が流れて,結局 投資資本が「投資」になっていない。 その結果 背後にいる アリババと騰訊控股がくたびれ果てて,互いに敵同士だったのが異例の手打ちを行ない,その結果 滴滴打車と快的打車の合併により誕生したのが 滴滴快的 であり,後にこれが社名を「滴滴出行」と変更した。
     ソフトバンクは前回,この合併 (をたぶん知らずに) 直前に快的打車に $5 億出資した。
     しかし,いったん出資してしまえば,その後 このように「出資競争」に負ければ希薄化が起こるので,やむを得ず出資しなければならないのだろう。
     滴滴出行の CEO 柳青女史は,やり手とのウワサが高い。全員 手玉に取られているか?(笑)
     金をどぶに捨てるだけで「投資」とは 言えないような 「捨て金」は,株主に対する背反である。これまでに投資した分は 諦めて損失として計上し,新規の投資を控えるべきである。こういうことをやめないから「大金持ちの買収狂」と書かれるんだよね。北京などでは 営業の条件が厳しいことも知ってるんだろか? (下の記事)
     おっと,あのハッキングの仕掛け人 Charlie Miller さんが 滴滴出行にいるの? だったらなおさらだよ (笑) はずかしいっ!(笑)。社長さん 恥を知らないの? 朝日新聞にもデカデカと出たのにね。あきれた。
    ──────
      『 Uber が,中国営業を滴滴出行に売却する』 (Wall Street Journal, 2016/08/01)
      『フォーチュンの最も影響力ある女性50人に滴滴出行の柳青 (Jean Liu) 社長』(新華社通信,2016/09/14)
      『車のハッキングに現実味;遠隔操作でエンジン停止も』 (朝日新聞 ディジタル, 2015/09/08)
      『Uber のような配車サービスを北京市が禁止する』 (Want China Times,2015/01/09)

  34. Group funded by Wes Edens' firm likely to lose bid to keep Raiders in Oakland
    FIG から資金提供を受けているグループが,レイダーズをオークランドに残すのに負ける。
      Milwaukee Business Journal,2017/03/27, @10:09 CT
      By Rich Kirchen
    決定は近い ── 専門家は負けを予想する ── ミルウォーキー・バックスの共同オーナー Wes Edens の Fortress Investment Group から財政支援を受けて オークランド・レイダーズをオークランドに残す競争に。
    ニューヨーク市に拠点を置く FIG は,リタイアした NFL のレジェンド Ronnie Lott のオークランド スタジアム開発チームの一部であり,オークランド市評議会と アラメダ郡管理評議会の支援を受けている。しかし,オークランド・レイダーズのオーナーは,ラスベガスに移りたい。なぜならラスベガスでは $7.50 億の公共資金が ホテル税から新設スタジアムに支出されるからである。
    Milwaukee Bucks co-owner Wes Edens (©Scott Paulus)
     FIG は,$13 億の 55,000 席のスタジアムを含むコロセウム複合施設の建設に $6 億を公約している。Fox Sports は金曜日,オークランドが 改定スタジアム案への資金計画を NFL に提出したと報道した。しかし,NFL のコミッショナー Roger Goodell は,オークランド市が "まだ実行可能は解を示していない" … との見解を繰り返した。
     San Jose Mercury News によれば,"これまでの 我々の/あなた方の あらゆる努力にもかかわらず,我々は実行可能は解を特定していない。" … と Goodell は オークランド市長 Libby Schaaf 宛に書いた。"私にとっても クラブにとっても,結論が得られていないことは まことに残念である。"
     ESPN の Jim Trotter の報道によれば,オークランドの支援者たちは,NFL が示す懸念に対応して 自分の提案を改定し,座席のライセンスを握るとか,スポンサーシップ,ユニホームとかは やめにして,FIG をこれまでのようにローンを提供するパートナーに限定した。
     FIG のスポークスマンは 月曜日には捕まらなかった。
     NFL のオーナー会議は,レイダーズの移転をアリゾナ州フェニックスで水曜日まで行われる年次総会で投票する。
     USA Today などのニュース・メディアは,投票が早くも月曜日に行われる可能性があると言い,オーナーらは レイダーズを所有する Davis 一家によるラスベガスへの移転提案を支持する見込みだと伝えている。
     当紙 Milwaukee Business Journal の姉妹紙 San Francisco Business Times によれば,レイダーズは,Bank of America がラスベガスでのスタジアム建設費用 $19 億の一部を負担すると言う。この移転は,NFL の 32 オーナーの 2/3 以上の賛成と 新スタジアムの完成を必要とする。
    FIG の投資先は,これまでにも3件翻訳しましたが,これは NFL のスタジアム建設が絡む案件です。
     ソフトバンクが買収した FIG の共同 CEO の1人が Wes Edens ですが,この人は ミルウォーキー・バックスの共同オーナーでもある。
     一方 オークランド・レイダースが ラスベガスに移転するのを阻止しようと反対運動をしており,FIG はオークランドに作るスタジアムに $6 億を払うことを約束して,引き留めを計っている。負けちゃえば 払わなくて済むんだけど。
     一体,ソフトバンクはどこまで デューディリを行なって買収したのか? 甘いんじゃないの?
     それとも,テック企業への投資はお題目だけで,実際には スタジアム建設をアメリカで手掛けたいのか? スタジアムの名前に "SoftBank" とか "Masa" とか入れちゃって。"Masa" ブランドは,今では "SoftBank" よりも通じやすいらしい。"SoftBank" は発音しにくいし [ソービャ] かな "softie" (この意味は辞書でお調べ下さい) なんて省略されるからね。

  35. Iridium says Ligado’s ‘spectrum reality’ not the same as everyone else’s
    イリジウムは,Ligado が言う「電波の現実」が他社が考える現実と同じではないと主張する。
    FierceWireless,2017/03/27 @05:42 pm ET
    By Monica Alleven
    両社の宿怨の争いの中の最新の爆撃で,イリジウムは Ligado Networks を非難する;Ligado が自分勝手に,世界の他の部分 および イリジウムが毎日過ごす電波の現実と一致しない「電波の現実」の独自ブランドを認めるとして。
    イリジウムは,何十億ドルもの金を同社の第2世代イリジウム NEXT 衛星コンステレーションに投下した。
    イリジウムは,Ligado が提案する地上営業が イリジウムの隣接する 1617.775~1626.5 MHz 周波数と大きく干渉する … と 言い張る。そして Ligado は イリジウムの分析が "今日存在する電波の現実からかけ離れたものである" … と言うが,電波と現実とに問題を抱えているのは Ligado の方である … とイリジウムは言う。
     確かに,Ligado は 地上波サービスのプロバイダに成ると 最初に提案してから長い時間が経った。Ligado は 干渉の懸念の声を挙げていた GPS コミュニティと協定を結ぶことに成功した。そして 先月 Ligado の経営陣は,GPS 機器に並んで 地上 LTE ネットワークを営業する同社の計画を認可するのに必要な最後の情報を 連邦意思決定者たちが握っていると考える … と言った。彼らは,国家先進電波通信テストネットワークによる 428 ページのレポートを 前向きの証拠として指摘した。
     Ligado は,L バンドの 1525~1559 MHz 電波ブロックにアメリカ全域でアクセスできる;現在の営業は衛星により行なっているが,地上ネットワークとこれを結合すれば,5G と IoT をサポートするために偉大な資産になると考えている。
     ところが イリジウムは,これら全部 ── 数百万の "モノ" が事実上 イリジウムのターミナルと接触を持つようになり,同社のシステムに大惨事を引き起こす … と言う。イリジウムは これまでに 同社の第2世代 イリジウム NEXT 衛星コンステレーションに 何十億ドルも注ぎ込んでおり,自分の投資を干渉から保護したい。
     Ligado の側は,イリジウムの解析に欠陥があると これまで猛烈に非難している。ところが 先月,Ligado は FCC 幹部に,両社は イリジウムの懸念を解決すべく綿密な作業を行なっている … と書いた。もちろん,イリジウムの最新のファイリングから明らかなように,そんな風にトントン拍子に進んでいるはずが無い。
     "Ligado は,(イリジウム または その他第三者 MSS (モバイル衛星電波) プロバイダの地上無線事業を保護するという) 自分の基本的な責任を回避しようとして,FCC の ATC (Ancillary Terrestrial Component, 補助地上成分) 規則に重大な誤解を冒している。" … とイリジウムは3月27日のファイリングに書いた。"ちょうどギリシャ勢がトロイの木馬を使ってトロイに入城したように,Ligado はイリジウム および FCC を 現状よりも Ligado の最新の地上提案の方が良いのだと説得しようとしている。イリジウムは,そんなお話に乗るつもりは全く無い ── どういうことになるかは とくと承知している。"
     おもしろいことに,ワシントン D.C. に拠点を置く フェニックス先進法務 & 経済公共政策研究センターは先週,FCC の電波干渉に関する政策を調べた紀要を公表した。その中で 事例研究として かつては LightSquared Networks という名前で知られていた Ligado の今なお続く伝説 (saga) を取り上げている。ただし,その分析は 現在進行中の案件の詳細に限定されるものではない。
     FCC がイリジウムについてどのような決定を行なうかは,電波の干渉 ならびに 注ぎ込んだ費用を巻き込んだ将来の前例を確立する。そして 多くの点で,Ligado の干渉によるイリジウム および その他の "犠牲者" は, "炭鉱のカナリア" の役目をする … とフェニックス・センターは言う。つまり,現在の電波の 免許取得者 (ライセンシー) に対して,"電波が 大幅に使用変更されている時期に" FCC が 電波の干渉と投資をどのように考慮するかを示すものとなる。
    この記事に ソフトバンクという名前は登場しないものの,OneWeb, Intelsat と水面下では 密接に関連アリと独断判定して,転載することに決めました。内容は チンプンカンプンです。
     衛星企業は競争が激しいというから,OneWeb, Intelsat なども 将来こうした争いごとに巻き込まれるように思える。とりあえずは,FCC の判定が待たれる。
     イリジウムの詳しい説明は ウィキペディアの「衛星電話」 を参照されたい。

  36. ソフトバンク孫社長,ARMに懸ける「自動運転の野望」
    日経 Automotive,2017/03/28 @06:30 JST
    清水直茂
    ソフトバンクが,自動運転時代を見据えて事業領域を着々と広げている。狙うのは,重要な "通信端末" と化する自動運転車の "インフラ" を,IoT (モノのインターネット) で構築することである。同社を率いる孫正義氏が描く「野望」を読み解く。
     「事故のない世界を実現する」(孫正義氏) ――。
     巨額の買収を重ねて急成長を遂げる通信事業者のソフトバンク・グループが,自動運転開発で急激に存在感を高めている。2016年4月,自動運転を手掛ける SB ドライブを設立。同年7月には,半導体設計の ARM を3兆円超の巨額で買収した。スマートフォンの CPU コアの設計図で圧倒的なシェアを占める。同月にはホンダと人工知能 (AI) の開発で提携した。
     孫氏が目指すのは, 「人類史上最大のプロジェクト」と見る IoT の牽引役になることだ。彼の目には,自動車は IoT 市場で大きく稼ぐのに欠かせない "通信端末" に映る (図1)。
    図1 ソフトバンクは通信や半導体などを組み合わせて
    "データの流通インフラ" と呼べるものを構築したい考えだ。
    グラフは 2035 年までの通信端末数の予測。
    エリクソンのデータを基にソフトバンクが推定した。
    [うむ,やはり,目先は産業機器か。
    各社,力を入れているからね。
    ]
    IoT の関連分野は多岐にわたり,大手や新興の企業が入り乱れて技術とアイデアを競い合う。中でも自動車は巨大な市場が既にある上,通信機能を搭載した IoT と言える車両がこれから普及し始める。IHS テクノロジーは,2022 年に世界の新車の 94% に通信機能が載ると予測する。IoT 市場で 自動車は最大市場になり得る。
     クルマは,IoT の技術開発の牽引役をも担う。自動運転車の開発が急速に進むからだ。自動運転車には,IoT 全体の普及に欠かせない通信と,深層学習を中心とした AI という2つの技術が必須である。自動運転車から膨大なデータを通信で集めて AI で解析すれば,便利で安全なものにできる。
     IoT を牽引したい孫氏は,市場と技術を引っ張る自動運転車を見逃さない。自動運転時代に備えて,事業領域を着々と広げている (図2)。
    図2 ソフトバンクは IoT 時代の自動運転車を支える壮大なインフラの構築を
    目指す。同社が自ら取り組むことに加えて新興企業への積極的な出資で
    エネルギー事業を含めた "垂直統合化" を志向する。ただし 中国市場を除いて
    超大手企業と競合する自動運転システムを自ら手掛ける可能性は低そうだ。
    [こうやって比べると 左側は かなり見劣りする。
    単なるチップ設計の ARM が4回登場。 苦しいね。
    というか,Toyota-KDDI は笑っているだろう。
    車のメーカーが1社も係わっていない]
     ただし,ソフトバンクがクルマの製造や自動運転ソフトウエアの開発を自ら手掛ける可能性は低い。自動運転車のハードとソフトの開発は, ソフトバンクを大きく上回る規模の トヨタや Alphabet などの巨大企業が入り乱れて参戦する激戦区であるためだ。
     ソフトバンクは巨人の領域に割って入るのではなく,このうち誰が勝っても儲かる仕組みを作る。通信事業と ARM,電力事業,さらには投資事業などを組み合わせて,IoT 時代の自動運転車を支える「データの流通インフラ」と呼べるものを構築する。実現すれば,自動運転車が増えて事故が減るほどに,同社に利益が転がり込むわけだ。
     ■車載マイコンのすべてに ARM を
     中枢を担うのは,通信事業である。日本に加えて,自動運転車の開発を先導する米国で手掛ける。2013年にSprintを買収した。自動運転車が増えて,その運用や AI による解析に使うデータが増えるほど,通信料を稼げる。
     この戦略は時宜を得ている。移動通信は今後,自動運転車に向いている第5世代 (5G) に移り変わる。現行世代に比べて高速に大容量のデータを送れる上,遅延時間 (レイテンシー) が 1ms と短い。ソフトバンクは,5G の技術開発に着々と取り組む。
     ただし,通信事業は各国政府による規制があり,参入障壁が高い。手掛ける地域を広げにくい。世界で売るのが前提となる自動車のデータ流通インフラを築くのに,既存の通信事業は力不足だ。
     地域限定の通信事業を補うのが ARM である。世界中の自動車に同社製コアを搭載し,"広く薄く" 稼ぐ。
     ARM は,CPU コアを自社で生産せず,その設計を知的財産権として半導体メーカーに提供する企業である。消費電力を抑えたアーキテクチャーを実現し,スマートフォン用途で急成長した。9割以上を占めるとされる。ただスマートフォン市場は成長しにくくなっており,最近は自動車に力を入れる。
     ARM コアを採用する車載半導体メーカーは,既に数多い (図3)。ただ「車載情報装置や通信モジュールなどが大半」(ARM) で,エンジンやシャシー部品を制御する用途での存在感は小さい。
    図3 ソフトバンク傘下の ARM コアの採用実績。
    車載半導体メーカーのほとんどが ARM コアを採用する。
    主に車載情報装置や通信モジュールで使われる。
    エンジンや電動パワー・ステアリングなどの ECU でも採用実績はあるが
    その数は少ない。現在,制御系マイコンに使える機能安全対応の CPU コアを
    開発し,積極的に売り込んでいる (図は ARM の資料を基に作成)
    たくさんあるけれど,ARM の設計したチップが
    現在 使われているのは右上の2つだけが主力?
    エンジンや車体制御となれば,素人の ARM にできるの?
    ]
     クルマのすべてのマイコンに ARM コアを搭載することをもくろんで開発したのが,2016年9月に発表した「Cortex-R52」である。自動車の機能安全規格「ISO26262」で最も高い水準の「ASIL D」に対応した。自動運転車の制御系マイコンには,高い信頼性がいるからだ。
     ■データセンター向けで インテルに挑戦状
     加えて ARM は,データセンター用途の開発にも力を注ぐ。通信で集めたデータを AI で解析するデータセンターは,自動運転車などの IoT が普及するほどに需要が増えると見込める。
     現在,データセンターの CPU でシェアが 99% と圧倒的なのは,インテルである。ARM は,インテルの牙城を切り崩しにかかる。データセンター向けの ARM コアのシェアを,2021年頃に「20%にする」(孫氏) ことを目標にする。
     実現に向けた布石が,2020年に完成予定のスーパー・コンピューター「ポスト『京』(仮称)」の開発に加わることだ。プロセッサーのアーキテクチャーに ARM を使うことが決まった。スパコン開発により,データセンターに必要な高速演算技術を磨く。
     ソフトバンクは,データセンターの運用で大きなコストを占める電力事業にも触手を伸ばす。SBエナジーを設立し,再生可能エネルギー事業を運営する。データセンターが増えるのに併せて,その電力料を得ることまで狙う。
     自動運転車が普及すると,シェア (共有) などの新しいサービスが始まる。ソフトバンクは自ら取り組むのに加えて,新興企業に投資して対応する。アイデア勝負の面があるサービス開発は,有象無象の新興企業の中から主役が生まれることが多い。いち早く投資した新興企業が成長して株価が上がると,大きな収益を得られる。
     ■有力企業発掘に ARM が役立つ
     自社では,SBドライブが自動運転で走るバスの運行管理サービス基盤を開発する (図4)。これまでに国内の4地域やスズキと提携し,実証実験の準備を進めている。ただし「クルマを造ろうとは考えていない」(同社 CEO 佐治友基氏)。自動運転バスは,トヨタ OB が立ち上げた新興企業の先進モビリティが開発する。2018年度後半に,実証実験を始める計画である。
    図4 SBドライブは自動運転バスのサービス基盤を開発。
    運転監視にAIによる画像認識などを使いたい考えだ。
     (a) 2018年度後半に実証実験を開始する。4都市と提携し 実施形態を
    研究している。バスは先進モビリティが開発し,SBドライブは手掛けない。
     (b) SBドライブ CEO の佐治友基氏 (31) (写真:宮原一郎)
     今後人口が大幅に増えるアジア市場を意識した交通管理サービス基盤も研究する。フィリピンで, 3輪の電気自動車と通信を組み合わせた運行サービスの実証実験を始めた (図5)。将来は「マレーシアやベトナムなどに広げたい」(ソフトバンク・モビリティサービス推進室室長の田中清生氏) 考えだ。
    図5 ソフトバンクはフィリピンで EV のサービス基盤を開発中である。
    渦潮電機製の50台の3輪 EV を「公共交通機関」と見立て,
    定期的に運行する交通管理システムを開発している。車載通信
    モジュールを搭載し,位置情報などを収集する。スマートフォンを
    運転席に置いてモニターとして使い,運転手に定刻通りに運行する
    ように「進め」「止まれ」の指示を出す(写真:ソフトバンク)
     一方でソフトバンクは,投資事業でライドシェア (相乗り) やタクシー配車アプリの多くの新興企業に出資している。中国 Didi Chuxing (滴滴出向) やシンガポール Grab Taxi,インド OLA などだ。シェアは,自動運転車向けサービスで本命視される。
     今後も新興企業への投資を続けるだろうが,有力企業をいち早く探すのに役立つのが ARM だ。同社の取引先が多岐にわたるからだ。IHS テクノロジー主席アナリストの大山聡氏は, 「多くの取引先からどの技術やサービスが広がるのか早く知れる。IoT 時代の情報戦を制することができる」と分析する。
     ■弱ければ買えばいい
      IoT となる自動運転車の普及を支える「あらゆる領域から利益が転がり込む仕組み」の構築に余念がないソフトバンク。資金力を高める策にも抜かりはない。2016年10月,サウジアラビア政府系ファンドと共同で,1000億ドル (約11兆円) 規模の投資ファンドを立ち上げた。
     GF リサーチ代表の泉田良輔氏は,IoT となる自動運転車の開発は, 「資金力がものを言う」と指摘する。資金調達力の目安となる株主資本で,主役を狙える目安は 10兆円以上と考える。ソフトバンクは3兆円超にとどまるが,投資ファンドで補完する。
     当面の大きな課題は AI の開発で出遅れていることと,グーグルの揺さぶりである。AI については,「弱ければ (強い企業を) 買えばいいし,それだけの話」と,孫氏の考えを読み解くのが多摩大学客員教授の嶋聡氏である。同氏は長年,ソフトバンクの社長室長として孫氏の下で働いてきた。
     グーグルは,「ARM外し」を画策する。「RISC-V(Reduced Instruction Set Computing - five)」と呼ぶ,消費電力を抑えて IoT に使いやすい CPU のアーキテクチャーを開発する団体を立ち上げた。ARM のスマートフォンなどでの独壇場と言える地位を脅かしにいく。さらにグーグルの深層学習基盤に使うプロセッサの開発で,ARM と競合するインテルと提携した。
     ■自動車メーカーの敵か味方か
     ソフトバンクにとって,グーグルは 競合するよりも協調したい相手である。株式時価総額でソフトバンクの6倍超となる 60兆円に達する同社に挑んでも,勝算は低い。それでも,ARM の牙城を崩されない対策は練らねばならない。
     ARMが,グーグルや インテルを上回る技術の開発を目指すのが基本だ。2021年頃までに,ARM の従業員数を倍増する。加えて,ソフトバンクが手掛ける技術領域の中で有力な対策になり得るのが, 「フォグコンピューティング」や「ブロックチェーン」である。ともに,データセンターに送るデータ量を減らせる。グーグル などの巨大 IT 企業が圧倒的な主導権を握る構図に一矢報いる技術として,自動車業界などで注目を集める。
      フォグコンピューティングは,データセンター(クラウド) と端末の間にある通信基地局などに AI を実装してデータを解析する技術である。フォグは「霧」を意味し,クラウド (雲) と端末の中間を指す。ARM は,同技術の普及を推進する「OpenFog Consortium」で研究する。自動車メーカーでは,トヨタが注目して開発する。
     ブロックチェーンは,分散したコンピューターの間でデータを共有することにより,改竄などを防ぐ技術である。仮想通貨「ビットコイン」の中核技術として有名だ。クラウドにデータを集めることなく,安全にデータを共有できる。ソフトバンクは,2016年1月に同技術を研究すると発表した。自動車業界では,ドイツ企業がいち早く取り組む。
    図6 Alibaba は, 交通情報をクラウドに収集して解析する。
    中国で高精度地図を手掛ける企業を買収した上に,
    地図メーカー世界大手のドイツ HERE と提携。
    膨大な交通情報のデータを解析する技術を磨いている。
     世界最大の自動車市場である中国であれば,同国での事業から撤退した過去を持つグーグルを出し抜ける可能性がある。 同社は中国に参入しないが,ソフトバンクには中国ネット通販最大手でクラウド事業を手掛けるアリババ集団がある。
     アリババは,中国で自動運転用の高精度地図を開発する Autonavi (高徳地図) を買収。さらにドイツ HERE と提携して,交通情報を解析する技術を実用化した (図6)。自動運転技術の開発にも着手する。
     孫氏は,IoT の普及で「すべての産業が再定義される」と見通す。自動運転車が普及して事故のない世界が実現したとき,自動車産業は全く異なるものに変わっていると言うのだ。自動車メーカーにとって,ソフトバンクは敵か味方か ――。同社は グーグルと異なり,自動車メーカーと対立しにくい未来図を描いてしたたかに立ち回る。ホンダのように,味方にするのが得策だ。
    日経 Automotive の「リーク礼賛記事」の証拠として,これを記録に残す (笑)
     突っ込みどころはいろいろある。
       自動運転開発で急激に存在感を高めている ← 日本国内限定,日経の宣伝による。外国メディアは,そんなことを伝えていない。日本語しか読まない人をこれで騙す。悪質である。
       ホンダは,その後 グーグルと提携しちゃった。
    『ホンダとアルファベットが,無人運転提携を協議』 (Wall Street Journal, 2016/12/21)
    『ホンダとアルファベットの自動運転車スピンオフがコラボを協議中である』 (MarketWatch, 2016/12/21)
       「弱ければ 買えばよい」 … これが,ソフトバンクの弱さを端的に表現する。
     事実は「弱ければ,買えるのは弱いのだけである。」弱者同士が提携するのは,大して意味が無い。
     こちらが強ければ (技術を持っていてこそ) Give And Take は成り立つ。カネ (それも借金) しかなくて技術まるで無しのソフトバンクとだったら,相手は金欲しさのためだけに契約を結ぶので,そういう相手には 技術が乏しい。
     良い実例が,役立たずのペッパーであり,スプリントであり,インテルサットである。
       スプリントで自動運転を既にやっているかのように誤解させる書き方はひどい。通信料による収入が増える … のはその通りだが,5G になるとその通信料は さらにガクンと下がるらしい。要するに「土管」と俗に呼ばれる通信企業は IoT で大して儲からず,利用者が儲けるのに協力するだけなのである。だから「データの流通インフラ」として収益性の高いものを具体的に考案できるかどうかがポイントとなる。
      「GF リサーチ代表の泉田良輔氏は,IoT となる自動運転車の開発は, 「資金力がものを言う」と指摘する。資金調達力の目安となる株主資本で,主役を狙える目安は 10兆円以上と考える。ソフトバンクは3兆円超にとどまるが,投資ファンドで補完する。」
     … こんなことって許されるのか? 利益相反であろう? 投資ファンドが,客の資金3兆円を自分の事業に流用する。これで 資金が集まるはずがない。
     本来ならソフトバンクが3兆円の社債や株式を発行して,投資家に引き受けてもらうべきである。
      グーグルと全面戦争するつもりらしいが,誰しも馬鹿なことだと思うだろう。
     「 2016年10月,サウジアラビア政府系ファンドと共同で,1000億ドル (約11兆円) 規模の投資ファンドを立ち上げた」
     ここは,完全な誤りである。 「立ち上げた」のは ソフトバンクであり,サウジは無関係である。「共同ファンド」ではない。サウジから出資の同意は いまだ 得られていない。
     自動車メーカーにとって,ソフトバンクは敵か味方か?
     この問いかけは? 答は 明白である。敵でも見方でもない (笑)。なぜなら 全く相手にされないから。 実際,どこの自動車メーカーがソフトバンクを気にしたのか?
     自動運転車が普及して事故のない世界が実現したとき
     これが いつ実現するかが問題である。100 年先と言う人もいる。
     現在は Uber による商用化が始まったばかり。そこで 自動運転車が右折してくる車とぶつかって,横転するという事故が起こった。 Washinton Post は「人間の車が警笛を鳴らしたとき,自動運転車は何をどう判断するのか?」と書いている。ほんとに,完全自動運転モードの車は,こういうときに何をしたらよいのか? アルファ碁を積んでいる深層学習の AI でもどうしたらよいのか分からないだろう。
     人間と自動運転車のあいだの意思疎通の問題である。もっと簡単には,横断歩道を渡る歩行者と自動運転車のアイ・コンタクトをどうするか … という問題がある。歩行者には子どもから老人までいろいろある。反応の仕方は人により異なる。国によっても,文化によっても異なる。
     解決すべき問題は,車と人間との間で多い。上の図2では, 「人間を研究する」要素が欠落している。杜撰な計画と言うべきであろう。
     「ARM は,多くの取引先からどの技術やサービスが広がるのか早く知れる。IoT 時代の情報戦を制することができる」
     これは その通りであろうが,重要なことを忘れている。『情報』はタダでは取れない。こちらが与える情報をあってこそ,相手から重要な情報を取れる。情報には 値札がついていない タダのように誤解されることが多いが,現実にはそうではない。情報と言えども "Give And Take" である。
     ARM+SoftBank が相手に渡せる重要な情報を持っていなければ,相手は情報を与えてはくれない。だからこそ,どの企業も自社開発の技術に鎬を削るのである。
     どの自動車メーカーとも組まない という方針は 聞こえは良いが,現実には,どの自動車メーカーとも組んでもらえないので独立路線で行かざるを得ない のである。もちろん,世界に冠たるものすご~いシステムを ソフト+ハードについてソフトバンク・グループが備えていて,これを使わなければ自動運転が成り立たない … というのであれば別である。
     しかし,自動車で何が重要かと言えば,それは「安全」である。そして自動車業界は 安全について これまで厳しい試練に耐えてきた。何かあれば,膨大な車両のリコールを迫られる。そういう厳しい業界である。少なくとも1社の自動車会社と提携するか, あるいは グーグルのように地球を何周するかの運転経験を積むのでなければ,安全について学習することはできない。
    トランプ大統領が,いよいよ 『オバマ前政権が導入した地球温暖化対策の多くを撤廃し,国産の化石燃料の生産を促す大統領令に署名する』(日経報道)
     このニュースの影響は以下の通りである。
     (1) サウジは,ますますアメリカ投資から逃げる。アメリカが国産燃料を優先すれば,サウジからの石油輸入は禁止の方向へ向かう。サウジがアメリカで石油化学事業をやりにくくなった (サウジ編 Wall Street Journal の記事を参照)。
     (2) ガソリン価格が下がるので,電気自動車には打撃である。今後さらに ZEV インセンティブが廃止される方向に動けば,テスラ,ニッサンなど,電気自動車会社は 競争に耐えられなくなる。
     (3) テスラと蓄電池で大型の協力をしているパナソニックにも影響がある。
     (4) 自動運転車も一般に電動が普通だから,マイナス材料である。
     (5) ソフトバンクも自動運転を手掛けているが,上で分かるように 実質的には何もやっていないから,影響は全く無い。

  37. How A Flipkart-eBay India Merger Could Impact Amazon
    Flipkart と eBay India との合併は,アマゾンに影響を及ぼす。
    Forbes,2017/03/24 @01:44 pm ET
    By Trefis Team
    メディアの報道は,eBay India がインドの電子商取引大手 Flipkart と,両社の合併を交渉中であると伝える。この取り引きは,Flipkart が $20 億を調達する新しい計画の一環であるという。
    eBay は,Flipkart, Amazon, Alibaba より遥か以前にインド市場に参入したが,インドで強力なプレイヤーとして自立することができなかった。今回の動きは,競争の激しいインドの電子商取引空間で eBay のインド事業をさらに進めるためのものである。
     報道によれば 先週,Flipkart は マイクロソフト,eBay および 中国のインターネット巨人 Tencent が率いる $10 億の資金調達を確定させ,さらに報道によれば ウォールマートからも資金調達を仰ぐ交渉を行なっている。 いずれにせよ,インド電子商取引空間のトップ・プレイヤー同士の間で 長らく待望されていた再編が姿を現そうとしていることは明らかだ。
     インドのトップ3電子商取引企業 ── Amazon, Flipkart, Snapdeal ── は この市場のほゞ 75% を牛耳っており,小さな競争相手が参入する余地は ほとんど無い。もしも Flipkart が eBay India を取得すれば,現在第3位の Snapdeal が買い手を探しているとウワサされていることを考えると,Flipkart, Amazon, Paytm (ここはアリババが支援) の間の3社戦争になる見込みが高い。執拗な値引き競争が 電子商取引事業者を圧迫してり,Flipkart にとって新しい資金調達は,競争相手の Amazon と Paytm からの競争を振り切るためと見られる。
     eBay の Snapdeal と Flipkart への権益
     おもしろいことに,アリババは Paytm の電子商取引事業の 40% の権益を握っており,eBay とアリババの両者は Snapdeal にかなりの権益を持つ。eBay の Flipkart への投資は,巨魁 Amazon に対するインド最大手の電子商取引企業同士のアライアンスのシグナルとも見られる。もしも Amazon 以外のプレイヤーが 団結して割り引きによる販売モデルから サービスに基づくモデルにより顧客の忠誠度と定着度を狙う作戦に変更するならば,事態は Amazon にとって厳しくなるだろう。そうなれば,従来予想されていたよりも長い戦いが インドの電子商取引市場の覇権をめぐって展開されるだろう。
    インド関係のニュースは,輪郭のはっきりしないものが多い。

  38. Ericsson, SoftBank 5G trial in Tokyo to include mobility at 28 GHz
    エリクソン-ソフトバンクの東京での 5G トライアルは,28 GHz でのモビリティ [移動機器] を含む
    FierceWireless,2017/03/24 @02:01 pm ET
    By Monica Alleven
    5G レースは ここしばらくの間 進行しているが,エリクソンとソフトバンクは,東京での 28 GHz トライアルでこれを1ノッチ挙げた。今回のトライアルは 室内・室外両方を含み,移動機器のテストと静止テストの両方をカバーする。
    東京で 4.5 GHz と 15 GHz でのトライアルを 2016 年に終えた
    エリクソンとソフトバンクは,さらに進んだテストへ移行する。
    両社は 15 GHz と 4.5 GHz 周波数帯を使った基本トライアルを既に完了した。4.5 GHz と 28 GHz 周波数帯は,日本における 5G サービスで使われる電波の筆頭候補に含まれている。
     今回のトライアルは,エリクソンの 28 GHz (ミリ波) 5G テストベッド・ソリューションを使用する。これは,基地局と原型機器を含み,将来の消費者向けモバイル・ブロードバンドと産業向けユースケースの要求条件となりつつある 数 Gbps のデータ転送速度 および 超短時間レイテンシーとともに,Massive-MIMO, Massive ビームフォーミング, 分散 MIMO, マルチユーザ MIMO および ビーム追跡を含む先進 5G 技術のショーケースとなる。
     "ソフトバンクは,2016 年8月に 既に 4.5 GHz 電波の検証を開始した。現在 4.5 GHz は 28 GHz と並んで日本の 5G サービスの筆頭候補として浮上しつつある。" … とソフトバンクの上席副総裁 Hideyuki Tsukuda (佃 英幸 常務執行役員,技術副統括) がプレス発表で言った。"当社は,エリクソンのテストベッドを利用して, 28 GHz 電波で 超短時間レイテンシーと高いスループットを備えた数多くの先進機能を検証する。これらは,当社を 5G のパイオニアに位置付けるのに資するであろう。"
     この両社は 2015 年に共同の 5G トライアルを行なうことを発表し,"今日までいくつかの重要なマイルストーンを達成してきました。" … と エリクソン・ジャパンの代表取締役社長 マイケル・エリクソン (Mikael Eriksson) が言った。"エリクソンとソフトバンクが 日本で最初に 5G サービスを展開し,最もパフォーマンスの高いエンド・ツー・エンドのネットワークを提供することができると 私は確信しています。"
     日本の通信会社 (複数) は,2020 年に東京が主催都市となる夏のオリンピックに 5G のショーケースを間に合わせようと躍起になっている。
     昨年11月,NTT Docomo は サムスン電子と 5G トライアルを完了したと発表した (↓)。これは,時速 150 km で高速走行する車両内のモバイル機器とのデータ速度 2.5 Gbps の通信を実証したものであり,これにより高速列車内の 5G 機器との接続が可能であることが実証された。使用された電波は 28 GHz であった。
     アメリカでは,28 GHz 電波への関心は,固定無線に集中しており,モバイルは遠い目標とされている。そういう状況であるが,3GPP が 5G の新しい電波 (New Radio, NR) 時間軸の要素を加速する決定を行なったことを踏まえて,AT&T は 標準に基づく モバイル 5G サービスを 早くも 2018 年に開始できると発表した ── これは,従来想定されていた時間軸を1年繰り上げるものである。
    大富豪とか買収狂というような枕詞がつかない珍しい記事である (笑)
    というのは ホントの冗談であるが,
    電波を専門にする FierceWireless が このような記事を書くというのは,いろいろな意味を持つ。
     (1) ソフトバンクは 本業の通信で こういうことをやっているのか … ということをアメリカの業界人に広く知らしめる … この宣伝効果は 非常に大きいだろう。
     (2) FierceWireless は,そこまで/どこまで 日本の通信に関心を持っているのか! これは,上にもあるように,2018/2020 年の平昌/東京オリンピックで アジアの通信業界が活発に動くことを予想したためであることは明らか。
     (3) 佃 英幸氏のプレス発表を検索したが 日本語でも見つからない。日本の情報をどうやって すぐさま取得しているのか? 言葉の障壁を考えれば,凄いとしか言いようがありません。ことに Monica さんは。初めてじゃないか らね。
    ──────
     いやいや,ソフトバンクの広報にありました。
     『28GHz帯における 5G 実験試験局免許の取得および実証実験の開始について』(ソフトバンク広報,2017/03/23)
     概ね 内容は同じだが,細部は異なる。SoftBank Group の佃 英幸常務執行役員の名前も "エリクソン" も SoftBank 広報には見られない。上の記事は もしかしたら エリクソン広報の引用か?
     やはりそうでした! これをほとんどコピーした内容になっている (英語版もある)。しかし 早いね!
     この速さには 素直に驚かされる。どうしてこんなに早いんだろ?
     富士スピードウェイでの実証テストを伝える記事にもびっくりした。
     『エリクソンとソフトバンク,5G 28GHz 帯の実証実験へ』(エリクソン広報, 2017/03/24)
      エリクソンとソフトバンクは,15 GHz帯と 4.5 GHz帯を使用した基本的な 5G 実証実験を2016年に完了した。
      エリクソンとソフトバンクは,高度 5G 機能をサポートする。エリクソンの28 GHz ミリ波 5G テストベッドを使用して 5G 実証実験の次の段階へ。
      現在 4.5 GHz帯と 28 GHz帯 は,日本の 5G サービスの候補周波数帯域である。
    ──────
    しかし,しかし … エリクソンは 「エリクソンとソフトバンクは … 」と正確に書いている。これに対し ソフトバンクは 「ソフトバンクは … 」と書いて エリクソンとの共同ではなく,単独での事業であるかのように書いている。なんとも 奥ゆかしい (笑)
     この事業を担当している 佃 英幸 常務執行役員は,自社のリリースで自分の仕事・発言を無視されて,どういう気持ちがするだろう? すべては御大将の手柄。一将功なりて万骨枯る。
    ──────
      『NTT ドコモが,サムスン電子,華為と 5G のトライアルを完了した』 (FierceWireless, 2016/11/16)

  39. Uber Rival Grab Raising $1.5 Billion in New Funding Round
    新たな資金調達で $15 億を Grab が調達する。
    Bloomberg,2017/03/24 @15:59 JST (日本標準時)
      SoftBank は,Grab の拡大を助けるために $10 億の投資で支援すると言う。
      ライドシェアの Go-Jek と競争している Grab は,決済で強みを持つ。
    SMRT Corp が運営する Strides Transportation Pte Taxi が,
    GrabTaxi Holdings Pte が運営する配車アプリ Grab の広告を
    車体に表示している。2016年7月12日(火),シンガポール。
    Ore Huiying | Bloomberg)
    SoftBank は,Tiger Global Management および GGV Capital が支援するライドシェア企業 Grab に約 10 億を約束している … と情報筋が言う;ただしこの件が未発表なので匿名を求めた。この金が日本の会社から直接に来るのか,それとも まだ完了していない SoftBank Vision Fund から来るのかは不明である。Grab のこの資金調達は,東南アジアにとって新記録となろう;同社は 9月の資金調達で $30 億を超える評価により $7.50 億を調達した。
     Grab は その事業を東南アジアの7番目の国に拡大する計画を 今週発表したが,サービス網を多くの都市に広げ,生まれたばかりの決済事業を拡大し,Uber および Go-Jek Indonesia PT と競争を行なっている。これらの企業は 互いに現金を燃焼する戦いを行なっており,世界的に見ても急成長する インドネシア市場で拡大しようとしているが,資金調達能力をその下支えとして必要とする。
     Grab はコメントを拒否した。SoftBank からは 直ちにコメントが得られなかった。
     SoftBank の大富豪議長 Masayoshi Son は,彼の (自分自身の会社と サウジアラビアの公共投資基金,アブダビの Mubadala Development,アップル,クアルコム,オラクル議長 Larry Ellison からの金をバックにする) $1,000 億 Vision Fund を完了中である … とこの件を知る複数の人が今までに言った。
     SoftBank がこの資金調達の最初のラウンドを完了すれば,SoftBank は,Vision Fund に含まれると思われる 衛星スタートアップ企業 OneWeb を含めて,最初の投資取り引きを結んだことになる。
     Grabは,向こう4年間にインドネシアに $7 億を投資すると公約した。これにより 2.6 億を超える市場での勝利を狙う。インドネシアは Grab にとって最大の市場であり,誕生後4年のこの企業は,昨年 +600 % を超える成長を見た。
     向こう2年間に,6ヵ所のセンターで新たに 800 名の研究・開発要員を採用する計画である。これには インドの Bangalore (インド) と Ho Chi Minh City (ベトナム) が含まれる。同社は,インドネシアのモバイル・サービス および 金融サービス分野での初期段階のスタートアップ企業を支援する財源として $1 億を 取り置く … と言う。
     Grab の9月の資金調達も,SoftBank が先導した。
    冒頭のタクシーの画面の説明が分かりかねる人のために:(笑)
     日本では 白タクは禁止されているが,Grab のタクシー部門は 白タクである。
     Grab のハイヤー部門は,日本のハイヤーと同様に車庫,車両,運転手を抱えている。
     しかし,タクシー部門には これらは無い。白タクもあれば,タクシー会社もある。
     この図は,Strides というタクシー会社が そのボディーに自分の社名ではなく Grab を張り付けている。
     白タクの場合に たぶんこういうことはしないでしょう。通勤の空いた時間にタクシーに早変わり。
     配車アプリは Grab に限らず 参入が極めて容易なので,白タクさん (正式には「私有車を持つ登録ドライバー」と呼ぶらしい) は,複数の配車アプリを掛け持ちする。
     このため 白タクさん (運転手と乗客) に助成金を払う競争が 配車アプリ同士のあいだで発生する。
     配車アプリへ投資された金は,車庫にも不要,車両にも不要,正規の運転手にも不要 … というわけで白タク運転手への助成に使われる … これでは 普通の意味の投資とは言えない … のが普通らしい。

  40. The Israeli Economy’s Got Intel Inside
    イスラエル経済は,インテルを内側に取り込んだ
    Bloomberg,2017/03/22, @13:01 JST
    By Yaacov Benmeleh & David Wainer
    このテック企業はイスラエルにとって極めて重要であり,GDP のデータを動かすほどである。
    インテル Corp のイスラエルへの投資は,先週の買収発表の前にも既に イスラエル経済の成長の統計データに姿を見せている。
     世界最大のチップ・メーカーは,エルサレムに拠点を置く モービルアイに $150 億を支払うことで合意した。モービルアイは,無人運転車用の半導体とソフトウェアのメーカーであり,この金額はイスラエルのテック企業が受け取る最大額である。
     この取り引きは,Mizrahi Tefahot 銀行の Modi Shafrir を含むエコノミストらが,イスラエルの 6.5% という予想外に高い四半期成長 ── 少なくとも この 10 年で最大である ── が 1つには インテルが $60 億を投じたイスラエル南部の Kiryat gat 工場の刷新による … と書いた後に飛び出した。
    豪勢な金遣い
    インテルの投資は,$150 億 モービルアイ買収前の 2016 年に増えた。
    イスラエル内の資産, 工場, 装置の評価額 (単位:10 億ドル)
     カリフォルニア州サンタクララに拠点を置くインテルは,イスラエルに 10,000 名の従業員を雇うイスラエル最大の輸出企業である。 第2位は Teva 医薬品工業であり,こちらは 世界最大のジェネリック医薬品メーカーであり イスラエルに 約 7,000 名のスタッフを抱える。
     アルファベット, アップル, フェイスブックなどの世界的テック大手は 研究開発センターをイスラエルに置いているが,これら企業のイスラエルへの投資額は,インテルに比ぶべくもない。同社は 昨年 イスラエルから $33.5 億相当の商品を輸出した。これは ハイテク・セクターの海外売り上げの ほゞ 1/10 に達する。
    従業員数最大
    インテルは,イスラエルに 10,000 名の従業員を抱える。
    どの輸出企業より多い。
     数値に出して比べるのは難しいが,テルアビブの Israel Brokerage & Investments Ltd の主任エコノミスト Rafael Gozlan によれば,インテルの影響力は輸出と直接雇用を越える。元インテル従業員らが, その経験を生かして独自にテック企業を始めていると彼は言う。しかも モービルアイ買収は,財務省に減税の余裕を与える。
     こういうことは全て,過去 20 年間イスラエル経済に火をともしてきたテック業界が 停滞していると昨年レポートを発表したイスラエル政府にとって,良いニュースのはずである。1998~2009 年の間は毎年 GDP を急成長させてきたイスラエルであるが,その後の5年で,GDP の伸びがプラスになったのは,2012 年だけである。
     "経済成長の観点からは,インテルの影響は 目覚ましいものがある。" … と Gozlan は言う。"伝統的なチップ製造営業を別にしても,テック業界とスタートアップ企業への寄与を考慮すべきである。イスラエルに研究開発センターを持つ グーグルやフェイスブックのような大手の企業にも,これは当てはまる。しかし,インテルの投資の視野は 次元が違うレベルである。"
    あらためて,インテルの存在感の大きさを見せつけられる。

