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5G 時代におけるアメリカの世界的主導権を拡大するために不可欠な幅と深さを持つ全国 5G ネットワークを早急に立ち上げるために必要なネットワーク容量を持つ会社を誕生させるに過ぎない。
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Un-Carrier 戦略をスーパーチャージして,無線, 動画 および ブロードバンドでの低料金,無敵の価値,大いなる競争を提供する。
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この結合は,当社事業と次世代 5G ネットワークに $400 億の投資を計画し,何千もの雇用をアメリカに創出し,アメリカの経済成長を押し上げる。
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結合された会社の CEO には John Legere,総裁兼 COO には Mike Sievert が就任する。
ワシントン州ベルビュー & カンザス州オーバーランド・パーク:T-Mobile US と Sprint Corporation は,
本日 Sprint 1株に対し T-Mobile 0.10256 株 (すなわち T-Mobile 1株に対して Sprint 9.75 株相当) の固定交換比率での全株取引による合併の最終合意に入ったことを発表した。4月27日の引値をもとにすれば,これは Sprint の予想企業価値 (implied EV, 時価総額+有利子負債) 約 $590 億と 結合会社の予想企業価値 $1460 億を意味する。新会社は,取引完了時点で強い貸借対照表 (closing balance sheet) と 資金手当てがフルになされる事業計画を持ち,保証された投資適格級債務の強い基盤を持つ。
結合会社の名称は T-Mobile であり,アメリカの無線, 動画
および ブロードバンド業界をプラスに変革する力となる。電波所有の結合,その結果生じるネットワークの規模
ならびに ランレートで $60+ 億と見込まれるコスト・シナジーは,$430+ 億の正味現在価値 (net present value) に対して,T-Mobile の Un-Carrier 戦略をスーパーチャージして 市場を破壊し,5G 時代をリードするアメリカ企業と革新家に基盤を提供する。
The New T-Mobile は,アメリカの企業と企業家が来たる 5G 時代に (4G のときと同様に) 世界をリードし続けることを可能にするために必要な幅と深さを備えた全国 5G ネットワークを早急に生み出すネットワーク
容量を持つ。新会社は,両社が個別の場合より早く,広く深い 5G ネットワークを点灯できるだろう。T-Mobile は,Verizon より2倍の速さで,AT&T より3倍の速さで LTE を全国配備した。深い電波資産とネットワーク容量を持つ結合会社は,同じことを 5G でする立場にいる。
結合会社は 低コスト,規模による大きな利益,
および 資源を持ち,これによりアメリカの消費者
および 企業に 低料金,高品質,無敵の価値,大いなる競争を提供する。The New T-Mobile は,両者が別個の場合より
多くの人を雇用し,アメリカに数千の雇用を創出する。
新会社は,取り引き完了後 ワシントン州ベルビューに本社を置き,カンザス州オーバーランド・パークに もう1つの本社を置く。T-Mobile の現在の 総裁兼 CEO であり 成功を納めた Un-Carrier 戦略の創始者 John Legere が
[新会社の] CEO となる。T-Mobile の現在の Mike Sievert COO が結合会社の 総裁兼 COO になる。新経営チームの残りのメンバーは,取引完了後に両社から選ばれる。現在の T-Mobile の取締役会議長 Tim Höttges は,新会社の取締役会議長になる。現在 SoftBank Group 議長兼 CEO の Masayoshi Son と Sprint の Marcelo Claure CEO は,新会社の取締役になる。
"今回の結合は,多くの消費者と企業に低料金, 革新,
および 無敵の経験を提供できるネットワーク規模を持つ猛烈な競争相手を誕生させる。" … と John Legere が言う。"5G 時代に入り 業界の境目が曖昧になる中で,
消費者と企業は,自らプラスの変化をもたらす能力と 破壊的文化とを備えた企業を必要とする。"
"このダイナミックな両社の結合が,アメリカ消費者の利益になることは 確実である。Sprint と T-Mobile は 相似た DNA を持ち,訳の分からない料金プランを消滅し,単一料金プラン ── 無制限に収束させた。" … と Marcelo Claure は言う。"我々は,アメリカを革新の温床 (hotbed) にし,消費者が (農村地域を含む) アメリカ全土で暮らし 働くやり方を再定義する 世界最良の 5G ネットワークの建設を見据える中,この同じ競争的破壊を
[どこへ?] もたらすつもりである。その中で,我々は いつものように,競合相手に追随を強制するだろう。 私は 今回の結合が 雇用創出に拍車を掛け,組織の強化と拡大の一環として,Sprint 従業員にも機会を保証することを確信している。私は,カンザスシティが合併後の会社のもう1つの本社になることにワクワクしている。"
#5GforAll ── 唯一の幅広く深い 5G 全国ネットワークの創生
アメリカとアメリカ企業が 5G 時代をリードすることは,臨界的に重要である。4G でのアメリカの主導権は, アメリカの革新と企業家精神の波に火を点け,今日の世界的モバイル・インターネットのリーダーたちを生み,雇用を生み,経済価値にして数十億ドルを創出した。アメリカの初期の 4G の主導権は,150 万の雇用を生み, 数十億ドルを 我が国の GDP に加えたと言われている。5G では,その利益がさらに大きい ── なぜなら 5G の方が更に変換的 (transformational) だからである。
結合された会社のみが,5G 革新サイクルの天下分け目の初めの数年 ── ここで 5G ディジタル経済におけるアメリカ企業の優勝劣敗が決する ── に 広くて深い 5G 全国ネットワークを速やかに生み出すのに必要な ネットワーク容量を持つ。Sprint の広い 2.5 GHz 電波,T-Mobile の全国 600 MHz 電波
ならびに その他の
資産により,New T-Mobile は アメリカ史上最高の容量を持つモバイル・ネットワークを生み出す計画である。今日の T-Mobile のネットワークに比べて,結合会社のネットワークは 2024 年までに全国平均で 15 倍速いネットワークを提供するものと期待される。多くの顧客は 初期の 4G より最大 100 倍速いスピードを経験するだろう。
どちらの会社も 単一では,アメリカのモバイル・インターネット革新の次の波に火を点けるのに必要な幅と
深さを持つ 全国 5G ネットワークを創出することはできないし,外国からの競合に太刀打ちできない。
AT&T も Verizon も それぞれ 結合会社より 34%, 172% 多くの電波を所有するにも拘わらず,短期的にはできない。大量の資源をもってしても,AT&T と Verizon は,急速に全国 5G を建設することはできず,彼らが計画する 5G ネットワークは,非常に限られたエリアでまばらに提供されるに過ぎない。全国 5G を建設するためには,彼らは 現在の顧客を LTE から蹴り出すか (それには 何年もかかる),
あるいは 電波基地から 600 m しか届かない特別の電波 (ミリ波) を使うしかない。しかし 我々の電波では 何 km も届く。したがって,この2社のどちらも 真に全国的な 5G ネットワークを速やかに建設することは不可能である。
ユビキタス高速 5G サービスと モノのインターネット (IoT) 機能は,複数の業界にわたる革新に火を点け,5G 時代にアメリカ企業と革新家に地球をリードする条件を生み出すだろう。
"4G から 5G への移行は,白黒 TV から カラー TV への移行に似る。" … と Claure が補足した。"これは
地震発生的移行である ── 結合企業のみが モバイル革新の次の波に全国的点火を可能にする。"
#5GforAll
[みんなの 5G] は,消費者と企業に信じがたい便益と機能を解放する。たとえば,AR ヘッドアップが あなたの見るものすべてを表示する;あなたの周りの人々と物体に関する情報をリアルタイムで クラウドを利用して提供する。さらに 電池寿命が 10 年の低コスト・センサーは,あなたの持ち物すべてに埋め込まれるので,モノを亡くすということが全く無くなる。また,イヤーピース (earpiece) は,友人が外国語で話すときにリアルタイムで翻訳してくれる。さらに,インフラと農業用の環境センサーは,生産性に深い影響を与える。
Un-Carrier 戦略を オーバードライブ [増速駆動] にシフトする ── 料金の低減と 競争の更なる強化
新会社は,競争を過熱することにより料金の低下を期待する。The New T-Mobile は, コスト引き下げ, 規模の増大による経済効果,前例の無いネットワーク容量を持つ ── これは,無線業界と (ケーブル,ブロードバンドのような) 隣接業界を 全ての人に手ごろな価格で得やすくするはずの 勝利の組み合わせである。
この組み合わせは,T-Mobile の成功した (顧客の声に耳を傾け,泣き所を解決することにより構築された) Un-Carrier 戦略を劇的に加速する。これはまた,Sprint の信じがたい電波資産と強い DNA を活用する。
この取り引きは,更なる競合を生み,全国の顧客に 前例の無い価値を生むであろう。しかも,T-Mobile と Sprint の現在の顧客は,両社のネットワークがつながれば, スピード, カバレッジ, 性能で利益を得るだろう。
無線, ブロードバンド
および 動画の市場は,急速に収束しつつある。AT&T は,今では我が国最大の TV プロバイダである。Comcast は昨年,AT&T + Verizon より多くの無線電話顧客を増やした。Charter は 今年無線を立ち上げる。さらに,アメリカ人の 10 人に1人 (12%) は,無線だけをインターネット接続に利用する。
"我々の計画は, 4社から3社に無線会社を減らすものではない ── 現在 少なくとも 7~8 社の大手が この収束する市場で競合している。そして 5G では,我々は 0 から 1 へ行く。New T-Mobile だけが,真の全国 5G を提供する容量を持つだろう。" … と Legere は続けた。"我々は革新している:ひとたび 規制当局がこれらの納得できる利点を見れば,これが 国と消費者にとって まさに時宜を得た 正しい動きであることに同意するだろう。"
この急速に収束しつつある市場で,新しい会社は,次のような地域の全ての消費者に多くの選択肢と競合をもたらすだろう:
(1)
農村コミュニティ:
Rural Americans seldom have a choice of more than one or two wireless, broadband, or cable providers. The New T-Mobile will end that with increased reach and plans to open hundreds of new stores in rural communities, creating thousands of new jobs. Millions of Americans in rural communities will have more choice and competition, where they may have none today.