  41. Snapdeal in talks with rivals Flipkart, Paytm for potential sale: Report
    Snapdeal が ライバルの Flipkart および Paytm と売却の可能性を交渉中であるとの報道
    Indian Express,2017/03/22, @09:59 am (Bangalore)
    By Reuters
    Snapdeal は,2016 年3月31日までの会計年で 296 億ルピー (1493 万ドル) の赤字を出した。
     オンラインのマーケットプレイス Snapdeal は国内のライバル Paytm E-Commerce Pvt Ltd および Flipkart と身売りの可能性を交渉中である … インドの日刊ビジネス紙 Mint が水曜日,情報源を挙げて報道した
     ただし,同紙によれば,Snapdeal の広報関係者は Paytm,Flipkart との身売り協議の報道を否定した。
     "そちらの情報は不正確であり,根拠が無い。当社は,黒字に向けての当社の旅で決定的な前進を遂げつつあり,当社のすべての努力は,この方向に向けて揃っている。" … とその広報担当者は Mint への E-メールで述べた。
     Snapdeal への投資家である SoftBank Group がこの身売り交渉をリードしており,この取り引きは,オンライン小売り企業を 親会社 Jasper Infotech Pvt Ltd が調達した金額以下に評価するものと見られる … と同紙は書いた。
     SoftBank は,取り引きが完了するまで 最大 $0.50 億のつなぎ融資を注入するものと見られる … と同紙は言う。
     Snapdeal, Flipkart, Paytm からは,インドの執務時間外であるため,コメントがすぐに得られなかった。
     インド生まれの Flipkart と アメリカのインターネット大手アマゾンの両者が支配する 激烈な競争市場で利益を挙げようと,Snapdeal は先月,600 名の従業員を解雇し,創業者らは給料を返上した … と発表した。
     規制当局に提出されたファイリングによれば,2016 年3月31日に終わる会計年に,Snapdeal は 296 億ルピー ($0.1493 億) の赤字を計上した。インドの E-コマースは,世界で最も急成長を遂げるインターネット・サービスであるが,それは 主として 大幅な割り引きに支えられており,収益性への懸念により投資家が評価を下げる結果となった。
    Mint の記事によれば,Snapdeal がこれまでに調達した資金は $20 億であり,そのうちの $9 億が SoftBank によるものである。
    Softbank leading Snapdeal sale talks with Paytm, Flipkart: Sources
    SoftBank が,Paytm, Flipkart との Snapdeal 売却交渉をリードする:情報筋
    moneycontrol,2017/03/22 @04:11 pm IST (インド標準時)
    By Priyanka Sahay
    合併が成功した後で,SoftBank は合併後の企業にかなりの額の資金を投資するものと見られる … と情報筋は言う。
    日本の投資家 SoftBank は,Snapdeal を売却する協議を ライバルの Flipkart, Paytm と行なっている … と この経過を知る複数の情報源が Moneycontrol に語った。
     "協議は 両社を相手に行なわれているが,どちらが納得するかだけの問題である。" … と 上の1人が言う。ただし Snapdeal 側からこの協議に係わっている者は これまでのところ 1人もいないようだ … と続けた。
     情報筋は また,合併の成功後,SoftBank がかなりの資金を合併後の会社に投資するらしいとも言う。
     メディア報道によれば,この取り引きの規模は $15~$18 億の範囲にある。Snapdeal は,これまでに SoftBank, アリババ, Kalaari Capital, Nexus Venture Capitao, [カナダの] オンタリオ州教員年金プランなどの複数の投資家から $17.6 億を調達した。
     この協議は,SoftBank Group International (SBGI) の専務 Kabir Misra のような上級幹部らが行なっているものと見られる。
     Misra はSoftBank では E-コマースのベテランであり,Snapdeal の面倒を見るものと理解されていた。 [?]
     "Flipkart との合併は,両社にとって ウィンウィンの状況だろう。 [Flipkart に投資している?] Tiger Global はヘッジファンドであり,SoftBank のように投資を続ける純粋金融投資家とは異なる。SoftBank の参入は,両社に息抜きを与えることにもなるだろう。" … と1人の情報源が言った。
     Flipkart はインドの南部と西部の市場をよく押さえているが,Snapdeal は インド北部に強い地盤を持つと伝えられている。
     "Flipkart は,Snapdeal が建設したデータ・センターから利益を得ることもあり得る。Flipkart が まだ 決済プラットフォームを構築中という状況では, [Snapdeal の決済部門?] Freecharge がシナジーとなり得る。" … と別の1人が言う。
     今月はじめ,Moneycontrol は,Snapdeal がその規模を縮小し,収益目標を掲げて現金燃焼を減らそうとしている努力をお伝えした。
     このことは,Snapdeal が その体を細身にして,合併に向いた体質にする試みであったと見ることができる。
     同社は声明で言った:"Snapdeal は 頭から (categorically) 否定する:そのような協議を行なってはいない。その情報は不正確であり,根拠が無い。当社は,黒字に向けての当社の旅で決定的な前進を遂げつつあり,当社のすべての努力は,この方向に向けて揃っている。"
     この件について SoftBank もコメントを拒んだ。

  42. Android creator lost out on a big investment, and Apple may be to blame, report says
    アンドロイド OS の創案者が大型投資を失う;アップルのせいらしい … と報道は言う。
    CNBC,2017/03/21
    By Anita Balakrishnan
    アンドロイド OS の共同開発者 Andy Rubin は,アップルが日本の投資家との提携を深める中で,SoftBank から $1 億の投資を失った … と 事情に詳しい複数の人が Wall Street Journal に語った。
    Rubin の会社 Essential Products は,報道によれば 新しいハイエンドのスマートフォンを今年の春にリリースする計画であり,SoftBank はこの電話を日本で販売する計画であった … と WSJ は言う。しかし,アップルが その後 SoftBank の Vision Fund に $10 億を約束した。これが,SoftBank の Essential Products への投資を "ややこしくした" … と WSJ は月曜日に書いた。
     アップルが Essential への取り引きを直接に阻止したのではない … と WSJ は言う。しかし,Rubin のプレミアム電話は,アップルの大いに期待される iPhone 10 周年記念の前にリリースされることになる。この取り引きは "ほぼ完了していた" … と複数の情報筋が WSJ に言った。
     Rubin は,Android の CEO であった。これを 2005 年にグーグルが買収し,スマートフォン OS の基礎とした。グーグルでは,Rubin のスマートフォン事業のリーダーシップのおかげで,アンドロイドを世界で最も広く使われるスマートフォン・プラットフォームにすることができた。Rubin は 2014 年にグーグルを去り,ハードウェアのスタートアップ企業を含む さまざまのプロジェクトを始めた。Essential やその計画について 公式に発表したことはない。
     この出来事の余波は,アメリカに 50,000 の雇用を目指して $500 億を投資すると昨年発表してアッと言わせた SoftBank の Masayoshi Son のいや増す影響力を物語る。
    いろいろのことが 考えられますが,目先の損得を別にすると …
     一番大きな問題は シリコンバレーが掲げる innovation (革新), disruption (創造的破壊) の精神に SoftBank の動きが反する … ということではないでしょうか。
     アップル iPhone に対抗する良い電話ができれば,アップルもそれに対抗して良いものを出す。この連鎖により技術が発展すると言うのが,シリコンバレーの基本精神である。アップルにしても,こんなに小さなことで 目先の利益を狙ったと思われたら心外でしょう。
     シリコンバレーから どんな反応が見られるか 興味深い。
     それにしても,アップルの拠出額は $1,000 億の 1% の $10 億なんですがね (笑)。よっぽど資金集めに苦労していると見られる。何にしても「大金持ちさん」が小金で志の小ささを暴露した … ということでしょうか。
     代りに NTT ドコモが $1億の出資を引き受けて,Rubin さんの電話を日本で独占販売して,それがバカ売れとか?(笑)

  43. SoftBank backs out of $100 million investment in a new smartphone startup from the guy who started Android
    ソフトバンクは,アンドロイド OS の創始者 Andy Rubin の新しいスマートフォン・スタートアップ企業への $1 億投資から撤退した。
    Business Insider,2017/03/21
    By Steve Kovach
    Wall Street Journal 報道によれば,SoftBank は,アンドロイド OS を開発してグーグルに売った男 Andy Rubin が率いる新しいハードウェア・スタートアップ企業に $1 億を投資する取り引きから撤退中である。
    Andy Rubin(©Flickr | Joi Ito)
    "Essential" という名前の このスタートアップ企業は, アップルの iPhone と競合するように設計されたハイエンドのスマートフォンに取り組んでいる … と 複数の情報筋が 以前 当紙 Business Insider に語った。
     Business Insider は,Essential が $1 億以上の大型投資ラウンドを大手の投資家から完了間際であり,間もなく発表される … との情報を掴んでいた。
     Essential の最初の電話は,この春 または 夏に立ち上げられる予定である。
     WSJ の報道は,SoftBank の投資が Essential を約 $10 億に評価するはずだったと伝えている。SoftBank の投資が 同社の (テック企業に投資するという) $1,000 億 Vision Fund の一部と想定されていたのかどうかは不明である。SoftBank は,Vision Fund への資金調達を 間もなく完了するものと見られる。アップルは,この基金へ既に $10 億の投資を約束した。
     WSJ の報道は,SoftBank がその売り込み腕力を利用して,Essential の新しい電話のプロモーションを行なう計画であったと伝えている。SoftBank の支援は,アップルとサムスンが牛耳る ハイエンド・スマートフォンの過密な市場に参入するために不可欠なもののはずであった。
     Essential の広報担当者は,コメントを拒んだ。SoftBank の広報担当者は,コメントの要請に応答しなかった。

  44. SoftBank Drops $100 Million Investment in iPhone Rival
    ソフトバンクは,iPhone のライバルへの $1 億投資を取りやめた。
    Wall Street Journal,2017/03/20 @11:59 am ET
    By Rolfe Winkler
    アンドロイド OS 創始者との取り引きを取りやめるとの Masayoshi Son の決断は,予想できないスタイルを反映するものである。
    事情を知る複数の人によれば,SoftBank Group は,グーグルのアンドロイド OS の創始者が設立したスマートフォン・スタートアップ企業への 計画済みの $1 億投資を取りやめた。その理由の1つは,日本の投資家が ますますアップルとの関係を密にするためである。
     計画済みのこの投資は,スタートアップ企業 Essential Products Inc を $10 億に評価することになっていた … とこれらの人たちが言う。この額は,血で血を洗うテック業界の1つにおいて製品の販売すらまだ行なっていないスタートアップ企業にしては 破格である。この計画の資金手当ては …
     全文を読むには,ご契約下さい。
    ここまでしか読めない (笑)
     ただし,この記事をまとめた Seeking Alpha には,次のように書かれている。
       SoftBank (OTCPK:SFTBY) has canceled a planned $100M investment in a start-up from the creator of the Android OS, coinciding with SoftBank chief Masayoshi Son's closer relationship with Apple, The Wall Street Journal reports.
       The investment, in Andy Rubin's Essential Products, would have valued the nascent firm at $1B ahead of a coming launch of a high-end smartphone.
       It's a late collapse of the deal, since final investment contracts were being drawn up, sources said.
       Apple's not blocking the deal, sources tell WSJ ー but the company did agree to commit $1B to SoftBank's $100B Vision Fund in January.
       Essential's new Android-based phone is aimed at the high end of the market (mainly meaning Apple and Samsung) and is reportedly meant to anchor a suite of home automation products.

  45. New Intel Technology Bridges Gap Between Speedy Conventional Memory, Longer-Term Storage
    インテルの新しい技術は,従来の高速メモリーと 長期記憶との間のギャップに橋渡しする。
    Wall Street Journal,2017/03/19 @08:16 ET
    By Ted Greenwald
    インテルは,新しい勢いを持つデータ爆発から利益を見込む。
    インテルは,新しい技術に基づく初の製品の出荷を開始した。これにより インテルは,コンピュータ・メモリ市場の再編を期待し,テック世界のデータ爆発からさらに多くの利益を得ることを目論む。
     日曜日に広く出荷される新しいストレージ・ドライブは,3D XPoint と呼ばれる技術に基づく。同社は 10 年以上を費やして開発してきたこの技術を新しいメモリ・カテゴリに分類し ・・・ 。
     全文を読むには,ご契約下さい。
    インテルの モービルアイ買収は,ほんとに評価がさまざまで,目標株価の引き下げも出ている。
    それなのに Wall Street Journal は,インテルの事業の新しい側面を指摘して応援を送る。
    +34 % ものプレミアムが正当だったかどうかは 何年も先を見なければ分からないが,自動運転に必須な技術を数多くの自動車メーカーに供給しているモービルアイを チップメーカーのインテルが巨額で買収したところが面白い。
     さらに面白いのは,昨年5月 テスラの車が死亡事故を発生したことから,テスラとモービルアイの提携が打ち切られたことである。テスラは,提携相手の技術水準が悪いという理由で,ドイツの会社との提携も打ち切った。自社開発するつもりなのだろう。それがうまく行くかどうかも注目される。
     なお,こうなってみれば,ソフトバンクは モービルアイを買収することもできたのではないか? ARM より遥かに話題性が大きい。自動運転で何かの動きがあれば,直ちにソフトバンクの名前が出たはずである。

  46. How Chip Designers Are Breaking Moore’s Law
    チップ設計会社は,ムーアの法則をどうやって破りつつあるか?
    Wall Street Journal,2017/03/19 @11:54 am ET
    By Christopher Mims
    マイクロプロセッサは,ますます小さく, 速く, 電力消費が少なくなりつつある。だが,物理的限界に近づくにつれて,チップのアーキテクチャが 性能を押し上げる。
    最大手の半導体企業2社が,互いに無関係のように見えて 実は関連している発表を先週行なった:インテルは,イスラエルのスタートアップ企業 モービルアイの買収を発表した。ここは 自動運転車用のチップとソフトウェアを作る。他方 Nvidia は,機械学習を加速することを狙うシステムを生成したことを発表した。これは人工知能に必要なものである。
     この両方とも "特化した計算" ── すなわち ,特定のソフトウェア作業を 物理的シリコンチップに変換する ── 必要に迫られたものである。
     全文を読むには,ご契約下さい。
    全文は読めないのであるが (笑),チップ設計企業に関するこの記事で,何が重要かはお分かりでしょう。

  47. OneWeb breaks ground on new satellite facility, gears up for 5G
    OneWeb が新しい衛星製造施設を着工する;5G に向けてギアを上げる。
    FierceWireless,2017/03/17 @12:06 pm ET
    By Monica Alleven
    OneWeb Satellites が木曜日,正式に $0.85 億の新規衛星製造施設をフロリダ州 Exploration Park で起工した。ただし,これらの衛星で OneWeb が計画していることは,他の無線営業会社 (複数) を憤慨させそうなことである。
    OneWeb Satellites は,1週間に衛星を 15 個製造するように設計された
    衛星製造施設を建設中である。(イメージ提供:OneWeb)
    数百個の衛星を打ち上げるという同社の目標は,世界中の未接続や 接続に乏しい 40 億人をつなぐというビジョンの一環である。この目標と並んで, 同社は (5G に至る携帯電話業界の稠密化の一環である) 何百万個もの小型セルのバックホール供給する立場に就こうとしている。
     OneWeb 創立者 兼 CEO 議長 Greg Wyler によれば,アメリカの農村地域や その他 経済が未発達な地域にカバレッジを提供するという意味で,携帯電話事業者に頼りになる解決を与える。
     OneWeb Satellites は,衛星によるインターネット・プロバイダ OneWeb と,世界第2の宇宙企業 Airbus との合弁事業である。フロリダ州施設への初回の発注は,900 個の通信衛星の製造を含み,これが OneWeb の低軌道 (LEO) 衛星群に投入される。
     OneWeb は,従来の構造を修正することもできたが,新しい工場を建設すれば,計画に適合するように新規に設計をやり直せるチャンスであると考えた。この工場で製造される衛星は,主として OneWeb の世界インターネット・サービスのために使われるが,2018 年には,衛星は それ以外の商用衛星業務にも,世界中の政府を顧客を相手にする業務にも使える。
     Wyler によれば,"当社は,実際には この施設内でベンダーに協同を許しており,固有の区画を与えている。" … これにより,ベンダーとの間の関係を強化しており,製造前の部品のテスト・検証が可能になっている。
    Greg Wyler
     同社の取締役会は, [英国] Virgin Group の Richard Branson 卿とクアルコム議長 Paul E. Jacobs を含み,同社の携帯事業と技術に非常によく精通している。加えて Wyler は,2007 年に 03b Networks を創立し,マイクロプロセッサから 携帯, 蓄電池, ソーラーパネルなどの業界に至るまで豊富な才能を持ち,同社の DNA であるとまで評されている。衛星は,たまたま 伝送メカニズムとなっているに過ぎない。
     バルセロナの MWC 2017 で インテルサットと Onweb は,SoftBank から新しい現金注入を得て,合併を発表した。合併後の企業は 無線,モビリティ および 政府セクター ならびに メディア および 企業セグメントの顧客向けのしっかりした技術ロードマップを発表すると約束している。
     もちろん,通信事業が OneWeb の主たる顧客基盤の1つであり,OneWeb は 同社システムを 5G への移行も含めて,携帯電話ネットワークと統合し 完全互換とするよう設計してきた。
     "当社は,新しい Ka 周波数帯が モバイル業界の要求と全面的に互換性を持つように,当社システムを設計した。" … と Wyler は FierceWirelessTech に述べた。"当社は 衛星企業ではない。通信企業である。通信企業が,そのシステムの中に たまたま衛星を持っているのである。"
     5G の標準が打ち出されれば,最初の問題の1つは, 「衛星が 5G ネットワークの一部になれるか?」 … である。
     "これに対する OneWeb の答は,Yes である。" … と彼は言う。"当社は,当社のレイテンシーをテストし,確認した。中核ネットワークと (LTE RAN の要素である) eNodeB の間が切れ目なくつながることも確認した。 中核ネットワークは,そのつながり先が OneWeb なのか,地上のマイクロ波なのか,地上のファイバーなのか あるいは ケーブルなのかも知らない。中核ネットワークにとっては同じことである。我々は単なるマイクロ波のリピータに過ぎず,ただ たまたま 地上からちょっとばかり高いところにあるというだけだ。"
     第2の問題は,システムが容易に配備できるかだ。これは 5G では必須である。
     "当社は 5G のバックホールに 非常に単純な配備を採用する。" … と彼は言う。ここは重要な点である。もしもどこかのキャリアがたとえば 100 万個の小型セルをロールアウトしようと思ったら,これらすべてのセルに容量を割くという難題に迫られる。
     OneWeb は,どんなに大掛かりなインフラ投資を行なっても避けられない 特に農村地域でのカバレッジの盲点 (dead spots) を埋めたい無線キャリアにその穴埋めをするという強みを持つ。
     "アメリカには,盲点が数多くある。"  そして OneWeb は極端に安いコストでそのカバーができる。その結果,モバイル・キャリアにとって,ロールアウトが容易 かつ 低価格でできる … と彼は言う。そして,アメリカは OneWeb のカバレッジが得意とするマーケットであることは確かだ … と言う。
     OneWeb が設計する衛星のユニークなやり方は ── 1個の重量が たったの 150 kg である ── 実際 お手頃の価格であり,これまで衛星産業が 目を付けそこなっていたものである。5G で重要になるレイテンシーは,静止衛星より地球に 30 倍近いので,レイテンシーは 劇的に下がる … と Wyler は言う。
     OneWeb の投資家基盤には,クアルコム, SoftBank, EchoStar, Intelsat が含まれ,これら各社は電波をよく理解する。しかし Wyler は,OneWeb が,従来の衛星業界から遥かに隔たっており,FCC の「電波のフロンティア」プロシーディングの一環として 地上モバイル業界と衛星業界の間で進んでる電波論争の一部でさえない … と言う。
     クアルコムが投資家として加わっているが,これまで 同社は OneWeb と密に協業を行なっており, 衛星業界にとって真に革命的と Wyler が考えるチップセットを供給しており,システム全体を手ごろな価格でまとめるのに非常に大きな役割を果たしていると Wyler は高く買っている。Wyler は 以前,OneWeb のシステムの最も厄介な部分は クアルコムがチップセット面から支えてくれている … と言った。
    低軌道衛星
     地球を回る低軌道を地球低軌道 (low Earth orbit, LEO) と言う。LEOは,地球表面からの高度 2,000km以下を指す。これに対し,中軌道(MEO)は 2,000 ~ 36,000 km未満,静止軌道 (GEO)は 36,000 km前後である。地球低軌道衛星は,約27,400 km/h (約8 km/s) で飛行し,1 回の周回に約 1.5時間を要する (高度約350 kmの例)。
     大気のある天体では,低軌道より低い軌道は安定せず,大気の抵抗で急激に高度を下げ,やがては大気中で燃え尽きてしまう。
    ──────
     そこで概算してみよう。高度 350 km の衛星までの信号の往復時間はいくらか?
     2 × 350 km ÷ 300,000 km/s = 0.002 秒
    高度 36,000 km の 静止衛星 Intelsat の場合には
     2 × 36,000 km ÷ 300,000 km/s = 0.24 秒
     上の時間は,自分の声が相手に届くまでの時間である。実際には もっと間が空く (と感じられる)。
     こちらが 話し終えた後,向こうが話し始める。それが こちらに届き始めるまでに 同じ時間が掛かる。
     だから,実感される遅れは,上の時間の2倍である。静止衛星の場合の遅れは,テレビのニュースでよく見られる。
     そのほか,相手が何を話そうか考える時間もあるから,なお遅く感じられるだろう。
    ──────
     5G を使った自動運転に LEO で対応できるか? Wyler さんは自信満々だが ・・・
     新幹線並みのスピード (50m/s) で走る車が 信号の往復時間 (0.002 s × 2) の間に走る距離は 20 cm である。 あるいは ,20 cm 走らないと,システムから応答が返って来ない … と表現する方が分かりやすい。このぐらいの遅れなら,自動運転システムの設計に織り込んでおけば 問題にならないのか?
    OneWeb について,社長さんから聞けなかったような 凄い 話が出てくるよ。
     この人,本物の技術者だね。自分がやることに強い自信を持っている。お金の自信じゃないよ (笑)
     凄いことを言うね!
     『我々は単なるマイクロ波のリピータに過ぎず,ただ たまたま 地上からちょっとばかり高いところにあるというだけだ。』
     そりゃ 確かにその通りだけど … 衛星は低軌道だから1日に 20 回くらいは 地球の周りをブンブン回る。それを世界中に 900 個同時に飛ばして,全体をシステムとして制御して 40 億人をつなぐんでしょ? それを踏まえてこう言ってるんだから,技術者としてものすご~い 自信に裏打ちされた発言なんですよ。
     こういう会社に勤める人たちも さぞ うれしいだろうね。

  48. SoftBank's Son to meet Saudi King Salman on Tuesday in Tokyo: source
    ソフトバンクの Son が,火曜日に東京で サウジのサルマン国王と会う:情報筋
    Reuters,2017/03/13 09:16 pm ET
    By Yoshiyasu Shida
    SoftBank Group Corp の Masayoshi Son 議長が,火曜日に東京で サウジの Salman 国王に会う … と この件を知る1人がブリーフした。サウジ王国と日本のテック投資企業は,$1,000 億のテック投資基金の設立計画を進めている。
     この情報筋は,大富豪企業家・投資家と 今週日本を国賓として訪問しているサウジ王との会談について,それ以上の情報を持っていなかった。
     サウジ大使館からは,電話によるコメント要請に即答は無かった。
    [2017/03/18] これは 重要だ!
     改めてソフトバンクの英語広報を読むと,次のようになっている (2016/10/14)
    SBG expects to invest at least USD 25 billion over the next 5 years. SBG has concluded a non-binding memorandum of understanding (“MOU”) on October 12, 2016 with the Public Investment Fund of the Kingdom of Saudi Arabia (“PIF”), under which PIF will consider investing in the Fund and becoming the lead investment partner, with the potential investment size of up to USD 45 billion over the next five years
     つまり,サウジアラビア PIF と 2016/10/12 に "non-binding MoU" を結んだと明記されている。
     だったら 日本語の方も同じように書かなくちゃいけない。『非拘束の覚書を結びました』とね。
     覚書が拘束か非拘束であるかを この種の文書に明記するのは常識である (だから英語の方には明記されている)。こういう重要なことで 日本の投資家を対象とする詐欺を働くのは汚い。
     「あくまで紳士協定的な意味しか持たない覚書」であることを断わるべきである。
     いつ この基金が発足するのかと 首を長くして待っている日本の投資家さん哀れ!
     社長さんが 日本の投資家限定で騙すのは,今回が初めてではないから,知っている人は またか ・・・ と思うだけであるが,知らない人は,ほんとに気の毒としか言いようがない。なぜこういう汚い手口を使うのか?
     理由は推測するしかない。
     結局,この非拘束の覚書については5ヵ月経っても何の報告も無いから,オワと考えるのが当然である。リーク情報はいろいろと流しまくっているらしいが,正式の発表は 2016/10/14 以来何も無い。
    どういうことになるんでしょうね。国王と会うだけだから,具体的なことは何もないと思うけど。
     日本にとっては 結構厄介な問題になる。
     (0) 日本としては,サウジアラムコを東京に上場してほしい。けれど,1973 年に外国株の上場を始めてから先細り。今では 何と7社とか8社という状況。ここを サウジの担当者に突っ込まれては,グーの音も出なかったらしい。というわけで,サウジアラムコの上場は,ロンドンか中国か。
     中国では サウジ国王を迎えて,さっそく7兆円規模の経済協力をぶち上げている。
     (1) 日本としては石油の安定輸入だけにしたい (笑)。経済協力はしたくない (笑)。これが本音。
     サウジに工場を建てて何を作るの? たとえば トヨタが 巻き込まれるらしいが,製造コストはべらぼうだろう。鋼板などはどこから? 製鉄所も作る? 鉄鋼1トンの生産には 150 トンの水が必要らしい。鉄鋼業に限らず,どんな工場にも水は欠かせない (日本の生産業の優位性はここにある)。サウジで工場を作るとなれば,先ず最初に大量の水を調達するにはどうするかを考える必要がある。
     その他の部品は空輸? せいぜい高級車を作って中東に販売するくらい。テスラは既に中東へ高級仕様の電気自動車の輸出を狙っています。これには 完敗でしょう。
     サウジ経済の未来を支える規模など到底不可能。ソフトバンクが通信会社を作ります? 技術者などは日本から派遣? 石油化学が一番望みがありそうだが,それはもう何十年も前から三菱がやっている。 何十年も前からやっていても,原材料は豊富にあるが,十分な規模には育っていない。いくつも理由はあるが,基本的には何をやっても人材がいない。外国からの労働者に依存する経済だから。他の重要な理由としては,自然環境の悪さも,製造業には不向きである。
     (2) もう1つ重要なのがサウジ法案である。正式名称は「テロ支援者制裁法(JASTA)」と言うらしい。「9.11」の米同時テロの犠牲者遺族がサウジアラビアを提訴することを認める法案で,昨年9月末にアメリカの議会を通って成立した。まだ 実際に提訴があったというニュースは無いらしい。サウジが訴えられる根拠は,ハイジャック犯 19 人のうち 15 人がサウジアラビア国籍だった … という理由である。
     あのテロの犠牲者は 3,025 人だというから,これに3倍程度を掛ければ,遺族は ざっと1万人かな? アメリカだから,賠償額はどのくらいでしょう 仮に1人が1億円とすると1兆円の集団訴訟が想定される。もちろん,長引くでしょう。サウジとしては,もしもこの裁判に負けるとアメリカに持っている資産を没収されるかもしれない。実際,サウジがアメリカに持っている 75 兆円の資産を凍結できるか などという WSJ の記事も出ているくらいである。
     このため 既にサウジとアメリカの関係は悪化している。日本としてはこれに できるだけ巻き込まれたくない。
     とは言え,サウジ法案が成立した時点では,クリントンさんが大統領になる … と見られていたから,サウジはこの法案の怖さがまだ実感できず,願景基金の設立交渉をソフトバンクと進めていたとしても不思議は無い。
     (3) ここでどうにも不思議なのは アメリカ議会でサウジ法案が通っていることを知りながら,しかも大統領がアラブ嫌いのトランプさんになったことを知りながら,(つまり 没収をものともせず (?) )社長さんがトランプ・タワーに出かけていった (12月6日) ことである。あの時点で サウジが 願景基金への出資を取りやめていてもおかしくない … というか 虎の子のお金なんだから,当然 辞めたはず。もっとも これまで サウジの誰かさんが出資金額を明言したという報道はまるで無いから,本当のことは分からない。
     下の WSJ 記事では (社長がトランプタワーを訪問したよりあと),サウジ・アラビアのソブリン基金がアメリカへの投資戦略を見直した … と書かれている。
     「サウジ・アラビアのソブリン基金は,この法案がどんな結果をもたらすかが判明し,ホワイトハウスの新しい教書がどうなるかを見るまで,アメリカへの投資を停止した … と基金の運用判断に詳しい1人が言う。」
     そうであれば 軟銀願景基金への 450 億も取りやめたと考えるのが自然である。あるいは,サウジにしてみたら確約したことではないから,取りやめの必要も無いのか? [これが正しいらしい]
    ──────
      『アメリカの変化する政治風景は,サウジアラビアに財務戦略の再考を迫る』 (Wall Street Journal,2016/12/16)
    [2017/3/14 23:05]
      ソフトバンクグループの孫正義社長は3月14日,来日中のサウジアラビアのサルマン国王と会談した。 サウジ政府系ファンドと近く発足させる10兆円規模の投資ファンドについて説明,国王から「素晴らしい夜だった。大いに期待している」とのコメントがあったという。
     いまさら 何をご説明申し上げたんですか? なんだか変な … もう5ヵ月前 (2016/10/14) のことですよ。4ヵ月前には,社長さん リヤドから直行したと インドで (Hindustan Times, 2016/12/02) 言っていたのを YouTube で確かに聴いたんだが ・・・ 。いまさら ご説明とは 何をご説明?
     ただし,ここであらためて ソフトバンクの 2016/10/14 の広報を読むと,
     『PIF が今後5年間で最大 $450 億の出資を実施する可能性のもと ・・・ 覚書を交わしました』
     となっている。いわゆる "non-binding MoU" なんですね。binding と non-binding の違いは非常に重要である。前者ならば 両者を拘束する。ウェブによると "あくまで紳士協定的な意味しか持たない覚書" だそうである。つまり,$450 億の出資は決まっているわけではない。一応の目安という程度で,潰れることも十分にあり得る。だから その協議が5ヵ月間延々と続いているワケだ。5ヵ月延々と $450 億の協議が続くと言うことは,常識的には オワでしょう。だから その先の話が必要で ・・・
     サウジ国内に投資する可能性については「これから一緒に詰めていくことになる」と述べた。
     これは,口先だけにして やめておいた方がよい (笑)。ソフトバンクは石油を直接に買う必要はないんだから (笑)。ソフトバンクが何を投資しても大損になる。まぁ 日本の国策に協力するための捨て金と割り切れる程度までならよいでしょうが。儲けようなどと思ったら,あてが外れる。人柱 (ひとばしら) になるのは,トヨタなどに任せておけばよい。
    ──────
     結局,この会見の目的は これまでの有名人との会見と同様に,このツーショットを撮って見せびらかすことです (笑)。 ほんとに子ども染みている。カメラマンなしだったら,ここへ来ましたか? 社長さん。いつもは無理に牙を剥いて さも笑っているように見せるのですが,今回はそれが見られません。
    今度は「最後の挑戦」で「宇宙規模の通信網に照準」ですか ?
     テレビを見れば分かるように,静止衛星経由の応答に数秒の遅れ (レイテンシー) が発生するのは,光の速さが無限大ではないからである。「宇宙規模の通信網」は 仮に実現しても,使い物にならない。
     そういえば,このところ ソフトバンクが出資予定のインテルサットから2本の広報が出ている。その1つは,分かりやすい。海上の客船などに静止衛星を使ってインタネット・サービスを提供するというものだ。これが OneWeb の広報であれば素晴らしいと言えるのだが,静止衛星からの提供だと,通話はまず無意味だろう。こういうことを考えるインテルサットに出資しても成果はほとんど無いだろう。もちろん「ソフトバンクは宇宙を制覇した」と社長が胸を張って威張れるという値打ちだけはある。
     逆に言うと,静止衛星のインテルサットでは 有効なサービスを考えにくい。何をやるにも あの「遅れ」が邪魔をする。「つながる車」もやると インテルサットは言うのだが,それはインフォテインメントとしては意味があるかもしれないが,「自動運転車」は誰が考えても不可能である。やったら 世界中で衝突事故が頻発する。車以外の IoT だって 用途が限られる。たとえば,ソフトバンクも「遠隔手術」などを 5G での IoT の例に挙げているが,まさかにインテルサットではできないだろう。

  49. Intel to acquire self-driving car tech company Mobileye for $15B
    自動運転技術企業 モービルアイをインテルが $153 億で買収する。
    FierceWireless,2017/03/13 11:58 am ET
    By Monica Alleven
    データセンターを車輪に載せたものを「未来の車」と思い描くインテルは,自動運転技術プロバイダ モービルアイ (Mobileye) を $153 億で買収すると発表した。
    インテルは,この布石が同社を 急成長する自動運転車市場での筆頭技術プロバイダに位置づけるものと考え,2030 年までに 車両システム,データ ならびに サービスの市場が $700 億になると推定するる。
     インテルは,さまざまなプロジェクトで モービルアイと1年以上共同作業を行ない,さらにその他の企業とも共同作業を行なっていたが,協業のための正しい相手であり リーダーでもあるモービルアイに戻ることにした。"我々は将来へのビジョンが ほとんど同じ方向を向いていることを確認した。" … と インテルの Brian Krzanich CEO が本日の発表会で述べた。
     インテルのモービルアイへの信頼はまことに深く,同社の自動運転グループをイスラエルのモービルアイの本社へ移そうとしているほどである。この部門は モービルアイの共同創立者 兼 議長 兼 CTO (最高技術責任者) Amon Shashua が指揮を執る。インテルの上席副総裁 Doug Davis が インテルの事業グループ全体にわたって 両者の合併組織を監督し,今回の取り引きの完了後は Shashua に直属する。
     今後9ヵ月ほど,両者は 別々の独立企業として営業せねばならないが,いったん合併すれば,両者のシナジーは 導入スピード (time to market) を速め,コストを引き下げる効果がある … と Krzanich は言った。
     Shashua は,これほどまでに深いレベルの協業は,この両者の合併により初めて得られるものであり,そこから生まれる中核命題は,如何なる競争相手よりも早く しかも 優れた自動運転を提供し加速しうる能力である … と言う。モービルアイは 現在 27 社に自動車メーカーと取り引きしており,そのうちの Audi, BMW などの 10 社は製造プログラムを含む。
     従業員へのメッセージで Krzanich は,インテルが自動運転車をなぜ インテルの将来にとって重要だと考えるのかと 多くの人から訊かれる … と述べた。"その答は データである。" … と彼は言う。"当社の戦略は,あらゆる技術とあらゆる業界にたたって,インテルをデータ革命の原動力にすることだ。当社はデータ企業である。当社が注目し,解決を与える事業は,膨大な量のデータを 生み出し, 利用し, 分析する。"
     車が 運転支援システムから フル自動へと進む中で,インテルは,データセンターに車輪を付けたものが 車になりつつあると言う。インテルは 2020 年までに 自動運転車が 4,000 GB のデータを1日に発生すると予想し,高度なフル自動運転車の計算パワーと複合性は ハイエンドの インテル Xeon プロセッサと 高性能 EyeQ4 および EyeQ4 SoC,さらには 高性能の FPGA, メモリー, 広帯域接続, コンピュータ視認技術が大量に使用される機会を生む … と言う。
     今回の取り引きは9か月以内の完了が予定されている。インテルとモービルアイ 両 取締役会の承認は既に得られており,規制当局の認可 および その他の完了条件を待っている。
    インテルの強みは データですか。
     こういう誰もが知っている当たり前のようなものを「強み」だと言うところに 本当の迫力を感じる。
     逆に あまり実態がよく分からないものを「強み」だと言われても,実感が沸かない。その場合は,必死になって説明する必要があるのだが, 「データ」の場合には,別に必死になって説明してもらう必要を感じないから不思議である。やはり Krzanich さんは 凄いと思う。
     「データセンターに車輪をつけたのが未来の車」… こういうキャッチ・コピーもね。
     う~む。長期的には ARM に勝ち目は無さそうに思う。経営者の違いが大きい。
     今でも 宣伝力がそもそも大違い。
     この買収記事だけで Wall Street Journal から記事が2本でています。
     記事の数は数えきれない。タイトルを見ると,34% のプレミアムに評価はさまざま。
    別件ですが,やはり この人は凄い人なんだ。これ (↓) がすべてを物語る (2017/3/14 6:30)
     しばらくすると宮川自身にもあるファンドから声がかかった。「もし当社がスプリントを買ったらあなたは残ってくれますか」。2014年末のことだ。
     公開情報を丁寧に読んでいれば,誰が立派な人であるかは分かります (誰がアホであるかも (笑))。
     したがって,Claure 以下の Sprint 経営陣が宮川さんから見たら いかにお粗末かということも。
     しかし,宮川さんがスプリントに着任したのは 確か … 2014 年10月だったと思うけど ・・・ 確認すると ・・・ コレです (整理が良いからすぐに出てくる(笑))。記憶に間違いはない。
     Sprint でまだ 実績が無いうちだから,… アメリカのファンドが 日本での宮川さんの実績まで調べているんだ!
     ファンドも凄いけど,そこまで ネットワークで目をつけられる宮川さんも凄い。
     対して 節穴の Claure は大バカ者 (もちろん任命責任が重大である) 。翌年8月に宮川さんを降格させたんだから。
    ──────
     『スプリントが 宮川潤一氏を 最高技術執行責任者に指名』(Sprint 広報, 2014/10/31) [大歓迎]
     『スプリントが上級幹部チームを強化』 (Sprint 広報, 2015/08/03) [降格]
     『ソフトバンク 人事』 (日経電子版,2016/10/01) [帰任]
     『代表取締役副社長 兼 COOの選任について』 (ソフトバンク広報,2017/03/01)

  50. Intel to buy driverless technology firm Mobileye for $15.3 billion
    インテルが無人運転技術企業 モービルアイを $153 億で買収する。
    Reuters,2017/03/13 07:51 am ET
    By Tova Cohen & Ari Rabinovitch (イェルサレム)
    アメリカのチップ大手 インテルは,イスラエルの無人運転技術企業 モービルアイを $153 億で買収することに合意した。これは,イスラエルのハイテク企業の最高額の買収である。
     1株当たり $63.54 の取り引きは,自動運転セクタ専業の企業としては,世界最大の買収である。モービルアイは,全世界の先進運転支援 および 衝突防御システムの 70% を牛耳る。
     インテルは,この取り引きが9ヵ月以内の完了を見込むと言い,同社の non-GAAP 1株利益とフリーキャッシュフローを直ちに押し上げると言った。
     両者は 既に,ドイツの自動車メーカー BMW と 今年後半に 約 40 台の路上自動運転テスト車両プロジェクトで協業を行なっている。
     10 年にわたり,モービルアイは フランス-イタリアのチップ・メーカー STMicroelectronics を頼りにして チップ製造を行なってきた。これをイスラエル企業モービルアイは,現世代 および 第3世代の運転支援システム用に,世界の多くのトップ自動車メーカーに販売する。
     ところが BMW との協業中に,モービルアイは 第5世代のチップでインテルとも提携した。このチップは,フル自動運転車で使用することを目指しており,2021 年ごろの出荷が予定されている。
     1999 年に創立された モービルアイ (Mobileye) は 車の事故,特に死亡事故を減らすことを使命として掲げる。2007 年に Goldman Sachs から $1.30 億の投資を受けた後,2014 年にニューヨーク証券取引所に上場した。現在の時価総額は $106 億である。
     昨年 10 月 クアルコムは,世界最大の自動車用チップ供給業者 NXP を買収する $470 億の取り引きを発表し,インテル, モービルアイ, ライバル NVIDIA を含む自動運転用部品市場に喰い込みを狙う 他のチップ・メーカーに圧力を掛けた。
     クアルコムの NXP 買収は,センサー, ネットワーク および その他 自動運転に必須の要素に関してこの業界最大のポートフォリオを生み,2017 年後半に 規制当局と株主の賛成を得て 完了の見込みである。
     従業員 約 600 名のモービルアイは,2016 年の調整純利益が $1.733 億である。
    社長さんが熱を込めて説明なさったように,ARM は「つながる車」用のチップの設計を始めた。
     このニュースを聞いて 技術者集団の ARM は,どういう思いがするでしょう。
     おまけに 1/4 を勝手にどこかに売却される。
     気分は 落ち込む。
     東洋の借金会社のために これ以上働かされるなんてバカバカしい … でしょうね。
     これで ARM の業績が上がるとは思えない。

  51. The Trump-SoftBank-Saudi Connection
    トランプ-ソフトバンク-サウジ コネクション
      New York Times,2017/03/06 (3月7日,ニューヨーク版 B1 面に掲載)
      By Andrew Ross Sorkin
    昨年12月,カメラのフラッシュの中を Donald J. Trump 大統領予定者は,彩り溢れる日本の企業家 Masayoshi Son と共にトランプ・タワーのロビーを渡って歩みを進めた。
    当時 大統領予定者だった Donald J. Trump と
    日本の SoftBank の大富豪 Masayoshi Son (左)。
    昨年12月,トランプ・タワーにて。
    Hilary Swift for The NY Times)
     "こちらが,日本から来られた SoftBank の Masa です。" … と Mr. Trump は言い,続けて, $1,000 億の巨額基金を寄せ集め中の Mr. Son の SoftBank がアメリカに $500 億の投資と 50,000 の雇用をアメリカに創出すると約束した … と誇らしげに語った。
     "彼は 偉大な業界人の1人である。そこで私はあなたに大いに感謝したい。" … と彼は Yahoo とアリババへの初期投資家である Mr. Son に告げた。先月には,Mr. Son はウォール街の企業 Fortress Investment Group を $30 億で買収した。
     このシャッター・チャンスは,Mr. Trump の「アメリカ・ファースト」キャンペーンの一環として意図されたものであった。
     その日は触れられなかったが ── 今でも広くは伝えられていないが ── Mr. Son の $1,000 億 SoftBank Vision Fund は,サウジアラビア および 中東の他の国々の隠れ蓑 (front) と呼ぶのが適切である。
     サウジアラビアは,この基金への大手の投資家であり,およそ $450 億の拠出を約束した。アブダビの国有投資会社 Mubadala Development は,$150 億で交渉中である。カタールもこの基金への投資を交渉中である。
     この基金について漏れてくるニュースに少しでも注意を払っている人にとって,こんなことは秘密でも何でもない。
     Mr. Son はこの基金に自分では 1/4 を拠出すると約束したが,アップル, クアルコム, オラクルの Larry Ellison を含む 名目上の $10 億投資が数件来るのを例外として,アメリカの投資家から来る金はほとんど無い。
     シリコンバレーの最も見込みのある企業と知的財産を Mr. Son が (したがって サウジ・アラビアが) 買収することを Mr. Trump が受容したのは,大領領の「アメリカ・ファースト」発言と食い違っているように見えるかもしれない。
     "大統領,あなたは サウジから金を受け入れるのですか?" … と [トランプ贔屓で知られる] フォックス・ニュースの Sean Hannity が昨年 Trump に問うた。
     間髪を入れずに,"No" … と Mr. Trump は答えた。
     選挙運動のあいだ,Mr. Trump は Hillary Clinton とリヤド [=サウジの首都] との繋がりを批判した。
     "サウジなどの国に対して Stop Funding Hate を要求せよ … とねじけた Hillary が言う。" … と Mr. Trump はフェイスブックに書いた。"私はむしろ,彼らから クリントン財団が受け取った 2,500 万ドルを今すぐ返せと言おう。"
     これらの [大統領の] 発言は 政治に関してなされたものであるが,実業の世界にも拡大されるものなのだろうか?
     このコラムは,政治とか,サウジアラビアから金を受け入れることのモラルに関して議論する立場にはない。しかし,このような会話には耳をとめる価値がある。
    先月,東京証券取引所でニュース会見する Mr. Son (右2)。
     彼は,サウジ・アラビアにより大幅に支援を受けた SoftBank Vision Fund を
    通じてアメリカに数十億ドルを投資すると約束した。
    Kiyoshi Ota | Bloomberg)
     アメリカが 経済的 および 政治的理由から 中東の石油への依存を脱しようとしてきたのと全く同様に,革新的スタートアップ企業について 我々は今にも逆の方針を取ろうとしている。
     Mr. Trump はアメリカへの外国からの投資を力説する一方で,中東とテロリズムには厳しい態度を取る。2001 年9月11日の19 人のハイジャック犯のうち 15 人がサウジアラビア国籍だった。
     トランプ流の話し方で,彼はサウジアラビアについて矛盾する発言をいくつかした:"サウジアラビアとは,私はあの国の人全部と非常にうまくやっている。彼らは 私からアパートを買ってくれる。" … と Mr. Trump は選挙運動で語った。"
     サウジアラビアの法律は,多くのアメリカ人にとって,Mr. Trump の極めて保守的な見解でさえ 正反対である:女性は車の運転を許されない,ホモは石打ちの死刑に罰せられ,宗教の自由は許されない。
     ビックリ仰天させられるのは,サウジアラビアの Mohammed bin Salman 副皇太子が 昨年 カリフォルニア州に来た時のことである。テック業界とベンチャー資本の CEO らが列をなして会見した。このツアーは,アップルの Tim Cook,フェイスブックの Mark Zuckerberg,マイクロソフトの Satya Nadella から Marc Andreessen, Reid Hoffman, Peter Thiel のようなベンチャー投資家との会見に及んだ。
     あるいは,サウジアラビアからの金の流入が シリコンバレーの企業の評価を高めるから … との考えに立てば,驚くことではないのかもしれない。金は金なり。
     とは言え 昨年サウジアラビアが Uber に $35 億を投資したとき,一陣の埃が舞い上がった:Fortune 誌は,この取り引きが "シリコンバレーにとって 一種のモラル背反になる;企業が原則を忘れて,財務の火力と投資家らの記録に頼るようになる。" … と書いた。
     サウジアラビアは,石油への依存から経済を多様化する計画について透明である。その計画の一部は,たとえば アメリカのテック企業を買収するというような,他国の資産の買い入れである。Mohammed 皇太子は,女性などの迷惑になっている社会構造の一部を緩和することに賛成している。また 外国政策の専門家らは,これらの投資のような密接な結びつきが サウジアラビアの素早い改革を促進するのに資すると示唆する。
     Mr. Trump に公平を期するならば,もしも彼が アメリカに巨額の投資を導入したいと望むなら,アメリカが 従来複雑な関係を持ってきた国々との係わりなしにそれを実行するのは困難である。大きな金の一部は,巨大なソブリン基金とつながっている。
     Mr. Son がアメリカで行なうと公約した $500 億投資の全部が,サウジアラビアが支援する SoftBank Vision Fund から来るわけではない。その一部は,Sprint を所有し これを T-Mobile と合併させたがっている SoftBank から直接に来る。
     以上の前提の上で,Mr. Trump が トランプ・タワーのロビーで Mohammed 皇太子と並んで立ち,サウジアラビアからアメリカへの $500 億投資を協議する様子を 読者は想像できますか?
     これを想像するのは難しい ── でも今度 そういうことになれば,我々は 不思議な時代に生きている。
    ニューヨークタイムズの経済記事は,状況を完全に押さえずに書いているようなところが見受けられるが,とは言え,New York TimesNew York Times(笑)
     副皇太子さんもこういう記事には,細かく目を通しているでしょう。その上での結論は?
    ──────
    [2017/03/13 06:30] の日経記事では,近く サウジアラビアなどと共同でつくる10兆円規模の投資ファンドを発足させる。
     となっている。一体 いつになったら発足するのか?
     (1) 2月中 (×)
     (2) 3月上旬 (×)
     これでは "発足詐欺" ではないか (笑)
     杉本貴司記者さんのこの記事も,読むに値しないよ。
     ここに書かれている投資先の業績は,現在では どれも落ち目である (もちろん,本業を含めて)
     ソフトバンクの本業の通信から始めて,各セグメントごとに連載で 問題点を指摘してほしい。1週間で終わるかな? とりわけお願いしたいのは,例のインド疑惑で 特別委員会の報告書をすっぱ抜いてほしい。えっ? できない? なぜ? そんなものありません。無いんだったら無い事情を報道してください。
    ──────
     なになに,あのこしょう君が人事採用の面接をするんだと?
     バカバカしい。人の言葉も満足に聞き取れず,自分勝手なことを言うロボットが,胸におかしな看板をぶら下げて ・・・ 。
     まともな人間なら,胸に看板をぶら下げた機械が面接するような会社に 面接を受けに来るはずがない。こんなことを考える T&A とかいう会社の山崎俊明代表取締役は 上から目線。人間の気持ちが分からない。そういうところにこしょう君を提供するソフトバンクもおかしい。
     しかし,こんなものが出回るとは,いやな社会になったもんだ。
     一方 日本 IBM は,ワトソンを使って日本の長期天気予報をする … と社長がテレビで胸を張っている。長期予報まで当たるのかどうかは分からないが,こういうのは AI の自然な流れ。
     だだっ広い平らなアメリカとは違って,日本は狭い地域ごとに天候が大きく異なる。もちろん,文化も異なるから行事もさまざまである。だから 細かい天気予報が結構な商売になるらしい。なぜ「AI がお得意の筈のソフトバンク」が先行できなかったのか? その答,こしょう君 教えて下さい。

  52. Why Is SoftBank Falling After Reports Of ARM Stake Transfer To Vision Fund?
    Vision Fund への ARM 株の移管報道を受けて,ソフトバンクが下げている理由
    Barron's,2017/03/08, 08:36 am ET
    By Shuli Ren
    SoftBank は,チップ設計会社 ARM Holdings の 25% の権益を $80 億の評価で 新設される $1,000 億 Vision Fund に移管する (transfer) ことを計画中である … と Financial Times が伝えている。SoftBank は,昨年7月に ARM を $325 億の評価で買収した。
     表面上は,これは良いニュースでしかあり得ない。(1) SoftBank は ARM の 25% の権益を Vision Fund に半年前と同じ評価で移管しようとしている。したがって,売却損が出るわけではない。(2) SoftBank は重い債務を負っている。$80 億の現金注入を Vision Fund から得れば,有利子負債を $720 億から $640 億に減らすことができる。(3) 25% の権益の売却は,SoftBank が ARM の支配をまだ握ることを意味する。
     "このニュースは,基本的には株価にとって中立であると我々は考える。少なくともマイナスではない。" … と Citi Researh は書いた。
     けれども SoftBank の株価は 木曜日 1% 下がり,日経 225 は概して強かった。
     では,SoftBank の株価がなぜ下がっているのか?
     当ブロガーが思うに,投資家は 依然として SoftBank の債務の山を懸念している。Financial Times は,"SoftBank は,Vision Fund に約 $250 億を投じるが,その一部は ARM 株式によりカバーされる" … と書いている。つまり,SoftBank は そんなに金欠なのか?!
     加えて,Sprint は 依然として現金の流出口 (cash drain) である。実際 Jefferies の Atul Goyal がレポートに書いた:
     昨晩,Sprint の CFO が2つのことを言った:どちらもマイナス要因である。(1) 2017 年の CapEx は 2016 年の CapEx $30 億を超えるが,$50 億よりは少ない。(2) チャーンは Sprint 経営陣がこれまで期待したほど下がらないだろう。これは Verizon も "無制限データ" プランを開始したので,競争が更に激化するためであるという。
     ARM 株の移管は またパンドラの箱を開ける。SoftBank は他のどの資産を処分するだろうか? アリババ株か? SoftBank がその資産を投資の提携相手に移管するので,最良の市場評価を得られない可能性がある。
     気になる部分『つまり,SoftBank は そんなに金欠なのか?!』の原文は,
     So SoftBank is this short on cash?!
    ──
     当サイトが考えるに,正式発表ではないために,前提条件が確定しておらず,そのため判断が錯綜している。
     もともとは ARM 25% をアブダビに売却して,その手取り金 $80 億をソフトバンクがそのまま 基金に入金するということだったはずである (FT, Bloomberg)。多くのメディアも 「売却」と書いている。この場合に,ソフトバンクは 残りの $250 −80 = $170 億を払う必要があるわけで,その一部を ARM 株式で現物納入する。… これなら分かりやすい。
     しかし,上の記事では「移管 (transfer)」なのに 基金から代金を受け取るようになっており,これなら 基金へ売却したことになる。Shuli Ren さん,いつもはわかりやすい記事をお書きになるけれど,今度ばかりは おかしいよ。これっぱかしのことで「金欠」だなんて書いて,実際に株価にも影響があったんじゃないの。ちゃんとした理由で下がったと言うのならわかるけど「金欠」なんて ソフトバンクは毎度の事情 (笑)だってことくらい,アジア担当の記者さんなんだからよく知ってるでしょ。
     と言うか,こういう混乱を避けるためには,SoftBank がさっさと発表すべきでしょ。
     あるいは,混乱させるのが主目的なのでしょうか?
     $36.12, −$0.85 (−2.30%),As of 3:59PM EST. Market open.
     231,947 (Avg. Volume 125,026)
    ──────
     しかし, 「願景基金が正式に発足いたしました」という報道がまだありません。
     (1) 英語の複数のメディアへのリーク情報によれば,2月中の発足となっていた。(×)
     (2) 日経へのリーク情報によれば,3月上旬の発足となっていた。(これも ×)
     一体,2度もリークしておいて,まだ正式発足が発表できないとは,どういう事情なんだろうね。
     常識的には金が集まらないとか? インテルサット (移管予定) の債券価格が上がり過ぎてヘアカットが不首尾,OneWeb-Intelsat 合併が潰れそうなので,様子見か? FIG (これも移管予定) のインサイダー取り引き疑惑で SEC の調査の状況を見るために,様子見か? インドの Snapdeal から 追加の出資要請があり,様子見か? … てな可能性でしょうか。

  53. India Unicorn Flipkart Seeks Cash to Battle Amazon
    インドのユニコーン Flipkart が,アマゾンとの戦いに現金を求める。
    Investopedia,2017/03/09 06:00 am ET
    By Iris Dorbian
    インドで $70 億に評価されるオンライン小売り大手 Flipkart が,マイクロソフト, EBay, テンセントを含む複数の投資家と $12~$15 億の資本調達を協議中である … 状況に詳しい1人が伝えた。
     この現金は Flipkart が アマゾンとにシェア争いを行ない勝つためには絶対に欠かせない死命を制するものである。もともと Flipkart は,世界第2の人口を誇る国で アマゾンの事業モデルをコピーして成功を納めたのである。
     アマゾンに攻勢を掛ける
     Economic Times の取材に,元 EBay 幹部 Kalyan Krishnamurthy は,インド最大のユニコーンがアマゾンを攻めて勝つことができると自信を述べた。
     しかしながら,同紙が言うように,"創立 10 年の Flipkart は,血気盛りの戦いを挑んでいる。" アマゾンは,中国市場への侵入に失敗した後,世界第2の人口 (約 13 億人) を持つインドで勝つことに狙いを定めた。この目標を実現するために,電子商取引の巨人は インド事業に $50 億を投じることを決めた。他方 Flipkart は ライバルを振り切ろうと,大幅な割り引きを行ない,プロモーションに多額の金を投じてきた。その結果 どうなったかと言うと,Flipkart は 1月あたり数百万ドルの赤字を生んだ … と Economic Times は伝えている。
     事態の悪化に輪を掛けるのは,この小競り合いに もう1つのライバル Paytm E-commerce Pvt が参入してきたことである。Paytm は 中国のアリババの支援を受けている。このような恐るべき障害のために,Flipkart は現在投資家と交渉中である。
     Flipkart は,おそらく投資家から調達目標を獲得できるだろう … と或る情報筋が同紙に言った。しかし,そうなると Flipkart が嵌まることになる危険は,評価を切り下げて資金注入を受け入れることになるらしい点だ。おそらく 2015 年の評価額 $155 億から $100 億に下がるだろうと この情報筋は言う。
     Flipkart の現状は,インドがインド版のドットコム破産を経験した時期の後のことである。Flipkart は,巨額の赤字を出して倒産に追い込まれたインターネット・スタートアップ企業の仲間ではないが,"インドの最もよく知られたスタートアップ企業が,この業界の或る意味での先導者になった。" … と同紙は言う。
     評価の切り下げ?
     この業界の逆風をよく知る いくつかのミューチュアル・ファンドは,ポートフォリオの中の同社株式の評価を引き下げた。たとえば,Morgan Stanley の或る基金は,ウワサによれば,Flipkart 株の評価価格を 60% 以上切り下げて $60 億以下の評価を示唆した … と Economic Times は伝える。
     But Krishnamurthy is hoping to turn things around for Flipkart. An effective way to do this, he feels, is to sell groceries, a great inducement for customers to buy more. However, that may not be a sure thing given that Amazon already sells fresh food on its site.
     Yet, Flipkart is gaining an edge over its rival when it comes to cornering the apparel market in India. But as the news outlet pointed out, Amazon, which has done so in the U.S., should not be counted out when it comes to staking claim to the same space in India.
     Neither should Flipkart's prospects be so easily dismissed as well. Speaking to ETRetail.com about Flipkart's prospects, Ravi Gururag, an Indian entrepreneur and co-founder of the India chapter of Harvard Business Angels, was sanguine about Flipkart's future.
     “India is the world’s largest, most secular ecommerce market and so long as startups show they are slogging a path to profits, investors will always be there," he said. “Who can afford to ignore a market that is already bigger than the largest market in Europe?”
    Flipkart がこの状況であれば,Snapdeal がどうなっているかは容易に想像がつく。
    かつては,決算説明会でインドに熱を入れて話していた社長さんも,この頃は インドの「イ」の字も話さない。追加融資の要請は 当然来ているだろう。応じるか 応じないか? モディ首相にあれほどインド投資を約束したのであるが,何だかずいぶん昔のことのように思われる。

  54. SoftBank is said to be selling a 25 percent stake in ARM holdings
    ソフトバンクが,ARM holdings の 25% の権益を売却中であるとのウワサ
    New York Times,2017/03/08
    By Mark Scott
    日本の通信大手企業 SoftBank が 英国の半導体設計企業 ARM Holdings を昨年 $320 億で買収したとき,SoftBank 創立者 Masayoshi Son は,この取り引きが雇用と投資のような利益を英国にもたらす … と言った。
    SoftBank Group Corp の 議長兼 CEO Masayoshi Son が,ロンドンでの
    ニュース会見でジェスチャーをする。2016年7月18日.
    Chris Ratcliffe | Bloomberg | Getty Images)
    あれから僅か6ヵ月,今度は SoftBank は ARM の 25% の権益を売却する最終交渉中である … と この件を直接に知るが 公言を許されていない1人が言う。
     この売却による ざっと $80 億の手取りが (サウジアラビアなどの投資家と共に Son が設立した) 新しい $1,000 億投資基金に行くことになっており,英国,アメリカ および その他の政治家らが テック業界へのこのような投資にどんな反応を示すか 疑問を投げかける。
     Mr. Son は,$1,000 億基金を用いて新たに何千もの雇用を創出する目的をもって,アメリカのテック企業の権益を買収することについて,今年1月,Trump 大統領と就任前に面談した。
     英国の議員らは ARM を Vision Fund という名で知られる Mr. Son の投資法人に売却する提案に 依然 楽天的 (sanguine) であるが,アメリカの政治家らが アメリカのテック企業の権益をこの基金が攫っていくことを喜ぶかどうかは いまだ 不明である。
     ARM と SoftBank の広報担当者は,コメントを拒んだ。これから完了する予定の ARM 権益の売却提案は,はじめ Financial Times により報道された。
     アメリカに Sprint を持つ SoftBank による今回の動きは,Vision Fund の資金集め目標に到達するために, 更なる投資資金を確保しようと努力する中でなされた。この投資法人はロンドンに置かれ,SoftBank の戦略金融部門のトップである Rajeev Misra が運営する。
     サウジアラビアの公共投資基金が この基金に $450 億を投資すると約束しており,SoftBank は $250 億を拠出する。iPhone メーカーのアップル,オラクル共同設立者 Lawrence Ellison も Vision Fund に少額の投資を行なう。アブダビの国有投資会社 Mubadala Development とカタール政府は 基金参加を交渉中である。
     Vision Fund の目的は,Mr. Son によれば,高成長テック・スタートアップ企業に投資することである。とは言え この基金は 上場 および 非上場企業へ大きめのテック投資も行なう予定である。
     Vision Fund がその財務目標に到達しようと努める一方で,SoftBank は既に 自分の金を 儲かりそうな取り引きに注ぎ込んでいる。これには,アメリカの非上場株投資大手 Fortress Investment Group の買収と,昨年末の (衛星よるインターネット接続を提供する) OneWeb の買収が含まれる。
    注目すべきは 何といっても,
     アメリカの政治家らが,アメリカのテック企業の権益をこの基金が攫っていくことを喜ぶ (willing) かどうかはいまだ 不明である。
     ここですね。「アメリカ ファースト」を唱えるアメリカの政治家らによりで潰される。少なくともおいしい餌にはありつけない。
     最後のところは,利益相反を示唆している。
    ──────
    インテルサットの株価は,3月8日 急騰した。
     $3.92, +$0.26 (+7.10%) At close: 4:00PM EST
     839,186 (Avg. Volume 639,930)
     株の方は $5.0 に余裕があるが,債券がこの調子で上がっていれば,ヘアカットは無理だろう。
     それにしても,団体結成ニュース以後 どうなっているのかさっぱり分からない。
    ──────
    3月10日(金)の引け値は,$3.99, +$0.06 (+1.53%)
     SoftBank の買取価格 $5.00 に近づいてきたが,完全には信用されていない。潰れる可能性アリと見られている。実際には債券価格が重要だが,銘柄がたくさんで Intelsat の評価価格もさまざまであるから,専門家以外は分からないが,先日のロイター記事から判断すると,ヘアカットには ほゞ応じない水準にまで上がっているのだろう。つまり,FIG の方はインサイダー疑惑がどう決着しようと買収は成功し,他方 OneWeb+Intelsat の方は,合併+投資が失敗するような感じである。

  55. SoftBank Should Put $100 Billion Fund at ARM's Length
    ソフトバンクは,$1,000 億基金を ARM の長さに置くべきだ。
    Bloomberg,2017/03/08 10:30 am ET
    By Tim Culpan & Leila Abboud
    $1,000 億 SoftBank Vision Fund がテック投資を行なうと SoftBank の創立者大富豪 Masayoshi Son が 発表して以来,その目的と手段に混乱がある。水曜日の Financial Times 報道は,SoftBank が英国チップ・メーカー ARM Holdings の 25% の権益を基金に売却すると伝えているが,これは無益である。
    まだ正式に発足もしていない Vision Fund にまつわる多くの疑問の中で,重大なのが1つある:どこで SoftBank が終わって Vision が始まるのか?
     Son がこれにまだ答えていないということは,重要な点である。SoftBank は これまで,向こう5年間に この法人に少なくとも $250 億を出資する見込みである … としか言っていない;サウジ・アラビア王国の公共投資基金 (PIF) からは $450 億の拠出を受ける。だが,これまでに行なわれた (または 提案された) アメリカの資産運用会社 Fortress,衛星企業 OneWeb と Intelsat SA の買収は SoftBank によりなされたのであり,(基金は正式には まだ発足していないので) 基金によるものではない。ARM の権益の一部と同様に,これらの資産の一部も のちに基金に提供されるのだろう。
     大金
    基金に約束された出資額
     Vision Fund は アブダビの政府基金からの投資も当てにしている。
     読者に混乱が起こっているとすれば,当然である。混乱を招くものだからである。この基金は また,企業統治が疑わしく,リスクの可能性を示唆しており,そのリスクは Vision への投資家だけでなく,SoftBank 株主にも及ぶ。
     ARM 権益の売却が,まさにその好例である。SoftBank は ARM を基金に売って $80 億を手にする。FT によれば,昨年7月に ARM を買ったときと ほぼ同じ評価である。おそらく この売却の目的は,アブダビの Mubadala から Vision に $150 億を投資する約束を取り付けるためのものだったのだろう。そうであれば,1人の投資家が基金全体に独裁的に投資の決定をできることになり,パンドラの箱を開けることになる。
     SoftBank 株主の観点からすれば,彼らは 43 % ものプレミアムを付けて 日本のグループが購入した強力な会社のぶつ切りを [基金に] 譲渡していることになる。つまり,まだ 上値が見込めるものを手放したのである。
     債務の重荷
    SoftBank の有利子負債/EBITDA 比は,
    中核通信事業の外へ買収を増やしているために,
    同業他社を遥かに超える。
     基金の側から見れば,大したこともなしに ARM の権益が手に入る。しかも この持ち分は Vision の資産の 10% をも占める大きさである。牛さんの立場に立てば,基金が ARM と SoftBank とのシナジーを満喫できる。さらに,公平に見て,第1級の資産である。Vision Fund の投資家は,おそらく $1,000 億の残りがどう使われるかの方が心配であろう。
    間違ったやり方
    SoftBank は,稀にしか プラスのフリーキャッシュフローを計上しない。
     ここまで言って さてその上で,Son の ARM に対する賭けは 確実なものでは全然ない。この賭けは,英国のチップ設計会社が いわゆるモノのインターネットで有力企業になるか否かに懸かる。ARM の利益が南 [=↓向き] を向けば, あるいは SoftBank が 他の部門での損失や債務をカバーするために売却を余儀なくされれば,Vision Fund は打撃を受けるだろう。
     このことは,SoftBank と基金の間に チェック&バランスが必要なことを示す。おそらく,Vision Fund が発足すれば,このような仕組みは判明するだろう。
     SoftBank 株主は,透明性を要求すべきである。Son が自分の投資の火力をターボチャージ (強化) する1つの方法として ARM を狡賢いアイデアにより利用して利益を挙げることにより,株主が利益を得るかもしれない。間違いなく彼は,$1,280 億もの債務を抱えているがゆえに,SoftBank の金で自分のやりたいことをできないでいる。だが,もしも基金の投資がリターンを生むことに失敗すれば,あるいは Son の関心が基金から薄れて 他の事業に向かうようであれば,株主は損失を蒙ることもあり得る。
     Son にとって,(自分の会社との関係を曖昧にして しかも 全くの無条件で) 投資するための巨額の金を手にしたテック空想家 (tech visionary) としての名声にとどまることには,まだ不足である。Son は,数十年後の世界が AI とロボットにより動くと信じている。おそらく彼は正しい。だが そこへ行くまでには 他人の金を 山ほど 燃焼するだろう。
    腕の長さ (の取り引き) とは 誤解されやすい表現? 「腕の長さより離すよう気をつけよ」「近すぎるのはダメ」
    ARM の価値をどう評価するか?
     一般には 3.3 兆円も出して買った「稼ぎ頭」の 1/4 を手放すのは 株主にとって損である。Culpan さんもそういう考えです。
     しかし,ARM の決算の実態を詳しく知る 社長と Rajeev Misra は,その反対の評価だから手放して当然。
     どうして,決算をきちんと読まないんだろうね?
     Vision Fund の投資家は,おそらく $1,000 億の残りがどう使われるかの方が心配であろう。
     Culpan さんは Bloomberg の腕利きのコラムニストだそうだが,完全に目が狂っている (笑)
     この取り引きで ソフトバンク株主は大儲け。だって,ARM の評価が第1級なら,Son も Misra も ARM の 1/4 を手放すはずが無い。頭打ちの伸び悩みだ (と分かった) から手放すんですよ。計算高い社長さんが わざわざ損するはずがありません。
     最後の部分は,基金への投資家と SoftBank 株主への警告だが,こんなにハッキリしたのは初めて見ました。ただ,時間の限定がありません。
    ──────
     そのほかに 利益相反の可能性も指摘している。こちらの方が重大である。
     確か決算発表の時の社長の説明では,基金の金をうまいこと運用して,SoftBank もそれに便乗するみたいなニュアンスの発言があった。少なくとも,基金の金儲けと SoftBank の金儲けを 社長さんはきちんと区別していない。基金の儲けは基金への投資家のためのものであり,仮にそのためにソフトバンクが損失を蒙るとしても,基金の利益を優先すべきものである。
     がっぽり儲かればウヤムヤになるだろうが,利益がほんの僅かとか,損失発生となれば,SoftBank が基金を利用して裏でコッソリ儲けたのでは … という訴訟が発生する可能性がある。
     この問題が将来 火種になる可能性はありますね。
    [2017/03/08] この日の「移管」と書いている まことに遺憾な日経ニュースには
     実質的に,グループ内で保有株を分散する。
     これは 危険の合図だね。FT にもこんなことは もちろん書いてない。当然 ソフトバンクがこう書かせたのだろう。しかし,無意識のうちにこんなことを書くようでは (書かせるようでは) かなりおかしいよ。自分の資産と基金の資産が完全に同一視されている。こんなことをすれば「利益相反」もいいところだ。自分の利益になるように持ち株をあれこれ移すということだからね。社長さんの決算説明会での発言も同じ路線である。
     本来なら「基金の資産とソフトバンクの資産は明瞭に区別いたします。そのためにはこういう規定を設けてキチンと縛りを掛けます」と説明する必要があるのに,それを一切やっていない。
     こんなやり方で 投資家が集まるのが不思議であるが,考えてみれば,基金への投資家は この2ヵ月ほど全く増えていない:相変わらずの古顔ばかりである(笑)。つまり,理由は不明であるが,資金は集まらないのである。だから今回はアブダビさんに ARM というアメをしゃぶらせて,$150 億を出資してもらう交渉をやっていたところが バレたという次第。まだ交渉中だから,アブダビさんもどうなるかは分からない。
     本来の本来は,基金に自分は一切出資せず,運用だけを引き受けて手数料を稼げばよいのだが,それでは稼ぎが少ないので ( あるいは 新米の投資銀行なので信用が低いから) $250 億を自分から出資したのだろう。もともと2月中の発足が遅れ,日経のリーク情報では3月上旬に延期されたらしい。それも明日3月10日の1日を残すばかりとなった。思い通りに出資が集まらないのだろう。
     しかし,集まったとしても「財布は1つ」という頭で運営をやっていたら,いずれは破綻する。株主集団訴訟が起きてもおかしくない。金の卵をどこに入れるか なんて日経は調子に乗り過ぎている。こんな報道を聞いたら,出資者は全員手を引くだろう。

  56. SoftBank to sell 25% of Arm to Saudi-backed fund
    ソフトバンクが,ARM の 25% をサウジが支援する基金に売却する
    Financial Times,2017/03/08
    By Arash Massoudi & George Parker (ロンドン)
    Son が,英国最大のテック企業の $80 億相当を $1,000 億 Vision Fund に入れる。
     日本の SoftBank が,わずか6ヵ月前に買収したばかりの英国チップ設計会社 ARM のおよそ $80 億の権益を売却し,英国最大のテック企業の 25% を Saudi が支援する $1,000 億投資基金に入れる。
     この決定は,SoftBank が率いる基金が 資金集めの目標に到達するためのものであり,アブダビの国営投資グループ Mubadala からの支援を確保するためのものである。Mubadala は ARM の一部の所有を希望していた … と事情に近い2人が言った。
     両者は,Mubadala が基金へ $150 億を約束し … と これらの人が言う … 日本の企業が SoftBank Vision Fund の目標として既に発表した $1,000 億に近づくのを助ける … という合意の下でこの取り引きを結ぶ。
     今回の取り引きは,SoftBank を世界のインターネット+通信のパワーハウスにした 取り引き狂の大富豪 Masayoshi Son に自分の会社のためと 外部の小さな支援グループのための投資のブレンドを追求するための火力を与えることを意図した Vision Fund 絡みの初の意味ある動きであろう。
     Vision Fund 最大の投資家は Saudi Arabia の PIF (公共投資基金) であり,Mr. Son と Saudi Arabia 副皇太子 Mohammed bin Salman の間の予備交渉の後で,昨年 最大 $450 億を拠出すると言った。
     SoftBank は 約 250 億をこの基金に入れる ── ただしその一部は,ARM 株式によりカバーされる。小規模でこの基金に投資を計画している中には,アップル, クアルコム, オラクル創立者 Larry Ellison, ならびに 台湾の家電メーカー 富士康が含まれる。
     ダウニング街は SoftBank の意向を通知されたが,懸念の声を挙げなかったものと了解される。10 番地と SoftBank はコメントを拒否した。
     Mubadala は言った:"我々は,基金への参加について 実りある協議を続けているところである。"
     さらに続けて:"ARM は確かに,偉大な持続性のある可能性を備えた 強いテック企業である。アブダビ グループは 過去 10 年間,半導体セクターを含む テック投資を増やすことに専念してきた。"
        < 以下は 半年前の ARM 買収の経緯,ならびに最近の投資 >
     SoftBank agreed to buy Arm for $32.4bn in July of last year, just weeks after the UK voted to leave the EU, fulfilling Mr Son’s desire to own a chip designer that he believes will be at the heart of the internet of things and connected devices.
     The transaction, which completed in September, was announced just days after Theresa May replaced David Cameron as UK prime minister. Mrs May spoke to SoftBank before completion of the Arm deal last year and Downing Street said at the time: “This is clearly a vote of confidence in Britain.”
     As part of the deal, SoftBank made a series of binding agreements to signify its commitment to the UK, including one to double Arm’s UK-based workforce over five years.
     However, some questioned whether the UK was selling the crown jewels of its tech sector to a foreign investor at a low price. Hermann Hauser, Arm’s founder, described the deal as one of the “sad and unintended consequences” of Brexit.
     By selling a portion of Arm to the fund, Mr Son is likely to invite closer scrutiny of his burgeoning role as a global dealmaker, especially now that his investments are made through a fund with a diverse array of investors.
     Late last year, Mr Son met Donald Trump at Trump Tower in New York and pledged, without offering details, to invest $50bn in the US and to create 50,000 jobs.
     The $100bn target for the fund, and the speed with which it is being assembled, represents a new frontier for venture capital and private equity.
     In anticipation of the fund’s first closing, Mr Son has been striking deals. SoftBank is in talks to invest $3bn in WeWork, a shared office-space company, at a valuation of about $17bn, which would also be offered to the fund if it is agreed, according to one person close to the matter.
     SoftBank invested $1bn last year in OneWeb, a satellite start-up seeking to provide internet access to remote parts of the world. In February, SoftBank said it planned to invest a further $1.7bn to merge OneWeb with Intelsat, another satellite company, if it persuades Intelsat bondholders to sign up to the deal. Those deals are set to be offered to the Vision Fund.
     However, a recent $3.3bn deal by SoftBank to acquire Fortress Investment Group, the US alternative asset manager, will not be offered to the fund.
    日経はこの記事を「移管」としているのはおかしいよ。
     英語ができないらしい(笑)
     "sell" が売却は中学生でも知ってるよ。
     ニュースは各社から出ているが,どれも この FT を引用している。
    なんだかわからん。仲間内でお金を回しても,全体の金額が増えるはずが無いのだが。
     それに 11月末のインドの会議では,申し込みが多くて overbooking だと笑って言っていた。
     つまり,アブダビは ARM が欲しかったので,孫さん 予定の $1,000 億に届かなくて大変ですね。ARM の 1/4 を分けてもらえば もっと出資しますよ … と言ったのか。
     そこで 業績頭打ち,会計基準まで変更しなくちゃならない状態の ARM だから,この際 しぶしぶ了承した。
     外野から見れば,ARM がそんなにひどい買い物だとは知らないから,孫さん おかしいよ (笑)
     でも 社長さんは しめしめ,1/4 でも売り払って 大成功!
     ソフトバンク出資分の 250 億の一部も ARM で出資するってのはそういうこと。
     Vision Fund が失敗することまで 頭に入れている。こんなもん 金の卵でも稼ぎ頭でも無いんだから,万一返ってこなくたって,全く問題ありません。(でも普通の人はびっくりするだろうね)
     当サイトも 大成功! だと思いますよ。社長さん お見事!
     他にも ARM を買ってくれるところ無いかしら … でしょ?(笑)
    ──────
       ここで 思い出した (笑)。あと 3年後に ARM が最低でも $1,000 億になると期待しているという「社外秘情報」を漏らした アホな ソフトバンク幹部。どういうつもりであんなことを言ったんだろ? 仮にも Bloomberg にしゃべっちゃったんだからね。あれは ウソだということがバレバレ。
       この取り引きに限りませんが,孫さん インド人グループに丸投げして,いいようにやられている感がある。アブダビとかの交渉も東京本社は無関係でしょう。ARM を売るのも 資金が $1,000 億に届かないから ロンドンが考えて決めたのでしょう。だから このリークは Financial Times 発となった。 東京発なら,日経に真っ先にリークするでしょう。東京の幹部さんとロンドンとの間のご関係は? 円滑に行っておられるのでしょうか?
       それにしても 2件の情報漏洩は未解決。どうなるのか。

  57. 資本主義の王と アメリカ大統領
      日本経済新聞 電子版,2017/03/08 @02:30
      梶原 誠 (本社コメンテーター)
    アメリカの投資会社 Blackstone Group の Stephen A. Schwarzman CEO が,トランプ大統領と世界をつないでいる。
     1月の世界経済フォーラム年次総会 (ダボス会議) では,中国の習近平国家主席と会った。
     Schwarzman は何らかのメッセージを預かり,トランプに伝えている。トランプが対中強硬路線を緩め,習近平との電話会談が実現したのは2月のことだ。
     政府だけが相手ではない。昨年12月,SoftBank Group の孫正義社長は,当選したばかりのトランプとニューヨークで会い,500億ドルの投資を表明して歓迎を受けた。その直前には Schwarzman を訪ねて会談の進め方を議論し,会談後にも再訪してうまく運んだ喜びを分かち合っている。
     Schwarzman は,アメリカ企業のトップがトランプに政策提言する「大統領戦略・政策フォーラム」の座長である。だが2つの事例が示すように,存在感は座長にとどまらない。知人であり指南役としてトランプは頼っている。  ◇  ◇  ◇
     私が Schwarzman とトランプの緊密な関係に注目したのは,Schwarzman の異名と関係している。「資本主義の王 (King of Capital)」。彼はこう呼ばれている。
     1985年に Blackstone を創業,運用額が 4,000億ドルに迫る世界屈指の投資会社に育てた。その実態は,投資家というより持ち株会社だ。
     買収ファンドとして株を大量保有する企業は,昨年末で 77社,従業員は 合計で 51万人を超す。世界から集めたマネーで潜在力のある企業を買収し,大株主として経営改革と価値の向上を促している。
     買収ファンドは,資本主義のエンジンである株式市場の1形態と呼ばれるまでに成長した。業界のカリスマとして資本主義を体現する Schwarzman と,大統領として規制や予算など強大な権限を握るトランプが組めば,リーマン危機で信用が失墜した米国型資本主義の新しい姿が浮き上がるかもしれない。
     アメリカでのソーシャル・ビジネスの急増が示すように,「社会」をキーワードとする持続的な資本主義の時代はそこまで来ている。Schwarzman は,そんな資本主義のあり方を模索するアメリカそのものでもある。
     ◇  ◇  ◇
     リーマン危機前は,派手に稼いで派手に使う「強欲資本主義」の象徴だった。2007年,Blackstone は買収ファンドとしては異例の株式公開に踏み切り,Schwarzman は巨額の富を得た。同じ年にニューヨークで開いた 60歳の誕生パーティーには 300万ドルを費したと言われる。
     だがウォール街が社会を傷つけ,怒りを買った危機を境に,社会との共存を意識する「社会派資本主義」に傾いていく。2013年,新たな進路を探す退役軍人の大量採用に踏み切った。投資先企業での採用はすでに5万人に迫る。
     アメリカだけではない。安定した国際社会があってはじめて企業は持続的に成長できると考えた。
     2013年には1億ドルの私財で中国の清華大学に奨学基金を創設した。アメリカを中心に年 200人の留学生を受け入れて,国内で交流を深める事業は動き始めている。「中国経済が成長すれば,伸び悩む先進国は苛立ち,貿易や軍事の緊張につながる。留学生はそんな時,母国で誤解を解いてほしい。」当時語った志は今,説得力を増している。
     民間で進化の芽が広がっているだけに,社会に背を向けるかのようなトランプの姿勢には危うさを覚える。地球温暖化対策を後退させる言動も,自国製品の購入を促して外国との緊張を高める「バイ・アメリカン」政策もそうだ。
     人種の多様性を否定しかねない問題は,Schwarzman の足元で表面化した。2月,同氏が率いるフォーラムから,ライドシェア最大手 Uber の CEO が離脱した。「テロ懸念国」からの入国を制限する大統領令に反発した顧客が,同社を避け始めたからだ。
      Schwarzman も,そんな危うさに気づいているはずだ。
     Blackstone は,企業が環境に配慮しているかを投資の判断基準にしている。世界に散らばる投資先企業が経営資源を利用し合うのも基本的な戦略であり,1国だけでモノの調達を完結する発想とは相容れない。シリコンバレーの玄関 サンフランシスコでの最大級の不動産投資家として,人種の多様性が革新を支えることを知る立場にもある。
     ◇  ◇  ◇
     Schwarzman は,トランプとの溝をひとまず封印している。「過去10~15年の規制強化で,アメリカは競争力を落とした。方向は簡単に変えられる。」こう強調する同氏は,規制緩和など目先の成長戦略の提言に集中するだろう。
     だが,それだけでは指南役としての役割は果たし切れない。「国のためにできることをするのは,1市民としての義務」と言う Schwarzman は,知人としてのトランプを助けているのではない。「変えるべき行動があれば,指摘してほしい。」こんな言質も取っており,トランプを諌める局面もあるに違いない。
     その結果は,長期的に株価を動かす。ダウ工業株30種平均は,インフラ投資と減税による景気刺激を先取りしたトランプ相場で一時 21,000 ドルを超えた。だが本当の焦点は,持続的な成長をもたらす資本主義をアメリカが構築できるかどうかだ。
       "King of Capital" を「資本主義の王」と日本語に置き換えるのはおかしい。「資本 [=カネ] の王」であろう。
       今日 [2017/04/01] 読み返すと,この記事が随分昔のことのように感じられる。本誌コメンテーターさんのお書きになったことは,ほとんど外れて,Schwarzman の影は薄い。抑制を掛けることができていない。トランプの言いたい放題である。人を見誤ったのか,それとも トランプが予想外のアホだったのか?
    [2017/03/08]
      BlackStone Capital というアメリカの巨大ファンドですが,今日の日経を見てビックラコ!
     トランプさんとツルんでる!
     『米投資会社ブラックストーン・グループの CEO Stephen・ Schwarzman が,トランプ大統領と世界をつないでいる。1月の世界経済フォーラム年次総会 (ダボス会議) では,中国の習近平国家主席と会った。 Schwarzman は何らかのメッセージを預かり,トランプ氏に伝えている。
     政府だけが相手ではない。昨年12月,ソフトバンク・グループの孫正義社長は当選したばかりのトランプ氏とニューヨークで会い,500億ドルの投資を表明して歓迎を受けた。その直前には Schwarzman を訪ねて会談の進め方を議論し,会談後にも再訪してうまく運んだ喜びを分かち合っている。
      Schwarzman は,米企業のトップらがトランプ氏に政策提言する「大統領戦略・政策フォーラム」の座長だ。だが2つの事例が示すように,存在感は座長にとどまらない。知人であり指南役としてトランプ氏は頼っている。 』
    (日経電子版 2017/03/08, 『資本主義の王と米大統領』)
     トランプ大統領の背後にいる (運用資産 $3,660 億の)「資本主義の王」と競り合って 東洋の大金持ちが勝てるのか? しかも賭場はあちらだよ。親切にしてもらったからと 喜んでいるらしい。タヌキだろう(笑)。 なぜ,そんなに親切にする必要があるのか? 同業者のアメリカ・ファーストがなぜ そんなに親切にするのか?
     New York Times によれば,こうやって餌で 日本の大金持ちをうまく釣り出した。トランプさん お見事! … と書いている。
     釣って引っかかるまでは そりゃ親切心を見せるだろ。「喜び」を分かち合って見せるだろ。
     でも アメリカ攻略法を教えるなんてあり得るか?
     教えるとすれば,カチカチ山の「泥舟」への嵌まり方を親切に教授するだろう。
     だが 自分の儲けを奪われるようなことはするはずが無い。「王」の面目が潰れるからね。
     常識的には,鎧袖一触!(笑)
     えっ,鎧袖はもう始まってるって? そぅかもしれない。そう考えると良く理解できる。
     Fortress も OneWeb/Intelsat も,大金持ちさんが 資本主義の王に うまいこと嵌められた感無きにしも非ず。New York Times も大統領の作戦勝ちでうまく釣りだした … みたいに書いてあったからね。Blackstone 運用資産 $3,666 億 (2017/02/24 発表の決算を調べたよ!) で威張っているこのオレのショバで荒稼ぎとは何事か! このままでは,トランプ大統領 (いや俺様) の名にキズがつく ・・・ ってんで ことに及んだ。
     しかも,ウィキペディアには,
     ブラックストーンが保有する資産には,軍事・衛星技術関連の会社が含まれる。
     大金持ちさん,敵の強みも強みのところを攻め込んだ。飛んで火にいる夏の虫だろうね。
     このストーリーなら,これまでに起こったことがよく理解できます。
    ──────
     そもそも 軟銀願景基金ってのは,ハイテクの高収益企業に出資するんではなかったか?
     しかし FIG は半分を固定利回りの堅い投資,残りが不動産投資;つまり テクなし投資である。
     WeWork も基本的には不動産関連であり,ソフトバンクが狙う資産軽量型とは正反対である。
     OneWeb も Intelsat も 莫大な設備投資を必要とする。Intelsat が今回の合併を受け入れるのは,膨大な負債を軽くするのが目的である。
     こう見てくると,看板とは裏腹の企業に投資している。これは,なぜか?
     もちろん,ソフトバンクとしては看板通りの投資をしたいのであるが, 「アメリカ・ファースト」の目に見えない (資本主義の王などの) 団結により阻止されており,不本意な買収を強いられている … と考えると分かりやすい。
     そんな買収なら やめてしまえば? ── そ~なんですよ。その通り。でも大金持ちの買収狂さんは, 趣味と勘による買収 [ご本人のインドでの談] をやめられない。ここが一番の問題です。
    調べたついでですが,Blackstone の利益率が非常に低いので (当然とは言え) 驚きました。
     ソフトバンクでは 利回り 43% が標準らしい (?) が とてもとても (笑)
     Blackstone の事業セグメントは PEF, 不動産, ヘッジファンド, クレジットから成る。
     細かく見ても 大して違いないので,合計の数字を読むと
     運用資産 $3665.53 (Vision Fund の $1,000 億の 3.66 倍である).
     利益   $    24.81 (0.677%)
     となっている。運用資産の 1% を手数料収入とすれば妥当な数字だろう (それでも 10 年で 10% だから,お客さんにすれば,巨額の手数料である。かなりの実績があるのだろう)。
     もともと こういうファンドは お客様の資産を手堅く運用することが目的だから,当然である。
     願景基金も,$1,000 億が順調に運用できたとして,1年の利益は $6.67 億程度ということになる。 ただし,自己出資 $250 億の1% の手数料を基金に払うから,これを差し引くと $4.17 億になる。余りに期待より少ない! … とビックリなさいましたか?
     あとは 運用益/損失の 1/4 (出資分) が利益/損失となる。こちらに大いなる期待を懸けるのだろう。「シナジー」などと耳当たりの良いことが言われているが,上の3社と ソフトバンクとのシナジー (経営統合効果) でどれだけの金額を期待できるのか? 3.3 兆円を投じた ARM でさえ,シナジーがあるのか無いのか 社長は即答できなかったし,今でもその見込みはハッキリしない。IoT は掛け声だけであり,AT&T や Verizon のようにそこから利益の柱を立てようとする努力がソフトバンクには未だ見られない。ARM が IoT 用のチップを始めたことを国内で宣伝している段階である。
     その原因はハッキリしている。ソフトバンクが大きな企業になったので,ちょっとやそっとでは,目に見えるシナジーが発生しようがないのである。ロボットしかり,自動運転しかり。相当覚悟を決めて長い時間をかけて始めたものでなければ,シナジーが突発するはずが無い。わずか2週間で契約をまとめたと得意がるようでは無理である (むしろ その準備に何年かけたかを丁寧に説明して,自慢すべきである)。
     なお ブラックストーンは,世界 24ヵ所にオフィスを構え,従業員 1,800 名という (同社ウェブサイトによる)。
     願景基金は何ヵ所で何名? 少なくとも 腕利きを 500 名?
     どこからどうやって引き抜いた?
     東京本社からは何名?
     ヒョッとしてゼロ名?