(2)
ブロードバンド:
51% of Americans have only one high-speed broadband option – no choice at all! The combined company will create a viable alternative for millions by enabling mobile connections that rival broadband, driving prices lower and improving service.
(3)
事業会社 および 政府への無線サービス:
Today, Verizon and AT&T dominate this category with 4x more customers than Sprint and T-Mobile added together. With its assets and capabilities, the new company will unlock real competition for business and government customers.
アメリカの雇用増加を大幅に押し上げる
Sprint と T-Mobile の結合後の最初の日から その後毎年,新会社は 個々の会社の別々の雇用よりも多くの人を雇用するだろう。発足時に 200,000 人を超える人がアメリカ内の結合後の会社のために働くだろう。
しかも New T-Mobile は,当初の3年だけで,最大 $400 億をネットワークと事業に投資する計画である。これだけの巨額の資本投下は,新会社
および 関連セクターの雇用の伸びに火を点けるだろう。この数字は,
過去3年の両社の投資額の合計より +46% 多い。
この結合はまた,AT&T, Charter, Comcast, Verizon などに競争のため 何十億ドルもの投資を加速せざるを得ないよう強制するだろう。
5年前,T-Mobile は 4G 時代の競争のために MetroPCS を合併した ── これによりかなり雇用を増やす
結果になった。MetroPCS で働く人の数は, 2013 年の買収時の3倍に ふえている。この実績を踏まえて,New T-Mobile は,5G 時代のアメリカに長期的な経済的刺激を加速するつもりであり ── 最終的には 数千の雇用を創出し,アメリカ経済の事業機会を支援する。
CTIA の報告によれば,2024 年までに 5G は アメリカに 3,000,000 の新規雇用を生み,$5,000 億の経済成長をもたらす。結合会社は この巨大な経済刺激を押し上げる触媒である。
取り引きの詳細と財務プロフィール
新会社は,ランレートで $60+ 億のコスト・シナジーを通じて,T-Mobile と Sprint の株主にかなりの価値を創出するものと期待する。この取り引きは また,結合会社の財務ポジションを強化する。ハイライトは以下の通り:
・ Pro Forma 2018E サービス売り上げ
1:$530~570 億.
・ Pro Forma 2018E 調整 EBITDA
1, 2:$220~230 億.
・ Pro Forma 2018E 調整 EBITDA
1, 2:マージン 40~42%, 長期目標 54~57%
・ Pro Forma 2018E 純負債
3:$630~650 億 with a streamlined single-silo corporate debt structure
・ 取引完了時にはかなりの流動性を持ち, 資金手当てがフルになされた事業計画。
──
T-Mobile と Sprint の取締役会はこの取り引きを承認した。Deutsche Telekom と SoftBank Group は それぞれ 結合会社のそれぞれ 約 42%, 27% を所有する予定である。残りの約 31 % は一般株主が所有する。
取締役会は 14 名から成り,そのうちの9名を Deutsche Telekom が,4名を SoftBank Group が指名する。 この中には SoftBank Group の Masayoshi Son 議長兼 CEO と Sprint の Marcelo Claure CEO が含まれる。New T-Mobile の John Legere CEO は 取締役も務める。この取り引きが完成すれば,結合会社は "TMUS" という記号で NASDAQ に上場される予定である。
新会社は,無線で象徴的なブランドをいくつか有し ── T-Mobile, Sprint, MetroPCS, Boost Mobile, Virgin Mobile ── 本取り引き完了後にブランド戦略を決定する。
この取り引きは,規制当局の認可を含めて,通常のクロージング条件に従う。2019 年前半より遅くならないクロージングを予定している。
1 Proforma service revenue and Adjusted EBITDA measures do not include the impacts of ASC606 revenue recognition accounting changes.