  58. Two of the biggest Trump trades are losing steam
    トランプ最大のトレードの内の2つが失速中である。
    Yahoo Finance,2017/03/07
    By Myles Udland
     株価は,史上最高値の僅かに下にある。
     ところが,Donald Trump のアジェンダにより一般に牛さんとされる理由の2つ ── 税制改革とインフラ投資 ── に基づくトレードが,早くも失速し始めている。
    得意先向けの金曜日のレポートで,Goldman Sachs のアナリストらは,同社の "高税率銘柄" と "インフラ恩恵銘柄" の2つのバスケットが S&P 500 に対して,この数日,アウトパフォーマンスが衰えていることを指摘した。
     インフラ投資への楽観論は衰えつつある。
    インフラへの期待は全体市場に比べて既に衰え始めた
     先週のことだ。思い出してほしい。先週 Trump はインフラに1兆ドルを注ぎ込むと公約した。けれども 市場の期待は,早くもしぼみ始めた。
     2016 年初頭から,インフラ恩恵銘柄 ── 資材関連銘柄とか建設機械製造銘柄などを考えればよい ── は,民主共和両党の候補が選挙運動でインフラ投資の必要を大声で話した結果,競り上げられてきた。Trump の当選は,これらの銘柄を当初は急騰させたが,市場はこの熱意を それ以来 冷ましている。
     しかも Yahoo Finance が1月に指摘したように,産業の巨人カタピラーは,大型インフラ計画があるとしても実現するには予想より遅くなるだろうというので,既に警戒されている; 政策の変更が業績に影響を与えるのは,どんなに早くても 2018 年の決算だろうと見られている。
     税制改革トレードは衰えつつある。
    税制改革への期待もしぼんだか?
    市場は,税制改革への期待もしぼみ始めていると見るらしい。
     Trump の勝利を受けて 最大にして明快な恩恵を受けると見られる 税制改革関連は,ここ数週間,インフラよりもさらにディスカウントされている。
     思い出してみよう。選挙が終わって間もなく,Goldman Sachs は,法人税減税が企業収益に与える影響を試算した。それによると,アメリカの法定法人税率を1% 下げるごとに S&P 500 の利益が $1.50 だけ増える。
     ところが Trump が執務に入り,共和党議員らとの論争が始まった今,税金がらみの問題は ── 国境税のような問題 (Trump は これを "あまりにも複雑である" と呼ぶ) も 減税がどうなるかも ── 法律の原案作成待ちの状態になっている。
     ただし Steven Mnuchin 財務長官は,8月の休暇に入る前の7月28日までには 税金関連法案を一括して通すことを 依然として計画している … と言明した。税制改革は,オバマケアを "抜本改革" する政権の約束の中でも取り上げられてきた。Trump は 先月末に,税制改革の提案は 議会がオバマケアへの道筋をつけた後でなければ出さないと言った。
     Goldman Sachs の高税率バスケットに入っており,法人減税から利益を蒙ると考えられるのは,次の銘柄である: Under Armour (UA), Whole Foods (WFM), CVS (CVS), ConocoPhillips (COP), CME Group (CME), Charles Schwab (SCHW), Discover Financial (DFS), Visa (V), Quest Diagnostics (DGX), Arconic (ARNC), Parchex (PAYX), and Century Link (CTL).
    Blow-off top チャートとは.
     以上のような期待の低下と 全体市場の先週の高値更新とを組み合わせて考え,我々は これまでと同様に,トランプ政権がすべての政策課題を通すものと投資家が全面的に期待しているのではない証を見る。
     言い換えると,Trump の両院での演説を受けた先週の新高値は,選挙後に見られた株価の急騰を支える熱意の下での blow-off top であろう。
     Myles Udland is a writer at Yahoo Finance.
    こういう記事読んで,どう思いますか。翻訳しながら,なぜか (笑) がとまらない。
     ズラッと上がっている銘柄は ほとんど知らないが,Century Link は通信会社です。
     鉄塔会社かと思ったら,そうではなくて 普通の地域通信会社。
     あと,日本でも名前を知られているのは Under Armor, Visa くらいでしょうか。減税があれば 儲かるらしい。
     笑えて来るのは,トランプ政権を支える役人がそろっていないから,何を言おうが法案ができない。
     減税法案の見通しが 夏休み前では,ウォール街が落胆するのも無理はありません。(笑)
     しかし,なぜ そんなに遅れるか? 日本でも報道されていますが,政権交代に伴って 約 4,000 人からの役人が "回転ドア" を通って交代する。そのかなりがそろていない。1年で揃えば良いほうだとも言われている。
     結局大統領があれこれ言っても,細かい実務をこなす人がいないんですね。こんなことでドタバタはどこまで続くのか?
     しかし,アメリカのメディアは こういう風にズバッと書いてくれるのが,当然とは言え,ありがたい。Yahoo もデータ漏洩で味噌をつけましたが,人材を逃がしていない。

  59. Intelsat junk bonds rally on merger
    インテルサットのジャンク債が,合併に急騰する。
    Reuters - IFR,2017/03/03, 01:59 pm ET (ニューヨーク)
    By Davide Scigliuzzo, Paul Kilby & Natalie Harrison
    Intelsat の債券は,ジャンク級衛星企業が SoftBank を後ろ盾とする OneWeb との債務を大幅にカットする合併に合意したことを受けて,今週急騰した。
    Astronauts Richard J. Hieb, Thomas D. Akers and Pierre J. Thuot (L-R) attach a specially designed grapple bar underneath the 4.5 ton Intelsat VI satellite at the space shuttle Endeavour's cargo bay in this NASA handout photo taken May 13, 1992.
    Reuters | NASA | Handout)
    この合併取り引きの一環として,日本のコングロマリットは,合併後の会社に $17 億を注入し,39.9% の投票権を取得する。
     ただし,アメリカの衛星スタートアップ企業 OneWeb は,Intelsat の債券所有者の過半数が その所有債券の損失を確定する (chrystallise) いう交換条件を受け入れることを条件としている。
     Intelsat は,同社の完全子会社 Intelsat Jackson Holdings, Intelsat Connect, Intelsat Luxembourg の債券を新しい Jackson 債, 合併後の会社の株式 および または現金の組み合わせと交換する。
     この交換提案は,Intelsat の全債務の $36 億をカットするものであり,市場からは歓迎され,このニュースをうけて Intelsat 債券のいくつかは 17 ポイントも急騰した。
     たとえそうであっても (even so) 交換に掛かるすべての債券が,Intelsat が交換を申し出た水準を 今では 遥かに超えて (well above) 取り引きされており,これは,Intelsat が これより更に良い条件を出すことに投資家が賭けていることの印である。
     "SoftBank が これより良い条件を出す必要がある … と市場が考えていることの合図である。" … と CreditSights のアナリスト Lindsay Pacia が IFR [=International Financing Review か?] に語った。"投資家は,SoftBank が大金持ちだということを知っています。"
     その金を見せよ (SHOW US THE MONEY)
     Intelsat Jackson が発行した 2021 年満期 7.50% の債券は,ほゞ 9 ポイント急騰して 木曜日には $0.93 [額面価格 $1.00 につき] に達した。新しい債券+現金の交換価格は $0.86 である。
     この差は,持ち株会社 Intelsat Luxembourg が発行した (会社がデフォルトした場合には ほとんどゼロになると投資家がウワサしていた) 債券ではもっと大きい。
     Intelsat Luxembourg の 2023 年満期 8.125% 債券は,15.5 ポイント急騰して 57.25 になったが,会社が申し出ている交換価格は,わずかに 46 である。
     "会社の基本的な見通しは安定化した。外部に入札者 [もちろん大金持ちさん] がいることも,プラス要因である。" … と,Jackson の債券を持っている 或る高利回り債ポートフォリオ・マネージャが言った [そりゃそうだろ,追加でどんどこ出資を期待できるからネ]
     "しかし,パーより低いものを受け入れることには,哲学的に抵抗感があります。資本構造の中に我々より価値の低いものがありますから。"
     CreditSights の Pacia は,Jackson の債券所有者は 現在のオファーを拒否して,会社が もっと大きな現金を持って交渉に戻るまで待つべきであると言う。
     "SoftBank は今四半期末に $250 億の現金を持っている。だから 資本注入の余地はたっぷり (plenty) ある。" … と彼女は言った。[よく調べてるんだよね]
     もしも 要求されている参加率 85% に達すれば,この交換は Intelsat のレバレッジを 約2倍減らして 6.6 倍にする。
     "Intelsat が抱える問題は,この業界の過剰設備と高いレバレッジである。今回の取り引きは この両方の解決に役立つ。" … と Invesco の高利回り債上席アナリスト Rahim Shad が言う。
     Intelsat は 2015 年に OneWeb の少数株式を購入した。SoftBank は 昨年末に $10 億を OneWeb に投資すると発表した。
     Guggenheim 証券と Goldman Sachs が Intelsat の財務顧問,PJT Partners は OneWeb の筆頭財務顧問と同時に SoftBank の顧問を務めた。
    当サイトは,これまで 過激 (と受け取られるかもしれないよう) なことを書き連ねてきたが,このロイター報道を読んで,書き換えの必要を全く感じない (ホント この激動の数日間に 書いたものを読み返しても, 書き換える必要を全く感じないのには, 不思議なくらい笑えてくる。予想は 「よそう」 と言われるように,プロの予想でも 大抵は外れる。 碁や将棋の世界では 予想が当たり始めると オワであると言う … )。
     日経批判についても同じである。なぜ こちらのロイター報道を紹介しないのか?
     この3行だけでよい! (笑)
     "SoftBank が これより良い条件を出す必要がある … と市場が考えていることの合図である。" … と CreditSights のアナリスト Lindsay Pacia が IFR に語った。"投資家は,SoftBank が大金持ちだということを知っています。"
     あるいは,こちらの4行でもよい。
     CreditSights の Pacia は,Jackson の債券所有者は 現在のオファーを拒否して,会社が もっと大きな現金を持って交渉に戻るまで待つべきであると言う。
     "SoftBank は今四半期末に $250 億の現金を持っている。だから 資本注入の余地はたっぷりある。" … と彼女は言った。

     ソフトバンク投資家の方は,くれぐれもご注意ください!
     このロイター記事と WSJ 記事を読んだ金融機関は,絶対に こんなヘアカットに応じないだろう。
     現金を $250 億持っている大金持ちさんが,負債 $154億の会社にたったの $17 億 で 40 % の株を握る。
     相手の気持ちも読まず (読めず?) に,これを通そうと言うのが,ソフトバンク世界投資銀行。ここが不思議の出発点。
     あと,Goldman Sachs というのが気になる。味方につけば心強いが,そうでない場合には ・・・ 。何しろ「世界の真の投資銀行」だから。既報で分かっていることを,ロイターが 今さら最後に書き加えたのを不思議に思いました。
     舞い上がった気持ちを抑えて,冷静に考えてみよう。そもそもこんなに手の込んだ3社取り引きを提案して 外国の複数の企業をまとめる「力量」がソフトさんにあるとは到底考えられない (これまでに,こんな複雑なスキームの投資は あっただろうか?)。一体 ソフトバンク社員の誰が,アメリカまで出かけて行って 複数の会社に話を持ち込んで,相互の利害をこまごま調整して (英語で微妙な話をして日本と連絡を取りながら),まとめることができたのか? それほどまでに 向こうの会社の事情を独自に詳しく調査できたのか?
     したがって ・・・ 「最悪の場合」を想定すると,Intelsat が物凄い債務の負担を逃れようと,当然 その債券を所有している「真の世界投資銀行」に相談して,両者で練り上げたプランなのだろう。今後を見なければ分からないが,陰の主役が「真の世界投資銀行」だということはあり得る。もちろん「真の世界投資銀行」だって,こんな債務を引っかぶるのは $1 たりともご免である (運用しているのは お得意さんの金だから)。つまり,誰か適当な 大金持ちさんを探して そこに引っかぶらせれば,両者は 大成功なのである … というスキームが浮かび上がる。これが 想定される「最悪の場合」である。
     考えてみれば,$17 億ぽっちで 40% というのは,ソフトさんにとって破格中の破格,べらぼうに有利な数字である。そんなおいしいものが世間に転がっているというのが,そもそもおかしい。
     ソフトさんの企画だと仮定して「自分の取り分は 破格の 40%」と言って,通るでしょうかね? まず,笑われて終わり … となるんじゃないか。
     でも … でも,誰かさんが企画して,大金持ちさん! 40% 差し上げますからこの企画に乗りませんか? … と言ったのだとしたら,これは大金持ちさんも大喜び。話はとんとん拍子にまとまりますよ。
     繰り返すけれど, Intelsat のリリースは,ほとんど「どの債券をいくらに評価する」という項目を 長々と書き並べただけの お笑いの文書であり,債務を軽減された後の事業計画を具体的に (特に数値を含めて) 書いてあるのは読んだ記憶が無い。もちろん,抽象的はゴタクはありました。言い換えると「債務を軽くしたい,軽くしたい,軽くしたい (笑)」という強烈な願望だけは明確に読み取れました。
    ──────
     しかし,その金を見せよ ってのは,ロイターさん 激烈な 小見出し。
     最初は 何のことだか分かりませんでした。もちろん「見せる」だけではダメなんで ・・・ 。
     債券投資家を激励する意味合いか?
     間接的にはソフトバンクの投資家にも向けているんでしょうかね?
     「ソフトバンクの投資家さん,あなたの金を見せて下さい」
    ──────
     この先どうなるかを予想すると ・・・
     (1) ソフトバンクとしては 軟銀願景基金の発足が何より優先する。したがって,$17 億から大幅に投資額を引き上げる。なるべく早い方がよい。今週中に 倍増とか。足元を見られているが やむを得ない。(そこが狙いだったのか?)
     (2) 引き上げ要求を呑まず,90 日後に解約する。この場合,経済的損失は無い。しかし,基金の発足は遅れに遅れ,初手からつまづくようでは 基金の発足すら危うい。(そこが狙いだったのか?)
     どちらにしても ソフトバンクがかなりの傷を負うことは避けられない。(ぶっちゃけて言えば,FIG とか Intelsat に のめり込んだのが,アホだったのである … という言い方もあるが … 最悪の可能性は,世界の真の投資銀行の計画が見事過ぎた?(笑) [そういう可能性も当サイトは過去に気づいていた] … という可能性も忘れずに観察してみようと思います。)
    ──────
     ただし,この背景には アメリカの土壌があることは明らかである。これは「アメリカのトランプ体質」として既に書いた。
     アメリカに留学経験のある社長さんがこれに気づかない (あるいは 当時の友人から貴重な助言をもらえない) ことだけは 不思議である。報道ではアメリカに知人が多いということであるが,真の忠告をしてくれる友人は1人もいないのか? 有名人には近づきたがるが,実はそういう寂しい人なのか?
     普通は,大学時代に得た友人は 生涯の友であり,時には 自分が損になるような場合でさえ,敢えて忠告をしたり,情報を与えてくれるものである。アメリカに投資するのであれば,支えてくれるのは キャロライン・ケネディ前大使とかではなく 昔の友であろう。

  60. ソフトバンクとサウジの投資ファンド,鴻海など 10 社前後参加 運用規模 10 兆円で発足へ
    日本経済新聞 2017/03/04 朝刊
    ソフトバンクグループがサウジアラビアと発足させる投資ファンドの大枠が固まった。サウジのほかアラブ首長国連邦アブダビ政府系ファンド,アップルやクアルコム,台湾・鴻海精密工業など10社前後が参加する。運用規模は10兆円超になる見込み。医療企業などにも投資先を広げる。異例の投資連合を築いて投資戦略を加速させる。
    「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」は3月上旬にも発足する見通しで,ファンドの運営会社は英ジャージー代官管轄区に登記する。米オラクル創業者,ラリー・エリソン氏の個人事務所なども参加する。
     最大の出資者は,サウジ政府系の公共投資ファンド (PIF) で 450億ドル (5兆円強) を拠出。ソフトバンクは5年間で250億ドルを出資する。投資先の選別など運用面ではソフトバンクが責任者となる。今後,同社は数百億円以上の投資は新ファンドを通じて行う。
     新ファンドは今年半ばにも2度目の資金調達に踏み切る計画だ。
     ソフトバンクグループの孫正義社長は新ファンドでも「従来と同様の投資手法を続ける」と話す。原則,少額出資ではなく筆頭株主となり,経営を一任するほか,成長が見込める非上場企業に狙いを定め,平均で十数年かけて回収する育成型の投資になると見られる。
     投資先は IT 分野だが,孫社長は「AI の発達によりあらゆる産業が再定義される」と話す。投資先には DNA 解析といった医療分野に加え,オフィスシェアの WeWork などの名前が挙がっている。インドの電子商取引大手スナップディールなど既存の投資先への増資も検討。すでに出資で合意した衛星通信 OneWeb の持ち株は新ファンドに移す。
     ソフトバンクは新ファンドの発足に合わせて米投資ファンド,フォートレス・インベストメント・グループを買収した。投資先の発掘などはソフトバンクが行なうが,投資先の資産管理のためにフォートレスのノウハウを活用する狙いだ。

    懲りない日経メ!(笑)
     ソフトバンクからもらった情報だけで,ほとんど舞い上がってるネ (笑)
     だいたい こういう 全編 オール断定型の記事は怪しい (そうではありませんか?)
     巨額の投資であるにも関わらず,新聞とあろうものが リスクに全く触れない。
     投資先が IT だの AI だのは,まぁほんの一部はそうでしょうが,住民の反対運動に遭って開通できないフロリダ州の鉄道とかもあるし ・・・ 。オーナーさんはアメフットのオーナーで経営よりも その応援に力を入れる。
     そうなんだよね,ソフトバンクがアメリカでバイオを買収してる。でも 日経がそこまで知っているのは なぜか? Fortress のインサイダー騒ぎを知らない 日経さんがだよ。
     インドの増資も検討? それは無茶だよ。だって ソフトバンクがインド投資は既に 決算で損失を計上してる。インドの世界第2の英字新聞が Snapdeal も Flipcart も Amazon も合計すると インドの火星宇宙飛行 24 回分の赤字を出していると書いている。日経はそういうことも知らないの? 要するに 誰かさんの受け売りをして記事を書いていることが,ここからもバレる。
     新聞がお先棒担ぎをやっていたら「新聞」とは言えないよ。批判できない新聞は新聞とは言えない。
     たとえば,今では傘下の Financial Times の記事 (↓)を なぜそのまま翻訳掲載しないのか? そのまま掲載すると何か具合が悪いのか? どなたかさんから口止め料でも もらっているから 掲載できないのか? … とまで疑われても仕方がありません。
     Fortress のノウハウを活用ってけど,あそこは不動産投資に強い。そこまで知っててこう書くのは 詐欺に近い。1回日経に苦情を言ったんだけどダメなんですよ。素っ気ない返事だった。再度反論する気にもなれないような素っ気ない返事だった。落ちるところまで落ちるしかない。そう思うような返事だった。
     みなさん,1回試してみてください。Fortress のインサイダー騒ぎをなぜ詳しく報道しないのかって日経に質問してみてください。木で鼻を括ったような 丁重この上ない返事が返ってきます。
    ──────
     リーク情報がこう言っているから,間もなく軟銀願景基金 [なぜか当サイトは漢字表記(笑)] 発足するんでしょうが,現在 アメリカでは ソフトバンクの出資に絡んで2件の騒ぎが起きている。
    インサイダー取引を伝える WSJ 記事の冒頭を飾る写真

     (1) Fortress Investment Group の買収取引に絡んでインサイダー取引があったことを SEC が精査している。関係している証券会社が シンガポール,ロンドンと ソフトバンクにご縁の深い都市である。しかも これを伝える記事は,CNBC も WSJ もソフトバンクの店舗の写真を冒頭に置いて,いかにもソフトバンクが関係しているかのようなニュアンスを醸成している (WSJ の写真は →)。誰が読んでも ソフトバンクが1枚噛んだのか … と思わせるような 巧みな (?) 写真配置である。 しかも これらの記事で,ソフトバンクは記者の問い合わせに回答を拒んでおり,ウチは関係ないとか, ウチが被害者である … などとは一切答えていない。
     (2) Intelsat も株価が異常な振る舞いを見せている。ただし,こちらに インサイダー取引の疑いは (まだ?) 掛かっていないらしいが,株価を見れば 情報漏れがあったことは歴然としており,WSJ は債券所有者側が団体を作って反対し,この買収に債権者の同意を要求している … と伝えているから,この合併がどうなるかは分からない。
     こういう情勢の下で,サウジ,アップル,クアルコム,鴻海 は慎重に情勢を見定めようとしているはずで,情報漏れを起こすようなソフトバンクに そんなに簡単に3月上旬に出資するとは思われない。 むしろ,こんなに危険なソフトバンクへの出資は 引っ込める公算が高い。情報漏れを起こす企業の運用に虎の子の金を任せるだろうか?
     そんな風に論理を積み重ねると,ここは 日本経済新聞が 情報提供者のリーク情報にまんまと乗せられて 貴重な新聞の紙面を汚した … と考えると 全部がうまく理解できる (過去にもそういうことは あったからね)。えっ,ご存じない? 当サイトを隈なくお探しになれば見つかります。おおものです。
     WSJ など外国メディアは,このような記事を書く場合,可能な限り情報源を明らかにする。いつ,誰から この情報を得たのか? この記事にはそれが無い。可能な限りの努力も認められない。
     たとえば,3月上旬にも発足する見通しで とは,誰がいつ得た見通しなのか。
     異例の投資連合を築いて … とは その通りであるが,日経のこの記事そのものが 超異例である。

  61. 孫正義氏が作った3つ首怪獣ギドラ:ソフトバンクとビジョン・ファンドの利益相反
    法と経済のジャーナル,2017/03/03
    Stephen Givens (スティーブン・ギブンズ) 外国法事務弁護士・米 NY 州弁護士
    孫氏の創った「怪獣」であるソフトバンク・グループには,2016年10月までは 頭が1つしか無かった。 つまり,孫氏が監督する通信事業やその他の情報関連事業に資本参加したいと考える投資家は「ソフトバンクそのもの」に投資するほか無かった。
     しかし,2016年10月に,怪獣からもう1つの頭が生えてきた。ソフトバンク・ビジョン・ファンド (SVF) という巨大 PEF (非公開投資ファンド) が誕生したのだ。ソフトバンク・グループ自体は $250億を SVF に出資する予定とされ,サウジアラビア王国の公共投資基金 (PIF) による $450億 の出資の基本合意書を交わした。ソフトバンク・グループは SVF への出資をアップル,および その他複数のグローバル大手投資家から募り,総額 $1,000億 規模にするのを目標としている。
     プレス発表によると,SVF の目的は「投資先企業との提携を通じて,当社のグローバル成長戦略を加速させること」とされている。
    世界中のテクノロジー企業への出資を さらに推し進めることができます。本ファンドは,今後10年でテクノロジー分野において最大級のプレイヤーとなることでしょう。われわれは,出資先のテクノロジー企業の発展に寄与することで,情報革命をさらに加速させていきます。
    SVF の主導役には,Fortress Investment Group (FIG) という PEF 出身の Rajeev Misra が任命された。
     ところで,SVF が目指す「テクノロジー企業への投資」は,ソフトバンク自体の主要な会社目的でもある。2013年以来,かつて主業だった通信事業と並行して,孫氏は 4兆円以上をかけて「投資部門」という位置づけで数十社の情報産業関連のテクノロジー企業を買い集めてきた。SVF の同業者は,すでにソフトバンク・グループ自体の中に含まれている。
     さて,孫氏が宝物,たとえば 次のアップルの卵に目をつけたとしよう。ソフトバンク・グループ自体にそれを買わせるか? あるいは SVF に組み入れるか? これは,完全な板挟みである。もしその卵をソフトバンク・グループに入れて,後にその卵から白鳥が生まれたら,PIF を含む SVF の他の投資家から苦情が来るだろうし,逆もまた然りだ。
     問題は,どちらの器に卵を入れるかだけではなく,卵の買収後の運営にも及んでくる。仮に卵を SVF に入れたとしよう。SVF の誕生を発表したプレス発表によると,ソフトバンク・グループは,SVF の「投資先企業との提携を通じて 当社のグローバル成長戦略を加速させることを目的」としている。つまり,怪獣には頭が2つあるが,胃袋は1つだというイメージだ。ファンドに $250億 を投資したソフトバンク・グループは,SVF に入っている「投資先企業」との「提携を通じて」,ファンドの卵の技術,人材等に優先的にアクセスして,ソフトバンク・グループ側の卵とのシナジー効果を得ることを目標としている。
     しかし,SVF の立場から考えると,ソフトバンク・グループに このようなアクセスを提供することは,必ずしも有利ではない。ソフトバンクグループ以外の第三者との提携の方が有利かもしれないし,提携関係の経済条件にもよる。ソフトバンク・グループはまさに利益相反の立場にいるので,ソフトバンク・グループに提携関係の有無,経済条件の判断を委ねることは,SVF の他の投資家には不利益なものとなる。目標の「提携」を実現するために,利益相反関係の無い独立した立場にいる第三者は,いちいち「提携」の有無,相手先,経済条件について SVF 投資家全員の利益を最優先して判断しなければならない。皮肉なことに,2つ目の頭が生まれた結果,孫氏が目指す卵たち同士のシナジーを実現することがより困難になってしまうだろう。頭と胃袋が1つであれば,そもそもこのような問題は発生しなかった。
     そんな時に怪獣に3つ目の頭が生えてきた。ソフトバンク・グループは,SVF の主導役 Rajeev Misra の元雇用主 FIG を 2017年2月に約$33億 で買収すると発表したのだ。FIG の本業はファンド運用,つまり投資顧問である。現在 FIG は,機関投資家である顧客から $700 億 を預かって,会社の買収をして資金を運用し,収入は顧客から受け取る手数料で得ている。FIG は投資顧問として,顧客の利益を最優先にして,顧客を平等に取り扱う法律上の義務を負っている。
     ソフトバンク・グループは,なぜ FIG を買収したのか? FIG の既存客からの手数料の収入源そのものが魅力的だから? FIG 買収を発表したプレス発表には
    ソフトバンクにとっても,また近く設立予定の SVF にとっても,この機会はグループ全体のポテンシャルを拡大し,長期的な成長へ向けた大胆かつ規律の取れた投資と世界トップレベルの実行力を持つソフトバンク 2.0 への変革を加速させることでしょう。
    とある。つまり FIG は,これからソフトバンク・グループと SVF の投資顧問の役目を果たすことになるのだ。
      ・・・ となると,FIG が買収後に 何か「卵」に目をつけたとしよう。同じ「テクノロジー企業」への投資を目的とする顧客3者 (すなわち,既存客,ソフトバンク・グループ,SVF)のどの口座にその卵を入れるか?これもまた完全な板挟みである。顧客3者のいずれかの口座に入れると,他方の顧客からクレームが出る。だからこそファンド・マネジャーは複数のファンドを運営する場合,それぞれのファンドの投資目的を個別にはっきりさせて,ファンド間でバッティングが起きないよう気を付けるのだ。複数のファンドをきれいに目的別に分類しないと,顧客または証券取引担当当局 (米国では SEC) に法的責任を追及されるリスクが高まる。
     孫氏は最先端テクノロジー分野のウォーレン・バフェットになろうとしていると言われている。様々な投資家から巨額の資金を集めて,未来の情報産業開発のリーダーになることを目指しているようだ。しかし,バフェット氏が飼っている「怪獣」バークシャー・ハサウェイには頭と胃袋は1つづつしかない。バフェット氏が担当する投資案件は全てバークシャー・ハサウェイの口座に入り,バークシャー・ハサウェイの株主以外の利害を考慮する必要は無い。そしてバフェット氏個人が行なう投資は,バークシャー・ハサウェイ自体にとっては とても小規模な案件に完全に限定されている。
     敏腕ワンマン経営者の孫氏は,3つ首怪獣のどの口に餌を入れるのが最良なのかを自分で判断できると自信がおありなのだろう。しかし私は餌が喉に詰まったり,3つ首のギドラがお互いに喧嘩したり,飼い主に噛みついたりするシナリオも想像せずにはいられない。
    ▽編集部による注釈:この論考について,ギブンズ氏の了解を得た上で,編集部において,ソフトバンク・グループの広報室にコメントを求めた。「SVF はまだ立ち上がっておらず,また,FIG の買収も まだ手続き中であり,コメントは差し控えます」との返答だった。
    Stephen Givens (スティーブン・ギブンズ)
     外国法事務弁護士,米ニューヨーク州弁護士。ギブンズ外国法事務弁護士事務所 (東京都港区赤坂) 所属。
     東京育ちで,1987年以降は東京を拠点として活動している。1976年から 1977年にかけて京都大学大学院に留学した後,1982年にハーバード大学ロースクール修了。現在,上智大学法学部教授。日本企業に関わる国際間取引の組成や交渉に長年従事している。国際間 M&A から,コーポレート・ガバナンス問題,民間・公的融資,戦略的提携,合弁事業などに経験を持つ。
    検索すると,このように,3者の間の利益相反を専門家が指摘しています。
     SEC から法的責任を追及される可能性もある。
     これの解決は 非常に難しいと思う。安全に解決するためには,活動を停止するしかないか (笑)
     FIG の買収手続きが終わるのは,第3四半期だから,ソフトバンクはこの質問にまだまだ時間稼ぎできます。(笑)
     「対象ARM 株式の本ファンドへの移管は、ARM の成長機会に関して当社と同じビジョンを共有する一部の LP との交渉過程における要請に基づくものです。」
     ソフトバンクの株主に生真面目な人がいれば,ARM の現物出資の評価で揉めるでしょう。
     また現物出資された株を利用して買収するとき,その時点での ARM の評価で揉める。
     Nvidia のような場合には,その成長性の評価が大きく異なるから さらに大変か?
     運用が始まると,いつの株価を基準にするかで揉めるんじゃないの?
     いずれにせよ,今年中には認可が下りて, 「ごうつく爺さん」と「欲ボケ投資家さん」の熾烈な戦いが世界を沸かせる! 面白いよ。世界中が期待する。せいぜい訴訟合戦を派手におやり下さい。訴訟となれば,当然 アメリカの法務会社なんかも大喜びですね。
     ソフトバンクがあまりに派手に買い漁るので,出物を奪われたアメリカのヘッジファンド,証券会社は音を上げているらしい (Bloomberg, 2017/05/23) から,騒ぎが大きくなることは必至である。
      ・・・ あっ,説明が必要ですね。証券会社がソフトバンクを嫌うのは,ソフトバンクがスタートアップ企業に莫大な出資をするためにユニコーンが増えて,その結果 上場してくれる大物が減り,手数料収入に響くからです。具体例として SoFi を挙げています。上場とかなんとか Cagney が言っていたのが,ソフトバンクの出資後 IPO をやめちゃった。
     アメリカの証券業界をそこまで追い詰める。凄いよ! ソフトバンク。
     もちろん,そういう風潮を強めている … という意味なのでしょうが,それにしても。

  62. 代表取締役副社長 兼 COOの選任について
    ソフトバンク広報,2017/03/01
    ソフトバンク株式会社は,新たに代表取締役副社長 兼 COOを選任することを取締役会で決議しました。また,併せて役員の担当職務変更を決議しましたので,以下の通りお知らせいたします。
    1. 代表取締役副社長 兼 COO選任の理由
     当社の主要事業を引き続き推進しながら,代表取締役社長と共に会社全体の事業責任を担う役割を明確にし,当社の持続的な成長を実現するため。
    2. 新任代表取締役副社長 兼 COO の氏名 および 役職名
    新役職名氏名現役職名
    代表取締役副社長 兼 COO 今井 康之 (いまい・やすゆき) 専務取締役
    代表取締役副社長 兼 COO 榛葉 淳 (しんば・じゅん) 専務取締役
    3. 役員の担当職務変更
    新役職 および 担当職務氏名現役職 および 担当職務
    代表取締役副社長 兼 COO 法人事業統括 今井 康之 専務取締役プロダクト&マーケティング統括。
    代表取締役副社長 兼 COO コンシューマ事業統括
    (現 コンシューマ営業統括 および プロダクト&マーケティング統括を管掌)
    榛葉 淳 専務取締役 法人事業統括。
    専務取締役 兼 CTO テクノロジーユニット統括
    (現 技術統括およびIT統括を管掌)
    宮川 潤一 (みやかわ・じゅんいち)専務取締役 兼 CTO 技術統括。
    4. 異動日
     2017年4月1日(予定)
      代表権つき取締役副社長 兼 最高執行責任者 を2名同時に指名するとは異例なように思う。この2人を競争させてどちらかを後継者にする意図のような感じを受ける (のが普通だろう)。
      宮川さんが スプリントから戻ってきてどういうポストに就くのかと思っていましたが,最高技術責任者の専務に復帰しました。この人に任せておけば ソフトバンクのネットワークは大船に乗ったようなものという評判。
     だから,こういう人が 昨年10月に日本に帰ってきたのはなぜなのか … と逆に心配になる (マルセロにいびられたことは事実である)。少なくとも,スプリントのネットワークの立て直しを日本人の手では もはや 諦めた?
    ──────
     『ソフトバンク 人事』 (日経電子版,2016/10/01)

  63. SEC freezes accounts in SoftBank-Fortress insider trading probe
    SEC は,ソフトバンク-フォートレスのインサイダー取引を調査のため 口座を凍結する
    Financial Times,2017/03/02
    By David J Lynch, Lindsay Fortado & Mark Odell (ワシントン, ロンドン)
    英国とシンガポールのブローカーに取り引き前に出された注文は疑わしい … と規制当局は言う。
         < 食傷気味ですが,やゝ新しい要素があるので,Financial Times の記事を追加します >
     アメリカ証券取引委員会 (SEC) は,日本の SoftBank による Fortress Investment Group (FIG) 買収の前の "高度に疑わしい" 取り引きに関与した投資家の証券口座を凍結する緊急法廷命令を確保した。
     未確認のトレーダーらは,シンガポールの Maybank 証券 および ロンドンの R.J. O'Brien を通じて FIG の株 および デリバティブを 一連の完全なタイミングで注文することにより 360 万ドルを得た。
     Maybank のトレーダーらは,FIG の取締役らが この買収を確認する E-メールを受け取ったちょうど 33 分後に FIG 株を買い始めた。アメリカに上場されている非上場株投資会社の株価は,買収取引が発表された 2月14日に +28% 上がった。
     買収が明らかになった時刻と最初の取り引きがなされた時刻の狭い時間差は,"非常に高度な地位にある関係者 ── 取締役,役員,弁護士,銀行家 ── によるインサイダー取引であることを強く示唆する。" … と コロンビア・ロー・スクールの企業統治センターのトップ John Coffee が言う。"あれは,半ダースほどのヘッジファンドの間でよく聞かれる slow gossip [?] ではなかった。"
     Maybank のトレードはどれも,FIG 買収発表の 24 時間以内になされた … と SEC が言う。 [他方] R.J. O'Brien を通じた "差金決済取引 (CFD)" と言う名前で知られるデリバティブの買い付けは,2月10日 ~ 14日の間に起こった … と SEC は言う。
     週末の或る時点で,"この買収取り引きは,ほとんどポシャッていた (cratered)" … と SEC の弁護士 Thomas Bosch はニュージャージー州アメリカ地区裁判所に述べた。"これらのトレードのタイミング, 規模, 上がる利益は,高度に疑わしい。" … と SEC は訴状に書いた。
     SEC が裁判所に提出したファイリングによれば,SEC がこのアクションをニュージャージー州で取ったのは, 問題のトレーディングが "庭園の州 [=ニュージャージー州の愛称] にあるコンピュータ・サーバーを通してなされたからである。SEC は,アメリカ地区裁判所判事 Claire Cecchi にトレーダーらに利益を吐き出させ,罰金を科する命令を出すよう求めた。
     買収発表前の オプション市場での懸けの異常な規模は,ソフトバンクが $33 億で買収すると言う ひとことがリークされたとの思惑につながった。FIG のオプション取り引きの規模は,買収公表前の通常の取引水準の8倍を超えた。
     外国の未確認被告が絡むインサイダー取引の事例は,通常 6~12 ヵ月内に 被告が罰金を払ってケリがつく … と 元 SEC 弁護士 Donald Langevoort が言う。
     だが Coffee 教授は,SEC がトレーダーらの身許を暴くのは 容易なことではなかろう … と言う。SEC は外国の証券会社に,彼らの名前を明かすよう圧力を掛けることはできる。しかし,彼らは ホントの口座所有者の "フロント [=代役] " に過ぎない可能性が高い … と教授は言う。
     最終的に 容疑者がアメリカに引き渡されることも ありそうにない;強制執行は民事罰 [≠SEC が行なうような行政罰] に限定される。"インサイダー取引が明らかな場合であっても,犯罪として摘発される可能性は無い。" … と教授は言う。
     SEC の反-インサイダー取引キャンペーンは,その強力なコンピュータ処理能力を誇るオフィスにより支援されている。10 人のスペシャリストのチームが 証券会社の 何十億もの 取り引きデータをまとめ,不正な (abusive) 取り引きの証拠を検索する … と 前 SEC 議長 Mary Jo White が昨年末に語った。
     "SEC のコンピュータは,いかなるアメリカ上場企業のいかなるトレーディングに関してであれ,極めて高度なものである。" … とジョージタウン大学で法律を教える Mr. Langevoort が言う。
     最も最近の会計年に,SEC は インサイダー取り引きに関わった 78 の関係者に罰金を科した。これは1年前の 87 件から減っている。
     Maybank の顧客は,発表の何時間も前に FIG 950,000 株を買い,翌朝 170 万ドルで売却した。R.J. O'Brien の顧客は FIG の株式と CFD を買い,2月15日に 190 万ドルで売却した。
     SoftBank と FIG の間の協議は 昨年 12 月に始まり,当初は,この買収を 2月10~12日に完了させ,2月12日の取締役会の議題に掛ける予定であった。
     R.J. O'Brien の顧客らは,メリルリンチの口座を使って 2月10日(金) に CFD を買い始めた;週末の直前のことだった。
     Maybank の顧客らが これ以前に UBS の証券口座を使って FIG 株を買ったのは,2016 年2月のことで それもたったの 10,000 株であり,2016 年4月に売却した。
     SEC が2月24日に取得した "非常裁判所命令" は,トレーダーらが これらの利益にアクセスできないようにする。現在のところ,SEC はトレーダーらの身許を特定できていないが,訴状には 彼らは "外国口座を用いてトレードする外国トレーダーであると考えられる" … と書いている。
     R.J. O'Brien への電話と シンガポールの Maybank への E-メールには 取引時間を過ぎているためか 即答が無かった。

  64. 日本の携帯電話契約数
    一般社団法人 電気通信事業者協会 (TCA),2017/03/02
    2015/062015/092015/122016/032016/062016/092016/12
    NTT ドコモ67,531,500 68,493,600 69,601,600 70,963,500 71,613,500 72,943,100 73,587,900
    KDDI 44,074,200 44,640,500 45,240,900 45,909,600 46,589,800 47,236,900 47,829,400
    ソフトバンク 39,887,000 39,760,500 39,576,900 39,607,600 39,386,100 39,367,600 39,288,700
    携帯電話合計 151,492,700 152,894,600 154,419,400 156,480,700 157,589,400 159,547,600 160,706,000
    (注1)十の単位が四捨五入されています。その結果,合計値との誤差が生じる場合があります。
    (注2)携帯電話の契約数にはスマートフォンも含まれます。内訳は集計しておりません。
    (注3)MNP(番号持ち運び制度)の利用数は集計しておりません。
    (注4)2014年度はワイモバイル㈱の契約数は掲載していません。
    (ワイモバイル㈱は2015年4月1日にソフトバンクモバイル㈱と合併し,2015年7月1日にソフトバンク㈱に 社名変更いたしました。)
     契約電話数は,発表によると,上のような結果になっている。
     日経はこれを次のように評価している。
     『電気通信事業者協会によると,日本の携帯電話の契約数は昨年12月時点で 1億6071万件と前年同月から4%増えた。スマートフォンの普及により1人で2台持つ人が増えているほか,高齢者への普及も進み,右肩上がりの成長が続いている。
     NTT ドコモ,KDDI,ソフトバンクの大手3社の携帯電話の契約件数を集計した。大手3社の回線を利用するタブレット端末や格安スマートフォンの数も含まれている。』
     この評価に 当サイトは いささか疑問を持つ。
     (1) アメリカでは「右肩上がりの成長が続いている」などと書いてある記事を見たことが無い。成長鈍化,普及率飽和,頭打ちというのが常識になっている。特にスプリントは 9月期から12月期に純減し,6,000 万の大台を割った。日本はアメリカと違って,日経の言うようにほんとに「右肩上がり」なのか?
     (2) このサイトを継続してお読みの方はご理解しておられると思うが,当サイトは「或る明確な理由」により ソフトバンクの契約数は 他の2社よりもハッキリと減るのではないかと推測している。
     そこで,上の表では分かりにくいので,縦と横を入れ替え,ソフトバンクと3社合計数については,純増数も計算した。
     その結果が下の表である。
    NTT ドコモKDDIソフトバンク携帯電話合計合計数の増減SoftBank 増減
    2014/0964,294,900 41,596,10037,046,600 142,937,600 +1,873,700 +564,800
    2014/1265,274,00042,378,20037,401,400 145,053,600 +2.116,000 +354,800
    2015/0366,595,500 43,478,00037,766,200 147,839,700 +2,786,100 +364,800
    2015/0667,531,500 44,074,200 39,887,000 151,492,700 +3,653,000 +2,120,800
    2015/0968,493,600 44,640,500 39,760,500 152,894,600 +1,401,900 −126,500
    2015/12 69,601,600 45,240,900 39,576,900 154,419,400 +1,524,800 −183,600
    2016/03 70,963,500 45,909,600 39,607,600 156,480,700 +2,061,300 +30,700
    2016/06 71,613,500 46,589,800 39,386,100 157,589,400 +1,108,700 −221,500
    2016/0972,943,100 47,236,900 39,367,600 159,547,600 +1,958,200−18,500
    2016/1273,587,900 47,829,400 39,288,700 160,706,000 +1,158,400−78,900
     (1) 契約数の合計は,既に日本の人口を遥かに超えて,3ヵ月に 100~200 万 増えていることが分かる。2台持ちにより1年に 4% 増えていることは確かである。これを右肩上がりの成長が続いていると読むか,飽和したと読むかは見解の相違であろう。
     (2) 問題は,各社の増加の仕方である。NTT ドコモと KDDI は ゆっくりながらもほぼ一定の速度で伸びており,純減になったことが無い。ところが ソフトバンクの増減の仕方は ブレが大きい。何か理由があるのだろう。
     ここで問題とするのは,最近 純減傾向が定着し,それが拡大しつつあるかのように見えることだ。まだハッキリしたことは言えないが,最近のこのような減少傾向は,当サイトが予想することと ドンピシャリ であるので,今後を注意して見守りたい。
     なお, 「或る明確な理由」については これまで何度も書いているので,ここでは省略する。
     (3) [2017/03/08] さらにこれを見やすくするために,プログラムを作成して,グラフにした。
     下に示すのは,3社とその合計の四半期ごとの増減数である。
     このグラフを見て,あらためて 唖然とした。この1年は,契約数が減るばかり。ソフトバンクだけが!
     これでは スプリントより遥かに悪い。スプリントに対して恥ずかしいよ (笑)
     これでもって スプリントをどうこうなんて言う資格があるの? 社長さん。
     スプリントの立て直しより,自分の立て直しをやれ!
     こんなグラフは 業界人や財界人には 周知のはずである。恥ずかしいね。
     経営者として 何が恥ずかしいかって,こんなに低迷していることを知りながら,手を打たずに放置して,他のことで騒ぎまわって,忙しがっていることである。
     おまけに今は 4000 億円の「福岡ソフトバンクホークス・ボンド」というインチキな名称の社債の払い込みが3月16日(木) を期限として行われている。前回募集の時には 我が家にも どういうわけか 取り引きの無いみずほ証券から若いお嬢さんが飛び込みでやってきた (売れないのでしょうね)。そのとき,下のようなグラフの話は もちろん無かった。もらったパンフレットにも 客数が減っている会社だなどとは,当然のように一言も書いてなかった。これでは,引受業者としてみずほ証券のやっていることは限りなく詐欺に近い。
     こういう会社ソフトバンクを如何なる未来が待ち受けるか … まことに興味深い。おそらく今は黙って見ている (当サイトのように騒ぐのは馬鹿だと考えている) 実業界・財界の秘かな注目の的であろう。
     「孫くん」を知るお方はどう考えておられるのか知りたいが,この頃は 姿をお見せにならない。そりゃそうでしょう。あんなところに出かけて行って分かるのは, … いぇいぇ こんなところで口を滑らせてもつまらない … 意味のある情報はほとんど得られない。ただただ無関係な投稿に辟易するばかり。でも,そういうところへ 株取引が初めてという新たな信者さんが入って来られるのは,お気の毒と言うほかはない。

    このグラフの転載は ご自由にどうぞ (http://softbanksprint.web.fc2.com/pic/Keiyakusu.png)

  65. Intelsat Bondholders Organizing Ahead of SoftBank Deal
    インテルサットの債券所有者が,ソフトバンクの買収取り引きの前に組織化する。
    Wall Street Journal,2017/03/02, 07:49 pm ET
    By Soma Biswas
    Intelsat - OneWeb の提携に債券所有者が同意を要求する
    Intelsat の債券所有者のグループが 組織化しているところである。これは 衛星会社と SoftBank の部門との合併提案に反対する最初のしるしである。
      < 以下,有料限定 >
    そう言えば,時間外の取り引きで 株価がかなり戻している!
    [2017/03/02]
     $3.65,−$0.82 (−18.34%) At close: 4:00 pm EST
     $3.89,+$0.24 (+6.58%), After hours: 5:40 pm EST
    [2017/03/03]
     $3.92, +$0.27 (+7.40%), At close: 4:02 pm EST
    有料限定のため読めませんが,やはり …
     債券所有者がここまでコケにされてはね。
     債券を持っているのは 金融機関が普通なので,団体を作れば交渉力は強い。
     アメリカの金融機関 (銀行,生命保険,年金など) 連合 とソフトバンクの交渉はどうなるか?
     ソフトバンクは例によって 裏で 大物の顔を利用する (笑)だろうが,通用するだろうか? ソフトバンクはとにかく借金があって,アメリカの銀行からも借りている。頭が上がらない。
     逆に ソフトバンクが銀行から借りている借金を返せ! … と言われるかもしれない (笑)
     どうなるかは 予想もつかないが,長引くことだけは間違いない。金融機関は 預かっている金を運用するから,株式とは違って,そんなに簡単にヘアカットには応じられない。東芝の例を見ても分かるが,金融機関を説得するには,再建計画をきちんと立てることが前提になる。Intelsat のリリースを見たが,そんなものは ほとんど印象に残らなかった。ただただ 債券($154 億が1本の債券ではないよ(笑)。発行年,金額などにより細かく分かれるので読むのも大変) がどう処理されるかの説明で溢れていた。だから,この計画は 金融機関を甘く見ていた。
     これは,いよいよ 面白くなってまいりました。背後に FIG のインサイダー疑惑もある。
     世界中の野次馬を楽しませる。ウチの社長さんはほんとにホントに素晴らしい!
    ──────
     もうちょっと考えてみた (笑)。面白いからね。
     計画を立てる方が (ソフトバンクを含めて) 甘かったことは確かであるが,どの点で甘かったのか?
     もちろん,返済計画をきちんと立てずに 強引にヘアカットしようとしたのは 甘い。
     しかし,それ以外にも甘い要素があるんだよね (笑)
     それは,ソフトバンクが外国では 「とんでもない大金持ち」だと信じられていることだ (たとえば,Sprint と T-Mobile の合併のウワサでは,どれだけの金が必要かという心配をする報道はほとんど無い。そんなことを心配する必要はあり得ないんですよ(笑))。
     日本では そう思っている人はほとんどいない。だから,社長さんも自分が「大金持ち」だなんで思っちゃいない。ここに大きなズレがある。要するに,アメリカを含めて外国 (特にインド) の記事を読むと,ほとんど ∞ の金をソフトバンクが持っているという書き方になっている。
     今回の場合について言えば,ソフトバンクは $17 億が適正と踏んだのだろうが,債券所有者にしてみたら「大金持ち」なんだから,$154 億の債務に対して $17 億なんておかしい (そぅだよね),もっと踏んだくれる … という気持ちが働くのは自然である。そこまで読めなかった甘さが一因であると思われる。
     では なぜそうまで「大金持ち」と呼ばれるのか?
     これは,非常に簡単で分かりやすいことなので,省略する。貧乏人ならすぐに分かる。

  66. Why Intelsat Stock Just Plunged Another 18%
    インテルサット株が さらに続けて 18% 下げた理由
      Motley Fool,2017/03/02, 06:41 pm ET
      By Rich Smith
    やれやれ,ウォール街は この合併をホントに嫌っている。
     何が起こった
     衛星通信のスペシャリスト Intelsat の株が 木曜日にまたまた下がった。これで3日 立て続けである。木曜日には 18.3% 安で引けた。
     それで?
     これで,日本のテック・コングロマリット SoftBank が OneWeb と Intelsat を 40%-60% の取り引きで合併させると発表してから 合計 38% 下がった。SoftBank は合併後の会社の 40% を所有する。
     気違いじみているように聞こえるだろうが,OneWeb と Intelsat が合併しさえすれば,SoftBank は 1株に $5 を払う。ところが投資家は その同じ株を たったの $3.65 で売っている。どうしてそんなことになるのか?
     Intelsat 絡みの今日のビッグ・ニュースは,1つだけ;ムーディーズがこの合併をあまりお気に入りでないということだ。水曜日,ムーディーズは,Intelsat の債券所有者に対して,この合併取り引きを "クレジット・ネガティブ" と呼んだ。債務は山のようにある。Intelsat の帳簿には $154 億の債務がある。
     ムーディーズが説明するように,"Intelsat の無担保債券所有者は 現金, 株式, および (額面価値より著しく価値の劣る) 新しい債券証書の組み合わせを受け取る。"  この理由により,ムーディーズはこの取り引きを "限界デフォルト" と解釈している。
    限界デフォルト (limited default) とは ウェブで検索しても見つからない。
     しかし, 「1ヵ月限界デフォルト率」のような表現は数多くみられる。その意味は明らかである。したがって,この場合の "限界デフォルト" とは 3社が取り決めた 90 日後より前に Intelsat がデフォルトすると解釈するのが最も自然であり,そうであれば,ソフトバンクが $5 で買い取ると約束の前にデフォルトが起こるのだから,暴落するのは当然である。
    Satellites remain in focus as investors digest Intelsat's merger news.
    Getty Images)
     じゃあ どうなるの
     This could be bad (これは ヤバイかもしれない)。もしも Intelsat が債務不履行者の札付きになれば,合併後の Intelsat-OneWeb は 必要な時に債務のリファイナンスができないし,新しい債券を発行することもできない。これは 衛星建設のような 資本集約型事業にとって 著しいマイナスである。だからこそ,投資家は Intelsat の株を今日 [ムーディーズを見て?] 売り急いだのだ。
     他方,もしも この合併取り引きにより債務を帳簿から減らして Intelsat-OneWeb が新生するならば,株主にとってプラスになる。
     手短に言うと? 債券所有者が みな ムーディーズの格下げにひどく動転した理由を私はよく理解できる。しかし,株式投資家は得をするだろう。
    こういう説明です。お判りでしょうか?
     株の所有者と債券の所有者では違いがあるらしい。
     これだけ株が下げれば 債券も下がっているはずで ヘアカットも受け入れられるから,問題ない。
     株は $5 で買ってもらえるのだから問題ない。株を持っている人は,債券所有者の犠牲の上で 得をする。
     … ということらしい。ソフトバンクの発表もそうなっている。だが,なんとなく どういったらいいのか 不健全ですね。$150 億の債務の尻拭いを自分は ほとんどせずに 債券所有者におっかぶせ,僅か $17 億を出資して,ほんとの評価では 21% しか受け取れないはずのところを 40% もくすねるんだから。それでも 向こうが受け入れるのは,$150 億と物凄い債務を "手品のように" 解消してくれる神様のようなソフトバンクが登場したからです。ほんと OneWeb と Intelsat にしたら,"ソフトバンク神様" と言うしかありません。
     それに,こんなヘアカットしたら,新会社は 債券でも銀行からも資金調達不可能になるでしょう。頼れるのはソフトバンクだけ … となると,ソフトバンクのさらなる出資は避けられない。避ければ 潰れるか。
     長い目で見れば,一番損するのはソフトバンク … となりはしないか? 神様だから まぁ いっか。
    もう1つ分からないことがある (笑)
     今回の Intelsat の決算は良い決算だった。少なくとも黒転だった。
     それなのに ムーディーズは 決算には全く触れなかった。
     触れないどころか,クレジット・ネガティブとした。
     だったら … ハッキリ言おう … あれは粉飾決算だったのだろう。
     これまでにも そういうことをやっていたから,決算が信頼されずに暴落したのだろう。
     他に あれだけ株が売られる理由があるだろうか? いちいち ムーディーズを見てクレジット・ネガティブだからと慌てて売る投資家がそんなにたくさんいるだろうか?
     となれば … ハッキリ言おう (笑) … ソフトバンクのデューディリが甘いのである (毎度のことではあるが)。こんなことで 「世界の投資銀行でございます」と名乗りを挙げることができるんでしょうかね。歴史の長い投資銀行からは笑われているような気がする。
     デューディリが甘いと言われて,もしもソフトバンクに反論があるのなら,ソフトバンク本社に何十年も勤務して社長の信頼篤い英語ペラペラ 財務の腕利きがゴマンといるだろうから,その名前と受け持ち投資先を写真入りでズラッと挙げてもらいたい。ほんと,腕利きがゴマンといないと去年の春からの数多くの案件は こなせるはずがない。

  67. US securities regulators freeze assets in suspected insider trading on Softbank-Fortress deal
    アメリカ証券規制当局は,ソフトバンク-フォートレス買収での疑わしいインサイダー取引に係わる資産を凍結した
      CNBC,2017/03/01

      By Leslie Shaffer
    アメリカ証券取引委員会 (SEC) は火曜日,裁判所の命令を 先月 取得し,Softbank が Fortress Investment を買収する取引が発表される前に 違法な可能性のあるインサイダー取引により 360 万ドル以上の利益を挙げた不明なトレーダーの資産を凍結した … と発表した。
    2017年2月8日,東京のショッピング街銀座の店舗の入り口に
    SoftBank のロゴが表示されている。
    Kazuhiro Nogi | AFP | Getty Images)
    SEC は,シンガポールに拠点を置くブローカー・ディーラー [=証券会社] Maybank Kim Eng 証券 および 英国に拠点を置くブローカー・ディーラー R.J. O"Brien Ltd の複数の身許不明の顧客が Fortress の CFD [=差金決済取引] と呼ばれるデリバティブ証券を購入したと訴えた。CFD は,アメリカでは禁止されている。
     2月14日に市場が閉じた後,日本に上場するSoftBank が Fortress Investment Group (FIG) を 約 $33 億,すなわち 1株 $8.08, 2月13日 FIG の引け値に +29% のプレミアムを付けて買収すると発表した。2月15日,FIG の株価は 29% 弱 急騰して $7.99 で引けた。
     シンガポールに拠点を置く証券会社の複数の顧客は,FIG 普通株式 950,000 株を 2月14日の引け前に購入し,この株式の売り注文を翌日市場が開く前に出して売却し,170 万ドルの利益を得た … と SEC の声明は言う
     "当社は 目下,本件を調査中の関連諸当局に全面的協力を広げ,お助けしているところである。当社は,Maybank Kim Eng 証券会社も そのいかなる従業員も この訴訟に関与していないことが解明されることを望む。" … と Maybank Kim Eng は CNBC Asia に声明で言った。
     英国に拠点を置く証券会社の顧客は,FIG の 約 105.5 万株に相当する CFD を2月10~14日から買いはじめ,その契約の大半を 2月15日に完了して 約 190 万ドルの利益を挙げた … と SEC は言う。
     R.J. O'rien は,執務時間外であるため,CNBC からの E-メールによるコメント要請に即答しなかった。
     "これらの取り引きの タイミング,規模,利益の大きさ は高度に疑わしい。" … と SEC が裁判所に提出したファイリングは言う。FIG から提供された情報によれば,2月12日の時点でも この取り引きの完了は まだ "大いに疑わしい" ものだった … と述べている。
     2月13日の引け後 5時45分,FIG の取締役会は,買収のための会合を2月14日に開くとの通知を受け取った。
     2月14日 午前11時02分,FIG の取締役会は E-メールを受け取った;それは 買収取引を承認する決議案を含むものだった。そして 11:35分には,Maybank Kim-Eng の被告らが株を買い始めた … と SEC のファイリングは言う。そして 2月15日に 購入から 24 時間も経たないうちに全株が売却され,$1,679,463.61 の利益を挙げた … とファイリングは言う。
     英国の RJO の被告らも 非常に疑わしい。FIG から得られた情報を基にすると,SoftBank 買収は 2016 年12 月 以来 既に議論されており,2017年2月10(金) ~17日(金)の週の週末にかけて決定するものと当初は見られていた。実際には,この取り引きを承認する取締役会の招集が2月12日 (日) に予定されていた。RJO の被告らは,FIG 株式をベースとする CFD をその週末の前の2月10日(金) に買い始めた。これは,2月12日に予定されていた この買収を承認する FIG 取締役会の僅か2日前であった。
     さらに,FIG 取締役会は 2月13日(月) 午後5時45分に,次回の会合を SoftBank 買収のために 2月14日(火) に開くことを通知された … とファイリングは言う。
     RJO の被告らは,2月13日に CFD を買い増し,その翌日 2月14日9時33分に またもや CFD を買い増した … とファイリングは言う。
     買収の発表の結果,FIG の株価は2月14日(火) の終値 $6.21 から 2月15日(水) 終値 $7.99 へと大幅に値上がりした。これにより 被告らは 大きな利益を得る立場に立った。実際,被告らは 事実上 FIG の証券すべてを 2月15日(水) に売却した。被告らの 2017年2月14日の (株式のポジション ならびに CFD 買い付けのヘッジ・ポジションの両方) の買いは,FIG 株の全出来高の (疑われるに足る) 高い割合 (20% 弱) を占める。この買収発表は また FIG の取引高の劇的な上昇を招いた:2月14日の 8,547,319 株から 2月15日の 151,447,966 株に急増した。
     FIG は,執務時間外であるため,CNBC からの E-メールによるコメント要請に即答しなかった。SoftBank は コメントを拒んだ。
     裁判所の命令は,トレーダーらの資産を凍結した。SEC は,これらトレーダーから 金利付きで利益を押収し,罰金を科する裁判所命令を求める意向である … と SEC は言う。
    SEC の文書 (PDF) は,かなり詳しく書かれています。そこで上の記事の中の SEC の文書部分に手を入れました。
     SEC が詳しく調査していることが分かります。
    ちょっと驚きました (笑)。 日経の英語版 Nikkei Asian Review から 詳報が出ていました。
     SEC freezes Singapore, UK accounts in SoftBank-Fortress insider trading probe
     しかも シンガポール発で日本人記者がレポート,おまけになんと シンガポールの例の証券会社に取材しているよ! 写真は SEC の建物。ソフトバンクには取材していません。CNBC 以上のことは書かれていません。
     これ,このまんま なぜ 日本語で掲載しないんだろ。あきれた。だって,ソフトバンクの投資家は皆さん心配しているんだからこれを報道するのは 日経の義務なのに。ロイター報道を引用して,たった6行でお茶を濁すなんて。これじゃぁ ・・・ 。
    これまでより詳しい内容です (WSJ, Reuters, Business Insider から出ているが これが最新である)。
     ソフトバンクが関与しているとは,ひとことも書いてない。
     でもこの写真を載せられちゃったらね。この記事がアメリカ中に広まることを 社長さんはどう考えているのでしょうか?
     コメント拒否はいいけれど「風評被害」ということもある。
     こちらが完全にシロであっても,これじゃぁ 信用がた落ちの可能性がある。
     ほんとにどう考えているのか?
     注目すべきは,SEC が FIG からの情報に基づけば と PDF の中に何度も書いていることである。FIG は SEC に大変協力的である。シロだという自信があるんでしょうね。だから強気で SEC になんでも探せ! クロは他なんだから,ほかを当たれ! もしも FIG が非協力であれば,もっと手間取っただろう。
     だったら,同じように ソフトバンクも協力の姿勢をなぜ 見せないのか? おかしいよ。
     SEC の訴状 (PDF) を読んだが,ソフトバンクからの情報に基づけば という記述は見当たらない。これはどういうことか?
    ──────
     Wall Street Journal も これとほとんど同じで,CNBC の方が詳しい。
     ただし,WSJ は ソフトバンクの本社の写真を使っている。"お父さん" が見張っている例の写真だ(笑)。何となく どのメディアも ソフトバンクを疑っているんだろうね。でも シンガポールとロンドンだけでは証拠に全然ならない。まぁ インド人が捕まるようなヘマは無いだろうから,事件にはならないでしょうが,風評被害が問題である。世界投資銀行としてやっていく上で一番大事なのは信用である。なにしろ FIG と Intersat で立て続けに情報漏れが2件あったんだからね。疑いが掛かるのは止むを得ない。
    ──────
     上の記事は,R.J. O'rien は,執務時間外であるため,CNBC からの E-メールによるコメント要請に即答しなかった。 … とあるが,WSJ には 次のように答えたらしい。
     R.J. O'Brien は,同社が規制当局に関することにはコメントしないと言った。
     そういう答え方もあるんですか。さすが シティーの証券会社。常にそう答えているんでしょう。
     ソフトバンクは,メディアからの問い合わせの答え方を学習する必要があるかな。
     まぁ 仕方ないでしょう。何百年の歴史を誇るシティから見れば,30 年のソフトバンクがヒヨコに見えるのは仕方がない。ソフトバンクに限ったことではない。

  68. Announcement: Moody's says Intelsat's merger agreement with OneWeb is credit negative
    発表:ムーディーズは,Intelsat の OneWeb との合併合意を クレジット・ネガティブであると言う。
    ムーディーズ信用リサーチ,2017/03/01
    By Bill Wolfe
    ムーディーズ投資サービス (以下 "ムーディーズ") は,Intelsat (Caa2 見通しネガティブ) が発表した OneWeb (格づけなし) との合併合意を クレジットネガティブであると発表した。理由は,Intelsat の担保なし債権の所有者が 現金, 株式, および (額面価値より著しく価値の劣る) 新しい債券証書の組み合わせを受け取ることが提案されているからである。本取引の完了時には,ムーディーズは ・・・ (以下理解できない) 再評価を行なうであろう。  
     At closing, Moody's will likely assess the pending debt transactions as a distressed exchange and limited default, which will be signified by appending the /LD limited default indicator to Intelsat's probability of default rating (for one business day).
     この公告は,信用格付けのアクションを行なうものではない。
    これが理由で,Intelsat の株価が暴落したのでしょうね。
     でも,なぜ?
     クレジット・ネガティブということは 数ヵ月以内に格づけを引き下げるということでしょ?
      額面価値より著しく価値の劣る新しい債券証書を受け取る … 確かに Intelsat の広報にはそういうことが書いてありました [当サイトはそこまで既に読んでいるんですよ!(笑)] 。その数字も書いてあったんだけど,その内容が,実はプロの目から見ると相当に悪いのかな? ソフトバンクが出し渋った感があるからね。$17 億ビタ1セントまけられない! リークで値上がりしても,そんなことは無視!たしかに ここでソフトバンクが譲れば,次回以降 "洩れ漏れバンク" としては 全部譲らざるを得なくなる。だから 当初の出資金額を変えない。
     さて,どうなりますか。
    「Why Intelsat Stock Sank (なぜ インテルサット株は沈んだか)」 と言う記事には,合併を発表したからだ … と書いてある。
     決算は,売り上げも利益も ウォール街予想より良かった [そりゃそうでしょ(笑)]
     では なぜ下げたのか?
     日本の SoftBank は合併後の会社に $17 億を投資,39.9% を所有する。Bloomberg によれば,この取り引きは $78 億に評価される。
     インテルサットの通年決算が 予想をどれだけ強く(how mightily) ぶっ壊したかを考えれば,インテルサットの2日にわたるセルオフは過剰反応に思えるかもしれない。投資家はこの合併を好かないのです。でも いろいろ 良いことがあるのですよ。(以下 良いことをいくつか書き並べています)
     これ見てどう思います。当サイトは SoftBank の辣腕ぶりにただただビックリ。
     Bloomberg の評価が正しいとすると $78 億の評価に $17 億出したら,受け取れるのは 17 ÷ 78 = 21.8% です。それなのに 39.9% も分捕る契約ができたのはどうしてなのか?
     説明が無ければ 株主に嫌われる。だから 株価が下がった。これで納得できます。
     でも,こういうのってどうですかね。今までも多分これでやってきたのか。今後もこれで行くんでしょうが,そんなに無理して嫌われる必要があるのか? インターネットで世界の人を幸せにする企業のはずなのに。
     これでは "洩れ漏れの嫌われバンク" だわ (笑)。世界に信用を無くす。

  69. Potential SoftBank-WeWork deal highlights flexible office trend
    潜在的な SoftBank-WeWork 取り引きは,柔軟なオフィス傾向をハイライトする
    Reuters,2017/03/01, 04:45 pm ET
    By Herbert Lash (ニューヨーク)
    柔軟な作業空間への伸び始めた関心と投資は,商用不動産市場の小さな片隅を 大きな事業の流れへと押し広げ,アジアのトップ経営者の1人を 同社のアメリカ営業の拡大にまで引っ張る。
    2017年2月23日,香港の WeWork 旗艦店の開業式に参加するゲスト。
    Reuters | Bobby Yip | File Photo)
    メディア報道は,情報技術と通信に長けた 日本の SoftBank Group がアメリカのオフィス共有スタートアップ企業 WeWork に $30 億超の投資が間近いと伝えている。このニュースは,関連する業界とセクター全体に大きな信任票を投じる意味を持つ。
     WeWork のライバルでオーストラリアに拠点を置く Servcorp は,アメリカに展開するに機が熟したと考え,最高執行責任者 (COO) をニューヨークに派遣し,アメリカの営業,22 店を5年で2倍にすることを目指している。
     "WeWork は 実際,柔軟な作業空間が特にスタートアップ企業にとって素晴らしい解決法であるという事実に脚光を当てた。" … と シドニーに拠点を置く Servcorp の創業者の息子 で COO の Marcus Moufarrige が言う。彼は,アジア, 中東, オーストラリアでのオフィス空間と会議室のサービスのリーダーである。
     Moufarrige は 電話インタビューで,今月末までには アメリカに移住すると言う。
     Servcorp は,全世界 54 都市に 155 店を持つ。これに対し WeWork は 36 都市に 154 店を持つ。ただし, 両社のスタイルは異なる。WeWork がミレニアル世代向けであるのに対し,Servcorp はプロ級の企業向けである。
     CNBC は月曜日,情報源を引用して 会社設立後7歳の WeWork に SoftBank が $30 億の投資に間近いと伝えた。1月30日,Wall Street Journal は 複数の情報源を引用して,日本の会社が "$10 億を優に超える投資を検討中" であると伝えた。WeWork にとって,SoftBank との取り引きは,日本市場に参入する際のやっかいな輪を潜り抜ける助けとなろう。ただし,同社の財務の制約は,昨年報道されたように,日本のこの会社が典型的に要求するユニークな技術的先端性を欠いていることと相俟って,重石となろう。
     求む:快適さ
     家庭での作業であれ,路上でのスマートフォンによるインターネット・アクセスであれ 楽にできるようになったことが,企業や地主に 仕事場での快適さを増すよう 圧力を掛けるようになった。それでも,オフィスの役割が減ったわけではない … と専門家は言う。
     投資家は 注目している。Crunchbase によれば,創立後2年の Knotel は 先週 ベンチャー・キャピタルから 2,500 万ドルを調達した。2016 年9月には 18 のサイトを持ち,アメリカ第2位と目される共用空間業者 Industrious は 3,700 万ドルを調達した。
     商用不動産仲介業者は,共用オフィス空間が ニューヨークのオフィス市場の少なくとも 2% を占める … と言う。ただし,それより高い数字を唱える者もいる。Knotel の CEO 兼共同創立者 Amol Sarva は,商用不動産が 通常 リスクの高いリース契約に絡むと言い,その理由から ホテル業界のやり方を真似て,このリスクを避けるために地主と運用契約を結ぶことにしたと言う。Sarva は,大きく浮き沈みのある事業を抱えて不動産事業に参入するのは自殺行為であるという。彼のお勧めは, [地主と?] 売り上げを共有する提携である。
     Moufarrige は,Servocorp が世界的足型 ならびに (同社のすべてのサイトを プラットフォーム上で切れ目なくつなぐ) 通信ネットワークを備えた先端性を持つと言う。彼は,アメリカを同社の最大のチャンスと呼ぶ。
     WeWork の急速な拡大と,顧客として スタートアップ企業に依存することは,経済が ソフト化した時点で何が起こるかという問題を投げ掛ける。WeWork は 大きめの借り手企業の数を増やしたと報告している。
     Servocorp は,既存の確立した企業にアピールし,Knotel は,そういう得意先にも訴える。
     さらに柔軟な作業空間とともに,企業は ますます良い 堅牢な技術を要求する … と Moufarrige は言う。
    この記事 何度も 見るんですが (読むんですが … ではありません!) 気持ち悪いですね。
     記事にはあからさまに書かないことを,写真を利用して表現する … ということを各社はやっているような気がする。
     な~んか,この記事の写真を見たら いかにも "WeWork は悪漢だ" みたいな印象を受ける。わざわざ こんな写真を使わなくても,印象の良い写真はいくらでも見つかるはずである。だから,そういうことまで おそらくロイターは伝えたかったのでしょう。
     教訓として,ソフトバンクも 良い写真を使ってもらえるように努力する必要がありますね。
     あるいは,必要も無いところに ソフトバンクの写真を なるべく使わないようにしてもらう。
    SoftBank invests $300 million in shared-office startup WeWork: source
    ソフトバンクが,オフィス共有スタートアップ企業 WeWork に $3 億を投資する:情報筋
    Reuters,2017/03/20 @10:35 pm ET
    By Heather Somerville (サンフランシスコ)
    事情に詳しい複数の人によれば,SoftBank Group は,オフィス共有企業 WeWorkk に $3 億を投資した。
       < 内容に新しいことは何も無い。気持ち悪い写真も同じ!
     ただし,金額が $30 億から $3 億に減額されている。
     これは初回分であり,残りは Vision Fund から来る予定とのこと >

  70. SEC Investigates Possible Insider Trading in Fortress-SoftBank Deal
    SEC が,Fortress-SoftBank 買収でのインサイダー取引の可能性を調査する。
    Wall Street Journal,2017/03/01, 01:26 pm ET
    By Gunjan Banerji
    裁判所の命令は,トレーダーらの口座の 360 万ドルを凍結する。
    証券取引委員会は,SoftBank Group の Fortress Investmnet Group 買収発表前のインサイダー取引を疑われるトレーダーらの資産を凍結中である。
     SEC の訴状によれば,これらのトレーダーは,シンガポールに拠点を置くブローカー・ディーラー Maybank Kim Eng 証券 ならびに ロンドンに拠点を置く R.J. O'Brien Ltd の顧客であり,違法な利益 360 万ドルを得た可能性がある。
     日本のテック巨人 SoftBank は ・・・
    ちょっと 笑ってしまうのは,WSJ もロイターの記事も,Yahoo Finance の Fortress のところには 全く出ていない! ソフトバンクのところにだけ出ている。
     つまり,暗黙のうちに この2社は どちらを疑ってるんだろか?

  71. Wed Mar 1, 2017 | 9:52am EST SEC freezes assets in SoftBank-Fortress insider trading probe
    SEC は,SoftBank-Fortress インサイダー取引調査にかかわる資産を凍結したと発表した。
    Reuters,2017/03/01, 09:52 am ET
    By Jonathan Stempel
    アメリカ証券取引委員会は 水曜日,日本の SoftBank Group Corp (9984) による Fortress Investment Group (FIG) 買収に関連して $36 億を超える利益に係わるインサイダー取り引きスキームを疑われる或る数名のトレーダーの資産を凍結したと発表した。
    SoftBank は,2月14日の取引終了後に,Fortress を現金 $33 億で買収することに合意したと発表した。SEC は,ロンドン, シンガポールの証券業者の 未確認の (unidentified) トレーダーらが 発表以前にこの買収の情報を握っていたと言う。
     SEC は,これらトレーダーが 2月14日に Fortress 株を購入し翌日売却して合計 $0.036 億の利益を挙げたと言う
     "買収発表後数日以内に トレーダーらの高度に疑わしい取引の売り上げを凍結するという SEC の非常アクションは,(SEC がこの取り引きを調査する間に) この利益を口座から動かせないよう確保するものである。" … と SEC は声明で言った。
     SEC は 2月24日に裁判所の非常命令を得て,資産を凍結し,このトレーダーらに証拠隠滅を禁止した … と SEC は言う。
      "The commission is seeking a final judgment ordering the traders to disgorge their ill-gotten gains with interest, pay financial penalties, and permanently enjoin them from future violations," the agency said.
    出るべくして出ました。何しろ 日経は全く隠して報道しないが (理由は不明) 欧米のメディアは4役揃い踏みで報道していましたから,ここで SEC が何もしなければ,今度は SEC が叩かれる。利益は これっぽっちなの? 危険なインサイダーだからほんとは もっと多いんじゃないの? オプション取引もあるよ。
     それにしても ロンドンとシンガポールとはね。どちらもソフトバンクにご縁の深いところではあります。
     ロンドンには軟銀願景基金の本社を設立して Rajeev Misra をトップに活動を始めている。
     シンガポールは,つい最近 鴻海との JV APAC の場所はどこでしたっけ? 覚えていない? Alok Sama がトップです。
     ソフトバンクの投資銀行業務の拠点である この2ヵ所とも 名前が出てくるとは。(もちろん まだ容疑の段階です)
     なお,最後の1行は,インサイダー取引のテクニカルな知識を欠く当サイトには 意味が理解できません。
     いろいろ 問題がありますが,日経の報道機関としての姿勢を根本的に改める必要があります。あれだけ外国メディアがこのインサイダー疑惑を報道しているのに,日経は 全く書かない。どうして書かないのか? 理由は想像するしかありませんが,日経の社長さん,大いに反省してください。
     このロイター報道を書いたって遅いよね。
    ──────
     インテルサットが値を見る見る下げている! なぜだろう? ソフトバンクは $5 で買うと言っているのだが。
     これだけ下がれば,ヘアカットに応じる率が高くなって,買収が壊れる可能性が下がる。
     しかし,それ以外の理由で買収が潰れるのなら,ここで売った方がよい。別の理由とは?
       $4.43, −$0.55 (−11.04%), As of 4:18 pm EST. Market open.
     これは 尋常な下げではない。出来高は,既に平日の2倍を超えた。
    ──────
     ソフトバンクと FIG の株価には,どちらも影響が出ていない。不思議ですね。
     この不思議は引けでも変わらない。ほんとに不思議だ。説明がつかない。決算は黒転なのにね。
     インテルサット出来高:1,722,764 (Avg. Volume 543,686) 3倍を超えた。
       $4.47, −$0.51 (−10.24%) At close: 4:00PM EST
     インサイダー報道のある Fortress は $7.97 だから $8.08 に比べて妥当な引け値。
     Intelsat は インサイダー報道はまだ (?) 無いのに $4.47 だから $5.00 で買ってもらえないと信じてヤレヤレ売りか? それとも "こちらもインサイダー取引があったか" … と先読みしたインサイダーさん (?) が売りに走ったのか?(笑)
     インサイダーなんてやったことないから,わからない。
     一方,陰の主役のソフトバンクは おとなしい。昨日の東京の写真相場である。
       $38.21,+$0.85 (+2.28%), 出来高 98,410 (Avg. Volume 138,615)
    ──────
     仮に … かりにですよ … インサイダー疑惑のために ソフトバンクの今後の外国投資 (もちろん ビジョン・ファンドを含む) がすべてできなくなったとして,ソフトバンクの株価はいくらが適正なんでしょう?
     評価はむずかしいですね。信用を失うことが一番大きい … ですね。これはお金には換算できない。
    [2017/03/02 NYSE] そのインテルサットが 連日の暴落である。
    $3.68, −$0.79 (−17.67%),As of 2:45AM . Market open.
    出来高:2,016,035 (Avg. Volume 562,681)
    理由は 全く分からない。Yahoo Finance のトップを飾る記事は ムーディーズの発表である。
     その次が,上に紹介した 「株価が下がった理由を株主が嫌ったと説明した」記事である。
     これで,OneWeb と Intelsat の合併はオワだろう。
     問題は その影響である。
     どうなんだろうか?
     案件そのものは小さい。投資金額全体に比べれば取るに足りない。
     だが, 「真理は細部に宿る」という考えもある。
     株主に嫌われるような買収をする 投資銀行が 他の投資では歓迎されるのだろうか?
     株主に嫌われるような投資をする投資銀行に,喜んで サウジが,湾岸諸国が,アップルが出資するのだろうか? アップルの場合には ブランドへの跳ね返りも考えるだろう。
     … と考えれば,そういう投資銀行の株価が 1.79% 程度の下げであるというのは,異常というほかはない (?)

  72. Intelsat posts 4Q profit
    インテルサットは,第4四半期に黒字を計上する
    Associated Press,2017/02/28 (ルクセンブルグ)
    インテルサット SA は 火曜日,第4四半期の純利益が $6.628 億であったと発表した。
    1年前の同四半期は赤字を計上した。
     1株当たりでは,ルクセンブルグに拠点を置く会社は,純利益 $5.56 である。債務を償却するために調整された損失は1株当たり −$0.10 であった。
     通信+衛星企業 インテルサットは,この四半期に売り上げ $5.507 億を計上した。
     通年では,同社は 純利益 $9.902 億 (1株 $8.36) を上げ,今期は黒字に振れた。売り上げは $21.9 億であった。
     インテルサットは,通年の売り上げ予想を $21.8 ~ $22.3 億としている。
     インテルサットの株価は,年初から2倍以上になった。過去1年でも2倍以上になった。
     この記事は,Zacks Investment Research のデータを用いて,Automated Insights により自動生成されました。
    インテルサットの決算記事は,AP による これ1つだけが Yahoo Finance に ポツンと寂しく出ている。
     ソフトバンク支援による OneWeb との合併記事は いくつあるか数える気にもならない (笑)
     ここでも SoftBank の作戦は大当たりか? (笑)
     近頃 日本でも はやり始めたコンピュータによる自動作成の決算記事である。まだ実力は不十分で,草稿を作るのに使われる段階であり,決算報告記事は いかに AI でも無理らしい (ソフトバンクの AI でもまだ無理なのだろう (笑)。できることなら ペッパーに決算記事の自動作成をさせたい (?) だろうが)。
     AP は完全自動にしているらしいが,ご覧のように (翻訳がまずいせいもあるが) 細かい違いを読み取りにくい。一時利益がどうなっているのかも分からない。
     … ではあるが,決算は何となく良さげに読める。… というか 業績が好転したような「感じ」がする。黒字転換というのは (スプリントがあれほど苦しんでいることを思えば) 素晴らしい。
     ここで もし業績が悪化したのであれば,問題は無い。投資家は あっさり降参して,ヘアカットに応じるだろう。
     もしも 業績が好転に向かっていると インテルサット投資家がこの決算を読めば (絶対読むでしょうね) どういう行動を取るか?
     そこをどう読むかという問題が発生する (いゃ 発生したのである)。
     なお,ソフトバンクの広報に (インテルサットの広報にも) あるように 90 日後,すなわち 5月末が注目される。
     もしかして,90 日って何のこと? … と言う初心者の方は,ソフトバンク広報をお読み下さい。
    ──────
     しかし ソフトバンクのアメリカでの人気は ほんとに物凄い。チョコッとリークが出ただけで 買いがワッと集まり,青天井に買い上げる。みずてん (不見転) に買うんだよね。損する可能性なんて全然考えない。アメリカの報道が あまりに「大富豪,大富豪,大富豪」って持ち上げるから,ホントは「大借金王」なんだけど。そういう表現を一度も見たことがない。そもそも「大借金王」って英語でなんて言うのか知らないよ (笑)
     多くの報道で,いくらでも金が (ほとんど無限に) 調達できるかのように書かれているのは本当です。 実は この大富豪さんが配当をケチりにケチっている … なんて記事は一度も見たことが無い。
     インテルサットで 少しは学習してもらった方がいいんじゃないの (日本の投資家さんもネ)。損した分は授業料ってよく言うから。
     ただ,ハッキリ意識されていないようだけれど,日米の投資家さんの買い方には違いがあると思う。
     米の方は,長年低迷していたボロ株が 海の向こうの大富豪の救済により「損を回復するチャンス」と色めき立った。分かりやすく言うと,ありがたや,塩漬け株を処分する絶好のチャンス!
     日の方は, 「これぞボロ儲けするチャンス」と色めき立った。ボロ株であることに気づいていない。設備過剰の競争ゲキレツであることにも気づいていない。OneWeb の衛星通信が高速でないこともレイテンシーが高いことも無視している。だから,一部で報道されているように,ソフトバンクが世界の「通信王」になることは あり得ない。世界で真の通信王でないと気が済まないのは Verizon である。
    ──────
     最後に (笑),社長さん MWC でせいぜい気張って 標準の話を持ち上げたらしいけれど,残念ながら,英語のメディアで見る限り,今年も完全無視されたらしい。日経記事で石川さんが 詳しく紹介なさいましたが,日本 ローカルにとどまったようです。ローカルなものを必死にグローバルに格上げしようとしても,それは Sprint の電波の価値を高めるという ローカルな経済的狙いに過ぎないから,無理無理。今のソフトバンクの実力は,そこまで行っていないようです。
    ── えっ,それって通信の標準だけの話でしょ?
    ── とりあえずはそうですが ・・・ 。

  73. ARM CEO Won't Rule Out Major Deal After Takeover by SoftBank
    ソフトバンクによる買収後,ARM の CEO は大型取り引きを排除せず。
    Bloomberg,2017/03/01 00:06 JST
    By Giles Turner
      SoftBank の Son が考えを広めよと督励する。
      経営幹部は,バルセロナの MWC で語る。
    Simon Segars [気のせいか おやつれになった]
    ARM の新オーナー SoftBank は,英国のチップ設計会社に "可能な限り広い枠" の中で考えよと督励する … と 最高経営責任者 Simon Segars は言う。その中には,大型取り引きも世界展開も含まれる。
     Segars は,SoftBank Group の Masayoshi Son の支援を仄めかしつつ,大型取り引きの可能性を排除しなかった。"彼は,世界で何が起こっているか,そして事業を さらにもっと強化する最善の方法は何かを SoftBank Group の企業群の間で コンスタントに議論している。" … と 火曜日,バルセロナの MWC でのインタビューで語った。"彼は 何十年先の将来を考えている。"
     SoftBank は,昨年7月に ARM を $320 億で買収した。東京に拠点を置く企業は,ARM が3年後には 最低でも $1,000 億の評価になることを期待する。ただし,Bloomberg がインタビューした SoftBank 経営幹部は,これについて広言を許されていないので匿名を求めた。
     ARM は 英国で雇用を続けている。これは地元の規制当局との合意事項の重要な一部である。ARM は 買収時に英国に 1,600 名に従業員を抱えており,2021 年までに 3,200 を目標としている。既に "数百人" を採用した … と Segars は言った。
     ARM は,アメリカでも採用を行なっており,1,000 名のスタッフがいる。現在上海のオフィス空間を倍増している中国での必要を認めた。
     ケンブリッジに拠点を置く ARM は,既に一連の小規模の買収を行なった。最近では スウェーデン企業 Mistbase と アメリカに拠点を置く NextG-Com を買収した。この2社は,携帯技術に特化した会社である。
     SoftBank は,一連の取引で忙しい。テック巨人は 衛星スタートアップ企業 OneWeb を買収し,それを支援している Intelsat と合併させる。SoftBank は また,$1,000 億の Vision Fund をサウジ・アラビア および その他の名高い支援者たちと完了に近づいている。
     Segars は 会社の事業が通常通りであることを強調したが,Son が ARM を SoftBank の将来のカギと見ていることは明らかである。Son は月曜日,コンピュータ・チップが 30 年以内に IQ 10,000 を持つ人間と同等の知能を持つと予想すると言った。コンピュータの能力の伸びが "私が ARM を買収した理由" であると Son は言った。
     2016 年には 167 億個の ARM チップが出荷された;1秒間に 530 個の割合である。ARM の 27 年の歴史では,1,000 億個のチップが出荷され,そのうちの半分は 過去四年以内である … と ARM は言う。
    東京に拠点を置く企業は,ARM が3年後には 最低でも $1,000 億の評価になることを期待する。ただし,Bloomberg がインタビューした SoftBank 経営幹部は,これについて広言を許されていないので匿名を求めた。
     3年で 1000 ÷ 320 = 3.125 倍ですか。複利計算で 1年にすると log 3.125 を3で割って exp を取る。
     年率 +46% くらいの成長ですね。とてもとても お笑いだ!
     この前のソフトバンク決算では,ARM の売り上げが 前年比 +8% だった。それも会計基準を変えて将来の出荷 [てっきり出荷だと思っていたら,ほんとは出荷見積もりだった!] を先取りするようにした結果である。3年で $1,000 億なんてできるわけがない。甘い! こんな目算で ARM を買収したのか?(笑)
     3年で 3.1 倍なら,6年で 9.6 倍,孫さんお得意の複利で計算するなら,9 年で何と 30.5 倍になるよ。
     $320 億が9年で $320 × 30.5 = $9766 億,ざっと 100 兆円を超える。
     ARM だけで 日本の国家予算並みだ!
     納める税金は ソフトバンク1社だけで ~30 兆円か? 日本中から感謝の嵐。
     なにしろ そのまた3年後には そのまた 3.1 倍の 90 兆円をソフトバンク1社で納税してくれるから,日本の国債は発行をやめて,むしろ 大量に毎年返済を続けられるようになる。GPIF なんかで危険な投資をする必要もなくなるよ。
     ソフトバンクの株価も 9年後には 10 万円は固い!
     な~るほど,こういうドアホな夢に縋って ARM を買収したのか (笑)
     如何にこの会社の経営陣がアホであるかを 匿名の経営陣が自分から暴露した。
     まぁ 夢はデカいに越したことはない。そこまでは結構。でも でも ですよ。買収のあとで ARM はどれだけのことをできたのか? 3.3 兆円に見合うだけのことを この半年の間にどれだけやったと 胸を張って Segars CEO は発表なさったのか?
     ソフトバンクのお蔭であれもできた,こういう計画もあります … なんて発表を ARM がした … というニュースは ほとんど見たことがありません。
     これでもって「孫さま 命!」 と 1,000 % 信じてくれる株主がいる。さぞ こたえられないでしょう。
    ──────
    [参考] ソフトバンク 2017/02/08 決算短信 p. 18
     当社による支配獲得に伴い,アームは,売上高のうちロイヤルティー収入に関する収益認識の会計方針を変更しました。変更後,アームは,ロイヤルティー・ユニットの出荷見積もりに基づいて四半期のロイヤルティー収入を計上しています。上記プロフォーマは,支配獲得日以前のロイヤルティー収入についても,変更後の会計方針に基づき表示しています。
    ──────
     ホントは ARM について 問題点をもっと書く必要があるのだけれど,3年後の話で吹っ飛んでしまった。
     1つだけ注目すると,Bloomberg が日本語訳でカットしたところが重要だろう。
     Segars は 会社の事業が通常通りであることを強調した
     つまり,私のやることに 可も不可もない。全体として 頭打ちだから特に言うことが無い。新製品も無い。あれば,ここで言うはずである。だから,3年で $1000 億なんてあり得ないことが Segars CEO の発言から何となく分かる。
     断っておくが Segars さんは 悪い人ではない。手堅く 着実に ARM の業績を それなりに伸ばしてきた。その意味では立派な経営者である。ただ,不明な理由で 買収完了の翌日に退社した Chambers チェアマンのように,大胆に孫さんと取り引きをまとめる … というようなタイプではない。
     だから, "可能な限り広い枠" の中で考えよと督励されちゃったら,Segars さん,何をしたらよいのか分からず困った (?) だろう。そういう雰囲気が この記事から感じ取れませんか? 一言で言うと,社長さんのスピードについて行けない。
     社長さんも 自分だけ目立とうとせずに,ARM を買収したお披露目として,バルセロナの講演を Segars さんに譲ってもよかったと思う。その方が さすが 孫さん … と評価されたかもしれない。でも この社長さんはそういうことを絶対にしない。自分だけが最高に目立とうとする (これまで苦労して ソフトバンクを大きくしてきた … という思いが いつまで経ってもぬけないのでしょう)。それはそれで悪いということはさらさら無いが,大将としてグループ全体を率いるという意味では,どうかと思う。
    ──────
     確認のため ARM にどんな新しいニュースがあるかと思い "ARM BBC" で検索してみた。
     新しいニュースは1つも無い。社長さんが 2月8日の決算説明会で力説したようなのが1つでも見つかるかと思ったが,全く無い。どういうことなのだろうか?
     3.3 兆円の買収は世界中で取り上げられたが,その結果に BBC すら注目していないのである。
     Bloomberg がこのように親切に取材してくれなかったら,報道の世界の ARM は この世から消えた存在であった。
     結局,ARM という企業の宣伝活動は 社長さんの担当になっており,しかも年に4回のソフトバンク決算発表の一部に組み込まれてしまっているから,1つの企業としての ARM の活動については,メディアが関心を持ちにくくなった。これは,ARM とソフトバンクが 当初から想定済みのことなのだろうか?