2 T-Mobile is not able to forecast net income on a forward looking basis without unreasonable efforts due to the high variability and difficulty in predicting certain items that affect GAAP net income including, but not limited to, income tax expense, stock based compensation expense and interest expense. Adjusted EBITDA should not be used to predict net income as the difference between the two measures is variable.
3 Proforma net debt reflects total expected debt (excluding tower obligations, premiums, discounts and issuance costs) less cash and cash equivalents.
メディアの記事を読むよりも,本家本元のリリースを読むのが一番正確だろう。
とにかく 将来の最も基礎となる文書であるから,丁寧に読んでおくのがよいと思う。
書き出しの「 ・・・ 会社を誕生させるに過ぎない (creates only company)」というのに 引っ掛かった。
T-Mobile の株主や顧客向けに書いているのだろうが,「心配しないでね。これっぱかしのことだから」と書き始めている?
両社が共同で発表したこの文書の冒頭部分に「スプリント」という単語が現れないことは 記憶すべきだろう。
新会社の名称は "T-Mobile" らしいが,"The New T-Mobile" が何ヵ所もあるので誤解を招いたのだろう。要するに,"吸収合併" である。
ここまで 2強の悪口を書く必要があったのかどうかは疑問に思うが,認可を得るためには必要と考えたのかもしれない。なにしろ 大統領が ブロードコムによるクアルコムの買収を阻止した時の理由に 5G の重要性を挙げたから。
認可が 遅くとも 2019/05/31 までに下りることを予定している。
雇用が 発足時に 20 万人というのは 間違いではなかった!
問題は
(1) 合併後の計画の実現性:
3年で $400 億の投資,20 万人の雇用など大風呂敷であるが,どうせ 1.5 ~2 年先の話である。
ここには書かれていないが,2本立てのネットワークを運営する問題もある。
(2) 規制当局の審査:
メディアの報道は,通る確率がだんだん下がっている。これは AT&T/Time Warner の影響だろう。
孫社長のすぐ後を追って 就任前の Trump さんを トランプタワーに Randall Stephenson CEO が訪問したが,ほとんど1年半 経つのに 司法省が裁判に持ち込んだ。共通事業が少ない "垂直合併" なので簡単に通るはずと見られていたのにこれである。
T-Mobile/Sprint では バッチリ競合する水平合併だから,1.5 ~ 2 年かかってもおかしくない。
(3) 問題は,認可が得られるかどうか以前に,認可の判定が出る前に Sprint の資産が "劣化" することである。資産の劣化とは,人材の流出,顧客流出,ネットワークの劣化である。
ネットワークの劣化を防ぐため 投資をしても,合併後に無意味になるかもしれない。
あまりに 顧客減少が大きければ,T-Mobile が破談にする理由になる。
ちょっと 非常に細かいが,気になることがある。
Sprint のサイトには,これと全く同じ発表が出ている。
全く同じでいけないか?
いけないことはないが,非常に多くの場合,自社の方を前に持ってきて「Sprint と T-Mobile は ・・・ 」と タイトルだけでも書き直すことが多い。ワシントン州とカンザス州も逆順にするのが普通だろう。
ここからもこの取り引きは "吸収合併" だと 関係者が考えていることがうかがえる。
SoftBank の第38回定時株主総会招集通知 (2018/06/05) の冒頭に 以下の記載があるので,これを記録としてここに残す。
2018 年4月29日 (ET),当社の米国子会社であるスプリントと T-Mobile US, Inc が,合併に関する最終的合意に至りました。当社は,本取り引きにより想定される大きなシナジーが統合会社の価値を増大させ,当社の保有資産価値向上に貢献し,結果として当社の株式価値の向上につながると確信しています。
統合会社は,米国の移動通信,動画,ブロードバンド市場における変革の原動力となっていき,市場に革新をもたらすとともに,米国の企業やスタートアップが第5世代移動通信時代においてリーダーシップを握る環境を実現していくと期待しています。