  74. Fortress Reports Fourth Quarter and Year End 2016 Results and Announces Dividend of $0.09 per Share
    Forrester は 2016 年第4四半期と通年の決算 ならびに 配当 $0.09 を発表する。
    Forrester 広報,2017/02/28
    FIG は本日,2016 年第4四半期と通年の決算を発表いたしました。
     今のところ,これを伝えるメディアは皆無である。ソフトバンクによる買収の報道は 山のよう (笑)
    SoftBank による買収発表のときの騒ぎとは様変わり。すっかり忘れられた存在となりました。
     SoftBank の作戦は大当たりか?
     決算の内容だが,一言で言って ほぼ変わりなし。
     ただし,継続して見ている会社ではないので,本当のことは分かりません。
     純利益:通年の $1.81 億 (−1%),相変わらずの低い利益。
     運用資産額 (ここが重要かな?):$696.27 億 (1年前は $705.01 億だったので −1% の減少)
     詳しい内容は,英文タイトルのリンクからどうぞ。
     もうほとんどの人が忘れているだろうが (当サイトは決して忘れないよ(笑)),インサイダー疑惑に関しては,今日発表される決算が好決算だと当て込んで買った人もいた「可能性」がある。
     しかし,今日発表された決算は「並み」である。株やオプションが暴騰する理由は全く無い。
     ということは,(もうお分かりですね) インサイダー取り引きだったことが ほゞ 確定したと考えてよろしいのではないでしょうか。となると SEC の調査と犯人探しが始まる。インテルサットの方もリークがあったわけだから こちらの方も調べる。そこでこの2件のインサイダー取り引きに関与している企業は どこか? ここに注目が集まる。… と進むのが自然の成り行きです。
     おおごとになる可能性無きにしも非ず。いや 大いにありか!
     だって,Bloomberg を思い出してみよう
     株・オプションの取引急増は,ソフトバンクグループがフォートレスを33億ドル (約3770億円) の現金で買収することが伝えられる前に起きた。発表を受け,フォートレス株は15日にさらに29%上昇した。考えられる理由として,アナリストはフォートレスが決算を来週発表する見込みであることを指摘しているが,過去に決算発表がこのような売買急増につながったことは稀だ。MKM Partners のデリバティブ(金融派生商品)責任者 ジム・ストラッガー氏は「そうしたイベントを控えていなければ,控えめに言っても怪しいと言える。タイミングが疑問を投げ掛けていることは確かだ」と語った。
     そうしたイベント (決算) で,大したことは無かったのでございます。ハイ。
     その1つ前の Financial Times の記事が 一番詳しい。

  75. Earth to Planet Softbank
    地上から衛星へ ソフトバンク
      Bloomberg,2017/02/28, 09:30 am ET
      By Leila Abboud
    この業界は 依然として 過剰設備に悩まされている ── Son が何を約束しようと。
    Steve Jobs は,現実をゆがめる場 (ば) を持っており,それにより ほとんど何でもできると人に信じ込ませることができたと言う。SoftBank の "最高ビジョン責任者" Masayoshi Son は何か同様のことをしようとしている。だが そんなことに夢中になってはいけない。
     火曜日,Son の $1,000 億 SoftBank Vision Fund は,SoftBank が 40% の権益を持つ衛星スタートアップ企業 OneWeb と Intelsat SA を合併させると発表した。Intelsat は OneWeb より大きなライバルであり,2回のレバレッジ・バイアウトを受けて以来,重い債務に足を引っ張られている。もしも 決定すれば,SoftBank は合併後の会社に $17 億を入れ,その 40% を所有する。
    地上に突っ込む
    衛星事業会社の株価は,業界の過剰設備の警告により下がっている。
     SoftBank の金は,Intelsat の債務を $36 億カットするのに役立つだろう:債券所有者は,手持ちの証券を 現在の市場価格で割り引いて,現金 および 合併会社の株式に交換することを求められている。したがって,この取り引きは,十分な人数の債券所有者がこの条件 ── および Son が示す将来のそびえ立つビジョン ── を呑むか否かに懸かる。
    減る一方の現金
    現金,現金同等物 および 短期投資
     現実をゆがめる場の外では,衛星業界は いわゆるハイスループット衛星 (HTS) の到来により もたらされた過剰設備で蔓延している。それでも建設ブームは進んでおり,SES SA, Eutelsat SA, Viaset Inc はどれも設備を拡大しようとしている。
     Son の OneWeb は まだ1羽の鳥も空に打ち上げていない。これまでのところ 少なくとも 720 の (まだ建設されていない) 衛星のネットワークを利用して遥かに安い Mbps 当たりの料金で接続を売ろうと考えている。これにより,農村地帯 および 貧困地域を接続する経済を劇的に変えようとしている。
     同社は,Elon Musk の SpaceX の低空プロジェクトからの競合に直面している。とは言え そちらも未完成である。また,ViaSat と Hughes Satellite Systems Corp が,これとは異なる技術で 同様の顧客を狙っている。
    地上から衛星へ ソフトバンク
    [衛星が仮に 700 個として,こういうアンテナ基地を世界中に
    いくつ作るんだろ? そこから電波基地,そこから末端の利用者。
     これらの建設・維持費用は? 衛星以外でも莫大か?]
     OneWeb の衛星は,Intelsat の [静止] 衛星より地表に遥かに近い軌道を回る。これにより,レイテンシー問題を回避できる。だが それはコストを伴う。アップスタート企業 OneWeb は,地球という惑星をカバーするために,静止通信衛星より遥かに多くの衛星を必要とする:700 以上である。Intelsat の静止衛星なら 10 個程度である [注:SpaceX は,4000 個と伝えられている]
     Son は,OneWeb がどこまでできるかについて 既に 物凄い公約をした。実際,下り速度 200 Mbps を レイテンシー 20~30 秒でも,OneWeb 自身がこれまで約束したより良い数字なのである。昨日 MWC の基調講演で,彼は OneWeb の技術と 光ファイバー接続とを比較して,"宇宙からまっすぐに地上へ" なら "衛星から何十億もの運転者に接続を提供できる" と言った。
     あの厄介な現実のゆがみの場が 再び現れた!
     実は,そのようなつながりを提供する方法としては,地上のファイバー・ネットワークと Wi-Fi の方が信頼性が高く しかも安いやり方なのである。衛星を使って自動運転車を動かすとかスマート・ドローンを動かすのは難しい:接続には 低いレイテンシー,高い信頼性,そして安いことが必要である。
     たぶん OneWeb の技術は,これを変えるだろう。Intelsat の大量の得意先と専門的技術は,その開発を加速するだろう。言い換えると,障害は Son が予期するよりも高いことが分かるだろう。そして,ライバルたちが これを出し抜くのはさらに困難だろう。いずれにせよ,ベテラン経営者らは 最近公然と,現在の衛星づくりブームが 1990 年代のような相次ぐ破産という結果に終わるだろうと危ぶんでいる。
     Son は,びっくり仰天の金額の金を自分の SoftBank Vision Fund のために集めた。彼は 急いでこれを使いたがっている。彼の投資家らに 元を取らせるためには,単なる Jobs を超える弁才 (flair for rhetoric) を必要としよう。
     Leila Abboud is a Bloomberg Gadfly columnist covering technology. She previously worked for Reuters and the Wall Street Journal.
    この記事は,結局のところ OneWeb の技術がどの程度であるかを 社長さんが全く知らない,認識できていない … と言っているわけだ。話だけは,Jobs のように うまくおやりなさい。
     どうして 過剰設備でアップアップしている業界に乗り出すのか?
     この業界では 破産が相次ぐのではないかと 当の経営者らが懸念しているらしい。
     壮大な慈善事業をやるにしても,個人でやれ! 株主に負担させるのは筋違いである。
    ──────
     もともと OneWeb は 低いレイテンシー (短時間応答) とか高速とかを目指しているわけではない。世界の貧しい多くの人にインターネットを届ける … という社長さんの夢を実現するためのものだった はずである。
     衛星を使ったって 結構な遅れが出ることくらい誰にでも分かる。時速 100 マイルを超えるスピードで走る車との応答に時間がかかっては 衝突事故が起こる。そういう何十億台もの車をシステムが管理していたら,どういうことが起こるのか? 社長さん認識せずに得意げに MWC で基調講演をなさったのか。
     「テック業界」の笑い者となったか。アップル, グーグルのトップは,どう思ったか?
     ド素人さんのやっていることだから … と忘れてくれるだろうか?

  76. Satellite operators OneWeb and Intelsat to merge
    衛星事業会社 OneWeb と Intelsat が合併する
    Reuters,2017/02/28, 07:17 am ET [=09:17 pm JST]
    By Narottam Medhora
    SoftBank の支援を受けるアメリカの衛星ベンチャー OneWeb と負債まみれの衛星事業会社 Intelsat SA は火曜日,株式交換取引により合併することに合意した。
     SoftBank は,この取り引きの一環として,合併後の会社に $17 億を投資する。
     月曜日の引け値で計算すると,Intelsat の時価総額は約 6.30 億である。
    わからんね。ソフトバンクの投資まで含めて3社で合意したのかな?

  77. SoftBank nears deal to merge satellite groups OneWeb and Intelsat
    ソフトバンクが,衛星企業 OneWeb と Intelsat を合併させる取り引きに間近である。
    Financial Times,2017/02/28
    By Etic Platt, Arash Massoudi & Kana Inagaki (ニューヨーク, ロンドン, 東京)
    この提携は,日本のグループから現金で $17 億の資本注入が必要らしい。
    OneWeb は 既に Intelsat と提携しており,2015 年に $0.25 億の投資を受け入れた。
    SoftBank が,宇宙技術セクタを再編成する計画を率いており,同社が支援するアメリカの衛星スタートアップ企業 OneWeb と 世界最大の商用衛星企業 Intelsat を合併させる交渉を進めている。
     月曜日,重債務の衛星事業会社 Intelsat が SoftBank により OneWeb と合併と報道されると,Intelsat が売り出している債券が急騰した。OneWeb は,日本のグループと複数の投資家から 昨年 12 月に $12 億を調達した。
     この取り引きは間もなく公表される見込みであり,SoftBank から現金で $17 億の資本注入が絡むらしい。その一部は債券所有者に償還するために使われる … とこの取り引きをブリーフした1人が言う。ただし,企業価値 $180 億にのぼるこの取り引きは,債券所有者が $40 億のヘアカットに応ずることに合意することが条件となっている。
     2023 年に満期を迎える Intelsat の債券は,このニュースが最初 Sky News により伝えられると,$0.43 から $0.62 に急騰し,やや戻した。2024 年満期の債券は $0.14 ジャンプして $0.80 までになった。他方,ニューヨークでの株価は +25% 上がって 時価総額は $6.61 億に達した。
     SoftBank の株価は,火曜日の東京での取り引きで +1.2% 上がったが 戻して −0.4% 安で引けた。
     Intelsat は,2008 年に PEF BC Partners と Silver Lake による 2008 年のレバレッジ・バイアウト以後,$150 億の債務に苦しんできた。同社は,流動性のひずみを減らすために不良債権交換を完了した。これは,格づけ機関 S&P がデフォルトを構成すると述べた動きである。
     ルクセンブルクに拠点を置く企業は,このバイアウト以後 売り上げを伸ばすのに四苦八苦している。売り上げは 過去3年 減り続けている。Intelsat の CFO Jacques Kerrest は 10 月の決算説明会でアナリストに 同社の昨年の優先事項は 債務交換を通じて "流動性を上げること" であると語った。同社は,火曜日の取引開始前に 第4四半期の決算を発表する予定である。
     Elon Musk の SpaceX と競合する OneWeb は,12 月の資本調達により得られた資金を 衛星ネットワークの立ち上げ ならびに 世界中の遠隔地へのインターネット・アクセスのために使うと言う。SoftBank に加えて,アメリカのベンチャー OneWeb は,アメリカのチップ・メーカー Qualcom,欧州の航空グループ Airbus, Richard Branson 卿の Virgin, インドのコングロマリット Bharti も支援している。
     OneWeb は,既に Intelsat と提携しており,Intelsat から 2015 年に $0.25 億の投資を受け入れた。両者の技術が相補的であることに注意すれば,衛星を応用してディジタル・ディバイドに橋を架けることになる … と Jeffries のアナリスト Giles Thorne が言う:“We’d therefore suggest that SoftBank’s intent is to back an operator with the asset mix to be structurally relevant long-term in the big data verticals of tomorrow such as the connected car.”
     SoftBank の衛星業界の大異動との係わりは,日本の買収好きなグループの大富豪創業者 Masayoshi Son が,アメリカ通信業界の再編成も準備しているときに飛び出した。Mr. Son は,自分が所有する アメリカの無線キャリア Sprint についてあらゆる選択肢にオープンであると最近言った。
      Mr Son’s deal activity has accelerated after SoftBank spent $32bn to acquire UK chip designer Arm last year. Most recently, the company positioned itself in the world of private equity and hedge funds with a $3.3bn acquisition of US alternative asset manager Fortress Investment Group. 
     More acquisitions are expected as SoftBank emerges as one of the world’s largest investors with the imminent launch of its record-setting $100bn technology fund. SoftBank was expected to approach the Vision Fund to see if it would be interested in investing in the OneWeb/Intelsat deal, said a person close to the talks. 
     Intelsat and SoftBank declined to comment. OneWeb was not immediately available for comment.
    ただし,企業価値 $180 億にのぼるこの取り引きは,債券所有者が $40 億のヘアカットに応ずることに合意することが条件となっている。
     どうなるか。まぁ 常識的に言えば,この買収は潰れでしょう。
     株価が 25% 上がって打ち止め。放っておけばもっと上がった。事前に用意したプレミアムでは間に合わないから,プレミアムを引き上げる必要が生じた。(アレ,ソフトバンクは $5 でお茶を濁すの?(笑))
     債券も大幅に値上がりしたから,予定のヘアカット率では 応じないんじゃないの?
     Intelsat の決算は,結構 いゃかなり 良かったらしいですからね。
     リークで慌てて買った人は 馬鹿だとは言え (笑),損するから。
     まぁ,ソフトバンクがそれほど信頼されているんですよ (笑)
     その反面,Fortress と同様に インサイダー (?) さんは お仕事済んで ほくそえんでおられるでしょう。
     あと,もう1つ重要なのは,どうしてこうも簡単に情報が洩れるのか? Fortress は明らかに出来高の異常があって,インサイダー取引である。洩れなければ スンナリ行ったはずのこと。
     要するに「ソフトバンク世界投資銀行」の情報管理体制がなってない。情報が洩れ漏れである。
     これでは,まともな「投資銀行」として世界に相手をしてもらえない。軟銀願景資金をこしらえても,こんな「洩れ漏れ銀行」からの融資なんて怖くて受けられないよ。インサイダーさんに儲けさせるために,こんな騒ぎを起こしているようではね。だって まともな投資銀行で,こんな情報漏洩をやるところ ある?
    ──────
     それに そもそも 時価総額 $6 億 (今回の暴騰後) で債務が $150 億,過剰設備でアップアップなんて会社に $17 億をソフトバンクが投資したって,焼け石に水だよね。$36 億を仮にヘアカットできても 150−36=114 億だよ。
     到底「稼ぎ頭」になる心配は無い。ソフトバンクの株主さん,慈善事業だから まぁ いっか。

  78. Intelsat shares climb on report it'll merge with OneWeb
    インテルサット株が,OneWeb と合併とのウワサに急騰する
    MarketWatch,2017/02/27 03:42 pm ET
    インテルサットの株価が +25% 急騰した。Sky News が,日本のテック投資家 SoftBank が ニューヨーク上場のインテルサットを OneWeb に合併しようとしていると伝えた。
    SoftBank は,インテルサットの債務を返済するものと見られる … と報道は言う。
    インテルサットは 取引停止になった。
    真偽のほどは不明であるが,よほどの大金持ち,カネは唸るほどある … と見られていることは確かである。 時価総額はいくらかな? この株価で,6億ドル程度のようですね。
     今の OneWeb に欠けている どの部分を補うのか?
     しかし,こうも立て続けにウソかホントか分からないリークをされると,分かりやす過ぎる! (笑)
     SoftBank の株価が下がっているのは 何を意味するか?
     なお,AT&T が無制限プランで値下げをしてきました。

  79. WeWork's pending deal with SoftBank now up to $4 billion
    WeWork の延び延びになっているソフトバンクの取り引きが,今では $40 億に。
      New York Business Journal,2017/02/27, 11:55 am ET
      By Anthony Noto
    WeWork と SoftBank の間の行きつ戻りつ (back-and-forth) が続く。
    ニューヨーク市に拠点を置く オフィス共有の大手 WeWork と日本のコングロマリット SoftBank は,しばらくの間取り引きを交渉してきた。先月 WeWork は それまでウワサされていた取り引きにより $10 億を受け取るものと考えられていたが,これは実を結ぶに至らなかった。しかし CNBC によれば,その投資は $40 億になったらしい。
    WeWork cofounders Miguel McKelvey and Adam Neumann.
    WeWork 提供)
     もしもこの取り引きが決定すれば,WeWork の評価は $200 億を超える。しかしながら,WeWork の真の評価はしばしば 論争の種になる。
     この投資は,$20 億の初回トランシェ,さらに $10 億以上のの第2回トランシェ。ただし,東京に拠点を置く SoftBank は,第2回の投資を $20 億弱の規模に増額して, 1株約 $44.10 でテンダーオファー [公開買い付け] するかもしれない。
     このニュースは,WeWork がニューヨーク市の8番目のランドマーク・タワーと アメリカで 15 番目のをオープンした直後に飛び出した。
     ベンチャー資本をバックにする このスタートアップ企業が正式にオープンした 最も最近の共有オフィス空間は John Street 11 番地である。この新しいスポットは,2年前にオープンした Fulton Transit Center と Corbin のビルをつなぐ。
     WeWork は,起業家 Miguel McKelvey と Adam Neumann により共同設立された (上の写真)。
     昨年 10 月,WeWork は,新しい投資家 上海錦江国際飯店から追加で第6次の投資により $2.60 億を調達したと発表した。その前は,中国投資家から 最大 $7.80 億で株式を売るオプション付きで $4.30 億を調達した。
     同社は 32 都市で営業を行っており,"co-living" を含むプランさえも立ち上げた。
    ・・・ という地元紙の報道でございます。よろしくご判断下さい。

  80. SoftBank CEO’s 30-year vision covers ARM, OneWeb, AI—but not Sprint
    SoftBank's Masayoshi Son presents his vision of the future at the Mobile World Congress trade show.
    ソフトバンク CEO の 30 年ビジョンは,ARM, OneWeb, AI をカバーするも スプリントをカバーせず。
    FierceWireless, 2017/02/27 04:51 am ET
    By Mike Dano (バルセロナ)
    SoftBank の CEO は向こう 30 年にわたるテック業界と通信業界について懇切にビジョンを提示し, スーパーインテリジェント・ロボットが社会を過激に変化し核戦争のような惨事を防止する可能性を予言した。しかし,ここモバイル世界会議見本市のプレゼンテーションで,同社のアメリカ無線ネットワーク事業会社 Sprint に Masahoshi Son は基調講演を通じて 触れなかった。
    "超知性の誕生は,これからの 30 年に間違いなく起こる。" … と 日本の SoftBank の CEO 兼議長 Masayoshi Son は言った。SoftBank は,アメリカの事業会社 Sprint を 2013 年に買収した。"多種類のスマート・ロボットが生まれるだろう。空を飛んだり,運転したり,泳いだり,ちっぽけなのが。"
     このプレゼンテーションを通じて,Son は singularity ── 人工超知性の発明が 巨大な技術成長と文化の変化の引き金になるという考え ── が今後数年以内に起こると予言した。その転回点は,彼によると,最大 10,000 の IQ を持つロボットを imbue する [?] 。(ちなみに アルバート・アインシュタインの IQ は 160 であった。
     Son は,人口知能 (AI) が 間違いなく人間の知能を将来超えるという自分の信念が,チップメーカー ARM の買収 ならびに 衛星企業 OneWeb への投資を決断するための情報を与えた … と言った。
     ARM について Son は,AI が広範な機器に埋め込まれるだろう;それらが互いにつながり,ネットワークにも IoT を通じてつながるだろうと言う。"ARM を所有することにより,私は 当社の技師たちと 設計をどうするか,次の 10 年はどうかを議論できる。こうして,私は 買収前よりも 遥かに良い理解が得られた。" … と Son は言い,知能を持った 数多くの IoT 機器が最終的には1兆個に増えるだろうと予想した。
     "これらの機器はすべてスマートである。" … と彼は言う。彼は,靴の中のチップが靴を履いている人よりスマートだろう … と言って MWC 基調講演の聴衆から笑いを取った。"我々人間は,靴以下になる。そういう靴で我々は歩く。"
     Son は,今 ARM に集中しており,2つの主な目標に向かってその製品を考えている。セキュリティと接続である。接続は,IoT でやることになる。セキュリティは,利用者をハッキングから守らねばならない。"今日 ハッキングのできる悪者は山ほどいる。" … と彼は言い,自動車に侵入したハッカーの例を挙げた。"これは とてもおっかない。"
     SoftBank の OneWeb への $10 億投資は,衛星により無線サービスを提供する OneWeb の計画が,最終的には 10 億人の契約者をつなぐという Son の信念を反映する。"ここは ワクワクする会社である。" … と Son は言い,OneWeb の衛星が 静止衛星より 30 倍地球に近く,そのため下り速度が最大 200 Mbps, 上り速度が最大 50 Mbps で 低いレイテンシーを実現できると説明した。
     "これらの衛星は,電波塔のようになる。" … と彼は言い,ネットワークが "宇宙からのファイバー" のようなものになる 。" … と続けた。
     プレゼンテーションの最後に,Son は 人間の文明への 12 の脅威の可能性を示した。そのリストには,核戦争,世界にわたる疫病,極端な気候変動,ナノ技術,AI などである。ところが,AI は人類を助ける可能性もある … と彼は言う。"これら 12 の危機の1つは,それ以外の 11 の危機の解決となり得る。" … と彼は言う。
     "もしも AI を 元気よく (in good spirits) 使えば,我々の仲間になる。" … と Son は AI を評した。
     ここでハッキリさせておきたい:Son は singularity, AI, ロボットのような話題については これまでも話したし,アマゾンの Jeff Bezos や Tesla の Elon Musk のような 前向き思考のテクノロジスト [本来は 科学技術者] だという評判を持つ。しかし,彼以外の世界の無線業界が ハイエンドのスマートフォン用の LTE ネットワーク建設を超える未来を明確にしようとしていることを考えれば,MWC でのこのような問題に関する彼の議論は注目に値する。
     ただし,Sprint が Son の 30 年ビジョンに登場しないことは注目に値する (とは言え,日本のネットワークの話も全く出なかった)。実際,報道によれば,もしも両社の合併の達成に必要ならば,SoftBank は T-Mobile に Sprint の支配を渡すつもりである;ロイターは,匿名の "この件に詳しい複数の人" を引用して伝えている。
     今日何気なく報道を漁っていると,MWC での孫さんのプレゼンを報道した英国の Daily Mail の記事に下のような図を発見した。ひょっとして,デーリー・メールさんも ARM が社長さんの言うように儲かるのかどうか心配なのかもしれない (笑)
     これが その興味深い図である。

    「日本の実業家は いわゆる IoT ように設計された1兆個のマイクロチップが 今後 20 年の間に世界中にばらまけれるだろうと主張した。 このグラフィックに描かれているのは 既に生産されている IoT 装置である。」
     [感想] どれか欲しいと思いますか? (笑)

  81. SoftBank nears deal to invest $3 billion in U.S. startup WeWork: CNBC
    ソフトバンクが,アメリカのスタートアップ企業 WeWork への投資に契約間近である:CNBC 報道。
    Reuters,2017/02/26, 09:36 pm ET
    By Thomas Wilson & Julie Zhu (東京, 香港)
    日本の SoftBank Group は,テック および 通信を超えて拡大するために,アメリカの $30 億以上に評価される見込みのオフィス共有スタートアップ企業 WeWork への投資に契約間近である … と CNBC が伝えた。
     創立者 Masayoshi Son が率いる SoftBank は,この数ヵ月間 一連の驚くべき買収と投資を行なってきた。最も最近では 資産運用会社 Fortress Investment Group を全額現金で買収した。
     これらの取り引きは,通信サービス市場が成熟する中で,SoftBank が 時代の先端を行くテック投資に向かう中で飛び出した。同社は昨年,サウジ・アラビアとテック投資基金の創成を発表した。この基金は $1,000 億まで伸びる可能性があり,このグループを世界最大の未公開株投資家の1つにするかもしれない。
     SoftBank は ニューヨークに拠点を置く WeWork に第1ラウンドのトランシェ $20 億を見込んでおり,その後 第2ラウンドで $10 億超を続ける … と CNBC が匿名の情報源を引用して伝えた。
     ただし,第2次の投資額は $20 億に増えて,合計 $40 億弱になることもあり得ると CNBC は言う。この取り引きが完了すれば,WeWork は $200 億超に評価される。
     SoftBank と WeWork はコメントを拒んだ。
     SoftBank は,この投資に関して かつて協議を行なったことがある … と WeWork 投資家の1人が言ったが, 詳細は話してもらえなかった。
     アメリカ, 欧州, 香港, 上海のスタートアップ企業に共有オフィス空間を提供する WeWork は,5月に北京に事業を拡大する計画である … と 共同創立者 Miguel McKelvey が先週香港で記者団に語った。
     上場の前に 事業拡張のために資本調達を続けるつもりである … と McKelvey は言ったが,時間表は示さなかった。
     中国の非上場株投資大手 弘毅投資 (Hony Capital),その後援企業 聯想控股 (Legend Holdings) ならびに 不動産開発の 中泛控股 (China Oceanwide Holdings) は,昨年 WeWork に $7 億を投下した。
     この取り引きは WeWork を $167 億に評価すると 弘毅は言う。── この額は CNBC が伝えた額 [$200 億?] より少ないが,それでも世界最大規模のスタートアップ企業である。
     SoftBank の株価は,今朝の取引で ベンチマークの日経 225 の −1.4 % の下げに対して,−2.3 % も下げた。
     SoftBank は アメリカのキャリア Sprint,中国の電子商取引大手 アリババなどの株式を持つ多様な会社であるが,昨年は 英国で最も価値あるテック企業 ARM Holdings を $320 億で買収した。
     Son は また,Donald Trump アメリカ大統領と昨年12月初めに面談後,アメリカに $500 億の投資と 50,000 の新規雇用を約束した。
     重い債務の山と戦う SoftBank の動きのいくつかは,アナリストの間に懸念を生んでいる。
    他にも 同様の報道が Bloomberg, Barron's, New York Business Journal から出ていますが (つまり合計4件),どれも CNBC を引用しており,つまり CNBC の特ダネとなっています。
    Wall Street JournalFinancial Times などの確認は今のところありません。
     な~んか 異なるメディアへの特ダネの連発って ・・・ 。ニューヨークの地元紙も CNBC を引用。

  82. Foxconn, SoftBank plan tech investment venture
    富士康とソフトバンクがテック投資ベンチャーを計画する。
    Nikkei Asian Review,2017/02/25, 07:50 am JST (東京/大阪)
    署名なし
    台湾企業は,さらに医療機器ベンチャーをシャープと立ち上げる
     台湾の鴻海精密工業は,まもなく シンガポールにある SoftBank Group の資産運用会社の過半数の株を取得することにより,情報技術空間へのベンチャー資本投資で知られる日本の通信巨人との協力を深める。
     富士康 (Foxconn) の名で知られる委託製造企業の中国子会社は,SoftBank Group Capital Apac の株式 54.5% に対し $6 億を支払い,これを JV に切り替える。この取り引きは 次の水曜日に完了が予定されている。SoftBank は 金曜日,シンガポール子会社から 配当 \1,326 億 ($11.8 億) を受け取ったことを発表した。
     富士康は アメリカのテック巨人 アップルの大手納入業者であり,他方 SoftBank はアメリカの通信営業会社 Sprint の権益を所有する。この JV は,投資に関する SoftBank の専門知識と富士康の製造+技術サービスとを統合するものである … と富士康は述べた。
     "投資に関する SoftBank の専門知識と富士康の世界的プレゼンス および ネットワークとの統合は,投資への新しい洞察を持ち込むことが期待される。" … と SoftBank は声明で言った。台湾企業は また,日本の通信企業が計画している $1,000 億テックファンドを支援する模様である。ただし,SoftBank は この JV が別件であると言った。
     今回のベンチャーは,富士康の郭台銘董事長と SoftBank の Masayoshi Son CEO との間のつながりの深まりを画する。2人の大立者は この1月に北京で会談した。それは Son が,昨年12月にニューヨークで 当時の Donald Trump 次期大統領に会ってから, 「SoftBank と富士康が共同でアメリカに $570 億を投資して 100,000 の雇用を創出する」 … と記者団に語った数週間後のことである。
     Nikkei Asian Review は 昨年10月,SoftBank が支配する ARM Holdings と富士康が提携して深圳にチップ設計センターを設立することをお伝えした。郭台銘は,富士康が日本のシャープを買収しようとしていた 2016 年 Son に助言を求めた。
     アジアの両テック・グループと中国の電子商取引巨人 アリババ集団は 2015 年に (世界マーケティング ならびに 富士康が SoftBank のために製造する人型ロボット Pepper の販売のために) JV を設立することで合意した。 両者は,インドのさまざまな (ソーラーと電子商取引セクターを含む) 投資でも,チームを組んでいる。
     富士康の別の子会社 Fabrigene Limited は,シャープのヘルスケア・メディカル関連事業に投資する予定である。日本の会社シャープは 金曜日,この事業を一部事業譲渡等により持株会社1社 および 事業会社3社に分社化 (3月1日予定) したうえで,持株会社に対して Fabrigene 社から出資を受けることにより合弁会社とする (3月31日) ことを決定した … と発表した。ケイマン島に登記された Fabrigene は,3月31日に持ち株会社の過半数株式を取得して,これを JV に切り替える。 [注:シャープの発表を読んでも全部を理解する人はおらんだろうね。何しろこれしきのことに8社 (シャープ以外は英文表記) が絡んでいる。しかも医療事業のはずがケイマン島 ・・・ わからん(笑)]
     持ち株会社と事業会社は,当初は 90 人の作業員を雇うものと見られる。この JV は,シャープの医療分析装置の販売を押し上げること ならびに 新しい分析技術の開発を促進することを狙う。日本の会社はこれまで タンパク質分析装置の販売,腸内 (intestinal) 音波の分析用センサーの開発 ならびに 血圧測定のために新技術の開発を手掛けてきた [注:こんなにバラバラというのもヘンな感じ(笑)。全く違う技術だ]
     新しい計画は,シャープのヘルスケア関連 および 海外の薬品関連の製品の販売を含むこともあり得る。これには富士康グループが運営する医療施設も含まれる。これらの製品は 従来 日本国内だけで販売されてきた。
     今回の再組織化は,2017 会計年における成長と技術開発を掻き立てようとするシャープの広範な計画の一環である。富士康とシャープは,台湾の巨人による日本企業の買収による最大のシナジーを収穫するために,全社を挙げてコラボを強める。
     シャープは 昨年秋,富士康と知的財産を管理する JV を立ち上げた。さらに,シャープの物流部門から作られた会社が富士康グループに渡された。
     Nikkei staff writer Debby Wu in Taipei contributed to this report.
    ちょっと記憶に無いんですが,これ どこかで既報でしたっけ?
     2人の大立者は この1月に北京で会談した。それは Son が,昨年12月にニューヨークで 当時の Donald Trump 次期大統領に会ってから, 「SoftBank と富士康が共同でアメリカに $570 億を投資して 100,000 の雇用を創出する」 … と記者団に語った数週間後のことである。
     Trump さんと会談後に両社合わせて合計 10 万人の雇用を保証。
    ご覧になっている方はおられると思うが,近頃 英語圏への Nikkei Asian Review の売り込みは凄まじい。Wall Street Journal の向こうを張って 猛烈なディスカウントで予約購読の宣伝をしている。その甲斐あってか よく読まれているようで,Nikkei Asian Review を直ちに引用するとか,主要な資料として引用するメディアが見られるようになりました。
     この記事も 検索すると,かなりの上位に出てくる。
     しかし ・・・ しかしですよ (笑) これでは SoftBank は小さくなってしまい,シャープと鴻海の宣伝になってしまいました。日経さん,記事を2本に分けるべきでしょ。
     とにかく よう分からん。1つ言えることは,これまでシャープがやってきた "ヘルスケア関連事業" なるものが,実は きちんとした方針の下に "管理" されていたのではなく,社内のいろいろな部門が思い付きでやっていたものの寄せ集めだったのだろう (そう理解すればいかにも 技術のシャープ らしいから理解できる)。
     しかし そうであれば,経営の効率性を重視する現在の親会社の目には 耐え難いもの (如何に優秀な研究であろうとも,全体として何を狙っているかが不透明) … と映ったのかもしれない。しかしまたそうであれば (笑),角を矯めて牛を殺す可能性もあるわけで,企業経営とは難しいものですなぁ。おっと,ソフトバンクはどこへやら。
     この件で SoftBank の株価が上がらないことにご不満の方もあるでしょうが,日経がこの記事を出して,シャープの方を重視する姿勢を世界に向けて発信しているのが元凶かな?(笑)
     掲示板は,そこまで目が回らんようじゃの (笑)。上がるはずと思い込んでおるらしい。
     外国メディアが "Nikkei" と書けば,今ではもちろん "日経電子版" ではないよ。"Nikkei Asian Review" のことだ。"日経電子版" がそのまま英語に翻訳されているのが "Nikkei Asian Review" だと思いたくなるのは自然であるが,最近では 日本語では書けないようなエゲツナイことも英語では平気で書いている。英語の方がズバッと遠慮なく書きやすい。文化の違いです。
     [影の声] いやいや 下げとる理由は 他におおありじゃろが (笑)。追報が無いのぅ。
     [影の声2] そんなら,もういっちょまた 別のが来るか? だが そうそうあるかな。いやいや 下げるだけで騒ぎになれば,それでもありがたい。もちろん 上げて騒ぎになる方がうれしいが。

  83. Friday, February 24, 2017 - 10:56 IST SoftBank, Foxconn form joint venture to expand investments
    ソフトバンクと富士康が,投資を拡大するために 共同事業会社を設立する。
    VCCircle.com,2017/02/24 10:56 IST (インド標準時)
    By Team VCC
    日本の SoftBank Group と台湾の富士康は,アジアの大手テック企業である両社が提携を拡大する中, JV を設立することに合意した。
     この協定により 富士康は,SoftBank の完全子会社 SoftBank Group Capital Apac Pte Ltd の権益 54.5% を $6 億で買うことになる … と両社が金曜日に声明で発表した。
     SoftBank Apac は現在,日本の通信+インターネットのコングロマリット に 2015 年に入社した インド生まれの経営幹部 Alok Sama をリーダーとする。
     3月1日に発効を予定されているこの取り引きは,SoftBank と富士康の間の関係を深めるものであり,Donald Trump が大統領に就任後 アメリカへの拡大を両社がもくろむ時期に飛び出した。
     富士康は アメリカのテック巨人 アップルの大手納入業者であり,他方 SoftBank はアメリカの通信営業会社 Sprint の権益を所有する。この JV は,投資に関する SoftBank の専門知識と富士康の製造+技術サービスとを統合するものである … と富士康は述べた。
     以前の名前は 鴻海精密工業である富士康と SoftBank とは,インドでも共同事業を行なってきた。2015 年, SoftBank と富士康は インドの Bharti Enterprises と共に手を結び,インドで再生可能エネルギー JV を立ち上げた。この JV は,一定期間内に約 $2 億の投資を想定していた。
     当紙 News Corp VCCircle のデータ調査部門 VCCEdge によれば,全体として SoftBank は これまでインドに $28 億弱を投資した。
     SoftBank 議長 兼 専務 (managing director) Masayoshi Son は,同社が 10 年に $100 億を投資する計画を有すると述べた。
      [インドのメッセージング・アプリ] Hike と Snapdeal の両社を除けば,SoftBank は,車のアグリゲーター [何でも屋?] Ola Cabs とモバイル広告テック企業 InMobi に投資を行ってきた。SoftBank は このほかに,不動産のポータル・サイト Housing.com にも金を注ぎ込んでいる。Housing.com は 今年 PropTiger との合併を発表した。PropTiger への最大の出資者 News Corp は,このウェブサイト [VCC ?] の親会社を所有する。
     Hike と Spapdeal の両社を除けは,富士康は 傘下の 富知康集団 (FIH Mobile) を通じて MoMagic Technologies に投資してきた。
    今回の提携を伝える インド発のニュースです。
     JV の事業内容よりも前に,何はさておき Alok Sama に関心があるのは,当サイトと同じです。
     このウェブサイト VCCircle は,昨年 Boies 書簡事件が発生したときに,Bloomberg の直後にこれを伝えました。Alok Sama に関心があるのも そのご縁でしょう。
    "Unnamed stakeholders allege “wrongdoing” on part of SoftBank COO Nikesh Arora; Co defends him" (Thursday, April 21, 2016 - 15:55 IST)
      [ドバイの] Baer Capital 共同設立者 Alok Sama を SoftBank の上級役員 COO に指名した件にも書簡は触れている。書簡は 6ヵ月の (Snapdeal 投資に関する) コンサルタント業務に対する費用として 600 万ドルを Alok Sama に支払った SoftBank [=Arora] による決定を疑問視する。"このコンサルタント費用支払いを受けた後,Sama は SoftBank に雇われた。" … と書簡は言う。
     こんな人に運用をまかせちゃって,郭台銘さん 後悔しないかね? これまでは,ソフトバンクだけが損すればよかったけど,今度は 郭台銘さんに迷惑が及ぶ。
    ──────
     富士康=鴻海,シャープがアメリカで何を生産するのか,どれだけ利益を上げられるかが問題だろう。
     この会社は 売り上げこそ [4兆ドル!] 莫大であるが,極めて利幅が薄い [純利益 1200 億ドル]。それでも,アメリカで利益を得るのは容易なことではなかろう。
     面倒なので翻訳していませんが Forbes にこういう記事があります。鴻海にとって (したがって,その盟友であるソフトバンクにとっても) 重要な指摘です。
     Apple Unlikely To Move iPhone Production To The U.S (Forbes,Nov 22, 2016 @ 08:34 AM )
     「アップルが iPhone 生産をアメリカに移すことは無かろう」
     その要点は,
     (1) アジアの成熟した供給チェーンをアメリカで再現することは困難である。
     鴻海は中国に 690,000 人の従業員を抱えているが,その半分をアメリカに移すだけでも大変だ。アメリカ人の労働者が,このような労働集約的 [=低賃金の?] 作業に携わるとは考えられない。
     (2) 高いコストがアップルのマージンを圧迫する。
     IHS の調べによれば,iPhone 1台のコストは $225 である。鴻海の組み立てコストは,そのうちの 2% である。部品までアメリカで製造すれば,+$80~$90 のコスト高となる。
     (3) 劇的な政策更なしには,ますます可能性は低い。
     例えば Mac Pro をアップルはアメリカで組み立てているが,価格は $3,000 以上である。これは,アメリカでの生産コストが如何に高いかを示す。もしも関税が 45% になれば,国内生産も意味があるかもしれない。
    ──────
    結局,iPhone のような「軽い」商品は中国で生産して アメリカに空輸するのが最適らしい。
     となると 鴻海は アメリカで何をつくるのか?
     あなたの身の回りにある デカくて重たいモノで 沢山売れそうな製品があれば,空輸はできないから現地生産するのがよい。というわけで,シャープは 4K, 8K テレビ用のパネルをアメリカで現地生産するらしい。
     よくわからないのですが,4K,8K は 2,020 年のオリンピック需要を狙うらしい。
     従業員は 中国から大量に連れて行くのでしょうね (そもそも そういうやり方通用するの? 報道を見ると,アップル [の委託業者] はかなり悪質な人権侵害を中国でやっている)。労働摩擦を起こしかねない。
     我が家は一応 40 インチの HD で十分間に合っている。それに 俳優さんも,セットの係も大変なことになるらしい。特に時代劇なんかは コストが上がる (笑)。孫さんの決算説明会でのプレゼンテーションも,今より表情がクッキリと映るから,表情を読み取りやすくなる (笑)。アメリカで需要がそんなに早く大きく立ち上がるんでしょうかね。

  84. SoftBank, Foxconn Set Up $1.2 Billion Joint Venture Amid U.S. Investment Drive
    ソフトバンクと富士康が,アメリカ投資推進の中,$12 億の共同事業会社を設立する。
      TheStreet,2017/02/24 06:13 am ET
      By Martin Baccardax
    SoftBank と 富士康 (Foxconn) は 金曜日,同テック・グループが一連のアメリカ展開を計画する中, 両者が $12 億のJV を設立したと発表した。
     SoftBank は,この JV が 同社の子会社 SoftBank Group Capital APAC として設立されると発表した。ただし,3月1日にこの取り引きが完了すれば,この部門はその 54.5% を富士康が所有する。富士康は 鴻海精密工業という名前でも知られており,この権益に対して $6 億を支払う。
     両者からの声明は この JV の目的に触れていないが,どちらも この数週間に アメリカへかなりの投資を計画中であることをすでに示している。
     先月 富士康は $70 億の投資を検討中であると発表した。これは,アメリカに拠点を置く LCD ディプレイ製造のハブを設立し,50,000 もの新規雇用を創出するという内容である。
     1月23日 台北で記者団に向かって 富士康の郭台銘董事長は,アメリカ投資プロジェクトが (ただし このプロジェクトは,Donald Trump 大統領と SoftBank CEO である大富豪 Masayoshi Son の間の会合の後で 不本意にもバラされてしまった) ペンシルベニア州に拠点を置くものであるが,最終決定は 連邦レベルと州レベルでのアメリカ当局との交渉後に行なう … と述べた。
     富士康は,バージニア州とインディアナ州に製造工場を,カリフォルニア州とテキサス州では物流事業を既に行なっている。
     富士康のアメリカへの野心は,創業者郭台銘が子会社を掌握した後,堺ディスプレイプロダクトと共同で LCD ディスプレイを製造する中国工場への $88 億投資に次ぐものである。これについては,既に 当紙 TheStreet が,アメリカ進出を狙う兆しであるとして既にお伝えした。
     富士康が アメリカ進出を公に誓約したと見られるのは,SoftBank の Son が持っていた紙に 富士康 (Foxconn) のロゴマークが見えたからである。
    世界中から 目を皿にようにして見られた写真らしいよ!
    2016/12/07 の Wall Street Journal 記事から。

       [注:すごい!もちろん,私はすぐに気づきました。でも,これを読んでいる方,そうあなたですよ。ひょっとして 孫さんの熱烈な信者さん,すぐに気が付きましたか? あの孫さんが持っていた紙の小さな Foxconn のロゴですよ! 念のために右に再掲します。 と言っても,Trump,Son のツーショットは意外に多いから探すのが大変だ (笑)。コレ! これです。]
     12月6日にこの写真が撮影された会談で,日本の大富豪は アメリカに $500 億の投資と 50,000 の新規雇用創出を誓約した。
     SoftBank は Sprint の 82% オーナーであると同時に,衛星会社 OneWeb への $10 億投資家でもある。昨年末,Donald Trump アメリカ大統領は,これらの提携により 日本の会社がアメリカに 8,000 の雇用をもたらすと声明で言い,これが サウジ・アラビアの大富豪とともに設立したテック投資基金を通じてさらに 50,000 の雇用を創出するという Son の約束に続くものであると言った。
     SoftBank の株価は 金曜日 東京で,ベンチマーク日経 225 の下げに同調して,−0.49% 安の \8,600 で引けた。
    郭台銘さんとしては 不本意にもバラされてしまった とは どういう意味か?
     両者を一心同体と片方は思っていても,他方はそう思っていない … でしょ? よくある話です。
     まぁ どうでもよいことかもしれないが,いろんな企業の関係者は,こうした微妙なニュアンスを感じ取ろうとするものです。

    Martin Baccardax Martin Baccardax Follow Feb 24, 2017 6:13 AM EST
  85. India’s Snapdeal to lay off 500-600 as it battles Flipkart and Amazon
    インドの Snapdeal が,Flipkart と アマゾンと戦う中で 500~600 人を解雇する。
    TechCrunch,2017/02/23
    By Ingrid Lunden
    インドの大手オンライン・マーケットプレイス Snapdeal は,Flipkart, アマゾン および (インドの電子商取引の興隆とともに浮上した) 山を成すスタートアップ企業との競争をピンチと感じている。
     eBay, アリババ, SoftBank により支援を受ける このスタートアップ企業は,最近 $65 億に評価されたが,本日声明を発表し,大きなリストラの一環として スタッフを解雇すると発表した。Snapdeal は,解雇の人数も解雇理由の詳細も述べなかった。しかし,TechCrunch は,会社に近い複数の情報源から その人数が 500~600 の間であると理解している。
     "2年後にインドで一番儲かる電子商取引企業に成ることを目指す当社の旅において,当社事業のあらゆる部分にわたって効率を上げ続け,以って当社の消費者と売り手の両方に価値を渡すことは重要である。" … と広報担当者が声明で言った。"当社は,これらの目標に向かって当社資源とチームの再配分を行ない,高品質の事業の成長を推進する。"
     Snapdeal がこの人員整理を確認する前,報道は 800 人になるだろうと伝えていた。
     今回の人員整理は Snapdeal の営業のすべての部門にわたる … と同社は TechCrunch に言った。その中には Snapdeal マーケットプレイス,オンライン決済部門 FreeCharge, 物流部門 Vulcan Express が含まれる。
     報道は,これが さらに大きな合理化の一環であり,FreeCharge の一部 または 全部を含むことになろうと言う。ただし,Snapdeal は TechCrunch にこれを否定した。インド紙 Business Standard は,Naspers が FreeCharge を $3 億で買収する交渉に入ったと伝えているが,Snapdeal が 2015 年に FreeCharge を $4 億で買収したことを考えれば,この額は小さい。"そんな計画はございません。" … と Snapdeal の広報担当者は この件に関する質問に答えた。
     本日の一連の出来事は,2010 年に Rohit Bansal と Kunal Bahl により創立された Snapdeal の最新のつまづきである。このアップスタート企業は,インドの [ E-コマース?] 顧客争いに猛烈な投資を行ない,(消費者製品の販売点数は多いものの マージンが低いことを埋め合わせるために) さらに 物流, 決済, 自動車販売, 住宅販売など さまざまの前線に多様化を試みるために手厚い投資を行なってきた。
     Snapdeal の最大の競合相手の1つが Flipkart である。報道によれば,こちらは $100~$120 億の評価で 新規の投資 $15 億を受け入れるべく,ウォールマート,マイクロソフト (今週 Flipkart と戦略的クラウド提携を発表した),eBay, PayPal, Tencent と交渉中である。
     もう1つの大きなライバルは,アマゾンである。アマゾンは,2016 年 インドに $30 億の投資を約束して直ちに 客を逃さないアマゾン・プライムなど 数えきれない多数のサービスを立ち上げて以来,インドでの事業を伸ばすため,その努力をリダブルしてきた。
     大局的に見れば,インターネットの普及がスマートフォンによりインドでも上がり続けており,生活水準が上がり,可処分所得が増加を続ける結果,インドは 非常に熱い急成長 E-コマース市場となった。
     これが,あらゆる消費需要に対応するスタートアップ企業を雨後の筍のように生んだだけでなく,この広大な国の次の宝の山が何であろうとそこに踏み込もうとする投資家による大量の資金流入を外国から呼んだ。
     だが,報道によれば Flipkart は 現在 $160 億の評価を求めているものの,この引き潮によりすべての船が干上がっているわけではない。数多くの被害と再編成があり,Snapdeal (ここは いつも Flipkart より小さかった) は 持ちこたえるのが困難になった。同社は 報道によれば 次の資金調達では 評価を $65 億以下に引き下げようとしているが,それも とにかく まだ完了していない。
     Factor Daily は地元紙 Mint からの報道を引用して,同社の金庫の $2.08 ~ $2.38 億の現金が尽きるまで 僅かに 約 8~10 ヵ月しかないことを伝えている。TechCrunch の問い合わせに対して,Snapdeal は 最近の資金状況,言い換えるとランウェイ [? 滑走路, 花道] について コメントしようとしなかった (would not comment)。"当社の資金状況は適切でございます。" … と広報担当者は TechCrunch に言った。
     Snapdeal は,売り上げ, 客数を開示しないばかりか,同社で働いているスタッフの人数さえも開示しない。以前の人員整理では 9か月の間に EBITDA を +40 % 増やすに到った … と同社は言う。
     "効率の増加は,数多くの事業過程と営業を最適化するイニシアティブから生まれ,これが 配送経費の 35% 低下を生み,クラウド・ソリューションを配備したことによるレンタル・サーバー経費を 75% 浮かせ,固定費の 25% 削減を生んだ。" … と Snapdeal は言った。
     Snapdeal は,現在までに $16 億弱の資金を集めた。
    ソフトバンクの 最初の Snapdeal への $6.27 億投資のときに,Snapdeal の CEO Kunal Bahl のプロフィールを伝えたインド発のロイター報道が こちらである。"インドのアリババ" と呼ばれている/呼ばれたい らしい。
     たった2年3ヵ月前のことなのに,誰しも 大昔のことのように感じてしまう。
     1兆円のインド投資なんて "ちいせぇ ちいせぇ (笑)" と感じてしまう (でしょ?)。この手品の謎は?
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    Snapdeal について,当サイトはこれまで完全に思い違いをしていたことが分かりました。恥ずかしながら,上のロイター記事にも 目を眩まされていました (間違いは素直に認めましょう! 誰にでも間違いはあります)。
    ── どんな思い違い?
    ── インド経済が不況だから E-コマースがダメなのと,アマゾンの参入とで Snapdeal が振るわない。Snapdeal の経営者 Kunal Bahl は見どころのある人だと思っていた。社長さん,ちょっと運が悪かった … と。
     でも,この (たぶん インド発の) 記事を読めば 誰でも分かる。こんなに手を広げたら,必ず失敗する。つまり,経営者の資質を社長さんが見誤って惚れ込んだ … それが 原因です。
     ソフトバンクが投資先をきちんと監視していない。金をぶっこんだだけの「投資」であることもよくわかる。「投資先に助言をする」などという Arora の発言がインチキであることもわかる。おそらく,他のソフトバンクの「投資」も本来の意味での「投資」ではなく,単なる金の「ぶっこみ」に過ぎない。したがって 儲かる保証は全くありません。
     Boies 書簡 [当ウェブサイトでは,その貴重な全文日本語訳が見られます] に見られる Snapdeal への追加投資でもよく分かる。金を複数回にわたって注ぎこんで, Kunal Bahl さんから
     「もう金は要らない。前回ソフトバンクからもらった金を 今 使い始めたばかり。 ここ数年は要らない。」と公言しているのに,さらに金を注ぎ込んで,Snapdeal の評価額を2倍にした。このとき Arora [=SoftBank] は コンサルタント Alok Sama に巨額の手数料を払った。その Alok Sama は 今では SIMI で Arora の下にいる伝えられています
     信じられないでしょ (笑)。弱い人間なら,要らない金をもらったら,儲かりそうなところへどんどん投資するでしょう。 E-コマースのはずだったのが,住宅販売のマーケットプレイスにまで。まぁ これはアリババもやっているから,それを真似したんでしょう。
     一連のおかしな金の動きの一環です。「要らない」金が 本当はどこに流れたのか? という疑惑もありますが,それらは 一切 1,000% 信頼発言により伏せられた。
     こういうのは, 「ソフトバンクの株主たるもの 知るべからず!」かな?(笑)
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     なお例のロイター報道 (2017/02/17) は,いまだに確認報道がありません。もう1週間前のことです。
     インドの通信を買収するとかで チョコッと Bloomberg に騒がせてすぐに打ち消し,こちらは打ち消さずに本当と思わせる。でもほんとのホントなら他社にもリークすればいいのに,どうしてなんでしょ (笑)。 やっぱりウソを … いやいや "もう1つの真実" ですね … をリークしたんだと思いますよ。ほかにどう考えればよいか?
     時系列は ・・・ 。分かりやす過ぎますね (笑)
       2017/02/14 Fortress 買収。インサイダーの疑いをアメリカメディアはこぞって報道 (日経は買収のみ報道)
       2017/02/14 早速 法務会社から株主集団訴訟呼びかけの公告
       2017/02/17 ロイターのリーク報道 (確認報道は皆無,取り消しは無い) これで盛り上がった!
        Fortress なんて みなさん忘れてしまった (忘れさせられた)。"ちいせぇ ちいせぇ (笑)"
       2017/02/23 インドの通信買収か?すぐに取り消し。チョット効き目が薄かったか ・・・ 。ではもうちょっとでかいのが郭台銘さんとこにあるらしいから,それを … ってんで。
       2017/02/24 富士康との JV を発表。でもこれも効果が薄いってんで。
       2017/02/26 WeWork 買収を蒸し返してリークする。1月30日に WSJ から概要は出ている。
       2017/02/27 まだまだ続く時系列 (笑)。今度はインテルサットの買収だ。インテルサット株は +25% も上がって 取引停止。
     Intelsat の広報を読むと,90 日以内にヘアカットに応じてもらえなければ,どちらからも解約できるとなっている。また,ソフトバンクは合併後の会社の 40% の株を取得するが,$17 億は 合併後の会社の金庫に入るのではなく,ヘアカットに応じる債券投資者への現金支払い分に充当されるらしい。これって ARM, Forrester と同じ手口ですね。新規の投資資金をソフトバンクが出すわけではない。カネの使われ方が後ろ向きです。合併後に新規出資を追加する可能性はあるが。
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     ホントに 必死になって立て続けに情報を出している (笑)。誰が見ても (笑) を禁じ得ない。
     社長さんは 碁をなさるらしいが,碁でよく言うのは「右で戦いが起こったら,相手の狙いは左」というのがある。簡単に言うと,目の前のことの反対に注意しなさい ってことだから,今の場合には,時間軸を逆にたどると,2月14日で切れる。だから ここをよく見なさい … ということになる。で,実際 インサイダー疑惑が発生している。実によくわかる … 社長さんと同じように碁を打っている人間には。
     この推論を続けると,WeWork は全然効き目無かった。ここで諦めるか? さらに何かを出すか? タネ切れ?
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      … 並べてみると この会社は,提携とか合併とかで動くことが分かる。独自の技術で開発した新製品・新システムを発表して世界を騒がせるということが全く無い。本当に全く無い。それでいて テック企業に分類されている。あくまで,金絡みで動く会社である。
     社長には必ず「大富豪」という枕詞がつく。あれだけは,1人の日本人として ホントにやめて欲しい。カネしか取り柄が無いと Wall Street Journal は言うのかもしれないが,ちょっと失礼だよね。日本を代表する会社の社長なんだから。業績が悪いとか,経営のやり方がまずいとかは いくら叩いても構わない。けど「大富豪」だけはね。それに実態は「大借金王」なんだし,亡くなった小渕恵三首相も そう呼ばれることを喜んでいた …「平成の借金王」

  86. WEISSLAW LLP: Fortress Investment Group LLC Acquisition May Not Be in the Best Interests of FIG Shareholders
    WeissLaw LLP:Fortress Investment Group LLC の買収は FIG 株主の最大の利益に合致しない。
    WeissLaw LLP 広報,2017/02/22
    WeissLaw LLP は,SoftBank Group による $33 億買収提案に関連して,FIG 取締役会の善管義務違反 および その他の法律違反を目下調査中である。合意の条項に基づけば,株主は 所有する FIG 1株につき $8.08 を受け取ることとされている。
     WeissLaw は,FIG 取締役会が 契約に入る前に 株主価値を最大にすべく行動したか否かを 調査中である。とりわけ,FIG は 最近 黒字の決算を発表した。2016 年第3四半期には,売り上げ $2.61 億を挙げ,前期の $2.32 億より +$0.29 億,率にして +12.5 % の増収であった。さらに,今回の取引は,FIG とその株主を犠牲にして SoftBank を著しく利する戦略的買収である。Wall Street Journal の報道によれば,"この取引は SoftBank を世界最大の代替資産運用会社たらしめる ・・・ 投資家の世界的ネットワークを SoftBank に得さしめ,以って SoftBank がさまざまの取引を発見・構成するに資するものであり,これらは最終的に SoftBank の成長を加速するものとなる。"
     かかる事実に鑑み,WeissLaw は,FIG 取締役会が 契約に入る前に 株主価値を最大にすべく,FIG の株主の最大の利益のために行動したか否かを 調査中である。もしも貴殿が FIG 株を所有し,貴殿の権利 または 当社の調査についてさらなる情報をご希望の場合には, あるいは 当社と共有すべき情報をお持ちであれば,Joshua Rubin まで どうか 連絡をお取りください。 あるいは E-メールでも結構です。
     電話:(888) 593-4771, E-メール: stockinfo@weisslawllp.com
     WeissLaw LLP は,これまで会社法違反 および 善管義務違反に対し数百件の株主集団訴訟を起こした。当社は,騙されたクライエントのために 10 億ドルを超える金を取り戻した。そして多くの訴訟では,重要な企業統治を回復した。もしも貴殿が 企業不正行為の可能性 (インサイダー取引,会社資産の浪費,会計詐欺, あるいは 情報の重大な誤導),または 消費者詐欺 (偽広告,欠陥製品 または 詐欺的な事業慣行を含む), あるいは 反トラスト法違反 について 情報をお持ちであれば, あるいは 法律上の助言をお望みであれば,当社に E-メールをお送りいただくか,当社ウェブサイトのフォームにご記入下さい。
    人間とは,どこまで欲が深いものか (笑)
     いえ,お互いさまです。
     こういうところ (Yahoo Finance) にこのような公告を出すのに いくら 金を取られるんだろう?
     Yahoo はそれで生きているのだが。法務会社相手なら さぞガッポリ (笑)
     今では 件数が増えていて,数える気にならない … 落ち着いて数えたら,全部で7件でした。
     WeissLaw = 「法律を知る?」
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    これをどう読みますか。最初の方に書かれているのは $8.08 が安すぎるということだが,
     2番目の段落に行くと,不正行為の情報を集めており,インサイダー取引が筆頭である。
     出るべくして出たということではあるが ・・・ 。ソフトバンクとしては放置するのが一番良いのでしょう。
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    なお FIG の決算発表は 第3四半期が 2016/11/03 でしたが,第4四半期の決算発表日は公告されていません。

  87. Listed hedge funds: rescue me
    上場ヘッジファンド:助けてくれ。
    Financial Times,2017/02/21
    By Lex
    市場は,代替投資運用会社の評価が まずい。
     Mike Novogratz について考えてみよう。Mr. Novogratz は,Fortress Investment Group の遣り手のマクロ・トレーダーとして 10 年以上勤めていたが,2015 年 自分が運用する基金で巨額の赤字を出してひっそりと退社した。彼が退社したとき,Fortress は 彼の株を1株 $4.50 で買い戻した ── これは 2007 年の上場時の価格 $18.5 を大幅に下回る。しかし,SoftBank が最近 Fortress の全株を1株 $8.08 (39% のプレミアム) で買い上げることになったので,これは,市場が Fortress の評価の理解に欠けていたことを示す。
     Forterss は,上場する初の "代替" 投資運用会社であった。その業績は,上場後 10 年間,期待に及ぶべくも無かった。その主たる理由は,同社の PEF (非公開株投資基金) が期待外れであり,そのため 新たな基金を募集できなくなったからである。金融危機の最中には,投資家に利益を償還するのを防ぐために "ゲート" [?] 上げて不評を買った。
     それでも Fortress は運用資産 $700 億を誇る。だが,それは このセクタによく見られる間違いである;同社の資産内容と収益力を見れば,見当外れの誤解である。最近のプレゼンテーションで,同社は貸借対照表上の現金, 投資, ならびに 未認識の手数料が1株につき $4 を超える値打ちがあると言った。これは,SoftBank による買収の前,投資家は同社の中核運用事業についても手数料収入についても ゼロ評価をしていたことを意味する。
     Fortress 救済を SoftBank が発表した翌日,別の上場ヘッジファンド Och-Ziff が第4四半期の決算を発表した。この会社の株価は,IPO 以来 90% 下がっている。この基金は,アフリカでの汚職のスキャンダルで アメリカ当局と和議のため $4.12 億を払った。その旗艦基金は,昨年 29% 資産が減少した。
     低迷するヘッジファンドは,しばしば 幕を閉じる。ところが Och-Ziff は,花形トレーダー James Levin に5年で 3,900 万株の権利を付与して引き留め,新しいインセンティブ・スキームを発表した。同社の創立者 Dan Ochs には 最大 3,000 万株が与えられた。上場する基金のトリック:安い株価を利用できる救世主を長い間 待て。
    代替投資 (だいたいとうし):Alternative Investment
     代替投資とは,債券や株式など伝統的投資 (conventional investments) とは収益の相関性が異なる未公開株式, 商品, 不動産, 道路, 鉄道などのインフラへの投資, および これらに投資するファンドとくにヘッジファンドへの投資を指す。派生商品 (デリバティブ) 取引をも含む。オルタナティブ投資とも言う。
    イギリス人は,皮肉な書き方が好きだからね。たとえば,
     これは,市場が Fortress の評価の理解に欠けていたことを示す。
     確かにその通りだけど,裏を返せば「SoftBank がバカ高い値段で買った」とも取れる。
     他の部分も,そういうふうに読むんだろうか? 最後のところも
     上場する基金のトリック:安い株価を利用できる救世主を長い間 待て。
    普通は,そんな救世主なんて現れるはずが無い。タイトルからして
     上場ヘッジファンド:助けてくれ
    たとえば,誰も助けない Fortress を SoftBank が助けに来てくれてよかったね?

  88. SoftBank of Japan Will Buy U.S. Private Equity Giant Fortress
    日本のソフトバンクが,アメリカの非上場株巨人フォートレスを買収する
    New York Times,2017/02/14
    By Michael J. de la Merced & Landon Thomas Jr.
    過去 30 年にわたる社歴の中で,日本のコングロマリット SoftBank とその創立者 Masayoshi Son は, 野心的 かつ ときには 困惑に頭を掻くような動きで知られる。
    日本のコングロマリット SoftBank の創立者 Masayoshi Son.
    Toru Hanai | Reuters)
     今や SoftBank は,これまでに無い最も異例の動きに近づいている:同社は,資産 約 $700 億を運用するアメリカの非上場株投資巨人 Fortress Investment Group (FIG) を買収せんとしている。
     この事業は,日本の会社が よく知られている通信 および テック関連の持ち株からは,過激に逸脱している。しかしながら,この買収は SoftBank の別の巨大な新しい試みを活性化せんと意図するものである。すなわち,非上場株式投資の世界を震撼せんとする $1,000 億テック投資基金である。
     今回の動きは,SoftBank の性急な創立者 Mr. Son の果てしない野心をハイライトする。59 歳の大立者は,日本一の富豪の1人であり,これまでアメリカ通信業界を震撼せんとしてきた。最近では,アメリカに雇用を創出する意向を表明することにより,Trump 大統領を説いて味方に引き入れんとした。
     "Fortress の見事な実績がすべてを物語る。当社は Fortress の指導力,広範な熟練度, および 世界級の投資プラットフォームから利益を得ることを期待する。" … と Mr. Son は火曜日遅く 声明で言った。"SoftBank にとって,この機会は当社グループの能力の拡大に直ちに資する。しかも,間もなく設立される SoftBank Vision Fund プラットフォームと並んで,この機会は 大胆で規律の取れた投資 ならびに 持続可能な長期成長を押し上げるための世界クラスの執行という 当社 SoftBank 2.0 変換戦略を加速するであろう。"
     過去 30 年にわたって,SoftBank は 日本の最も恐ろしいテック企業の1つになった。同社は おそらく 通信帝国として最もよく知られており,その帝国の勢いは 日本からアメリカの Sprint にわたる。SoftBank は また,中国のアリババ集団,Yahoo の日本アフィリエイト, および オンライン貸金業者 SoFi のようなスタートアップ企業を含む 投資のポートフォリオを持つ。その舵を握るのは つねに Mr. Son である。
     アメリカで訓練を受けた実業家 Mr. Son はソフトウェアの流通業者として事業を始めたが,最終的には 携帯電話サービスへ移り,iPhone を受け入れる日本初の企業となった。彼は,アメリカ無線業界に君臨する Verizon と AT&T を Sprint により王座から引きずり下ろすというような大風呂敷を広げて たびたび自慢し,謙虚さで知られるということが全く無い。
     SoftBank は Fortress に $33 億を支払う。これは,時価総額 $23 億のプレミアム付きである。この合意の一環として,SoftBank は この取り引きの費用の一部をカバーするために (Fortress の基金に投資したいという) 複数のパートナーを連れてくるオプションを持つ。これにより,運用資産を増やすこともできる。
     The deal frees up Peter L. Briger Jr. and Wesley R. Edens of Fortress to focus on their strengths as fund managers — several of their private equity funds have produced double-digit returns over time — without having to deal with the headaches of running a public company. As leaders of a public company, they struggled mightily to bolster their stock, more so than their competitors. Recently, the firm shut down its flagship hedge fund.
     不良資産に投資することに特化した著名な PEF Fortress の今回の買収は,ドイツ銀行でのデリバティブの元専門家 Rajeev Misra により推進された。Misra は,同時に SoftBank Vision Fund の投資戦略を設定する指導的役割を担う。
     ドイツ銀行で 世界市場営業部門のトップを務めていた Anshu Jain と親しくなったが,2008 年に辞職して Mr. Misra は UBS に転職後 数ヵ月の間 Fortress で過ごした。そのとき彼は Fortress の2人の議長 Mr. Briger, Mr. Edens を良く知るようになった。
     今や Mr. Misra は,世界中のテック企業に投資を狙い,時には莫大な株式を取得する巨大な新基金の監督を助ける仕事にあたる。SoftBank は,最低 $250 億をこの基金に拠出すると見込まれている。基金のパートナーにはサウジ・アラビアとアップルが含まれる。
     全てを合算すると,SoftBank は $1,700 億の運用資産を監督することになる。これは,約 $3,300 億を運用する Blackstone Group に次いで第2位の PEF である。
     PEF (非上場株投資企業) は,上場銘柄としてはパフォーマンスが貧弱であるが,それでも金をロックアップして何年もの間 高い手数料を稼げるので,うまみがある。
     銀行などに比べれは比較的弱いとは言え 規制を受ける法人である Fortress は,投資を行なう際には,$1,000 億 Vision Fund と アームズ・レングスの原則に従い営業しなければならない。そして,Mr. Misra と Mr. Son の下の投資家チームの変更はない。
     とは言え,Vision Fund が両社の共有する情報から利益を得る機会は十分にあると予想される。このことは,Fortress が自社の運用基準に適合しない通信会社への取り引きを見た場合に それを Vision Fund に回す可能性があることを意味する。今回の取り引きは また,Fortress の世界的ネットワークを考えれば,Vision Fund が新しい投資を調達する能力を広げる。
     Fortress の側から見れば,この買収の動機は 世界で最も革新的な投資家 [複数] に加わり,仲間が見つかる中東のような世界市場に参入することであった。
     Fortress は 2007 年にニューヨーク証券取引所に上場した。金融危機 [2008/09] が起こる前であった。しかし,ほかの上場されている PEF 銘柄の株価と同様に,Fortress の株価は 近年 パフォーマンスが悪い。上場後 80% 下がった。しかも,経営陣は,上場会社であることのメリットは ほとんど蒸発してしまったことを隠さない。
     同社の苦難は 金融危機に遡る。当時 サブプライム・ローン事業を打ち切るのが遅れたために 大きな損失を蒙った。株価は $1 を割り,2012 年まで安定して黒字に戻ることが無かった。
     同時に Mr. Edens は,経済回復から利益を得るように会社を位置づけ,住宅ローンの債権回収代行会社 Nationstar と消費者貸金業者 Springleaf (今では OneMain Financial という名前で知られている) を買収することによりサブプライム事業に戻ろうとした。Mr. Edens は 元リーマン・ブラザーズのパートナーであり Fortress を設立したのであるが,Springleaf への投資 $1.24 億を ざっと $20 億に評価される権益に変えた。
     これらの投資は,アメリカ経済への大きな広がりを Fortress が持つことを裏書きする。昨年の New York Times での調査で明らかなように, Fortress は,金融危機の余波で手を引いた銀行の穴埋めをする 今日のアメリカ人の暮らしで 影響力の大きい広範な役割を帯びた PEF の1つである。
     取り引きの条項により,Fortress は SoftBank の独立子会社となる。Fortress の投票権の約 1/3 を握るプリンシパルは,この売却を承認することに合意したが,投票は年末までに完了が予定されている。
     火曜日,この取り引きが発表される前,Fortress の株価は異常に多い出来高を伴って +6.5% 上げた。
    New York Times は,最後の1行を加えるのを忘れなかった。
    不良資産 (distressed assets) に投資することに特化した著名な PEF Fortress … と New York Times が書いているから,これが正しいとすると,ソフトバンクは アメリカでサービサーでも始めるのかな? がめつく回収すれば 年率 43% も夢じゃない。頑張れ ソフトバンク!
     でも,テック企業への投資とは 偽りか? 雇用も大して望めない。
     翻訳しながら感じたのは,なんとなく暗い印象。
     グーグルのような ほんとのテック企業の記事とは全然違うんですよ。
     ソフトバンクも いちおう テック企業という分類なんでしょ。テック企業は とにかく 明るくなくっちゃね。

  89. Parent of Brightline train project to be acquired by Japanese banking giant
    Brightline 鉄道プロジェクトの親会社が,日本の大銀行に買収される
      South Florida Business Journal,2017/02/16, 12:54 ET
      By Nina Lincoff
    フロリダ州のコーラル・ゲーブルを拠点とする Florida East Coast Industries LLC の親会社 FIG は,新しいオーナーを得る。すなわち,Brightline 鉄道の マイアミ-オーランド間旅客線プロジェクトも安泰だと言うことだ。
    ニューヨークに拠点を置くヘッジファンド FIG は 今週,日本の東京に本社を置く SoftBank Group により買収される交渉に入った。
    Brightline 鉄道の Michael Reininger 総裁。
     SoftBank は,FIG を約 $33 億の現金で買収する。この取り引きは,FIG の株主と規制当局の承認を必要とする。FIG によれば,2017 年後半に完了の予定である。
     "Fortress の見事な実績がすべてを物語る。当社は Fortress の指導力,広範な熟練度, および 世界級の投資プラットフォームから利益を得ることを期待する。" … と SoftBank 議長兼 CEO Son が声明で言った。
     Brightline はコメントを拒んだ。FIG からは,脱稿までに返事が無かった。
     買収契約の条件によれば,SoftBank は複数のパートナーをこの投資に連れてくることができる。
     Brightline 鉄道は,今年の夏に南フロリダで開業の予定であり,完成すれば,このプロジェクトは 1年に 530 万人超の乗客を運ぶことが見込まれている。駅は全部で4つ:マイアミ・ダウンタウン,フォート・ローダーデール・ダウンタウン,ウェスト・パーム・ビーチ・ダウンタウン,オーランド国際空港である。
     この旅客線プロジェクトは 376 km の路線沿いに経済的繁栄をもたらす見込みであったが,このプロジェクトの予想とともに,2015 年以来 連邦裁判所で激しい法廷闘争が繰り広げられてきた。
     このプロジェクトの第2期工事の資金手当ては 訴訟に巻き込まれた:フロリダ・トレジャー・コーストの2つの郡が アメリカ運輸省,その下部機関, および (Brightline のフロリダ州まで建設作業を行う) All Aboard Florida に対して訴訟を起こした。
     この訴訟は Brightline の建設 および 営業が Martin 郡と Indian River 郡で環境被害をもたらすというものだった。
     Brightline の関係者は,訴訟にも拘わらず,プロジェクトは順調であると言う。
     この鉄道計画に関する裁判資料によれば,Brightline の全請求書は $30 億にも達しかねない (既に取得した土地の約 $6 億の地役権を除く)
    ここでは,僅か4駅しかない旅客鉄道の開業を「日本の大銀行」ソフトバンクが救済するようです。
     ありがたいことです。
     「安泰だ」ということは,全費用 $30+6 億を「日本の大銀行」が払うから 安泰だ … という意味でしょうね (皮肉の意味)。裁判になって いつ完成するか分からないけれど「安泰だ」。とにかく大銀行がついたから,ポシャることは無い。
     そういえば,Nina さん 笑ってる (笑)
     もしかして … ソフトバンクが銀行ではないってことを知ってて? そうだよね,記者が知らないはずはない (笑)。てっきり誤解しているのかと思いました。こちらが浅はかだった!
     ということは,逆に読むと,ソフトバンクにトコトン付き合うつもりがあるの? 大銀行さん,甘いんじゃないの? って訊いているとも読める。今回の投資は $33 億だから,Brightline だけでも不足する ってか!
    ──────
    いずれも Yahoo Finance に出ていた記事ですが,な~んか,大富豪の大銀行さん,アメリカの地方の人たちから いいように ボラれているような感 無きにしも非ず。テック企業への投資との意気込みは どこへやら。

  90. Bucks' Edens to gain $154M in sale of investment firm to Japanese conglomerate
    ミルウォーキー・バックスのオーナー Edens が 日本のコングロマリットに投資会社を売却したことにより $1.54 億の棚からボタ餅。
      Milwaukee Business Journal,2017/02/16, 05:14 CT
      By Rich Kirchen
    [NBA のチーム] ミルウォーキー・バックスのオーナー Wes Edens は,共同議長を務める ニューヨーク市の Fortress Investment Group の 延び延びになっていた売却から 約 $1.54 億という棚からボタ餅を手に入れられそうだ。
     FIG の売却は,Edens のバックス所有に影響を全く与えない … とバックスのスポークスマン Jake Suski が言った。Suski は,これ以上の質問は FIG のプレス発表をどうぞ … と言った。
    ミルウォーキー・バックスの共同オーナー[兼 FIG の共同議長] ウェズリー・エデンス
    Scott Paulus)
     FIG のスポークスマンは 木曜日,Milwaukee Business Journal からの問い合わせに即答しなかった。
     Edens は,東京に本社を置く SoftBank Group への売却の一環として,自分が共同創立した PEF 兼 ヘッジファンド企業に あと5年留まる。Edens とほかの2人の FIG 幹部 Peter Briger と Randi Nardone も,この取り引きから直接に得られる手取りの 50% をFIG の基金と投資法人に直接に投資することを合意した。
     "これは「キャッシュ・アウト」ではなくて,ホントの意味で「キャッシュ・イン」だ!。" … と Edens, Briger, Nardone の3人は,FIG 従業員への書簡に書いた。"我々は,この事業の見通しについて,こんなに興奮したことは かつて無い。この取り引きで,我々は またもや [上場をやめて] 非上場企業として投資事業を続けられる。"
     SoftBank は,Masayoshi Son が設立した日本のコングロマリットである。
     Edens は FIG の ほぼ 6,340 万株を所有する。SoftBank の買収オファーは,FIG の株主に1株 $8.08 を払う。これは 2月13日の引け値 $5.83 に 38.6%,$2.25 をプレミアムとして加えることを意味する。したがって,この取り引きは,Edens の持ち株の評価を $1.426 億増やすことになろう。
     3ヵ月出来高重みつき平均株価に対しては,51.2% のプレミアムである (配当を除く)。
     Edens を含む FIG の株主は,最大 $0.09 のボーナス配当を2回受け取れる。Edens にとっては,$0.09 の配当の支払いが2回あれば 約 $1,140 万となる。
     火曜日の晩に発表された $33 億の現金取引は,夏に完了の予定である … と Edens が言う。FIG は SoftBank 内の独立会社として営業し,ニューヨーク本社に留まる。
     この取り引きにより,FIG は上場を廃止して,非上場の地位になる。New York Times によれば,FIG の株価は,2007 年に上場後 80% 下落した。ほかの上場された PEF も成績が悪かったと言う。
     FIG の運用資産は 約 $700 億である。
    ミルウォーキー・バックス (Milwaukee Bucks) は,アメリカ合衆国ウィスコンシン州ミルウォーキーに本拠を置く全米プロバスケットボール協会 (NBA) のチームである。
     イースタン・カンファレンス,セントラル・ディビジョン所属する。チーム名の buck とは,一帯に棲息する牡鹿のこと。牡鹿の躍動感から命名された。現在のオーナーは,ウェズリー・エデンスとマーク・ラスリーである。
     通算成績:1,983 勝,1,905 敗,勝率 51.0 %
    ソフトバンクによる FIG の買収は,アメリカでいろんな人を喜ばせているらしい。結構なことです。
     不動産の評価損をソフトバンクが解消してくれるから,それはうれしいでしょう。
     上場を取りやめれば,決算を発表しなくても済むから,利益が頭打ちなど言われなくて済む (ARM に同じ)。
     もちろん,経営陣は棚から牡丹餅のキャッシュ・インで,大満足の笑顔です。
     もう FIG の株は全部売ったからインセンティブも無し。いくら FIG 議長として会社のために働いても,株の値上がりの楽しみは無し,親会社の巨額の借金を返すのに ご協力するだけ。そういう馬鹿げたことは, あと5年間 適当にやって,何たってミルウォーキー・バックスの方が これからの生き甲斐だ。… というのが普通の人の感覚でしょう。
     大金持ちの社長さんは (大金持ち過ぎるから),分からないのかな? ARM も全く同じ構造です。向こうの人の働く意欲を奪っている。こういう状況で,ARM も Fortress も SoftBank に買収された後の業績は? 伸びるはず無いよね。言い換えると,わざと伸びないように買収してる(?) んじゃないの? 普通に (たとえばシャープのように) 新株発行割り当てを引き受ければ,こんなことにはならない。
     少なくとも 今回の決算発表で,ARM の業績は 全くの期待外れだった。そもそも 3.3 兆円を投入しただけのことはあった … などという評価はまるで無かった。
     だが,FIG が投資した 資金に困っている 優秀なテック企業が喜んでいる … という話を1つでも見つけたいのですが。
    ──────
    ちょっと気になるのは, 「延び延びになっていた売却 (pending sales)」というところです。
    どこで時間が掛かったのでしょうか?

  91. Japanese firm to buy GateHouse Media's parent company for $3.3B
    日本の会社が,GateHouse Media の親会社を $33 億で買収する。
      Boston Business Journal,2017/02/17, 01:04 pm ET
      By David L. Harris
    昨年 12 月,Donald Trump 大統領は,Sprint を所有する日本の多国籍企業 SoftBank Group の CEO に面会した。今週 SoftBank は,(マサチューセッツ州ボストン郊外クインシーの Worcester Telegram and Gasette, the Cape Cod Times, Patriot Ledge のような地元の出版社・新聞社を所有する) 出版のジャガーノート GateHouse Media の親会社の買収を発表した。
    東京のニュース会見で話す SoftBank Group Corp の
    大富豪 CEO 兼議長 Masayoshi Son.
    Kiyoshi Ota | Bloomberg)
    問題は,この2つのイベントが関連しているのか?
     SoftBank の創立者兼 CEO である大富豪 Masayoshi Son は,同社がアメリカに $500 億を投資し,50,000 の新規雇用を創出する … と Trump に誓約した。SoftBank による最新の動き, すなわち 今週発表された非上場株投資企業 FIG の $33 億での丸ごと現金による買収は,その投資約束の一部なのかもしれない。この取り引きは,今年後半に完了が予定されている。
     GateHouse は New Media Investiment Group (NYSE: NEWM) がこれを所有しており,NEWM は FIG のアフィリエイトである。この買収は SoftBank に,FIG の NEWM への投資 ならびに 高齢者向け不動産運営事業会社 FHC Property Management LLC を与える。ところが SoftBank は,ロボットやインターネットを含むテック業界への投資で知られる企業である。
     規制当局に提出されたファイリングによれば,2015 年12月27日の時点で,NEWM のポートフォリオは,564 のコミュニティ紙 [印刷媒体],489 のウェブサイト,476 のモバイル・サイト,6つの職業別電話帳を郡内に含む。同社は 2015 年の売り上げが $12 億であり,従業員 9,509 名,従業員の 13 % が 35 の労働組合を形成している。
     GateHouse の CEO Kirk Davis は 最高営業責任者でもあるが,筆者に 大して変更は無いだろうと思うと語った。
     "当社は,当社事業の改善と変革に絶えず努力している。" … と彼は言う。"そのうえで,私は ちょっとばかり Fidelity で働いて「カイゼン」を学んだ。この路線を続ければ,今の持ち主が変わっても良い状態でいられるだろうと 当社のチームに言った。"
     FIG の NEWM とつながりは深い。NEWM の CEO Michael E. Reed と CFO Gregory W. Freiberg は,どちらも FIG の従業員である。2人の給料は,FIG が払っている。
     SoftBank と FIG によれば,FIG の創立者兼議長 Wesley Edens (この人は NEWM の取締役会議長でもある) は,FIG のポストにそのままとどまる。後の2人の FIG トップ Pete Briger と Randy Nardone もそのままとどまり,この3人全員が この取り引きから合計 $13.9 億ドル [sic] を手にする … と Bloomberg は伝える。
     FIG は SoftBank の中で,ニューヨークに本社を置く独立企業として運営する … と両社は言う。FIG の運用資産は 2016 年9月30日の時点で $701 億であった。
    ボストンには テック企業は あまり無いでしょう。鱈が取れることでは有名。
    だから,テック企業ではなくて,"高齢者向け不動産運営事業会社" への投資になるのは仕方ないよね。
     ソフトバンクの投資の "実態" がうかがえると思い,翻訳しました。
     $33 (ソフトバンク) −$13.9 (3人) = $19.1 億が FIG のお金になるのかな? ずいぶん減るような気がするが僻目か? いやいや,それも FIG 株の買い取りに充てられるから,FIG に入る現金はゼロなんじゃないの?
     つまり,ソフトバンクが FIG に「投資」というけれど,払い込んだ金は全部 株の買い上げに使われて,FIG の財務諸表の現金は増えない。FIG の投資用資金は全く増えない。
     だから … ただし,3人は 受け取った半分 $9.55 億を FIG 系の基金に投資する。… これが必要になる。でも これは FIG の金庫に入るお金ではなく,3人のもの。
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    ここが 分からないんですよね。ARM と Fortress の2件は,丸ごと買収で上場廃止。
     ソフトバンクが投資した金 3.3 兆円,$33 億は どこへ消えたのか?
     ソフトバンク株主は「投資」だと思うから,相手の会社の金庫に入って,それが相手の会社の投資に使われると思いますよね。そうなんでしょうか? 鴻海がシャープを買収した時には,新株発行を鴻海が引き受けて,それがシャープの金庫に入り,シャープの投資資金として使われている。これは分かりやすい。前向きの投資である。
     新株発行なしに,ソフトバンクは相手の会社の株を全部買い取った … これが 3.3 兆円,$33 億。
     そしたら こちらから見たら 相手の会社の資産を取得したから「投資」ではあるけれど,新規に投資資金を投入したわけではないから,向こうにしたら (株を売って儲けた以外には) うれしいことは無いように思う。たとえば,ソフトバンクが 3.3 兆円で買収してくれたから,ARM はじゃあ 1兆円の新規事業を始められるのか?
     どうもこの2件の買収は,株を持っていた人を喜ばせるだけで,会社に対するプラスの効果が無いように思う。ハッキリ言えば,この2件は 先方にとって「投資」ではない。だから,ソフトバンクの投資により業績が伸びることはあり得ない。そんな「投資」を受け入れる ARM がおかしいのであるが,業績が実は伸び悩みというのが真相らしいから,ここらで全株ソフトバンクに売ったのであろう (2倍,3倍 … と値上がりすると思えば手放すはずが無い)。… と考えれば理解できる。ほかに 理解の仕方があるだろうか?
     もちろん 本来の意味での「投資資金」を追加するのであれば,別である。ARM の場合には,その必要がいずれ生じるであろう。たとえば,オフィス,増員で 手持ち資金が足りなければ ソフトバンクがそれを支出する (数千億円か?)

  92. Rating Action: Moody's withdraws ratings of TRAC Intermodal
    格づけアクション:ムーディーズは,TRAC International の格づけを取り下げる。
    ムーディーズ世界信用リサーチ,2017/02/06
    Rene Lipsch (ムーディーズ 副総裁)
    ムーディーズ投資サービスは,TRAC International LLC の全ての格づけ および 格づけ見通しを事業上の理由により取り下げた。
    RATINGS RATIONALE Withdrawals: (格づけの取り下げ)
    ..Issuer: TRAC Intermodal LLC
    .... Corporate Family Rating, Withdrawn, previously rated B1
    .... Probability of Default Rating, Withdrawn, previously rated B2-PD
    .... Speculative Grade Liquidity Rating, Withdrawn, previously rated SGL-3
    ....Senior Secured Regular Bond/Debenture, Withdrawn , previously rated B3 (LGD 4)
     Outlook Actions:
     ..Issuer: TRAC Intermodal LLC
     ....Outlook, Changed To Rating Withdrawn From Stable
     ニュージャージー州プリンストンに本社を置く TRAC Intermodal LLC は,インターモーダル コンテナ・シャーシを北米の国内 および 国際交通業者に提供する最大のプロバイダである。2016年9月までの過去 12 ヵ月の売り上げは $6.71 億である。TRAC は,Fortress Investiment Group LLC のアフィリエイトが運用する基金が間接所有する非上場企業である。
    ソフトバンクが今回投資した FIG のアフィリエイトが運用する基金が間接所有する企業 TRAC (CFR が B1) がムーディーズから格づけ取り下げを喰らったというニュースである。
     「見通し」も安定的だったのが突如として Withdrawn になった。
    事業上の複数の理由 (business reasons) というだけで,それ以上のことは書かれていない。
    しかし,格づけをやめるというのは どういうことか?
    ムーディーズのサイトに行き, 「取り下げ」というのを調べました。
      3. 付与した信用格付の取下げ
     付与した信用格付の撤回に関しては,遅滞なくこれを行ない,信用格付の取下げを WR ("Withdrawn Rating" を意味する) という記号で表示する。
     当社は,取り下げられた信用格付に,取下げ時点の信用力に対する当社の見方を反映させる。
     信用格付の取下げの理由としては,
     (i)情報が不十分である場合,
     (ii)発行体 または 債務者のデフォルト,倒産,再編,清算が発生した場合,
     (iii)ビジネス上の理由から取下げが必要となる場合,
     (iv)債務の償還 があった場合,などがある。

    となっている。今回は (iii)ビジネス上の理由 に該当するが,どういう理由なのかは分からない。
    そこで,ビジネス上の理由というのをさらに検索すると (笑)
     ビジネス上の理由:一定の状況下において,MJKK/MSFJ は,上記にあげた事態とは関係の無い理由で,格付対象事業体 または 債務の信用格付を取り下げる。MJKK/MSFJ が「ビジネス上の理由」により信用格付を取り下げたと示唆した場合,それは格付対象事業体 または 債務者側のビジネス上の理由ではなく,MJKK/MSFJ 側のビジネス上の理由を言う。MJKK/MSFJ のビジネス上の理由は通常,発行体の信用力 または 経営の質に関する懸念を反映したものではない。これらの状況において MJKK/MSFJ が信用格付を取り下げるかどうかを決定するときは,信用格付を維持することが市場参加者に与える情報の利益とそうした信用格付を維持し,モニタリングするのに必要となるリソースやその他のビジネス上の考慮事項を比較考量するよう努める。
     ということらしい。何のことやら分からん。

  93. スプリント 売却か継続か,岐路のソフトバンク
    日経電子版,2017/02/19, 00:40
    記者名 なし
    ソフトバンクグループがアメリカ携帯電話事業で岐路に立っている。2013年に買収したスプリントは収益性が改善したが,ベライゾンと AT&T の2強の背中は遠いままだ。トランプ政権は通信業界の規制を緩和する方針を掲げる。業界再編を仕掛けるのか ――。次の一手を問われている。
     ソフトバンクのアメリカ事業に関してロイター通信などが 2月17日,スプリントの経営権をアメリカ携帯第3位の T-Mobile に譲渡することを検討している … と伝えた。現在 アメリカでは電波の入札が行なわれており,通信事業者間の接触が禁じられているが,4月の入札終了後は解禁される。T-Mobile の親会社であるドイツ・テレコムにスプリント売却を持ちかけるとしている。
     スプリントの 2016年4~12月期の営業損益は約13億ドル (約1470億円) の黒字。年間20億ドルを見込むコスト削減とネットワークの改善が奏功し前年同期と比べ 4.3倍に増えた。ソフトバンクが買収した2013年の同期は 約19億ドルの赤字だったので,収益力は改善している。
     そうした中で売却観測が出るのは,現地ではスプリントの成長性に対する厳しい見方があるからだ。
     スプリントの携帯電話シェアは,2015年に T-Mobile に抜かれ第4位に転落してから低迷が続く。直近では安値攻勢により契約者数を持ち直したものの,2強も6年ぶりに「使い放題」プランを復活させるなど消耗戦に持ち込まれつつある。
     ソフトバンクがスプリントを売却すれば,アメリカの通信事業から事実上撤退することになる。ただ,ソフトバンクの関係者によると,売却は検討していないという。あらゆるモノがネットにつながる「IoT」事業を米国で展開する上でも通信インフラが武器になるからだ。
     実は,ソフトバンクは 2014年末にスプリント売却を検討した経緯がある。当初計画した T-Mobile とのセット買収がアメリカ規制当局の反対で失敗したからだ。その時は,社内でも意見が割れ,売却を撤回することになった。その後,孫正義社長が単独での生き残りに向けて陣頭指揮を執ってきた。
     「足枷だったスプリントがもう一度攻めに転ずることができる」「スプリント単体でも世界有数の規模になれる。売りたくない」。孫社長は強気の発言を 2016年に入り繰り返してきた。
     それでは,スプリントをどう成長させるのか。孫社長はトランプ政権発足後に「オープンに検討する」と話した。同業との再編も選択肢の1つになる。アメリカでは,ケーブルテレビなど放送との融合も有力な手段と見る向きもある。
     ソフトバンクは,サウジアラビアの政府系ファンドと共同で近く10兆円規模の投資ファンドを発足させるなど資金力は豊富。規制の壁を越えアメリカ事業の成長に再び挑むのか,それとも成果を待たずに撤退して,新たなビジネスに商機を見いだすのか――。孫社長の選択が注目されている。
    この記事は,たぶんかなりの注目を浴びるでしょう。とくに,「スプリント単体でも世界有数の規模になれる。売りたくない」 … とわざわざ 注目が集まるように (?) 書いている。『「IoT」事業を米国で展開する上でも通信インフラが武器になる』… なぁんて,少なくともこれまで スプリントが全くやっていない (状況証拠はコレ) ことを,つまり ウソを書いているからだ。
     実際には 新しい事実は,ほとんど無い。
     それに,ロイター記事の後ろの方の Höttges の否定的発言を完全無視,さらにロイターがほぼ同時刻に出した「規制を通る見込みは低い」という方の記事も完全無視している。要するに,(どこからか依頼されて(?))煽ることを目的としただけの記事であり,なるべく多くの情報を伝える … ことを放棄している。そういう意味では,悪質極まりない。日経の社長は,恥ずかしくないのか?
     当ウェブサイトは 異常な見方 ( あるいは 超安全な見方) をするかもしれないが,1つの見方として (あくまでも 1つの見方として) この記事は かなり大きな危険信号であると見る。
     なぜなら,現在のソフトバンクにとって,最重要の問題は何か?
     スプリントではない。2兆円を捨てたって,いまのソフトバンクは十分生きて行ける。
     重要なのは「軟銀願景基金」(敢えて,アリババさんによる漢字表現を採用する,カタカナは苦手です) の発足とその成功である。ところが,下の Wall Street JournalFinancial TimesBloomberg 記事は,"三役揃い踏み" で FIG 買収でインサイダー行為があったと匂わせている。がっぽり儲けたインサイダーがあったことは間違いない。だから SEC が調査することも間違いない。New York Times も,最後の1行を書き加えるのを忘れなかった! ところが日経は,この異常だった市場のふるまいを全く無視して報道しない。知らないはずは無い。なぜか?
     問題は,そのご本尊が誰かということ。記事の中では Rajeev Mistra が今回の買収に関して SoftBank と FIG を結ぶ重要人物であったと書いている。とくに New York Times は 明言している。
     分かっているのはここまでである。SEC の調査があったとして,その結論が出るのは半年後になるらしい (だから,ソフトバンク株を買っている はしっこい人は,そこを1つの目途と考えるかな(笑))。
     Rajeev Misra は 言わずと知れた ロンドンで軟銀願景基金の指揮を執るトップであり,"ソフトバンクの社員である" とこれまで何度も何度もアメリカのメディアで報道されている (日本の株主にとっては 違和感が非常に強いが,しかたない。レッキとした "ソフトバンク社員" でございます)。
     インド人と言われると思い出すのが Nikesh Arora, Alok Sama など,Boies 書簡によれば "利益相反" 行為を厳しく非難された (社長はこれを全面的に否認した)。利益相反というのは,ソフトバンクの出資を種に自分の懐を肥やした … ということ。これを,今回 FIG で起こったことと比べれば,関係している人が Arora 系列のインド人グループ,似たようなことをやっている可能性が高い。
     あくまで可能性であるが,"ソフトバンク社員" が万一 FIG のインサイダー取引に係わっていると SEC が立証すれば,どういうことになるか?
     もちろん 半年くらい先にならないと事実関係ははっきりしないが,しかし,報道はそういうことを待ってはくれない。ウワサだけでも日本国内で立てられたら困ります (誰が?)。日経はどういうわけか知らないが,FIG の買収は報道しても,インサイダー疑惑は報道していません。まぁこれくらいで十分でしょう。
     なるべく なが~い 間,スプリントがどうのこうので騒いでほしいですネ (誰が?)。
     業界再編運動が解禁されるのは 4月19日だと FierceWireless が伝えている。
     どうなるんでしょうね (何が?)。だって,FIG には 既に株主集団訴訟を起こすという法務会社の公告が早くも2~3件 (5件だ!)出ているんですよ。(まだインサイダー疑惑とハッキリ謳ってはいませんが,FIG に対するインサイダー疑惑なら FIG 社員が問題なので,かりに "ソフトバンク社員" Misra がご本尊なら無関係です。むしろ疑われるのはこちら (どちらなの?)。こういうのは まだ増えるでしょう。法務会社の飯のタネ,自己宣伝の種ですから。もっとも,Yahoo の件数に比べたら物の数ではない (笑)。だから実質的な効果 (賠償金を取る) は無いのかもしれない。けれど 目立ちます。
     要するに … 第2の Boies 書簡 発生か?
     FIG 買収に関連した下の記事をまだお読みでない方は是非どうぞ。
    ──────
    世の中に見られる最悪のケースは,(あくまで一般論) 世間知らずの金持ちのお坊ちゃまに ボロ会社に投資させ,それを利用してガッポリ稼ぐ … という手口もありますネ。
     いえ,一般論です。$33 億なんてショボイのを狙う馬鹿は いないでしょう (笑)

  94. Behind the Fortress Deal: A Japanese Billionaire’s Huge Ambitions
    Fortress 取り引きの内幕:日本の大富豪の巨大な野心の数々
    Wall Street Journal,2017/02/15, 08:02 pm ET
    By Liz Hoffman and Sarah Krouse
    $33 億の取り引きに,Fortress 株は 29% ジャンプした。
     昨年,Fortress Investment Group の共同議長 Peter Briger は,旧友の1人に自分の会社を売る話を持ち掛けた。
     電話の相手は Rajeev Misra だった。彼は 2014 年に Fortress を退社し,日本の通信企業 SoftBank Group に上級ポストを得た。ニューヨークの企業は 株式市場から過小評価されており,上場廃止を希望する … とその電話で Mr. Briger が言った … と状況を知る複数の人が言う。
     この電話にすぐに続いたのが SoftBank からのサプライズである。SoftBank の創業家 Masayoshi Son は動きの素早い大富豪であり,金融,テック および 通信に腕力を持つ世界の大立者に自分の会社を変えることを切望している。
     この買収の成功は,Mr. Son および その投資プロのチームが Fortress の未上場株式 および その他の資産会社を利用して 広範な 金融サービスの柱をアメリカに建設できるか否かに掛かる。SoftBank は,Vision Fund のための要員 および 支援サービスも得ることができる。
     SoftBank は,Fortress に $33 億を支払い,クラス A 株主に1株 $8.08 を払うことで合意した。これは 値下がりしていた月曜日の株価に +39% のプレミアムであるが,Fortress が アメリカ初のヘッジファンドとして上場したときの時価総額 $134 億には 遥かに及ばない。
     水曜日には,Fortress の株価は 29% 弱 跳ねた。
     "これは結構なプレミアムだ" … と JMP 証券のアナリスト Devin Ryan が言い,"代替資産" 運用会社は,近頃 株価を先取りして上場される。" … と続けた。
     この取り引きに先立って,Fortress の株価の上昇から利益を得るオプション買いが急増した。Trade Alert によれば,火曜日のセッションで,Fortress 株式の コール・オプションの取引高は, 1ヵ月平均の8倍に跳ね上がった。
     この買収取引は,近年 株価がみじめな状態に陥った Fortress を市場の監視の目から救出することになる。Fortress は 近年サブプライムローンへの賭けで成功を納めた;ただし ヘッジファンド事業の一部は "マクロ・ファンド" を含めて失敗し,閉鎖した。
     Fortress は クレジット・ファンドで良く知られているが,従来型の未上場株プールの運用も行なう。
     今日,フィラデルフィアの Logan Circle Partners と呼ばれる部門にある最大の資産は,固定金利のショップであり,$330 億以上を運用する。Fortress は この会社を 2010 年買収し,当時 CEO だった Daniel Mudd の下で 伝統的なマネー・マネージメントに多様化させた。
     Lagan の次に大きな資産は,約 $180 億で,クレジット および 不動産戦略部門にある。さらに $70 億が PEF にある。
     SoftBank が特に関心を持つのは,Fortress の6つの特殊投資プールであり,ここはディジタル・マーケティングや住宅ローン・サービスからゴルフ・コースまでにわたる業界に金を注ぎ込む。9月30日現在, これらは 全体として $68 億を運用し,毎年 数千万ドルの手数料収入を得る。
     ひとつには,FIG の基金を Mr. Son の (ソブリン基金 および 世界的大富豪の) ネットワークに買い入れることにより,SoftBank は,向こう数年以内に Fortress の全資産を ほぼ2倍にできると信じている … と事情に詳しい複数の人が言う。
     現在では Fortress が運用する金のうち Mr. Son がよく通じている 中東の投資家から来るのは 僅かに 3%,アジアからは 7% である … とこの人たちは言う。
     サウジアラビアとアブダビのソブリン基金は,Vision Fund に投資している。SoftBank は,これらの地域と深いつながりを持つ ウォール街の元セールスマンや元トレーダーを掻き集めた。
     これらの投資家への宣伝文句:a break on fees (手数料なし?)。SoftBank は,Fortress の ゼネラル・パートナーとして知られる営業部門を1つ ネットワーク内の誰かに売却する計画である;これにより 実質的に 投資家が負担する運用手数料を Fortress からの現金支払いにより埋め合わせることができる … と彼らは言う。
     Fortress を買収することにより,SoftBank は 取り引きを見つけ,組成することを助けるチームを獲得し,さらに資産運用のバック・オフィス ── ここが コンプライアンス,法務,トレーディングの連携 および その他の機能を果たす ── を得る … と状況に詳しい複数の人が言う。これらの機能は,SoftBank が独自の投資集団と基金を生成するのに役立つ … と彼らは言う。
     Mr. Son の野心の拡がり ── 自分は Berkshre Hatheaway のような持ち株会社を創ることが夢だと仲間に語った ──と 通信+インターネット企業としての SoftBank の脚の速さは,スタートアップ企業の雰囲気を生み出した。従業員たちは, バックオフィス機能の設立に急ぎ,ロンドンに新しいオフィス空間を設立した … と事情に詳しい複数の人が言う。
     20 年も営業に携わってきた マネー・マネージャ [a manager 誰?] は,このプロセスを加速することになろう。 Fortress の2人の共同議長 Weslay Edens と Peter Briger は,Randy Nardone CEO と共に 買収後も会社に残る。
     SoftBank は サンフランシスコに複数のオフィスを持つが,Fortress は Mr. Son と Vision Fund にとってアメリカのもう1つの足場である。Mr. Son は アメリカに $500 億を投資して 50,000 の雇用を創出すると Trump Tower で Donald Trump 大統領と面会後に公約した。Mr. Son は Trump Tower のロビーで記者団に アメリカのスタートアップ企業に投資するつもりだと述べた。
     Fortress を所有することは,Mr. Son にインフラ投資への水路を開く;これは Mr. Trump が選挙運動で優先政策として掲げたものである。たとえば,Fortress が動かす PEF は,貨物/旅客鉄道に投資する。大統領は 国内プロジェクトで民間投資に更なる拍車を掛けると約束した。
    Fortness Investment Group (FIG) には,株主集団訴訟を起こすとの公告が ちらほら 出ています。
     証券訴訟に特化した法務会社 Brower Piven が,この集団訴訟に加わる株主を呼び集めている。
     訴えの理由は,取締役会の善管注意義務違反 および その他の州法違反です。
     SoftBank による買収より良い別法を見つける努力を怠ったこと,もっと高値で売れたのではないか。
      たとえば,Fortress が動かす PEF は,貨物/旅客鉄道に投資する。大統領は 国内プロジェクトで 民間投資に更なる拍車を掛けると約束した。
     けれども 2017/08/03 の Fortress の決算発表では,
     During the quarter, the Private Equity Funds completed the sale of Florida East Coast Railway (FEC) and related freight rail assets to Grupo México Transportes. The sale generated approximately $500 million in net proceeds to Fortress-managed funds.
     となっていて,フロリダ州の北端から南端に到る 351 マイル のフロリダ東岸鉄道を売却しちゃった。つまり,大統領との約束を破っちゃったのである,孫さんは。しかも,手取りがたったの $5 億だった。
     売却価格が $21 億という報道があるが (2017/03/28),どういうことなのか?
      Logan Circle は Fortress の運用資産の半分を占める。重要なはずであるが,これを アメリカ最大の生命保険会社 メットライフに たったの $2.5 億で売却しちゃった (2017/07/07)。
     生命保険会社が持って行った資産は,当然のことながら,優良資産であろう。あとに屑が残った (?)
     この結果 社長さんが「買収ごっこ」に使える金は 7兆円から 3.5 兆円に減った。しかも その大半は 不動産など固定資産であるから,買収ごっこにはほとんど使えないだろう。
      当時 日経は舞い上がり(笑), 「ソフトバンクが米投資ファンドを買収,運用額 20兆円規模に (日経電子版,2017/02/16) という無責任記事をでっち上げた。
     当サイトは 直ちにこの記事を「日経の悪行」と断じた。
     日経さん,今は 何兆円なの? 改訂版を出さないの?
      SoftBank は,向こう数年以内に Fortress の全資産を ほぼ2倍にできると信じている … と事情に詳しい複数の人が言う。
      ・・・ ということは,Fortress を買収したことにより,数年で 7兆円の利益を出せると社長さんが踏んでいたわけだ。7兆円の元手がそんなに 簡単に 14 兆円に増えるのか? 素晴らしい手品だ! 国内通信事業で苦労するのが馬鹿らしくなるね。そういう気持ちだから,KDDI にも契約数でどんどん引き離される。
      買収契約の後に,このように 大型の資産売却が発生するのは,なんともおかしい。少なくとも説明が必要である。
      もちろん,インサイダー取引 の SEC による調査 (2017/03/01) の結果はまだ出ていない。状況から見れば,ロンドンにいる Vision Fund の元締めが 最も疑われる。この記事の書き出しも,Fortress 株価の底上げが発端になっている。

  95. Bets on Fortress placed before bid news yield 400% profit
    利回り 400% の利益とのニュースが流れる前に,Fortress への賭けが張られた。
    Financial Times,2017/02/15
    By Miles Johnson, Stephen Foley & Joe Rennison (ロンドン,ニューヨーク)
    市場の専門家は,SoftBank の $33 億取り引きが公表される前に情報が漏れたのではないかと言う。
    1人 または 複数のトレーダーが 火曜日 オプション市場で,Fortress Investment Group の株の大きな動きに賭けを張って,400 % の収益予想をした。これは,Fortress が SoftBank による $33 億買収を発表するほんの数時間前のことだった。
     張られた賭けの規模は,大きく人目を引くものだったので,何人ものオプション市場専門家が,リークされた情報に基づいて取り引きをしている者がいると考えた。そして 後に同じ日に この買収情報が Fortress から公表されると,PEF 業界を驚かせた。
     "1つ大き目の (biggish) トレードがあり,続いて 物凄いのが1つ。" … と Capital Market Laboratories の Ophir Gottlieb が語る。"これは,不正らしきものの かなり歴然とした例である。"
     正式発表の前に,オプション取引活動は通常の水準の8倍を超えていた。株式の売買高も,火曜日には異常に多かった。最初のオプション取引が始まる数分前からもう上がり始め,午後まで上がり続け,傍観していた人たちもその頃になって気がつき,騒ぎに加わった。
     この展開を,Fortress では オロオロしながら見守っていた。なぜなら 株価が騰がり過ぎれば,SoftBank が払うと約束してくれている 高いプレミアムを自慢できなくなるからである。買収価格は $8.08 に決められており,引け後に発表された。この日の始値は $5.83, 終値は $6.21 であった。
    Fortress の株価が騰がる。
    2月14日(火) の株価.
     火曜日のオプション取引の出来高の多くは,水曜日に決済されたらしい;ということは この賭けを張ったのが誰であろうと 利益を既に得た … と MKM Partners のデリバティブ商品部門のトップ Jim Strugger が言う。
     Mr. Strugger は,正規時間前の取り引きが "奇妙だった" と言う。ただし,Fortress は 決算発表を2月23日に控えており,偶然ながら 誰か1人の投資家が業績の改善に賭けたこともあり得る。
     Fortress の火曜日のコール・オプションの取引高は,オプション解析データ・プロバイダ Trade Alert によれば 9,601 であった。これは,1日の平均取引高 1,124 を遥かに超える。
     3月を期限とする Fortress の短期コール・オプションの買いが,Fortress 株式の出来高の急増を受けて急増した。これは 買収ニュースが発表される何時間も前のことだった。
     ニューヨークのトレーダーらは,Fortress のオプションが異常に買われているのに気づいたのが 12:22 だったと言う。
     Trade Alert の CEO Henry Schwartz は,オプション市場のせいで Fortress 株が上がったのかどうかは不明であると言う。
     "オプション・トレーダーが株式からヒントを得たのか,同じ買い手がオプションと株の両方を買ったのか そのどちらであるかを決めるのは難しい。" … と彼は言う。"買い手は,うまい手口を使って 自分の流動性をなるべく高く,しかも素姓を明かさないようにするものだ。"
     Mr. Schwartz と Mr. Gottlieb は2人とも,この取り引きによる利益を 400% 程度と見積もる。
     大量の取り引きは,コール残高をほぼ2倍にした。1日の出来高は,2016 年8月以来最大であった。
     買収発表に先立つ大量のオプション取引は,過去にインサイダー取引とリンクしていた事例があり,財務当局により綿密に調査される。
     2014 年,元 Banco Santander [銀行] の幹部が アメリカ証券取引委員会 (SEC) により罰金を科された。これは,BHP Billiton が PotashCorp を買収する発表の前に PotashCorp の投機的デリバティブを買ったことに対するものである。
     SEC は,Fortress の取り引きについて コメントを拒んだ。Fortress と SoftBank は,コメントを拒んだ。
       < 以下は,オプション取引の説明である >
      Call options give the owner the right to buy shares in a company for a fixed price by a certain date. If the price does not exceed the strike price by that date they expire worthless.
     By buying options expiring in only a month — instruments that are treated as highly speculative by traders due to their short duration and sensitivity to movements in the price of the underlying shares they are linked to — the purchasers managed to guarantee the largest possible gain on any instrument linked to the value of Fortress’s shares.
    詳細は分かりませんが,結果はどうあれ,世界のソフトバンクとしては,恥ずかしい出来事です。
     こんなことで,アメリカでの投資が今後円滑にできるのか?
     買収される企業が こんなことで 餌にされたら たまったものではない。この手口は上場企業に限られるわけだが,FIG からも SoftBank からも出資を受け入れる企業は,よほどの "金困り企業" に限られる。
      不信の目が広がれば,"軟銀願景基金" への出資の取り消しがあってもおかしくありません。
     社長さん 最終決裁くらいは自分でなさっているでしょうが,実質的には何もせず,インド人チームに丸投げしている。そこに問題があるように思う。SoftBank は,インド人チームに いいようにカモにされている。1年前の Boies の件と根っこは同じである。そういうチームを 1,000 % 信頼すると言い張って,いくら揉み消しても,インド人チームに丸投げでは,こういうことが何度も起こるでしょう。
     東京本社に信頼できる日本人チームを置いて 世界に投資をすれば,こういう問題は起こりにくい。
     要するに「世界的投資会社」になったのに,自前のマネージャを持たないソフトバンクの体質の問題である。
     人間とは弱いもの。これまで 大して縁の無かったグループの鼻先に ニンジンをぶら下げるようなもの。Boies 書簡事件も そういう中で起こった。
    ──────
     付け加えると,Boies の方は 1,000 % 信頼発言が通った形で表面的には収まり,忘れられた形になっている。しかし,あれだけ 長文の詳細な Boies 書簡が黙ってしまったのは どう考えてもおかしい。何かウラがあって口封じされたような感が否めない。特別委員会は報告書を公表しなかったし,そもそも委員長の名前も発表せず,委員会の構成も発表せず,さらに言えば 何月何日に委員会が始まってどのように調査したかも全く発表されない。こんなおかしなことが罷り通るのは,ウラの動きがあるからでしょう。いずれ 何かの機会に解明されることを期待します。日経は投資家の方を向くべきなのに,顔の向き方が反対なんですよ。
    ブルームバーグからは日本語で出ていました (Yahoo Finance に英語版は見なかったけど)
    フォートレス株・オプションの売買急増-ソフバンクによる買収発表前
    By Cecile Vannucci,Joshua Fineman
    Bloomberg2017年2月16日 06:39 JST
       2月14日の株式の出来高は昨年平均の9倍近くに膨らむ
       コールオプションの売買高も昨年4月以来の高水準に増加
     米投資会社フォートレス・インベストメント・グループの株式とコールオプションの売買高が 14日,ソフトバンク・グループによる同社買収が発表されるわずか数時間前に数ヵ月ぶりの高水準に膨らんでいた。
     フォートレス株は 14日,6.5%高で取引を終え,昨年4月以来の大幅高となった。出来高は850万株強と,ブルームバーグのデータによると昨年平均の9倍近い水準となった。行使価格6ドルの3月限のオプションの売買は 8328枚となり,建玉は4倍に膨らんだ。このオプションの価値は 15日に一時 388% 急騰した。
     株・オプションの取引急増は,ソフトバンクグループがフォートレスを 33億ドル (約3770億円) の現金で買収することが伝えられる前に起きた。発表を受け,フォートレス株は 15日にさらに 29%上昇した。考えられる理由として,アナリストはフォートレスが決算を来週発表する見込みであることを指摘しているが,過去に決算発表がこのような売買急増につながったことは稀だ。
     MKM Partners のデリバティブ (金融派生商品) 責任者 ジム・ストラッガー氏は「そうしたイベントを控えていなければ,控えめに言っても怪しいと言える。タイミングが疑問を投げ掛けていることは確かだ」と語った。

  96. Bullish Options Volume of Fortress Jumped Before SoftBank Acquisition News
    ソフトバンクによる買収ニュースの前に Fortress の牛さんオプションの出来高が急増していた。
    Wall Street Journal,2017/02/15, 03:13
    By Gunjan Banerji
    ニューヨークに拠点を置く資産運用会社を買収する計画のニュースが出る前に,牛さん株式オプションの出来高が急増した。
    Wall Street Journal は 火曜日の引け後に 日本のテック企業 SoftBank が Fortress を $30 億以上で買収する取り引き間近であるとお伝えした。両社は $33 億の取り引きを 火曜日遅くに発表した。この取り引きの条件の下で,Fortress のクラス A 株式所有者が 1株当たり $8.08 を受け取る。これは,月曜日の終値に +39% のプレムアムである。
     火曜日の正規の取引時間のあいだと WSJ 報道の前に,Fortress 株式のコール・オプションの出来高は,1ヵ月平均の8倍に跳ね上がったことを Trade Alert のデータは示す。約 9,600 のコール・オプションが成立した (通常の取り引きの平均は 1,100 である)。
     これらすべてのコールは,ニュースの2時間前に発注された … と Trade Alert の Fred Ruffy が言う。"このタイミングは 興味深い。"
     Fortress の株価も 火曜日に 買収のうわさが浮上する前に かなり上がり,+6.5% 高の $6.21 で引けた。参考までに S&P 500 は +0.4%, ベンチマークの金融株は +1.2% 高だった。水曜日の午後にはさらに +29% 上がっている。
     Fortress のスポークスマンは オプション取引についてコメントを拒んだ。SoftBank の広報担当者は,コメントの要請に E-メールで即答しなかった。
     他方, 火曜日プット・オプションの取り引きは, 1ヵ月平均程度だったことを Trade Alert は示す。取り引きパターンが変わったにも拘わらず,水曜日のオブション取引高は高いままだった:コールは 1ヵ月平均の8倍, プットは 1ヵ月平均の 200 倍を超え,17,000 契約だった。
    これは,インサイダー取引か。Financial Times も伝えている。インド人チーム?
     冒頭の写真は,疑いがかかっていることを示す?

  97. ソフトバンクが米投資ファンドを買収,運用額 20兆円規模に
    日経電子版,2017/02/16 01:20
    ソフトバンクグループは米投資ファンドの Fortress Investment Group を総額 33億ドル (約 3,770億円) で買収する。ソフトバンクの負担額は,数百億円程度の見通し。近くサウジアラビアと共同で発足させる投資ファンドと合わせれば運用額は,20兆円規模となる。ソフトバンクは自社の負担を抑えて巨大なファンドを創り上げることになる。
     Fortress は,8兆円規模の運用資産を持つ。ソフトバンクは他の出資者を募って買収する方式をまとめており,自社負担を数百億円程度に抑えるメドが立った。一方のサウジと設立する10兆円規模の新ファンドは5年間にわたり,年間数千億円程度の負担となる。ソフトバンクにとって「巡航速度」の程度の投資負担で巨大なファンドをつくる。
     Fortress 買収の狙いは巨大ファンドの管理部門の強化にある。ソフトバンクはこれまでもベンチャー投資で 40%超の収益率を残すが,運用規模が一気に 20兆円規模に広がるため資産管理に強みを持つ Fortress のノウハウを取り込む。
     サウジと設立する新ファンドは IT (情報技術) 分野の新興企業を中心に投資する攻めの役割を担い,フォートレスは不動産なども含めた手堅い運用を続ける見通し。ソフトバンクが抱える投資部門全体のバランスを取ってリスクをおさえる狙いもある。
     ソフトバンクは巨大ファンドを通じて世界の有望企業と連携を築く。あらゆるモノがネットとつながる IoT ビジネスの強化につなげる考えだ。
    日本経済新聞の「悪行」の証拠として,ここに採録する (笑)
     なぜ 悪行か?
     (1) 記者の名前が無い。無責任記事である。33 億ドル払って,負担額が数百億円とは?
     (2) 情報源が一切伏せられている。ソフトバンクの誰から, いつ, どこで … 入手したのか?
     たとえば Nikesh Arora からか,Alok Sama からか,Rajeev Misra からか,Masa Son からか?
     これだけの複合的な情報が1人だけから得られたのか?
     (3) 「資産管理に強みを持つ Fortress」という表現が笑わせる。
     こう書くのであれば,日経の独自取材による確認を必要とする。せいぜいのところ,WSJ ならば「資産管理に強みを持つとソフトバンクが言い張る Fortress」と書くだろう。
     Fortress が運用会社と言いながら,運用が下手で赤字を出していることを隠している。 「不動産なども含めた手堅い運用」とは上手な嘘であり,債券投資の部門は手堅いが,不動産部門では 不良資産化しているらしい。Fortress は IT に投資していないが,そのことを上手に避けている。
     (4) 20 兆円を強調するのはよいが,それは,リスクもまた膨大になることを意味する。なんとなく儲かる話のように書いて,(ソフトバンクのこれまでの投資の失敗を1つも挙げず) リスクに触れないのは,新聞記事としてはバランスを欠く。
     (5) こんな記事に釣られてソフトバンク株を買った人は哀れ。[ただし,材料の当否を正確に判断することは重要であるが,株の売買がそれと完全にリンクしている必要はない。たとえば,悪材料であることを承知していても,騰がれば買う/騰がるから買う … という判断は,十分にあり得る。株式投資では,利益が出るかどうかが問題なのであり,社長に義理立てする必要は無い。]
     (6) どうして 上の (日経の子会社である) FT の記事を翻訳掲載しないのか? これでは,ソフトバンクの株価が −1.61% 安の理由が分からない投資家は困るだろう。
     (7) 要するに,リークされた情報を日経が鵜呑みにして,自分では何も調べずに記事を仕上げた明確な証拠として,これをここに残す。
    ──────
    しかし ・・・ 20 兆円というのは,日本の国家予算の 1/5 ~ 1/6 ですよ。もしも 投資に失敗すれば 兆円規模の負債が生じる。こんなに負債の多い会社が 万一 大幅減益になれば 株価は ・・・ ? 今でも1年に投資の失敗で 1,000 億円級の償却をしているんだから どうなるのか?
     これまでにもインド, インドネシア, アメリカ (BrightStar) への投資で失敗して減損償却を計上しているんだから (社長さんは自分から言わないんだから,日経もあからさまには遠慮して書かないから,有価証券報告書をこまめに読んで 気がついている人は, 何 % くらいなんだろう?),なるべく早く小さな規模の投資で失敗すれば,お客さんに 世界投資銀行としてのインド人チームに丸投げの真の実力を世界から認めてもらえるんじゃないかな (?)。
     この件で面白いのは,アメリカや欧州には名の通った投資銀行がいくつもある。当然ながら そういう投資銀行はこれまで世界のいろいろな案件に投資を行なってきた。そういう投資銀行のコメントが一切見られない。たとえば「素人さんが甘いよ」とか「素人さんでも できるんじゃないの」とかいうコメントがありそうなものだが1つも無い。これが不思議である。あるいは ソフトバンク投資銀行の進出に対抗して秘策を練るとか,生意気だからぶっ潰してやるとか (笑)。いや 100 年を超える歴史を持つ投資銀行が カチンと来たとして,全然 不思議はない。
     儲かる投資先への投資は,競争が激烈なはずで,Fortress のようなのは,誰も手を出さないから取れたのでしょう。かなりのプレミアム (3ヵ月平均の株価に対して 何と 50% のプレミアムとは,破格も破格) までつけて 取れたのを単純に喜んでいるんですよね,社長さんは。ARM のプレミアムを凌ぐ。ARM を上回る "金の卵" を生んでくれるのでしょう。
     しかし (ここが重要かもしれない),日本から「ソフトバンク投資銀行が開業いたしました」と言って乗り込んでも,買収させてもらえる 一番良い 投資先が Fortress だったとも考えられる。Sprint 買収の時にも,どうして T-Mobile を買収しなかったのか … という声は,ありました。私もそう思った。これは社長さんの判断ミスだ!… と思った。ところが,ソフトバンクの板にごくたまに現れて 孫社長を「孫くん」と呼ぶお方と話していて,それは間違いであることに気づかされた。要するに,SoftBank がアメリカに進出しようとして 買収させてもらえるのは,赤字で 下り坂の Sprint しか無かったのだと。まぁ,そういうことなら 追加で T-Mobile を買収しようとしてもできない相談であり, 形式的には FCC の拒否が (まことに分かりやすい) 理由とされたが,理由は いかようにでもつけられます。
     基本的には,アメリカの "トランプ体質" と言えば分かりやすい。そのことは「孫くん」も承知の上だったのでしょう。実際 アメリカに進出して失敗した企業の例は数多い。そういう企業がどれもヘマだったとは考えにくい。むしろアメリカが「自由の国」であると表向きは唱えながら,実態は 民主党であろうと共和党であろうと「トランプ体質」が深く根付いていると考える方が分かりやすい。Sprint がアメリカで成功するのかどうか … という議論がありますが,それは社長の手腕がどうこうの問題 (も含まれはするが) だけではなく,上のような一般的な文脈で注目されているのでしょう。
     結論として言えることは, 「孫くん」は 所与の非常に厳しい条件の下で精一杯のことをやろうとしているのでしょう。こういう条件下では,失敗の危険があるからやらないという判断も十分にあり得ますが,アメリカに投資するという野心が強ければ,この条件を呑んで,買収させてもらえる Sprint と Fortress で できる限りのことをやるしか道はありません。この仮説によれば,今後の買収案件も,買収させてもらえる 案件の中で 最も良いものに限られる (つまり 強力な競合相手がいる) でしょう。OneWeb も その1つの例かな?
    ──────
    ・・・ と書いたのは2月16日のことだった。
     2月18日には仰天のロイター報道 (他社の裏付け報道が無いのが 気にかかるが) が出て,"その裏付け報道" みたいなのが 2月19日午前00時40分に日経から出た!
     こういうのを読んでどう思いますかね。上に書いた考え方を変える必要がありますかね?
     いやむしろ,上の考え方が正しいことを裏付けてくれるありがたい (?) 補強記事のように読めないこともありません (ちょっと強引?)。

  98. Fortress Shares Surge, but Few Clues on Next Asset-Management Deal
    Fortress の株価は急騰する。しかし 次の資産運用取引には,ほとんど手懸りが無い。
    Wall Street Journal,2017/02/15, 03:20 pm ET
    By Julie Steinberg & Sarah Krouse (香港)
    アジアの複数の買い手がやって来る中で,どの取り引きも 構造と動機が異常 (unusual) では,投資家に賭けを張ろうというインセンティブを提供し得ない。
    最近,アジアからの買い手が,アメリカの マネー・マネージャ [資産運用管理会社,資産運用機関,投資顧問など] を求めてやって来た。だが そのどれも 異なる目標により運用された。
     SoftBank Group の火曜日の Fortress Investment Group LLC に対する $33 億 取り引きは,アジアの買い手たちが 赤字に喘ぐアメリカのマネー・マネージャを買収した最新のものである。2016 年 ほぼ1ダースのアジア企業が,外国の投資運用会社を買収した。2014 年は6件であった。 ・・・

  99. SoftBank Has Blurred Vision
    ソフトバンクは,視力が鈍った。
      Bloomberg,2017/02/15, 01:14 am JST
      By Tim Culpan
    SoftBank Group Corp は,騎兵隊を招集している。
     昨年 SoftBank Vision Fund を発表後,Masayoshi Son 議長は,ロンドンのメイフェアにあるオフィスから金を運用すべく,Akshay Naheta を含む 元ドイツ銀行 AG の幹部の一団を採用した。さて 今回,SoftBank は 上場済みのヘッジファンド運用会社である Fortress Investment Group に巨額のプレミアムを払おうとしている。Vision Fund で調達を望む $1,000 億と並べて,$33 億で この取り引きを aqui-hire (買収・採用) と呼べるだろう。これまでのところ,この怪物の如き現金の山に関する SoftBank の計画は,金 多くしてビジョンに欠ける。明らかに これは ベンチャー・ファンドではない。このことだけは 確かである。
    Cash Pile
     Vision Fund を通して SoftBank は,テックに焦点を集中するものと了解されていたはずである。とくに,参加を予定して勢ぞろいしている投資家を見れば なおさらである。ところが,SoftBank が Fortress を買収すれば,ここから重大な逸脱になる。ニューヨークに拠点を置く企業は,2007 年の上場後 2/3 も株価が下がった。 しかも 投資の主力は不動産と債券である。この会社は,お粗末な外貨取引で損失を重ね,投資家は撤退し,マクロ系の旗艦ヘッジファンドを 18ヵ月前に閉鎖した。
    衰弱した Fortress
    SoftBank は,資産運用会社を買収しようとしているが,この会社は
    2007 年の上場後 ほとんど全く株価が回復していない。
     Fortress 買収は,SoftBank が焦点と見つめる水を泥で濁すが,Vision Fund が 上場株式投資,スタートアップ資本,非上場株式とごちゃまぜになれば,これは 個人会社の様相を呈し,その個人会社を上場会社がたまたま所有するように外からは見える。自分の金と出資者の金を一緒にするのは ほかならぬ SoftBank であるから それでも 結構毛だらけ (all well and good) であるが,真に必要なのは,方向と焦点である。なるほど SoftBank Vision Fund は SoftBank 自身と共同出資者とが資金提供するものであるが,Fortress の買収は SoftBank 自身が行なうものであり,とは言え この両方が Masa の権限の下で運用されるのである。$1,000 億の用意は 1つの どでかい企てであるが,55% プレミアム付きの取り引きに金を投げることは,視力 (ビジョン) を欠く SoftBank 基金の強大なショーである。

  100. SoftBank to Buy Fortress Investment Group for $3.3 Billion
    ソフトバンクが Fortress Investment Group を $33 億で買収する。
    Bloomberg,2017/02/15, 11:31 JST
    By Devin Banerjee & Pavel Alpeyev
      Fortress は SoftBank Vision Fund と並んで運用する。
      Masayoshi Son は,世界最大のテック投資家を目指す。
     SoftBank Group Corp が,代替資産運用会社 Fortress Investiment Group LLC を 現金 $33 億で買収し,間もなく設立される 日本企業のテック投資基金と平行して運用する。
     火曜日の声明によれば,日本の SoftBank は ニューヨークに拠点を置く Fortress に1株につき $8.08 を払う。これは,2月13日の引け値に対し 39% のプレミアムである。Fortress の主任 Pete Briger, Wes Edens, Randy Nardonw は その職にとどまることに合意した。声明によれば,本社をニューヨークに置き,SoftBank 内で独立に営業する。
     SoftBank の創立者 Masayoshi Son は,$1,000 億の Vision Fund をサウジアラビア および その他の支援者と創立中である。これにより,日本の大富豪は,世界最大のテック投資家の1人となる。Fortress との取り引きは,そちらの法人とは別であり,社内に投資のタレントを集めることを狙っている … と SoftBank のスポークスウーマンは言う。今回の買収は,Fortress 株主 および 規制当局の承認を必要とし,2017 年後半に完了の予定である。
     "Fortress の見事な実績がすべてを物語る。当社は Fortress の指導力,広範な熟練度, および 世界級の投資プラットフォームから利益を得ることを期待する。" … と SoftBank 議長兼 CEO Son が声明で言った。
     Fortress の株価は 火曜日 +6.5% 上がって $6.21 で引け,ニューヨークに拠点を置く会社の時価総額は 約 24 億となった。SoftBank の株価は 水曜日,東京市場で +0.8 % 上がった。
     "SoftBank は,同社の投資戦略に 今回の投資がどうフィットするのかを伝える仕事をきちんとやっていません。" … と 岩井コスモ証券のアナリスト川崎朝映が言った。"十分な情報がありません。これは Vision Fund による投資だという印象を持つ人がいます。"
     Fortress は,1998 年に Edens, Nardone, Robert Kauffman の3人により設立された。彼らは スイスの銀行 UBS AG とニューヨークに拠点を置く BlackRock Financial Management Inc から来た。Briger は最初 2002 年に Goldman Sachs Group に勤めた。3人の創立者は,Fortress が 2007 年に上場して 初の上場 PEF になると, $6.343 億を集めて大富豪になった。
     Fortress の株価は,上場以来 ほぼ 1/3 の水準に低迷を続けている。これは 上場後5年間 赤字を続けたためである。 運用資産は2倍以上になったにも拘わらず,世界金融危機が収益性に打撃を与えた余波で,投資マネージャによる実績は悪化した。
      [ロイターによると,10 年前の上場時には $140 億に評価されたという。それを $33 億で買うのだから安いと言うべきか? Fortress の業績の伸びは lackluster だと (腐ったイワシの目?)]
     Fortress は,$701 億を 9月30日の時点で 信用資産,未上場会社の持ち株,ヘッジファンド および 固定金利投資で運用する。Fortress 内部の従来の債券運用部門 Logan Circle Partners が そのほぼ半分を占める。Fortress Investments は フロリダ州の鉄道会社,日本の農村のホテル,オスカー賞を獲得した "バードマン あるいは 無知がもたらす予期せぬ奇跡" (2014年) や "それでも夜は明ける" (2013年) を制作した映画スタジオ, ビットコインのスタートアップ企業のような不良資産 (distressed assets) を抱えている。
     投資会社 F.A.B. Partners の Nizar Al-Bassam と Dalinc Aiburnu が,今回の Fortress の取り引きを手配した。今後も同社について,ソフトバンクに助言を与える。
     SoftBank と Fortress との結びつきは,2014 年に遡る。このとき Son が Fortress の資産運用者から Rajeev Misra を引き抜いた。Misra が Vision Fund のトップになるので,今回のバイアウトは Misra と昔の仲間を結びつけ,Son のために投資を監視することになる。
     SoftBank のチーフは,日本の通信営業会社を多様な投資会社に変身する中で,近年 取り引き形成に姿勢を強めてきた。Bloomberg がまとめたデータによれば,2015 年初頭から,SoftBank は 少なくとも $440 億の投資/買収を発表した。その中には,英国のチップ設計会社 ARM Holdings Plc の $300 億買収と 衛星スタートアップ企業 OneWeb Ltd への $12 億投資を率いた件がある。
     事情に詳しい複数の人によれば,SoftBank は Vision Fund の初回ラウンド投資を今月末までに完了を目指している。日本の企業は $250 億を拠出すると言っている。サウジアラビアは $450 億を出す。アップル, クアルコム,オラクル議長 Larry Ellison もそれぞれ $10 億を投資する … と 彼らは この件が未発表であることを理由に匿名を求めて言った。
     "SoftBank にとって,この機会は,当社グループの能力を拡大するのに 直ちに役立つだろう。しかも間もなく設立される SoftBank Vision Fund プラットフォームと並んで。" … と Son はリリースで言った。
     JPMorgan Chase & Co が,SoftBank の財務顧問を務める。Weil, Gotshal & Manges LLP および Kirkland & Ellis LLP が法務顧問を務める。さらに KPMG LLP が会計と税金の顧問を引き受ける。
     Fortress の側は,Morgan Stanley が財務顧問,Skadden, Arps, Slate Meagher & Flom LLP が法務顧問を務める。
    やっぱりね (笑)
     "Fortress の見事な実績がすべてを物語る" ・・・ その通りらしい。
     こんなボロ株を買うのは,たぶん インドネシアの Trikomsel に次いで2番目だろう。
     運用資産 $701 億の半分を債券で運用とは手堅いが,それで 純利益 $1.98 億とはどういうことか?
     不動産が大きな赤字で,金利収入を埋めている。要するに典型的な赤字の不動産投資企業である。
     おまけに,ぜ~んぜん テック企業じゃないし,雇用だって ブルーカラーを何人雇うのか?
     何もこんな買収を今すぐにやる必要は無い。もっと収益性の高い投資はいくらでもあるだろう。
     なんだか 社長さん バタバタしている印象を受ける。スーパーセルを買収したときとは大違いだ。
    それにしても 今回の ブルームバーグ日本語抜粋は ちょっと困りますね。
     非上場企業や不動産への投資に知見を持つ同社を取り込むことで,ソフトバンクの投資能力を高める狙い。
     また今回の投資は「大胆かつ規律の取れた投資」ができ「世界トップレベルの実行力」を持つソフトバンクへの変革を加速させる,と説明した。

     こんな記述は,原本にはありません。
     それに不動産投資で不良資産を抱えていることを書いてない。
    Fortress とは関係ないが,今朝の新聞の引用を心覚えのためにここに書いておく。
     2017・1・15東京新聞朝刊2面:辞任するフリン大統領補佐官に関して「今年会談した自民党議員によると,フリン氏は『(政権は)1年持たないだろう』と語っていたという」と報道。日本政府が唯一人脈を持っていたのが このフリン氏だったことを考えれば,なぜ今, [首相が] 米政権にすり寄るのか不明。
     ここの社長さんは,いつ起こるか分からない不買運動を全く心配していないらしい。

  101. SoftBank to Buy Fortress Investment Group for $3.3 Billion
    ソフトバンクが Fortress Investment Group を $33 億で買収する。
    Wall Street Journal,2017/02/14 08:01 pm ET
    By Liz Hoffman, Jenny Strasburg & Sarah Krouse
    Fortress は 約 $700 億の資産を 不動産,クレジット,PEF に投資する。
    SoftBank Group は 資産運用会社 Fortress Investment Group LLC を $33 億で買収する契約を結んだ。これは,日本のテック巨人が 世界最大の投資企業に自らを変身させる サプライズの動きである。
     Fortress の A 株所持者は,1株当たり $8.08 を受け取る … と Wall Street Journal が報道した後で両社が火曜日遅くに発表した。この価格は,月曜日の引け値より 39% 高い。 ・・・
    いよいよ 大連万達の不動産王王健林の向こうを張って,日本の大富豪がアメリカの不動産王になりますか?
     たぶん 王さんはそう受け取るでしょう。
     似合わないように思うが。

  102. Fortress Investment shares rally on SoftBank takeover deal
    Fortress Investment 株が,SoftBank 買収取り引きで急騰する。
    MarketWatch,2017/02/14 06:20 pm ET (引け後)
    By Wallace Witkowski
    Fortress Investment Group LLC の株価が,火曜日の引け後のセッションで急騰した。
    SoftBank Group Corp が $33 億で買収中との発表を受けたものである。
     Fortress の株価は,時間外の取り引きで 23% ジャンプして $7.62 を付けた。SoftBank の発表によれば,この取り引きで Fortress の株主は1株当たり $8.08 を受け取る。共同議長 Pete Briger と Wes Edens は Randy Nardon CEO とともに Fortress に留まり,Fortress が運用する基金との取り引きからの税引き後の手取りの 50% を投資する … と SoftBank は言った。SoftBank は,2017 年後半にこの取り引きを完了する予定である。
    Fortress Investment Group とは (Wikipedia)
     1998 年創業。従業員数 979 名 (2011年), 純利益 $1.82 億 (2015年), NYSE 上場。
     運用資産 $702 億 (2016/06) [これだけの運用資産で 純利益がこれっぱかし] 運用上手なの?(笑)
     純利益 $2 億足らずの会社に $33 億を投資ですか? さぞ喜ばれたでしょう。30% 程度のプレミアム。毎度のことですが気前が良い。
     2007 年にアメリカで初めて上場された大手 PEF (非上場株投資基金) である。
     Wiki には 投資先がいろいろ書かれているが,不動産が多く,テックは見当たらない。
     これじゃ 雇用 50,000 人に寄与するのかな? 「テック投資」って大見得を切ったんでしょ。
     赤ちゃん大統領に 約束が違うと言われかねませんね。
     [例] カナダスキーリゾート (北米最大),RailAmerica,Florida East Coast Railway, Pen National Gaming (カジノ,競馬),Capstead Mortgage Corporation (住宅金融?), Holiday Retirement (年金基金?), その他ワンサカあるよ。
    ──────
     ここで1つ分からないのは,なぜ 投資基金であるソフトバンクが投資基金に投資するのか。そのまた 投資基金である Fortress の投資先の一部が投資基金であることだ。
     つまり金が 投資基金 (ソフトバンク) → 投資基金 (Fortress) → 別の投資基金 → どこかへ投資
     という複雑な構造になっている。おまけに 一番右の投資先が ソフトバンク株 (あるいは アリババ株) ということも 無いとは言えない (笑)
     なぜこういう複雑な図式を選択するのか?
      ソフトバンクが (と言っても,実際には例のインド人チームが決めたことだろうが,それにしても) 自分でターゲットを選んで直接に投資すれば,利益も大きいではないか? わざわざ 利益を減らすのはなぜか?
     一般的には,あくまでも一般的には,金の流れがこのように複雑なのは,危険の証拠とされている。
     まぁ インド人チームなら何やら考えそうなことではあるが。
    ──────
      ・・・ と書いたのは2日前のことだった。どうやら インサイダー取り引きがあったらしい。当たって良かったのか 悪かったのか。
     金の流れが上のようになる理由は 誰にでも分かる。おおもとの「ソフトバンク銀行」が自分の投資に自信が無い。だから 直接投資だけでなく,別の投資銀行に投資する。その投資銀行も十分な成果を挙げる自信が無いから (実際 不良資産を抱えている),別の投資基金に投資する … という悪循環に陥っている。ベテランに任せれば 自分で運用するより儲かるかな … という感覚である。
     この先 軟銀願景資金が無事に発足したとして,その運用はどうなるのだろうか? おなじようなことになるのではないか? … いえいえ そんなことはありませんよ。… えっ,どうしてですか? … 規模が巨額過ぎてそれは無理 … でも小口に分ければできますよ。どうなりますか。
     これから SEC の調査が入るのだろうが,常識的に疑われるのは,報道からも分かるように インド人である。場合によっては ソフトバンクにも調査が入るのであろう。万一 そんなことがあれば,そういうウワサだけで …

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